RAIL WARS! -日本國有鉄道公安隊-

登録日:2014/10/28 (火) 15:09:00
更新日:2024/02/11 Sun 09:00:05
所要時間:約 11 分で読めます




「RAIL WARS! -日本國有鉄道公安隊-」とは、創芸社クリア文庫(創芸社)→実業之日本社Jノベルライト文庫より刊行されているライトノベル。全20巻。
原作は豊田巧、イラストはバーニア600がそれぞれ担当。

概要

国鉄(本項では國鉄)が分割民営化しなかったパラレルワールド日本を舞台に、鉄道公安隊に配属された隊員の活躍を描く。

主人公たちが配属された「鉄道公安隊」は実在の鉄道公安職員(現在の鉄道警察隊)をモデルに、国鉄の敷地で起きる犯罪に対処するため拳銃や警棒などで武装している。
鉄道公安隊とテロ組織「RJ」との駆け引きも本作の見どころのひとつ。

著者の豊田巧は元TAITOの社員で、名作「電車でGO!」シリーズにも関与している。

本作の世界線

前述したように本作の世界では国鉄がそのまま残っており、以下のような特徴がある。

  • どんなに採算の悪い路線でも廃線が行われていない。いわゆる赤字83線に代表される地方交通線や未成線も開業しているほか、史実ではJR化後に開業した湘南新宿ライン上野東京ラインも開業している。
  • 整備新幹線はほぼすべての路線が開業し、並行在来線も当然存続。リニア中央新幹線も開業間近。
  • ガスタービン車両の導入
  • ブルートレインや夜行急行が存続し、一部は観光列車として運用。
  • 新車の導入も行われているが、その大半は普通鋼製でアルミ・ステンレス車両の比率は極めて少ない。
…など

史実の国鉄は勿論、更には当時の社会・経済情勢とも異なるような描写も多々見られ、単純に国鉄が分割民営化しなかった世界とは言い難い。
パラレルワールドの日本における国鉄を描いた作品と見たほうが良いだろう。

あくまでも鉄ヲタの妄想を具現化した世界ライトノベルなのでその辺は大目に見よう。


あらすじ

超巨大優良企業・國鉄に就職し、安定した将来を夢見る平凡な高校生、高山直人。
そんな俺が研修で配属されたのは、男嫌いの桜井をはじめヤバい奴だらけの「鉄道公安隊」だった!
しかも、國鉄の分割民営化を企む過激派「RJ」まで暗躍し……どうなる? 俺の人生設計!
國鉄が分割民営化されなかったもう一つの日本を舞台とした、夢の鉄道パラダイス・エンタテイメント! 出発進行!

(以上公式サイトより)


登場人物

登場人物の苗字はほとんどがJRの路線名からとられている。


○東京中央鉄道公安室第四警戒班=警四

▼高山直人(たかやまなおと)
CV.福山潤
主人公。9月23日生まれ。桐生鉄道高校の2年生。
子供の頃から鉄道が好きで、國鉄の運転手になろうと研修を受けにやってきたが、なぜか希望と違う鉄道公安隊に配属された。
体力、学力ともに平均的な能力だが、人の力をうまく引き出せると評価され、警四の班長代理を任される。

▼桜井あおい(さくらいあおい) 
CV.沼倉愛美
4月10日生まれ。男勝りな美少女ヒロイン。桜花高校の2年生。
公安隊を志望した理由は「痴漢を射殺するため」とかなりの男嫌い。
警察官の父に幼い頃から射撃、格闘を仕込まれており、特に射撃の能力はピカイチ。
何かにつけて発砲したがるため、あまり大事件を望まない高山とはたびたび口論するものの、
どんな状況でも自分を信頼してくれることから少なからず好意は持っている。ただしあまり素直じゃない。

旅先の風呂ではほぼ確実に高山とニアミスする。

▼岩泉翔(いわいずみしょう) 
CV.日野聡
11月28日生まれ。桜堤高校の2年生。高山とは配属前の短期研修で知り合った。高山のことを職務中は常に「班長代理」と呼ぶ。
いわゆる「脳筋」で格闘に関してはその手のプロ相手にも全く引けを取らないが、座学は常に追試補修を受けるほど壊滅的。
食べることと乱闘が何よりも好きで非番の時でも常に防弾、防刃チョッキを着ている。
父親から様々な知識・技術を伝授されており、その内容の特殊性から直人に父親はかなり特殊な職業ではないかと疑われている。

