アンチョビ(コロッケ!)

登録日:2012/09/11 Tue 21:13:53
更新日:2024/03/03 Sun 21:51:10
所要時間:約 10 分で読めます




漫画「コロッケ!」に登場するバンカーで、主人公コロッケの宿敵。
CV.日髙のり子


見た目はランドセルを背負った少年だがその正体はコロッケの父・バーグを殺した黒マントの男。
変身能力を持ち様々な形態に変化できる。

名前の由来はカタクチイワシを三枚におろし、塩漬けにして熟成・発酵させた食品「アンチョビ」


【経歴・人物】

一人称は「ぼく」もしくは「オレ」(アニメ版では「ぼく」に固定)。
ショタに見せかけ可愛く振る舞っているが、本性はとても残忍で冷酷。
絶対的な力を手に入れる事を目的としており、邪魔者には一切容赦せず倒す時には平然と殺害する。
また非常に狡猾で、騙し討ちをしたり仲間をも利用し、捨て駒扱いしたりすることもある。
事実、バーグを殺した時も物陰から外に飛び出してきたまだ幼いコロッケを狙い、それを庇ったバーグが命を落とす事となった。

アンチョビが絶対的な力に固執するのには彼の幼少期の経験に起因する。
彼と兄・カラスミの父親は、「バンカー同士の争いを無くす為」に禁貨ゴーグルを発明したが、それを欲したバンカー達に禁貨ゴーグルを奪われた上、まだ幼かった彼らにはなすすべなく父は殺されてしまったのである。
それ以来平和にも正義にも絶望した兄弟は「この世は力こそ正義、誰もが恐れる絶対的な力を手に入れてやる」と心から誓い旅に出たのである。



【劇中での活躍】

バンカーサバイバル編

第一回戦で黒マントの男としてコロッケを襲っている。この際に他の参加者を既に99人倒しておりコロッケが100人目だという旨が本人の口から語られた。
その後、再び少年の姿でアルマジロチームとして第二回戦に進出するも、何故かカレーとシチューを間違えてしまい危うく失格になりかかる。その埋め合わせとして同じチームのドリアンと共に砂地獄へカレールーを取りに戻り、その中でコロッケ達を襲い失格させようとした。コロッケを庇ったフォンドヴォーを襲い砂地獄に落とした事で怒りに燃えるコロッケに攻撃されるも、ドリアンを盾にした事で回避。

第三回戦ではリゾットの故郷グランシェフ王国の支配者の弟である事と、絶対的な力を手に入れようとしている事を明かした。その後自分の対戦相手のレバニラをこっそり始末した。

準決勝開始前にアニメオリジナルで準決勝出場者の4人が洋食と中華の2枚のバイキング券をめぐって争奪戦を(食事を用意してもらえなかった1回戦で敗北したウスター達も参戦)する回があり、アンチョビは手に入れた奴から奪い取るため食堂の入り口で待ち伏せしようとしていた。
しかしすぐ近くに中華のバイキング券が落ちていたため、そのまま食堂に入り中華料理を堪能するというチャッカリした一面を見ることができる(ちなみに他は全員争いに夢中で食べ損なった)。
肝心の料理は「まあまあだね」との事。

そして準決勝本戦…T-ボーンと対戦し、犬に変身した彼に敗北。




…と思われたが実は勝利しており、決勝に進出したT-ボーンはアンチョビの変身だった。
こうして決勝戦にてとうとうコロッケとの決戦を迎える。
アンチョビ・黒マントの男・そしてT-ボーンを倒しバーグをも苦戦させた究極体へと変化し、圧倒的な身体能力と脱皮をする事により回復出来る能力「パーフェクトリバース」でコロッケを苦しめるも、足の皮を堅結びするという作戦により脱皮を封じられ、最後は回復不可能な状態でコロッケの新技「108ハンバーグー」で敗北し、遥か遠くの海の彼方へ消えた。








