盗賊ジュプトル

登録日:2014/10/19(日) 05:23:04
更新日:2023/12/04 Mon 21:40:55
所要時間:約 11 分で読めます





※警告!この項目はネタバレを多分に含みます。未プレイの方やネタバレNGな人はご注意※



盗賊ジュプトルとは、『ポケモン不思議のダンジョン 時・闇・空の探検隊』に登場する重要な役回りのポケモンである。

CV:てらそままさき(アニメ版)

  • 概要
『時の探検隊・闇の探検隊』『空の探検隊』の世界で各地に存在する秘宝「時の歯車」。
それは、所定の位置から取ると周囲の時間が止まってしまうと言われ、どんな大悪党でも盗らないとされている。

しかしChapter-3の最後、鋭い眼光でこれを盗むポケモンが現れるのである。
それが盗賊ジュプトルである。
また彼はその後も別の場所の時の歯車を盗んで回る。ユクシーが時の歯車を守るきりのみずうみも被害に遭う。

凄腕の探検家ヨノワールは彼を指名手配しており、事情をヨノワールから聞いた主人公達は時の歯車を守るために行動する。

まずちていのみずうみの時の歯車を守ろうとするが、エムリットに主人公達は盗賊と勘違いされて勝負になってしまい、
そして両方が疲れた最悪のタイミングでジュプトルが到着、時の歯車を盗まれてしまう。

その後はアグノムが守るすいしょうのみずうみに行く主人公達、到着した時にはアグノムはジュプトルによってピンチに追い込まれていた。
そこで主人公達がジュプトルと戦う、しかし勝っても負けても押しのけられる。

アグノムの力でなんとか時の歯車を守りきり、その後ヨノワールの力でジュプトルを逮捕することに成功する。
ジュプトルは未来から来たポケモンで、ヨノワールは彼を捕まえるために未来から来たポケモンであった。


大悪党の逮捕、そして未来世界への送還、時の歯車は元通り、全ては平和に終わったのだった。











と思われていたが…


ヨノワールに無理矢理、時空ホールで未来に連れて行かれた主人公達、
その未来世界でジュプトルの真実を知ることになる。


処刑場をジュプトルの協力で脱出する主人公達、目の前に広がるのは
風が吹かず、永遠に光の出ない暗黒の未来だった
時の歯車は元に戻ったはずなのに…

事情を知ってそうなジュプトルを追いかけて話を聞こうとする主人公達。


一方ジュプトルは
封印の岩場でミカルゲに体を乗っ取られ、絶体絶命の状況だった。
主人公達に助けられたジュプトル、彼の口から告げられたのは衝撃の真実だった。

ジュプトルが時の歯車を盗んでいた理由は時を止めようとしていたからではない。
全ての時を司る時限の塔の倒壊を防ぐために時の歯車が必要であり、それを納めて時限の塔の倒壊を防ぎ時の静止を阻止するのが目的だったのである。
それに対してヨノワールは時の静止を防ぐことを妨げる存在、主人公達にとってだったのだ。

そして主人公はかつてジュプトルを相棒にしていた人間であり未来世界の住民、ジュプトルと過去に戻って時の停止を止めようと時を移動する際にジュプトルと逸れてしまい、主人公はポケモンになり記憶喪失になってしまったのだ。

ヨノワールとの発言と大きく食い違うジュプトルの発言、しかしヨノワールの行動のおかしさ、ジュプトルと主人公の関係、時が止まっている未来世界の現実を見て判断し、主人公達はジュプトルを信じるのだった。

そして主人公達はジュプトルと共に黒の森でピンクのデr…セレビィと合流し、森の高台にある時の回廊で過去に戻ろうとするのだが

ヨノワール達は先回りしており、主人公達の前に立ちはだかる。
そして目の前に現れる巨悪、闇のディアルガ…主人公もジュプトルも絶望する。

しかしパートナーの諦めない気持ちが突破口を切り開き、無事に元の世界に帰ることに成功した。

その後はキザキの森の時の歯車を取り戻し、主人公達とジュプトルは一時的に解散、ジュプトルは再び時の歯車を集めに回るのだった。

仲間達に真実を伝えた主人公達は、時の歯車を集め終わったジュプトルと合流、
パートナーの宝物である遺跡の欠片と磯の洞窟で目覚めたラプラスにより、主人公、パートナー、ジュプトルは幻の大地に行くのだった。


