シャドー星人

登録日:2014/11/08 (土) 21:21:38
更新日:2023/02/23 Thu 18:18:33
所要時間:約 9 分で読めます






う~ん、恐ろしい奴だ。我々の計画を知り抜いている……




シャドー星人とは『ウルトラセブン』の第23話「明日を捜せ」に登場した宇宙人。モチーフは彫刻の雌型。

別名:宇宙ゲリラ
身長:2メートル
体重:70キログラム
声:上田耕一(男)、大島マリ子(女)

地球侵略を狙う宇宙人で、普段は目に見ることのできない秘密基地を作っている。
侵略の手始めとして、地下に地球防衛軍の超兵器開発基地がある03(マルサン)倉庫の爆破を目論んでいたが、
占い師のヤスイ老人(後述)に計画を予言されてしまい、その口を封じるために彼の命を狙った。

猛毒怪獣ガブラをボディーガードとして引き連れている。
ウルトラシリーズに登場する宇宙人としては珍しく、地球人と同じく男と女が存在する。武器として光線銃を所持。

計画を予言したヤスイ老人をタクシーにも変形可能な緑色のダンプトラックで轢き殺そうと執拗に追い回す*1
しかしそれを目撃され、ヤスイがウルトラ警備隊に保護されたために一度は手を引いたが、ヤスイが基地を出てくると再び姿を現しヤスイを拉致することに成功。
そして、03倉庫に複数の火の玉を落とし、倉庫を爆破させる事にも成功する。
そして、今度は拉致したヤスイを拷問してウルトラ警備隊の基地の破壊を計画する。

しかし、ヤスイの事前の予言により基地を発見されるとウルトラ警備隊に進入されてしまう。
それでも、待ち伏せによる攻撃でアマギ隊員を撃退したがセブンが登場すると形勢逆転。
降伏するといいながらガブラを出現させたり、切り落とされたガブラの首を遠隔操作して抵抗したが最後はセブンの光線を受けて円盤もろとも倒された。

冒頭の台詞は拉致したヤスイに、の予言をしてウルトラ警備隊の注意を引き付けるように言った時、
ヤスイが「なるほど、そうしておいて地球防衛軍基地をドッカーン……」と計画の内容を予測した時の言葉である。

これぐらい予言などしなくとも充分予測できそうだが(勿論この時のヤスイは機械につながれており予言などしていない)、
自分達の計画を予測して言われた事が余程奇妙に聞こえたらしい。

シャドー星人が狙った03倉庫の名前は、当時怪獣のソフビを作っていた「株式会社マルサン」から取られたもの。


ウルトラマンジード』での活躍

番組を通してのレギュラーキャラとして、宇宙人を取り締まる秘密組織AIBのエージェントであるゼナが、
ゲストキャラとしてその教え子クルトが登場する。

演:岩田栄慶(ゼナ) 声:浅沼晋太郎
演:鈴木裕樹(クルト)

普段のゼナは瀬名 日出樹と名乗り、部下の愛崎モアと共にニコニコ生命保険のセールスと身分を偽っている。
表情筋がないため、人間態の時も表情が変わらない。
外での活動時では人間態だが、基地の中では本来の姿を見せる。

前後編である第14話「シャドーの影」と第15話「戦いの子」ではクルトが登場。
シャドー星人の使命を捨てたゼナを拘束し「別任務で行動している」と偽りAIBのエージェントとして潜り込む。身分を偽る際は影山 来人を名乗っている。
潜入しやすくするために表情筋も施されており、テレパシーを介せず会話したりすることも可能。

その目的はゼナが不測の事態に備えて封印していた最終兵器・「時空破壊神 ゼガン」の召還装置を手に入れて地球を侵略し、
ウルトラマンベリアルにより滅ぼされたシャドー星の栄光を取り戻すことにあった。
モアとの交流でクルトはウルトラマンゼロが警戒するような凶悪宇宙人ではなく地球人と大差ないもので、
ゼナとの話題で愚痴り合うほどのものだと判明するが、幼い頃から刻み込まれた『ガブラ・カーノ』(戦いの子)としての使命は重く、
散っていった仲間たちのためにゼナとモアの説得を振り切ってゼガンを召還する。

「カム・タタール・シャドー」(シャドーに永遠の安らぎを)……そう呟きながらジードとゼロと戦い、最終的に敗れたクルト。
ゼガンと運命を共にする瞬間、「カム・タタール……」で止めたその表情はどこか穏やかで、ゼガンの消滅後は焼けた召還装置がゼナの手元に落ちていった……。