原作では札沼さんと仲が良くプライベートではよく一緒に食べ歩きをしているので、女性関係に疎いわけではない。それどころか女性方面には鋭い。

▼小海はるか(こうみはるか)
CV.内田真礼
ヒロイン。11月5日生まれ。白精華高校の2年生。
あおいとは逆に穏やかな性格の常識人で巨乳の美少女。祖父が元國鉄総裁のお嬢様である。
東京駅に発着する全列車の時刻をすべて暗記できるほどずば抜けた記憶力の持ち主。鉄道関連の座学でも短期研修ではトップ。
ただし運動は苦手で、拳銃を誤射して半泣きになったり、犯罪者の追跡でも一歩遅れをとったりすることが多かった。

昔交通博物館の倉庫に閉じ込められたのを助けてもらった縁で、高山に好意を持っている。
アニメではその交通博物館を全裸で走り回ったことがある(当人は至って真剣)。

▼飯田奈々(いいだなな) 
CV.堀江由衣
1989年9月20日生まれ。警四の班長。
おっとりした性格でしゃべり方もいつもふにゃ~んとした感じのお姉さん。
まだ高校生の高山たちを信頼しており、自分が責任を取る形で重要な判断を任せることも多い。
五能隊長とは同期だが、出世する気配は全くない。でもやるときはやる人。

○その他の登場人物
▼五能瞳(ごのうひとみ) 
CV.中原麻衣
東京公安機動隊隊長。公安隊の短期研修では鬼教官として研修生たちを厳しく指導した。
同期の飯田さんとは仲が良く、彼女の依頼で警四のピンチに駆けつけ窮地を救うことも多い。
その時の安心感は高山いわく「迷子でお母さんに会ったよう」。

▼札沼まり(さっしょうまり) 
CV.五十嵐裕美
桐生鉄道高校の2年生で、高山のクラスメート。高山とは仲がいい。
鉄道に関する「音」を集める「音鉄」で、列車の走行音から車内放送、ディーゼルエンジンの音などいろんな音を録音して聞くのが好き。
食堂車のアテンダント志望で研修を受けているが、北斗星3号の食堂車アテンダントを務めていたときにある事件に巻き込まれてしまう。
その際に身を挺して助けてくれた岩泉のことが気になっている。

▼鹿島乃亜(かしまのあ) 
CV.茅原実里
4人組アイドルユニット「unoB(ユーノビィ)」のメインボーカルを務める高校生アイドル。
國鉄のイメージキャラクターとして一週間鉄道公安隊長を務め、警四メンバーはイベントでの彼女の警護を担当した。
プロ意識が高く、あおいとは気が合う。

▼ベルニナ 
CV.今野宏美
地中海にある小国、アテラの帝位継承権5番目の王子。金髪碧眼の美少年。
札幌で行われる姉妹都市の調印式に参加するため来日し、北海道までのお世話と警護を警四メンバーが担うことになった。
はるかとはイギリス留学時のクラスメートで友人。また、鉄道が好きで高山とも意気投合した。

実は……女性。この事ははるかにも知られていない。


▼鉄道むすめ
モブとしてアニメのどこかに登場している。
門田さくら(CV.生天目仁美)と久慈ありす(CV.藤村歩)はゲストキャラとして登場。


○RJ
膨大な税金をつぎ込みながら赤字を増やす國鉄に反対し、國鉄の分割・民営化を主張し犯罪行為を行う過激派組織。龍驤ではない。
テロによって國鉄の解体を狙ったり、分割・民営化を歓迎する政治家を通じ活動資金を得たり検挙を逃れたりしている。
メンバーの多くは偽名を使っており、その実態は鉄道公安隊でも把握しきれていない。
ロゴマークは現実のJRのロゴを左右反転したようなもの。

▼士幌邦夫
RJ幹部の男性。鉄道を愛しているが、膨大な税金をつぎ込みながら赤字を増やす國鉄のことは疎ましく思っている。
根っからの悪人というわけではなく、東京駅で警四が逃したひったくり犯を大宮駅で捕まえ、直人たちに引き渡すなど警四に協力する一面も見せる。10巻で逮捕された。
名前は偽名で逮捕後も明らかになっていない。