その後、幻の大地の頂上に着いた主人公達、時限の塔に行くための虹の石船を動かそうとした時に
主人公達の目の前に現れるヨノワール達、直接対決になる。

力を振り絞ってヨノワール達を倒す主人公達、しかしヨノワールはパートナーが離れた時に主人公とジュプトルに話しかける。

「うぐぐっ…。オマエたち ほんとうに……ほんとうに これでいいのか?……。
もし れきしを かえたら……わたしたち みらいのポケモンは きえてしまうんだぞ……。」

そう、時の停止の阻止、それは暗黒の未来は始めからなかった物になるということ。
暗黒の未来と共に消えてしまうもの、それはヨノワールだけではない、ジュプトルも、主人公も…
そして主人公は気づくのだった、自分が消滅してまでも時の停止を防ごうとするジュプトルの覚悟、そして記憶を失う前の自身の覚悟も…

Chapter-19のクライマックス、ヨノワールは最後の力を振り絞り主人公を襲うが、ジュプトルは主人公をかばう。その勢いでヨノワールを一気に時空ホールへと押して行く。

「うお…うおおおおおおおおおおおおっ!」

「な なにをするッ!?」

「うぐぐっ…ヨノワールッ!!
このまま……このまま キサマとともに………

みらいへ かえるんだ!!


「(主人公名)!あとは たのんだぞ!」

と言って時の歯車をばらまく。
虹の石船を動かして戻って来たパートナーに告げる。

「(パートナー名)!ここで おわかれだ!
オレは ヨノワールをみちづれに……みらいへ かえる!」

ジュプトルの代わりになれないと不安になるパートナーには、こう言うのだった。

「やるんだ。そして(パートナー名)なら できる。

オマエたちは……さいこうの コンビだ。

最後に、主人公に別れを告げる。

「(主人公名)! じゃあな。(主人公名)。

オレは オマエにあえて しあわせだった。

わかれは つらいが……… あとは たのんだぞ!

そして……

「またせたな! ヨノワールッ!!」

「ぐわあああああぁぁぁぁぁッ!!」


ポケダンシリーズ屈指の名シーンである。このシーンのBGM「ときのうみを こえて」はChapter-19最初の幻の大地に行くシーンが曲名の由来なのだが、
このシーンのBGMということが人気を押し上げている…のかも。
こうしてジュプトルはヨノワールを道連れに未来へと帰って行った、主人公達に星の運命を託して……
























しかし、彼の冒険はここからが本番だった。





















『空の探検隊』のスペシャルエピソード「あんこくのみらいで」にて、ジュプトルやヨノワールのその後の物語を知ることができる。

帰還した未来の世界でジュプトル、ヨノワールは目を覚ます。ヨノワールの失敗によって未来世界の闇のディアルガが過去の改変を阻止せんと動き出したことを知り、現代で主人公たちが未来を変えるまでの時間を稼ぐためにディアルガと戦うことを決意。時限の塔を目指すジュプトルとそれを阻止するために追うヨノワール。
その後ヨノワールの部下であるヤミラミ達に襲われるジュプトル、だがヤミラミが攻撃したのはジュプトルだけではなかった…!

