横山信義

登録日:2014/11/01 Sat 03:44:56
更新日:2023/09/08 Fri 20:49:02
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「「横山信義」ページ、作成始めました。」


横山(よこやま)信義(のぶよし)
日本の小説家。

数多くの作家が出ては、いつの間にか消えていく「架空戦記」というジャンルで最盛期の1990年代から今日に至っても作品を出し続けている珍しい架空戦記作家。


経歴

1950年生まれ。長野県出身。東京工業大学卒業。
1992年、処女作「鋼鉄のレヴァイアサン」で小説家デビュー。
その後、代表作「八八艦隊物語」で当時の「架空戦記」作品としては異色(後述)の物語で読者の注目を集めた。
今まで「良作」「凡作」「苦笑の凡作(と言っていいのか分からないが)」を世に出し続けながら今にいたる複雑怪奇な架空戦記において「王道」を書いてくれる。
彼がいなくなったら架空戦記はどうなってしまうのだろうか


作品の特徴

架空戦記作家としては、迫力ある戦闘シーンと、刊行ペースとシリーズ完結をキッチリ守るため、
読者がほぼ永久に出ないであろう続編を待つ哀愁を味わうことは余りない珍しい作家である
第二次世界大戦をメインにした作品が大多数を占め、主役はもっぱら日本軍のことが多い。
当初は「史実では不遇だった兵器や人物を活躍させる」事が多かったが、
現在は「当時の判断が、出来る限り良い方向に選択出来たら」に主点を当てている。

架空戦記作家としてはどこの国かを問わず、悲壮な負け戦を描かせたら右に出るものはいない事で有名であり、
特に「八八艦隊物語」は「序盤は栄光を手に入れるもの、最後は虚しく無条件降伏にいたる」という流れの中で、
各艦艇が善戦虚しく沈んでいくのを容赦なく、そして悲哀をこめて描いている。

当初は、露骨に左翼や共産主義を批判したシーンがあったが、最近の作品は鳴りを潜めている。

外交や内政などの政治展開は省かれることが多く、もっぱら前線での戦いや作戦会議などが多い。

登場人物は淡々と書かれやすく、記憶に残るような人物はあまり出ない(いないわけではなく、必要ならば描けるはず)。
というかどちらかというと主要登場人物というより、主要登場兵器な気がする。

架空戦記で定番の超兵器や主人公補正の塊な登場人物が出ることはあまりなく、当時の技術で開発可能な手堅い兵器や、当時の認識に見合った普通な登場人物が多い。

基本的にアニメネタや流行ネタを出すことはないが、筆者の趣味であるプロレスネタは至るところに書いてあり、中でも「修羅の波濤」はプロレス愛が随所にちりばめられている。

最近、やや展開や描写がワンパターンに成り気味で、マンネリと言われることもある。
とは言うものの裏を返せばどれも手堅く纏められているともいえるので、初心者はどの作品から読んでも大丈夫だし、
読み慣れた読者なら細かいところをほじくるのもいいかもしれない。


ネタ又はお約束

(ネタなので本気にしないこと、話の分かる人との種にするのがいい)

  • 2ちゃんねるのスレにおいての愛称は「ノビー」。

  • 2ちゃんねるのスレでは新刊が出るたびに期日までウソ予告をするのと、1000スレッドに近づいたら最後まで埋めるのが定番になっている。

  • ブーム時は佐藤大輔などの大物がいたため「ノビーの本は佐藤御大の代用食」「ノビーのいいところは締め切りを守るところだけ」といわれていた。
    しかしブームが終わり、佐藤御代が出しては尾切れトンボのようにホッポリ出したり、他の作家が消えていく中堅実に作品を書き続けたため、
    いつしか架空戦記の第一人者と呼ばれるようになった。石の上にも10年である。