▼手宮りえ
士幌の部下。大学在学中に士幌と出会い、彼の考えに心を奪われRJの一員となった。士幌共々10巻で逮捕された。名前はやはり偽名。

▼國鉄内のRJ協力者
國鉄に身を置きながらも様々な理由でRJに協力する人々。

登場車両

概ね実在の国鉄型車両が登場しているが、オリジナルの車両も登場している。
以下はそのオリジナル車を記す。

▼DF51形ディーゼル機関車
DD51形ディーゼル機関車をベースに、動力軸を6軸へ増やし、動力台車を3軸としたもの。動軸数は増えているのにエンジンの排気量・出力はDD51と同じ。

▼EB42形
ED42形をモデルにした小型の軌道自転車。碓氷峠66.7パーミルを安全に行き来するため、ED42同様アプト機構が組み込まれている。

▼EF68形
EF510形500番台をモデルにした車両。直流専用機関車で、寝台特急の牽引機。

▼EF82形
テレビアニメに登場したEF81形の後継機として開発された交直流用電気機関車。見た目はEF81と同じ。

▼231系・233系
E231系500番台・E233系をモデルとした車両。やはり鋼製車となっている。

▼351系
E351系をモデルとした車両。E351系同様振り子機構が組み込まれた特急型電車。

▼991系
バッテリー駆動電車の試作車。鉄道公安機動隊への導入を前提に作られた車両。

▼キハ381系
國鉄唯一のガスタービン動車で振り子式車両。両側の動力車で客車を挟むTGVに近い構造をしている。見た目は動力車はキハ81系、中間車は381系がモデル。

▼キハ8000形
名護屋鉄道で引退後、國鉄が買い取った特急型気動車。気動車でありながら電車とも併結運転が可能。

▼26系
E26系をモデルとした車両。オールステンレス製のダブルデッカー車で、カシオペアに使用。

▼28系
26系を鋼製車にした車両。26系がオールステンレスに対し、こちらは鋼製車体で車体色は青色。いわゆるブルートレイン


アニメ版

2014年7月期にTBSテレビ制作で、一部系列局及びBS-TBSで放送された。
但し、以下の理由により評価が低い。

  • RJが一切登場しない
原作のキーであるテロ組織であるが、RJの設定自体がJRにケンカを売っているとも捉えられない。
加えて、本編には実在の国鉄車両も多数登場するが、それらの意匠権は国鉄を継承したJRグループ各社が保有しているため、仮にこの設定を通してしまうと許諾は勿論NGで架空の車両しか出てこないという変なアニメになってしまう。
そのため、アニメは無名の犯罪者による犯行を警四が単発で解決していくだけの物語に。
結果、「どうしてこうなった」的な場面が増えた。

  • 鉄道描写が微妙
パンタグラフが架線に触れていない、そもそも列車が線路に沿って走っていない、etc……。
作画も若干不安定なほか、一部背景にトレス疑惑。

  • お色気描写が非常に多い
なぜか原作より圧倒的に力が入っている。
特にアニメオリジナル回ではこの作品がどういうアニメかを忘れてしまうほど。
確かに原作でも美少女ヒロインは皆人気が高かったが、それを考慮しても少々やりすぎの感が…。
そもそも、バーニア600氏は人物だけでなく背景絵もかなり精密に描写されている画力の高い方であり、決して美少女だけを描くのが得意というわけではない。

ちなみに、シリーズ構成はあのみなみけ~おかわり~空鍋を担当した鈴木雅詞。

主題歌
  • OP:
    • 向かい風に打たれながら
歌:茅原実里
  • ED:
    • OVERDRIVER
歌:ZAQ

OPテーマの向かい風に打たれながらはジャケット写真を「碓氷峠鉄道文化むら」で撮影したり、PVを地下鉄の線路内で撮影したり、歌詞に鉄道要素を盛り込んだりしている。

■ゲーム
『RAIL WARS! -軽井沢より殺意を乗せて-』がPSVITAで2014年11月27日発売予定……、
だったのだが突然未定となりそのまま何の音沙汰も無く2016年1月に発売中止が発表された。


余談

アニメ放映前、アニメーターの首藤武夫がTwitterで「原作者は石ころより役に立たない」と発言し、物議をかもした。
ちなみにアニメのスタッフクレジットに首藤武夫は一度も記載されていない。
後、本作のアニメ版が放送された年のスーパー戦隊は同じく鉄道を題材にした「烈車戦隊トッキュウジャー」である。





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最終更新:2024年02月11日 09:00