茅場晶彦(SAO)

登録日:2014/11/10 Mon 00:38:41
更新日:2024/04/11 Thu 17:34:39
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※この項目は『ソードアート・オンライン』のネタバレ要素を多分に含みます。
 また『そーどあーと☆おんらいん』のネタも多分に含みます(『』で囲ってあります)。






これはゲームであっても、遊びではない




『俺ツエーさんちィーッス』
『・・・・・・・・・・・』


茅場晶彦とはライトノベルソードアート・オンライン』の登場人物。SAOやフルダイブ技術そのものの開発者にしてSAOをデスゲーム化した張本人であり、シリーズを通して最重要人物の一人。
劇中事あるごとにキーパーソンとして語られるが、本人の出番はおそらくメインキャラで一番少ない。


◆概要

世界的に有名な天才量子物理学者であり、ゲームデザイナー。
《ナーヴギア》をはじめとしたフルダイブ用マシンの基礎設計者で、作中に登場するフルダイブ技術は全て彼の理論を基にしている。
研究者仲間からの人望も厚く、キリトをはじめとする多くのゲームプレイヤーにとってあこがれの存在であった。

そんな彼がデザインした世界初のVRMMORPG《ソードアート・オンライン(SAO)》の正式サービス開始は世界的な注目を浴び、その初期ロット1万本は一瞬で完売、ナーヴギアユーザーは完全なる仮想空間を謳歌していた。

しかしそんな中、空に影のようなアバターが出現する。
《茅場晶彦》と名乗ったその“影”は宣言をする。SAOからの自発的ログアウトは不可能であること、SAOの舞台《浮遊城アインクラッド》の最上部第100層のボスを倒してゲームをクリアすることだけがこの世界から脱出する唯一の方法であること、そしてこの世界で死亡した場合は、現実世界のプレイヤー自身が本当に死亡するということを…


『やめろ!おいっ!石を投げるのをやめたまえ!』


幼少期から《異世界》という存在に狂的なまでに取りつかれていた茅場は、その夢への渇望からこのような非道な事件を起こしたのだ。
「諸君の検討を祈る」最後にそう言い残すと、“影”は姿を消した。こうして、楽しいはずの仮想世界は一転、過酷なデスゲームの舞台へとその姿を変えたのだった。


『そんな昔からずっと患い続けていたんですね。』
『そのかわいそうな物を見るような目はやめてくれないか。』


以下ネタバレ














《神聖剣》というスキルを持ち、HPが半分まで減ったことが無いと言われるほどの圧倒的な強さを誇る、ギルド《血盟騎士団(KoB)》の団長でアスナの上司、《ヒースクリフ》の正体。ちなみにヒースクリフ時の声は大川透。
アニメではバッサリ出番がカットされていたので、大して出番のない彼が前期OPでかっこよく映っていたことから、なんとなく察していた人も多いのではないだろうか。

ヒースクリフとしてアスナは勿論キリトとも顔見知り。ボス戦の時に非常に頼りになる存在であったことはもちろん、SAOのシステムに最も精通している人物(当たり前と言えば当たり前だが)としても頼りにされており、友達とは言わないまでも、一緒に食事をしたりするくらいの仲ではあった。
≪圏内事件≫やノーチラスの一連の事件の際にはいくつかのシステムの仕様を事細かに説明し、解決の一助となった。よくこれで95層まで隠すつもりでいたな……
ん?1巻で会議以外で話したことは無いと言っていた?


「……これはラーメンではない。断じて違う」
「なぜこんな店が存在するのだ……」
※ここは本編の台詞です

一方でギルドの運営そのものは副団長のアスナをはじめとする他の団員に任せきりにしていたらしい。これはゲームマスターである自分がゲームに干渉しすぎることを嫌ったためだと思われる。


『ギルドの活動についてなんですが…』 『任せる』
『フロア攻略についてなんですが…』 『任せる』
『職人のプレイヤーさんたちの話によると…』 『任せる』
『むかしむかしおじいさんとおばあさんが…』 『任せる』
『フロアボスの攻略についてなんですが…』 『詳しく説明したまえ(キリッ)』


その後アスナのギルド休養を巡ってキリトと対立し、キリトが勝てばアスナの休暇を認め、ヒースクリフが勝てばキリトが血盟騎士団に入るという条件のもと、決闘によってケリをつけることとなる。