ちなみにクルトには2人の仲間がおり、彼らは拘束したゼナの見張りを担当していたが、2人ともゼナに倒され、本部へ転送されている。
「ウルトラマンジード超全集」によると、片方が電子戦のエキスパートでもう片方は雑用のプロらしい。

シャドー星人が映像作品に登場するのは『ウルトラセブン』以来だが、『ジード』第15話にて『セブン』では語られなかった彼らの事情が描かれている。
「他から奪うか、自ら滅びるか」しかない教えの下、ゼナとクルトを含めた幾多の『ガブラ・カーノ』が生まれて散っていったが、
モアとゼナ、そしてクルトの交流を見ると「共に生きる」ことはできないのかというやるせなさがこみあげてくるであろう。

そして少年兵や異なる民族、星を失ったはぐれ者の問題は……
市野監督がTwitterで「第14話と第15話は問題作」と称していただけのある深みと、それでもわかり合うことを諦めないという理想・優しさがある名編と言えよう。

なお、彼らのシャドー星がM78ワールドの(つまりセブンで登場した方)ものなのか、サイドスペースのものだったのかは明言されていないが、
ベリアルによるオメガ・アーマゲドンはM78ワールドやアナザースペースを巻き込むほどの大規模なものだったことが判明しているため、
ゼナのセリフ群も含めて、シャドー星があったのはM78ワールドの方だったのかもしれない。

小説『ゼナのファイル』にてオメガ・アーマゲドンによりシャドー星は壊滅状態となったことが判明。復興支援のためモアが旅立った。

ゼナを演じる岩田栄慶はウルトラシリーズのスーツアクターとしても有名で、ウルトラマンジードのスーツアクターとの一人二役を務めている。
クルトを演じた鈴木裕樹はスーパー戦隊シリーズ獣拳戦隊ゲキレンジャー』のゲキレッド/漢堂ジャン役で有名。それ以外にも連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』、『チーム・バチスタの栄光』など、数々のドラマにも出演しており、使命に殉じたクルトを熱演している。
そしてゼナの声を演じた浅沼晋太郎もまた、後に『機界戦隊ゼンカイジャー』にてゼンカイジュラン/ジュランの声を担当することになる。


関連

◆猛毒怪獣ガブラ
身長:ミクロ~48メートル
体重:0~3万トン

シャドー星人が連れている怪獣で、金色のイモムシに手足がついたような体にライオンのような頭をしている。
普段はシャドー星人の円盤にミクロ化されて収納されている。

セブンが登場して劣勢になったシャドー星人が出現させ、セブンと戦わせる。
アイスラッガー首を切断されたが円盤からの遠隔操作で飛び回り、猛毒の牙で噛み付く。
しかし、ヤスイのアドバイスによりセブンが円盤を破壊した事でコントロールを失い、ドロドロに溶けてしまった。

昔の怪獣図鑑では、切断された首が遠隔操作されたのを「ガブラ自身の強靭な生命力によるもの」と記載された物もある。

『ウルトラマンジード』にて「ガブラ・カーノ」という言葉の意味がシャドー星の言葉で「戦いの子」という意味であるとされたので
「ガブラ」は「戦い」もしくは「子」という意味と推察されるていた(地球の言語でも、訳した場合の単語の順番が原文と変わることはありうる)。
後に超全集にて「ガブラ」が「戦い」を意味すると明言された。

シャドー星人の戦闘兵器として育成されたか、あるいは(科学技術の申し子として)一から製造された生物兵器ということになるのだろうか。
そりゃあ首を撥ねられても生きているわけだ。


◆時空破壊神 ゼガン
身長:58メートル
体重:4万7千トン
出身地:異次元

『ウルトラマンジード』第14話から第15話にかけて登場。
シャドー星人クルトが異次元から呼び出したシャドー星の最終兵器。どえらい大物のような別名だが、特に自分の意思などを持っているわけではない。
シャチや甲殻類など無数の水生生物が融合したような姿の怪獣であり、胸にカラータイマーのような水晶体があるのが特徴的。
自立活動もある程度可能なようだが、召喚装置を身に着けたシャドー星人が融合することで真の力を発揮する。