次の王様だーれだ大会編

いよいよ大将戦という時に突如乱入。
実は海に沈んでいる時にサメに足を噛みつかれた事により皮を食いちぎられ、改めてパーフェクトリバースし、復活を遂げていたのである。
心から慕う兄カラスミの為に参戦しようとするも「一度負けた弱者など必要ない」とこっぴどく切り捨てられる。
それでもなお再び乱入し、既に疲労しているリゾットをボコボコにするもコロッケによって止められる。その後気化した事で復活したカラスミとリゾットの戦いが再開。
圧倒的にカラスミが優勢だったがあるトラブルにより劣勢になり、今まさにリゾットがとどめを刺そうとした時、アンチョビが叫ぶ。

「お願いだよ…、僕を一人ぼっちにしないで!!」


今までの冷酷な姿は全くなく、たった一人の家族である兄の危機に涙を流すアンチョビ。

その気持ちがよく解るリゾットは最後に命がけでカラスミを助けようとするが叶わず、カラスミは溶岩の中へ……。


裏バンカーサバイバル編

正体を隠しサーディンという少女の姿で参戦。
終始余裕で勝ち進み、また過酷で非情な戦いに苦しむコロッケに厳しく叱咤したり静かに諭しピンチを救うなどかなり協力的だった。

第四階戦で正体を露わにし多くの読者がショック衝撃を受けた。

T-ボーンと再戦、バンカーサバイバル時よりも成長したT-ボーンと犬変身により互角の戦いを繰り広げるも、パーフェクトリバースで何度も回復できる為に常に優勢。
最後は体力の消耗により自らギブアップ宣言したT-ボーンに望みを託され勝利した。
この時彼は、仲間を平気で倒してしまえる醜い自身を呪いながら号泣した。

それでもカラスミを生き返らせるというただ一つの願いの為に突き進み、準決勝へ挑む。


そして問題の準決勝。主催者ニガリの指示により彼と対決。
ハイスピードでパーフェクトリバースを不発に防いでくるニガリの猛攻に苦戦し窮地へ追い込まれる。


一方、駆けつけてきたタロにより地上へ降りたコロッケとリゾットに衝撃の事実が明かされる。

なんとニガリの正体はカラスミとアンチョビの父・Dr.フォアグラーであり、
記憶を失っているせいで実の息子アンチョビと今まさに命がけで戦っているというものであった。



それを知ったコロッケは急いで二人の戦いを止めに入るがそんな言葉には耳を貸さない二人。
お互いに残る全ての力を込めた一撃を与える。

その瞬間目に映るのは、死んだはずの大切な家族。


「まさかニガリが、本当は父さん…だったなんて……」


漸く真実がわかるも時すでに遅し、彼も父も同時に息絶えた。

その直後、実は生きていて塔に辿り着いたカラスミは二人の亡骸を抱え、コロッケに『いつか自分の力で禁貨を集め、2人を必ず生き返らせる』と誓い、旅に出た。


【変身形態・戦闘能力】

  • アンチョビ(通常時)
普段の小学生姿。子供らしい普段の振舞いとは裏腹などす黒い笑みとグロテスクな変身シーンが印象的。
鋭く尖らせた手刀で殴ったり斬りつけるなどの攻撃が主体。主力技である「光剣滅殺(デスライトニング)」はこの時点で使用している。
小柄なだけあって素早いが、変身したT-ボーン相手には苦戦しており、バンカーサバイバルを通して成長したコロッケにも動きを見切られていた。
アニメだと日高女史の熱演も手伝いかなり怖い。
元来子供向けのアニメなので流石に今見るとしょぼく思えるかもしれないが、当時の小学生でかなりトラウマになった人は多いのではないだろうか。
徐々にこの姿は登場しなくなるが、最後の最後で究極体からこの姿に戻っていた事から、これが本来の姿のようである。
…一体何歳なんだこいつ?*1

  • 黒マントの男
バーグを殺害した時の姿。
長身で黒装束を纏い、白い仮面を被っている。
同じく手刀で攻撃する。その一撃はステージの床をも砕くほどの凄まじいパワーだが、大柄な分スピードは遅い。
アニメではボイスチェンジャーで喋っており、通常時で登場するまで中の人が明かされていなかった。
バンカーサバイバル以降、2度と登場していない。