『それだけだと不公平だ。もしあんたが負けた場合は「血盟音頭」を作って一人で披露してもらう』
『い、いいだろう』
見たい…


決闘は一進一退の攻防の末にヒースクリフが勝利したが、彼がわずかに頼ってしまったシステムアシストのわずかな違和感をキリトに与えてしまった。


(チ!)
『(あれ・・・?メンバーの反応が薄い・・・?)』


本来なら95層の攻略が果たされた時点で正体を明かし、最終100層でプレイヤーと最終決戦を迎えるはずであったが、75層ボス攻略戦後に見せた態度と決闘時に見せた違和感からキリトに正体を見破られてしまう。
もし正体がバレずに95層まで到達し正体を明かしたら、街の圏内が解除され、モンスターが街を攻め混んで街を守るディフェンスイベントが挿入される予定だった。*1

彼の固有スキル《神聖剣》は盾にも攻撃判定を与えられ、完全防御と攻撃の両立が可能という代物で、HPが半分以下になると自動で設定される破壊不能オブジェクト化の設定を見せないためのものでもあった。
つまり・・・


『つまりあんたは自分ひとり不死身なうえに「神聖剣」って最強スキルを使ってたってわけだな』
『うわ…俺TUEEEだ』
『俺つえー』
『オレツエー・・・』
『どんだけオレツエーしたかったんだ』
『はずかしー』
『だっ黙りたまえ!私はこのゲームのラスボスでもあるからだな……』
『うわっ。泣きそうだ』
『そもそも「神聖剣」とか自分でつけて使うにゃ恥ずいネーミングだよな』
『ちょっと中二入ってるな』
『(ま、まだ続くのか!?)』
『神聖剣w』
『中二…(笑)』
『マジかっけえっスw』
「キリトくん、君には私の正体を看破した褒賞にチャンスを与えよう。『(ぷるぷる///)』」
『あっ話そらし始めたぞ』
『涙目だ』
『顔真っ赤』
『震えてるっすよ。俺ツエーさん』
「今この場で私と1対1で戦うチャンスを。私に勝てば全プレイヤーを開放する。…どうかな?」
『このまま無視して全部乗り切る気だな』


こうしてキリトとヒースクリフ、いや、茅場晶彦との最後の決闘の火ぶたが切って落とされた。

俺TUEEEゲームマスター権限がなくとも茅場晶彦は圧倒的強さを誇り、キリトは次第に押され始める。
そしてソードスキルの隙を突かれ、ついに決定的な一撃が決まろうとした瞬間、二人の間に割って入る人物がいた。

システム的麻痺を自らの意思で打ち破ったアスナだった。

アスナが四散したことで絶望に打ちひしがられるキリト、そこに茅場の最後の剣が振り下ろされる。
しかし、キリトのアバターが消滅する寸前、最後の力を振り絞ったキリトの剣はシステムを凌駕し、茅場の胸を貫いた。
そして…二人は消滅した。

気が付くとキリトとアスナは夕焼けのような謎の空間にいた。そこにヒースクリフの姿ではなく本来の姿に戻った茅場晶彦が現れる。
そしてしばらく語らうと、最後に茅場はゲームをクリアされたことを告げて姿を消し、キリトは現実世界へと帰還したのだった。

茅場は決闘の結果如何に関わらず、システム的な制約を打ち破ったアスナと自分を見破ったキリトとは話をするつもりだった。
ゲームをクリアしたキリトだけでなくアスナのことも助けたのは本人曰く“ボーナス”とのこと。もしかしたら副団長として共にギルドを支えてきたアスナに対して何か思うところがあったのかもしれない。*2

その後しばらく行方や動向は不明であったが、ALO編にて変態王オベイロンによって絶体絶命の窮地に陥っていたキリトのもとに現れる。


「逃げ出すのか?」「立ちたまえ、キリトくん!!」

『あんたは・・・オレツエ―――――さん』
『ではさらばだ』
『冗談です冗談!たすけて!』


そしてSAOのデータを基に構成されたALOに残っていた《ヒースクリフ》のIDをキリトに譲渡、それによってオベイロンから管理者権限を奪い、勝利に繋がった。
もし彼が助けてくれなかったら、キリトとアスナは壮絶なバッドエンドを迎えていたであろうことは間違いない。
誰だ、残念とか言ったのは?