「なぜ……なぜ わたしまで こうげきするッ!?」

どうにかヤミラミ達を追い払うが、ヨノワールは困惑していた。
1匹のヤミラミを捕まえて理由を聞くと、闇のディアルガはヨノワールに変わる新しい腹心、最後の刺客を過去に送り込む予定であり、
奴がヨノワールを処分するように命令を下したという、彼にとってあまりにも聞き入れがたい内容だった。

自暴自棄になるヨノワール、ジュプトルはヨノワールに共に時限の塔へ行こうと勧誘し、彼は同行に同意した。そして事態を把握するために時限の塔に急ぐ。しかし時限の塔へ着いたとき、そこには既に誰もいなかった…。
闇のディアルガがピンクのセレビィを捕まえようとしていることを聞き、黒の森へと向かうジュプトルとヨノワール。
黒の森で再度襲撃してきたヤミラミ達を倒す。どうやらセレビィはひょうかいのしまにいるようだ…。
ポリゴンの力でひょうかいのしまへとワープする。

ひょうかいのしまでは途中ヨノワールはジュプトルを氷塊からかばうことがあった。その後のオニゴーリマンムーの追撃を振り切った後、ジュプトルはヨノワールと共に避難する。

「ことわっておくが……わたしは オマエのことが だいキライだ。
だから オマエを たすける ことなんか ぜったいに したくなかった。
それでも オマエを かばったのは……

いまは オマエの ちからが ひつようだと かんがえているからだ。」

ヨノワールは自分こそがディアルガの腹心に相応しいと証明するため、新しい腹心を倒そうと考えていた。その為にジュプトルの力を必要としているのだった。
しかしヨノワールはその後ジュプトルに尋ねる。

「オマエは……なぜ そこまで がんばれるのだ?」

自分が消えてしまうというのに頑張れるジュプトルの行動は、自分の消滅を恐れるヨノワールにはとても理解できなかった。
この質問にジュプトルはこう答えた。

「きえたくないという オマエの きもちは わかるが…… でもオレは……こう おもっている。

たとえ きえようとも…… たとえ しょうめつしようとも……

オレじしんは きえては いない…と。

「せいめいには おわりがある。れきしが かわらず……このまま あんこくせかいが つづこうとも……
いずれは きえてしまう ひが やってくるのだ。 であれば しょうめつの じきにいみはない。

たいせつなのは いのちのながさではなく…… いきているときに なにが できるか なのだと おもう。

「オレは いきているときに かがやきたい。 いきている あかしが ほしい。 
かがやけば そのせいしんは…… きっと みらいに うけつがれると しんじている。
いや……みらいだけじゃない。 (主人公名)や(パートナー名)にも……
オレの たましいは きざまれているはずだ。 アイツらの なかで オレの たましいは いきている。 
そして そのたましいは また ほかのものへと うけつがれる。

たとえ しょうめつしようとも…… オレのたましいは いきつづけているはずだ。 それが……
それこそが……いきているってことじゃないのか?

ヨノワールはこの言葉に強く心を打たれるのであった。
その後ユキワラシから話を聞き、氷柱の森の奥へ。
ミカルゲに体を乗っ取られているセレビィ、そのセレビィのもとに行こうとするジュプトルだが、氷柱が放つ電撃に巻き込まれてしまう。
苦悶の表情を浮かべるジュプトル。

「……フフフフッ。フハハハハハハハハハハッ!きけ!ジュプトルよ!
ディアルガさまに あたらしいふくしんなど……さいしょからいなかったのだ。すべては……すべては わたしがしくんだ さくりゃくなのだ。」

全ては始めから仕込まれていた罠だった。
ヨノワールはジュプトルが目覚めるよりずっと前に意識を取り戻しており、ヤミラミに計略を伝えて自分が見限られたと見せかけジュプトルの体を奪い取り、再び過去の世界に行き全てを崩壊させるという作戦にジュプトルは填められていた。
絶体絶命のジュプトル、しかし決して諦めてはいなかった。

「オレは……まちがっていない……。
オレは……オレは いまでも オマエを……しんじている……。」

「たましいを つよく かんじたのだ。 オマエの……かがやける たましいを。

「オマエは やみのディアルガに ちゅうせいを ちかい……
そして この あんこくせかいを まもろうと している。
しかし それは あくまで きえたくないという きもちから くるものだ。

でも ほんとうに それでいいのか?

このまま ここで いきながらえる ことが……オマエの しあわせなのか?

いきる いみを……いきている いみを かんがえてくれ!ヨノワール!

おもいだしてくれ!ヨノワール! あのとき オレが かんじた…… オマエの たましいを!