  • 「蒼海の尖兵」の最終10巻は架空戦記史上に残る黒歴史として認知されている。9巻までは普通に評価されていたが、最終巻の超展開で一気に奈落の底。
    当時の2ちゃんスレでは発表直後から阿鼻叫喚の地獄絵図となり、しばらく次スレが立たない程だった。
    これ以後「遠き曙光」が出るまで「もうノビーは駄目だ」と陰で言われていた。

  • アメリカ海軍だけの必殺技「小中口径砲無双」があり、これを喰らえば最後戦艦「大和」出ない限り撃沈破される運命にある(戦艦「武蔵」ですら例外ではない)。
    ちなみに彼のスレでは餌食になった被害艦を纏めたものがある。

  • シリーズ共通の単語は「三番機の被弾」、「濡れ雑巾」、「魚雷発射管に直撃弾」、「ピンチからの逆転」、「各国の急行列車のような飛翔音」などがある。

  • 「史実では不遇だった兵器を活躍させる」事へのアンチテーゼの「陸奥」「アリゾナ」
 (ただし、「不屈の海」にて「アリゾナ」の活躍が描写されるなど近年はその限りではない)

  • ノビーは堅実に物語を書く事で有名ななかで、「宇宙戦争」を出された時はノビーの2ちゃんねるスレでは驚愕と不安の目で一杯だった。
    (なおシリーズ最終巻までには不安は払拭された模様)

  • 天ぷら蕎麦。

  • 栗田建男は死亡フラグ(だからといって栗田を批判するのは筋違いである)。

  • なんだかんだいって、架空戦記定番の超兵器は描いていたりする。

  • 戦艦「モンタナ」と艦長「壊し屋」ブラックウェル。

  • オリジナルの登場人物は大抵、漁師の息子、町医者の息子、蕎麦屋の息子、道場の息子だったりと庶民的。

  • 例え「大和」型を一撃で沈没させる宇宙人も魔王には勝てなかった。

  • 戦車兵ザンギエフのほぼ世界一周放浪の旅。

  • 日本の空母機動部隊はシリーズに一回は敵水上砲撃部隊に捕捉されるが、色々あって空母で被害を被るのは「赤城」ぐらいである。



主な著作


良作

  • 「鋼鉄のレヴァイアサン」
元々は同人誌だった。
ロシア海軍の超巨大戦艦「ヴァツーチン」を巡る、大艦巨砲主義の夢とその終わりを描いている。
処女作だが、実は「八八艦隊物語」の後日談で「八八艦隊物語」を読んでいないと分からない所もある。

  • 「八八艦隊物語」全五巻
架空戦記における古典、史実では計画で終わった八八艦隊計画艦が太平洋でアメリカのダニエル・プラン計画艦と激闘を繰り広げ散っていく。
そして物語は「鋼鉄のレヴァイアサン」に続く。
外伝として
  • 終戦直後雪崩のように迫りくるソ連軍相手に「国民を守る為に闘う」軍隊として最後の戦いを挑む日本陸海軍を描いた「鋼鉄のメロス」
  • 航空機が戦艦を撃沈させることができない世界でなお九九艦爆に乗り続ける江草隆繁の戦いを描いた「鋼鉄のガルーダ」
  • 戦艦「信濃」の奇妙な人生と「ヴァツーチン」の意外な血統を描いた「鋼鉄のキメラ」などがある。

  • 「修羅の波濤」全八巻
「もし真珠湾攻撃が失敗したら」をテーマにした作品。
真珠湾を生き残った空母「瑞鶴」と「飛龍」の鶴竜コンビの戦いを描いている(中盤から誰が主役か分からなくなるが)。
最後の「大和」対「武蔵」はやるせない。
外伝として脱出したパイロット救援の為に駆け巡る二式大挺の始末記「生命は我が戦果」などの短編集二巻がある。

  • 「遠き曙光」全四巻 
当初は「オーストラリアとニュージーランドが連合国へ参戦せず中立だったら」でストーリーを構築していたが、
そのために開戦初っ端に柱島を奇襲攻撃され、大損害を被るという衝撃的なスタートになってしまった。
その影響で大規模な思想転換や戦略を見直すことになった日本軍を描いている。
この後第二部「海の牙城」へとつながっていく。
ちなみにこのシリーズの南雲中将が「架空戦記史上一番戦果を上げた南雲」として語り継がれてる様である。