  • 究極体
角が付いたマスコット的な外観。フリーザ様もしくは田中太郎とか言うな。
ちなみにこの形態を初披露した時、作中では「かわいい」と言われている。
だが、パワー・スピード共に今までの形態とは比べ物にならない。
前傾姿勢から繰り出す必殺の頭突技「火球爆獄(ヘルロケッティア)」に加え、どんなに傷ついて弱っていても爬虫類の如く脱皮を繰り返すことで何度も傷が消え体力が全回復する完全再生(パーフェクトリバース)を使う。
しかもパーフェクトリバースが使えるこの形態は、一度の変身限度が丸3日間というまさしくスーパーチート。

…なのだが、
バーグはその3日間を見事に持ちこたえることで、アンチョビにこの形態を維持出来なくさせた他、
コロッケには足の皮を堅結びするという妙案で技を封じられ敗北、
ニガリに至っては脱皮しようとしてもそれを上回る速攻で攻められ、彼の必殺技「秘剣・覇月」を喰らったことで皮が焼け焦げ、脱皮出来なくなった
など、決して完全無敵ではない。
まあ、どれも相手が異常なだけだが…

原作でのこの形態は1種類だけであったが、アニメやゲームでは複数の種類の形態が登場した。

  • サーディン
裏バンカーサバイバルに参戦した時に登場。
貴婦人のようないでたちのロングヘアー少女で、常に日傘を差している。
正体を差し引けば作中屈指の美人
やはり手刀で攻撃し、しかも腕が蛇のように伸びる。
強さはBB7に所属するクスクスをたった一撃で倒した上、(迷いを抱えて精神的に不調だった時とはいえ)オコゲ師匠の下で修行した後のコロッケさえも軽く翻弄するほど。

名前の由来は頭と内蔵を取り除いたイワシをオリーブオイルに漬けた食品「オイルサーディン」


【以下余談など】

ゲームシリーズでは一部を除く殆どのシリーズに登場し、特に初期の作品ではラスボスとして出現するなどかなり優遇されていた。
やはり「主人公の父の仇」というおいしい役どころ故だろう。

コロッケ!2 闇のバンクとバン女王では利害の一致から一時的に共闘する。
このストーリーでは(「次の王様だーれだ大会」終結に先駆けて発売されたので仕方ないと言えば仕方ないのだが)リゾットたちに敗れたカラスミを生き返らせる為に雪山までやってきたタンタンメンに対し、
「兄さんはいずれ生き返らせるさ!その前に僕が絶対的な力を手に入れるまでだ!」
と言い放ち四獣士と対立した。
自ら「力>兄」と断言し悪役度は上がったものの原作と致命的な食い違いが生じてしまっている。

また、原作における上記の兄カラスミが殺されかけた際泣き崩れた場面に関してはアンチョビの人間味を感じ同情する読者もいる反面、
自身も同じくコロッケから父バーグを奪った事に対する罪悪感を表さないまま自分たち兄弟のしてきた事は棚に上げて都合よく兄の殺害を止めている為、
「お前が言うな」「まずはコロッケに謝罪しろ」と批判的な意見も寄せられている、という事は覚えていてほしい。

ただこれについても、作中でもウスタープリンプリンに似たことを指摘されている他、
最終的に裏バンカーサバイバルで実は生きていた父親と血みどろの殺し合いの末に死亡してしまうという救いのない結末に至ることから、ある程度狙って書いていた可能性も高い。



【続編において】

『コロコロアニキ』で連載されている「コロッケ!~BLACK LABEL~」でも登場。

コロッケがバン(キング)に願ったことによって、全てのバンカーと禁貨がこの世から消し去られた日より数百年後の時代に他のバンカー共々復活した。大人へと成長しており、パン屋を営んでいる。ついでに髪も伸びた。
街の女性達からは「優しくてかっこいい店長」「イケメンのパン屋さん」とちやほやされる好青年となり、トラックに轢かれそうになっていた子供を助ける一幕も見られたが、その冷酷非情さは健在なようで、コロッケとウスターをも自身の目的のために容赦無く手にかけようとしていた。
そればかりかあれほど愛していた父と兄についても「一緒に蘇ったんじゃないのか?」と問われ、「さあ、興味ないね!」と冷たく言い切ってしまう始末。