ここまでの道程で培われた奇妙な信頼関係はヨノワールの心を動かした。涙ぐみながら頭を抱えて苦しみ叫ぶヨノワール。
そして…ヨノワールはジュプトルを助け出したのである。

ヨノワールの裏切りを察知し、激しくヨノワールを攻撃する闇のディアルガ。ヨノワールを助けるためにヤミラミたちはディアルガに特攻をかけるも散々に破られてしまう。
絶体絶命かと思われたその時、空にオーロラがかかりはじめ、風が吹き始める。主人公たちが過去を変えたことで、止まっていた時間がとうとう動き出したのだ。
そしてそれは、未来世界の消滅をも意味していた。

事態を瞬時に察知したディアルガはさらに凶暴性を増し、ついに自ら動き出した。
セレビィ以外が知るはずのない時の回廊を本能で見つけ出し破壊するつもりだ。時の回廊が破壊されれば世界がどうなるか判らない。
ジュプトル、セレビィ、そしてヨノワールは時の回廊がある大氷山の頂上へ急ぐ。

頂上でディアルガと対峙した彼らは奴が苦しんでいること、辺りが明るくなってきたこと、風が強くなってきたこと、そして自分たちの体から消滅光が出ていることから、未来世界の消滅が近いことを誰に教えられずとも悟る。
消滅するその時までディアルガの暴走を食い止めるため、3匹は最期の戦いに挑む。


死闘の果てにディアルガを下したジュプトル達だったが、彼らも力の全てを使い果たし、限界をとうに超えていた。


そしてその時はやってくる…。


「ジュプトル……おしえてほしい……。わたしの……わたしの いのちは……かがやいていたか……?」

「ああ。とびっきりな。」

「……よかった。……。

わ わたしは…… まよわず……まっすぐに……いきぬくことが できた……。

それができたのも ジュプトル……オマエの おかげだ……。

ありがとう……。もう…… もう くいはない……。

ヨノワールは自分の最期の輝きに満足し、一足早く消えていった。
そして東の空に太陽が昇る…。

「あ…あさひだ……。ひが のぼってきた……。セレビィ みえるか?あさひだ。」

「こ…これが……? これが……あさひなの……? わたし……しらなかった……。

たいようが のぼる せかいって……こんなに キレイなんだ……。
たいようって……こんなに あたたかかったんだ……。

わたし……きえるまえに あさひが みれて…… さいごに……いっしょに みれて……
ホント よかった……。 うまれてきて……。ホント よかった……。」

「オレもだ。」

さようなら ジュプトルさん…… わたし…… わたし……(しあわせよ……。)

神曲「あさひのなかで」も相まって、このシーンで涙腺崩壊したユーザーの人数は計り知れない…。
















未来消滅と共にすべての命が消えたかに思われたが、気が付けば皆、消滅せずに倒れていた。自分たち起こった出来事を理解できないでいたジュプトル達だが、傍から威厳のある声が。
そう、ディアルガは長い長い時を経て遂に正気を取り戻したのだ。ジュプトル達に礼を言うと同時に、自らの覚悟を宣言。時が静止した世界に再び時間をもたらした。

未来世界が消滅しなかった理由は定かではないが、ディアルガは自身より上位の存在(おそらくアルセウス)がその力で消滅を阻止したのではないかと推察している。

主人公たちも無事だと感じたジュプトルが朝日を前にして、これからの『未来』と、もう会えないだろうが確かに生きている『仲間』に想いを馳せる場面を最後に、彼の冒険物語は幕を閉じる…。


「かぜよ!ひかりよ! もし とどくなら……(主人公名)たちにつたえてほしい!

オマエたちのおかげで みらいは あんこくから かいほうされた!

そして オレたち みらいのポケモンも ぶじだ! オレたちは きえずにすんだんだ

これからは ちからをあわせ このせかいをたてなおしていく 

ここまでささえてくれた セレビィのためにも これからは……

オレたちはなにより……いきているのだから!

(主人公名)!(パートナー名)!きこえるか!

オレたちはいきているッ!!



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最終更新:2023年12月04日 21:40