格闘戦の他、カニののような腕から放つ赤い電撃が武器で、必殺技は胸の水晶体から放つ青い破壊光線「ゼガントビーム」
これはビームが命中した対象を爆砕させた直後、命中した地点にワームホールを形成して破壊した対象を異次元空間に吸い込み消滅させる効果を持つ。
ビームが命中して標的を爆散させる→命中地点にワームホール形成→爆散させた物質をそのまま異次元空間に追放
というプロセスを踏むため防御は困難。

広範囲を薙ぎ払えば当然ビームが薙ぎ払った直線状の物質は皆異次元に吸い込まれてその場から消滅する。
それどころかゼガントビームで広範囲を薙ぎ払うと形成された無数のワームホールが連結して巨大化するため、
例えビームから逃れても連結したことで強大化したワームホールにより周囲一帯が吸い込まれてしまうという恐るべき副次的効果を持つ。
ゼガントビームを回避したウルトラマンジードは、広範囲を破壊されて巨大化したワームホールに危うく引きずり込まれる所であった。

マグニフィセントとの初戦では、マグニフィセントのビッグバスタウェイと互角の威力を見せたが、
互いの出力が高すぎる余り両者の必殺技が制御不能(止めれば相手がフルパワーで撃ったビームを食らってしまう状況)に陥り、互いのビームが相乗した結果空中に凄まじい規模のワームホールが具現化。
街が丸ごと異次元に飲み込まれかねない緊急事態になり、ゼロゼロビヨンドの形態になって間に入り、双方のビームを左右の腕で薙ぎ払ってようやく止めることができた。
再戦時はマグニフィセントとゼロビヨンドがバリアを張った状態でゼガンを囲み、バリアで跳ね返ったビームをゼガン自身に喰らわせることで辛くも勝利することができた。

ジードとゼロと戦い最終的には撃破されたゼガンだが、ゼナが召喚装置を破壊せずに温存しておいたのは対ベリアル戦を視野に入れていたためであったという。
事実、クルトの事件の後にゼナらが回収・修理をしており、最終決戦ではゼナが搭乗。
その能力がウルトラマンベリアルとの戦いで重要なカギを握ることとなった。
アトロシアスとの戦いではゼナによって「カム・タタール・シャドー」の言葉と共に再起動。
ジードと共に永久追放空間を開くという大役を成し遂げたが、開いた直後にアトロスバーストを食らって爆発四散してしまった(ゼナは脱出して無事)。

胸にカラータイマー状の水晶体が存在するという造型は、同作のベリアル融合獣と共通するデザインモチーフであり、
この事から、元々ベリアル融合獣としてデザインされたものが全く無関係の怪獣として登場したのでは?と推測する視聴者もいたほか、
逆に本作のテーマが融合であることからベリアル融合獣としてデザインされたのではなく、最初から融合したような怪獣としてデザインされたのでは?という意見も挙がっていた。
が、超全集によれば、初期デザインは水棲生物がモチーフで、決定稿で甲殻類系の意匠がプラスされた模様。
経緯を見るにベリアル融合獣としてデザインされたというのは否定された様子。
また決定稿で融合したようなデザインとなったので、最初から融合を意識したデザインだったという説も否定された形となる。

ゼガンは『ウルトラマンタイガ』第1話「バディゴー!」にも登場。
侵略性宇宙人の連合であるヴィラン・ギルドの競売品としてヤングマザーザンドリアスと交戦するが、謎の男・霧崎が召喚した最凶獣 ヘルベロスの乱入であっけなく倒されてしまった。哀れ……。


◆ヤスイ老人
演:木田三千雄

これまで一度たりとも予言をはずした事がないという、凄腕の水晶玉占い師。
シャドー星人の03倉庫爆破計画を予言してしまったために、命を狙われてしまう。
一度はウルトラ警備隊に保護されたが、インチキ扱いされて帰らされた所を再び襲われて拉致されてしまい、頭にショックを受ける強烈な拷問を受けてしまう。
その後はセブンによって救出。拷問の影響か予知能力は消えてしまっていたが、本人は「もう逃げなくてすむ」と喜んでいた。
一峰大二の漫画版では逆に「どう仕事すればよいだろう」とアンヌ隊員に泣きついていたというか口実にしてボディタッチしていた

ヤスイを演じた木田三千雄氏は、孫がセブンの大ファンだったため一緒に撮影所入りしていたという。


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最終更新:2023年02月23日 18:18

*1 一回目の襲撃の際には投げナイフも使用した。