  • 「海の牙城」全五巻
上記のシリーズの第二部。
本格的に攻めてくる米軍相手に思想転換や戦略を修正した日本軍が激闘を繰り広げる。
航空母艦として戦場を駆け巡る「武蔵」やアメリカ海軍の新鋭戦艦「モンタナ」と「大和」の一騎打ち、本土に襲来した大艦隊の迎撃戦やラストの真珠湾奇襲など、
燃える展開が随所に散りばめられている。

なお、上記の二つは当時「蒼海の尖兵」で最底辺だった読者の横山信義に対しての信用を一気に取り戻す事ができた作品(スレを全部見れば割と分かる)だった。

  • 「巡洋戦艦「浅間」」全七巻
日本が影でヒトラーが暗躍するリンドバーグ政権のアメリカを相手に日英同盟が続いたイギリスとナチスが政権を握らなかったドイツ、
更にロシア革命が失敗した王政ロシアなどの欧州諸国とタッグを組んでアメリカ相手に戦うスケールがでかい作品。
(しかも当時の植民地も考えれば全世界が敵と言っても過言ではない)
メインテーマの「浅間」は元はドイツ海軍の巡洋戦艦シャルンホルスト」でそれをイギリス仲介を経て日本が買い取った事になっている。
そして「浅間」以下四隻(史実では二隻だった)が戦場を機動部隊護衛艦として大暴れする
横山信義の作品としては珍しくアメリカ軍をボコボコにする景気がいい話である。(もっともアメリカも強く連合国相手に互角かそれ以上に暴れるが) 
ラストのとある場面はそのネタでスレが溢れ返っていた。

  • 「宇宙戦争」全三巻
誰もが予想しなかった異色作。
H・Gウェルズの「宇宙戦争」の続編的な内容で思わずニヤリとするネタもある。
前述の通り「トンデモを書かない」事で有名な横山信義の作品「宇宙戦争」という題名が出た時は衝撃と驚愕、不安が駆け巡ったが、
内容はクラッシックなSF架空戦記(火葬ではないここ大事)でファンを安心させた。
物語はまさしく王道であり、戦争中だった諸国が火星人という強大な敵を前にして損得関係なく団結し立ち向かうという、
まさに燃えるの一言である。
特に最終巻の「宇宙戦争1945」の全世界連合艦隊や世界のトップエースが集結した航空部隊による人類の命運をきめる最終決戦は鳥肌が起つものである。

そしてファンの間では新ジャンルの開拓も夢ではなくなった。




上記以外のお奨め
  • 「修羅の戦野」全四巻
「修羅の波濤」の後日談で満州国に侵攻したソ連軍対日米連合軍の戦いである。
海戦が多い横山信義の作品において珍しく陸戦に主軸を当てた作品。
上記のお奨めに隠れがちだが良作である。
特に二巻の「渤海の老雄」だけでも読む価値は十分ある。
また、生賴範義画伯が渾身の筆を揮った、表紙から裏表紙まで一続きのカバーイラストは必見。
なかでも、「鬼気迫る」としか形容のしようがない文字通りの屍山血河が描かれた最終巻は架空戦記史上に残る一枚と言える。


「この作品がないぞ」と言う人はどしどし上げてください。待っております。


記事を作成するにあたって参考にしたもの


  • 八八艦隊物語
  • 修羅の波濤
  • 修羅の戦野
  • 烈日
  • 遠き曙光
  • 海の牙城
  • 巡洋戦艦浅間
  • 鋼鉄の海嘯
  • 宇宙戦争シリーズ
  • 群龍の海
  • 横山信義総合スレ(最初から最新まで)


追記・修正は天麩羅蕎麦をおいしくいただきながらお願いします。

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最終更新:2023年09月08日 20:49