『彼にこう伝えてくれ』
『キザ山ヒョロ太郎』
『はあああああああああああああああ!!!?(ブチブチィッ)』


その後キリトを助けた代価として、この後の物語に大きな影響を与えることになるVRMMORPG作成・制御用のフリーソフト《世界の種子(ザ・シード)》(=仮想世界の今後の発展の責任)の扱いを委ね、再びその姿を消した。
このソフトの拡散によって仮想世界は爆発的な拡張を続け、様々なVRワールドが生み出されることとなる。

後日談にて、長野の山荘で茅場の死体が発見されたことが語られた。
彼はSAOがクリアされると同時に、脳に大出力のスキャンをかけることで自身の記憶・人格をデジタルな信号としてネットワーク内に遺すことを試み、その結果死亡したのだった。しかしこの際に脳は焼き切れ肉体的には死亡したが電脳化には成功しており、ALO編にてキリトを助けられたのはこのため。

なお、彼がフルダイブに使用していたナーヴギアには当然といえば当然なのだがログアウト不可の設定はされておらず、その気になれば自由にログアウトできる仕様だったのだが、最長一週間の連続ダイブはしょっちゅうだったらしく、その間の身体の管理は大学の後輩で元彼女の神代凛子に担当させていた。
世間的にはマイクロ爆弾を埋め込み脅迫していたことになっているが、これは茅場が事件後神代に嫌疑がかからないよう仕向ける為の嘘であり、爆弾はカモフラージュの為に実際に埋め込んでいたが、どうあっても起爆しないよう細工が施されていた。

本作の出来事全てのきっかけを作った人物であり、フルダイブ技術を開発した先駆者であることは間違いないのだが、一方で多くの人の命を奪った大量殺人者であることも間違いない。
しかしフルダイブ技術そのものは世界や社会に大きく貢献する革新的な技術であることも事実であり、それによって救われた人物これがなければ生まれなかった命があるのも確かなので、彼の評価を一概に下す事は非常に難しい。
一方でゲームマスターでありながらも卑怯な手を一切使わず(上記のキリトとの試合で焦りで使ってしまったが)、正々堂々と真正面から向かって行くといったまっすぐな部分もある。
もし一言で言い表せることができるのならば、「良くも悪くもまっすぐすぎる」性格と言えよう。

なお時たま勘違いされるが、キリトが茅場が何を目指していたのか知りたいと考えていたり、SAOという一つの世界を愛していることは事実だが、別に彼のことを許したわけでも憎んでいないわけでもない。
確かにSAO編ラストでは茅場に対して憎しみの感情は湧かなかったようだが、それはキリトが自分は死んだと思いこんで半ば悟りの境地であったからであり、もう一度冷静に考え直すことができたALO編のラストでは「色々あったが憎しみの感情は無論存在し、茅場を許すことなど決してできない」と語っている。
その後VRMMO絡みの事件に色々触れた現在では「所業については許すことはできないが、彼のおかげで変われたのも事実であり憎むことはない」という形になっている。



また電脳化された茅場は、自分のことを「茅場晶彦という人物の意識の残像」と語っており、これが本当に茅場本人の意識そのものであったのかは不明。
彼の意識は彼が手にかけた多くの犠牲者と同様に高出力のエネルギーによって破壊されてしまったのか、それとも今も電脳空間を彷徨っているのか…その答えは彼のみぞ知るところである。*3
そして仮にこれがコピーフラクトライトであるならば、世界で初めて「自身がコピーであることを自覚しても崩壊しなかったフラクトライト」という事になる。
やはり《異世界創造》なんて事を思いつき実行する人物は只者ではない、と言う事か。

アリシゼーション編では上述の茅場の後輩であり彼女だった神代凛子が登場。彼女の口から幾度となく茅場の名前が出ていたが、本人の登場はない。

…と思われていたが、最終盤にまさかの再登場。オーシャン・タートル爆破の危機に際しロボット《ニエモン》に自己の意識をインストール。
一度ボディが機能停止しながらも気合で爆弾の解除に成功し、その後再び行方をくらませた。


◆彼自身の発明及び理論を基にした発明一覧

  • 《ナーヴギア》
理論・設計共に茅場自身の発明。セーフティを強化した後継機《アミュスフィア》や医療用フルダイブマシン《メディキュボイド》も実質彼の発明である。

  • 《オーグマー》
VRではなくAR(拡張現実)マシンだが、大本の設計はナーヴギアと同一。そのため通常は機能がロックされているがフルダイブも可能。ヘッドマウントディスプレイではなく、網膜への投影とフルダイブ同様の感覚入力で情報を視界に表示している。