何故アンチョビが今になってコロッケと再び敵対する道を選んだかというと、それはこの世に復活したバンカーを一人残らず抹殺するためであった。
彼がどうしてそのような恐ろしいことを考えるに至ったか…それは遠い昔の出来事が発端だった。
かつてコロッケによってバンカーと禁貨が消滅させられる少し前の頃、カラスミは無事にアンチョビとDr.フォアグラーを生き返らせることに成功。アンチョビは兄に深く感謝し、ようやく家族揃って幸せに暮らすことが出来ると安堵する。
だが、その頃世界では禁貨を巡るバンカー達の戦いがもはや戦争の規模へと発展しており、世の中は荒れに荒れていた。そこでカラスミとフォアグラーは自分達の悪行に対する贖罪を果たすべく戦争を止めて平和を取り戻すため、アンチョビの反対を押し切って戦いに身を投じる。二人はそのまま戦死して帰らぬ人となったらしい。
それから少しして、幾ら平和のために戦っても争いが止まらず仲間が次々と倒れていくことに絶望したコロッケが、最後の手段としてバン王を使って世のバンカーと禁貨を全て無にしたのである。

アンチョビは、数百年の時を経て自身が復活した時代でも相変わらずバンカー達が禁貨を巡って争い続けていることを知り、自分の父と兄は無駄死だったのだと解釈する。
そこで彼はバンカーという存在そのものに激しい憎悪を抱き、世界中のバンカーを皆殺しにすることを決意したのだった。皮肉にも心が歪んでしまっていた頃の父と似た思想を持つに至ってしまったと言える。
そのための手段の一つとして表向きはパン屋として働きつつ、禁貨を大量に隠し持っているという噂を流すことで、奪いに来たバンカー達を次々と始末していた*2。こうした行いの中で偶然コロッケ達と再会し、彼らもバンカーの一端として殺害するべく戦いを仕掛けた。

戦闘では成長したコロッケとも長時間互角に渡り合っていたものの、巨大な獣に変身したT-ボーンの見境ない一撃を喰らってコロッケと共に重傷を負う。しかし、パーフェクトリバースを発動してダメージを回復した。もう変身せずともこの技が使える様子。
そして、いずれコロッケとは別の形で改めて決着を付けることを宣言してその場は別れた。
なおコロッケ達との問答の中では、自身の目的を非難されても「正義面した所でコロッケだって数百年前には実質的にバンカーを全員殺したのだから同じだ」*3と反論している。
更に「世界の平和のためにバンカーが戦うなんて結局無駄」だという結論を言い残して去って行ったのであった。

その後は、現在のグランシェフ王国を支配している悪党シャトーブリアンの副官となり果てたプリンプリンが開催する「第2回次の王様だ~れだ大会」に出場。
人工島で行われている第1回戦のポイント制サバイバルバトルにてレモネードと対決し、彼の予想外の攻撃によって劣勢に陥るものの、パーフェクトリバースによって逆転。デスライトニングで胴を串刺しにしてとどめを刺すことで勝利した。
その場に居合わせたウスターに対しては恐怖心を煽るような言葉をかけつつも見逃してやった模様。



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最終更新:2024年03月03日 21:51

*1 続編での姿を見る限り、完全に成長が止まっているわけでもないらしい。後述する能力の副作用で成長が遅くなっていたのだろうか?

*2 噂につられたバンカーが店の中に入ってきた時にはまたもや女性の姿に化けて応対していたりする。

*3 ウスターは「コロッケはお前と違って平和のために仕方なくやったんだ」と言い返していたが、コロッケ自身は否定せずに認めている。