  • 《ブレイン・インプラント・チップ(BIC)》
加速研究会御用達のアイテム…と同名もしくは同一の機器。ヘッドマウント型かインプラント型の違いはあれど、理論は紛れもなくナーヴギアの流れを汲んでいる。

  • 《ソウル・トランスレーター(STL)》
「人の魂そのものにアクセスする」という、最早オーパーツの域に片足突っ込んだ機械。実際に完成させたのは比嘉タケルはじめラースの技術スタッフ達だが、大本の理論は茅場の物らしい。
また彼が脳の大出力スキャニングに用いたマシンはこれのプロトタイプである。

  • 世界の種子(ザ・シード)
VRMMORPG作成・制御用のフリーソフト。キリトに託されたのち、エギルなど複数の人間の手によって危険性がないことを確認され、制作者不明のフリーソフトとして世に出回った。
それまでのVRMMORPGは莫大なライセンス料が必要となっていたが、このソフトの登場を機に爆発的に様々な世界観のVRMMORPGが制作された。
一体どんな需要があるのか分からないバカゲーも多数あるらしいが…
このソフトの規格で作成されたVRMMORPG間であればキャラクターのコンバートが可能で、ステータスも引き継ぐことが可能。


◆類似キャラ

  • 江崎新一(高畑京一郎『クリス・クロス 混沌の魔王』)
電撃文庫作品での類似キャラで、電撃ゲーム小説大賞第一回金賞を受賞した小説のラスボスな天才科学者にして「魔王」。SAOの先行作品として比較されることが多い。
大型イベント用に開発され、自作のスパコンで動くVRゲームを「痛みを感じ、戦闘不能がリアルでの死となるゲーム」に改竄しログアウトを封じた。
但し江崎の方は茅場と違いあくまで「システム管理者」としてユーザーに干渉、ラスボス戦すら一回「現実に近いゲーム空間にシフトさせる」ことで仕切り直すせこいかつエゲツナイ手も使った。
そして事件自体も大型筐体のクローズドβテストだったため、(恐らく制作上層部により)クリアした主人公すら他ユーザーの生死や身元・事件結果を調査不可能なまま隠蔽された
なお彼自身は事件後病院に幽閉され「ルシファー江崎」と綽名されるようになったが事件に関しては全く反省せず机上で研究を続け、
高校時代の先輩から新技術の開発協力者としてスカウトされた(高畑の別作品『タイム・リープ』文庫版付属短編より。先輩としては危険人物の監視も兼ねているらしいが)。何でこうなった。

「自作ゲームで自ら最強キャラを駆使して主人公と戦うゲームデザイナー」「やったことは犯罪だが研究成果はその後も残り続ける」「死後もバックアップデータを残す」「大量殺人者で罪の意識が希薄ながら命の不可逆性と大切さをしっかりと理解している」という点から、比較されることもままある人。
尤も「命が取り戻せないならバックアップを作って取り戻せるようにすればいい」という考えから事件を起こした黎斗に対し、茅場は「失われた命は絶対に取り戻せてはいけない(死が可逆のものになれば命の価値が著しく損なわれてしまう)」という価値観であり、根本的な部分で真逆。
あと、マイティクリエイターVRXなどの黎斗の技術でSAOに介入できるのか?というのは時々話のタネになる。
全員バグスターに感染・消滅させてコンティニューすれば即時の救出もできたかもしれない


◆余談

ハンドルネームを「ヒースクリフ」と名付けている性で巨乳が好きとネタにされる。
理由は「ルナ・ウィング 時を越えた聖戦」に同名キャラが居るため。
しかも向こうのヒースクリフはよりによって須郷とCVが同じ。まさか本命はそっちか……。



真顔ピースクリフ

出典:アニメ ソードアート・オンライン第1期 2012年7月~12月放送
25話「世界の種子」エンドカード イラスト提供:abec 制作: A-1 Pictures  SAO Project
また、SAO本編の一巻のアニバーサリー記念の帯に登場。真顔だったかどうかは覚えとらん。



追記・修正は空に浮かぶ城を夢見てからお願いします。

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最終更新:2024年04月11日 17:34
添付ファイル

*1 このイベントはソーシャルゲーム「ソードアート・オンラインエンドワールド」で実装した

*2 この時既に須郷が動いていたはずなので、ボーナスというのは「須郷の作った領域に彼女が移動することを黙認する」という意味である可能性が高い。

*3 もっとも茅場の性格からして、脳をスキャンしたコピーを「生きている」と捉えるとは考えにくいが。