33分探偵

登録日:2009/07/26(日) 21:31:22
更新日:2024/02/28 Wed 15:41:17
所要時間:約 7 分で読めます




普通にやればたった5分で終わる超簡単な事件を

放送時間33分いっぱいまでなんとか持たせる迷探偵

その名も33分探偵「鞍馬六郎」

次々と繰り出される推理にガンガン増える一方の容疑者

その果てに真犯人は見つかるのか見つからないのか…只今8分です。


2008年8月2日から9月27日までフジテレビ系の土曜ドラマ枠で9話放送された堂本剛主演の連続テレビドラマ。
2009年3月28日より同枠で、新しいドラマが始まるまでの繋ぎとして続編である『帰ってこさせられた33分探偵』が4話放送された。
またそれに先駆けて小学生時代から厄介だった六郎のエピソードを書いたスペシャル番組『帰ってくるのか!?33分探偵』も放送された。
犯人が明らかになっており事件解決間違いない状況下で、主人公の鞍馬六郎が独自の迷推理を繰り広げ、CMの時間を除いた33分間その事件を持たせるという作品。

作品の流れの大半は、

事件が発生

現場に駆けつけるも犯人がすぐに判明

六郎だけが疑問をもち33分間捜査を行う

しかし、推理の結果、犯人は最初に判明した通りの人物であった

という形を取る事が多い。

ただし、この構成を逆手にとって真犯人が別に存在するケースが3回あった。
しかし、手口は六郎の推理よりはるかにシンプル(えらく手の込んだ仕掛けで殺した→普通に直接殺しました、など)だった。ならばなぜ自白した。
捜査シーンではなぜか途中から関係ないことを始め出す。
フジテレビ系列の他の番組のセットやマスコットキャラクター(ガチャピン、ムック、めざましくん、軽部)をそのまま登場させている。
毎回六郎の移動シーンには非常にチープなCG合成がギャグとして使われている。
番組エンディングのテロップで「高度な合成によるもので、絶対に真似をしないで下さい」と注釈が入る。
また各話のラストでは静止画風に登場人物が固まる。固まるだけでカメラを止めていないので、よろめいたり物がそのまま動いたりする。
CM明けにカット後の映像が流れる。


【登場人物】

  • 鞍馬六郎(堂本剛)
「鞍馬六郎探偵事務所」の探偵。
放送時間33分までもたせる事を独自の使命だと思っている所から別名「33分探偵」。
犯人が見つかり事件が終わろうとすると必ず「この事件、終わらせて良いんですか?」といちゃもんをつけ、
「この簡単な事件、俺が33分もたせてやる!」と勝手に宣言して、そこから豊かな想像力で事件に関わっている人達を振り回す。
どう考えても公務執行妨害甚だしい行為でしかないのだが、なぜか彼の邪魔をする者は誰もいない。
有名推理小説を多数読んでいるらしいが、近代の推理ドラマもよく見るらしく、他局でも容赦なくパロる。
推理小説に造詣が深く、趣味は名探偵フィギュア集め。
またボールを転がすと仕掛けが作動するコーヒーメーカーを作っており事務所に来たハゲに提供されるが、いつもまともにコーヒーを入れられない失敗作。
推理を展開している際、自身の推論をリカコや他の人にツッコまれたり論破されたりすると、激しく顔を歪ませ睨みつける。
また、妄想だけで根拠のない推理を行う為、肝心な部分を「なんやかんや」とあやふやに誤魔化す。
そこを突かれると「なんやかんやは、なんやかんやです!」と開き直るのがお約束。
的外れな推理によって犯人扱いしてしまった人には「間違えてすみませんでした」と書かれた菓子折りを送るという律儀な一面も持つ。
この支離滅裂な推理癖は子ども時代から相変わらず。
じっちゃんの名にかけたことがある。祖父が何者かは不明。
不真面目な意味で他の推理物とのコラボさせてみたい。きっと真犯人がキレる。

  • 武藤リカコ(水川あさみ)
「鞍馬六郎探偵事務所」に勤務する助手。
主要人物の中では比較的まともな常識人で、迷推理を展開する六郎のツッコミ役。
大田原警部のことを「あいつ」や「ハゲ」と呼ばわりする等、やや口が悪い。
年齢を3歳サバ読みしているらしく、時々そのことを突っ込まれる(オフィシャル設定での年齢は25歳)。
六郎の迷推理にはややウンザリしながらも厳しくツッコむが、想いを寄せる面もあり推理の調査もきちんと手伝う。
非常にテンションが高く、またミーハーで、事件現場でははしゃいでいる事が多い。
六郎と同じく関西出身で時々関西弁が出てくる。
また、泣き方が奇妙。
六郎曰く、「基本男よりおいしいもの」を選ぶらしい。

ハゲで独身の刑事。
ハードボイルドを愛し悪を憎む鬼刑事。
事件に関しては六郎に何故か全幅の信頼を置いており、事件の度に彼を呼びに事務所に来ては、彼の暴走を許している。
六郎のボケ的な推理に乗っかり更なるボケを披露する事も多い。
また六郎のフェイントに乗り、無関係な人間に対して思いつめた表情で「逮捕だ…!」と手錠を出すのもお約束。
寝つきが良いらしいが、それ位しか女性に誇れる点が無い。
余談だが、高橋は野村萬斎主演の「オリエント急行殺人事件」でも似たような役を担当している。
また、コメディすぎるシナリオ故に、真面目に演じた後に失笑してしまったことがNGシーンで語られている*1
笑わずに演じるのは、この作品において屈指の難易度と言えるだろう。

大田原警部の部下。
無駄に熱い、典型的過ぎる熱血刑事。
大田原を尊敬しており、大田原が信頼している六郎も信頼している。
万引きで補導した女性と結婚している。
口より先に手が出るタイプ。
聞き込みをする展開になった時や、反省する時はなぜかいつも全力で走っている。だが、ガチャピンらより遅い。
戸次は、2000年に北海道で放送されたドラマ「四国R-14」(ちなみに戸次の役柄は「エキストラ全部」)でも同じ様な走り方をしているので、この走りはおそらく演技ではなく、戸次の素の走り。
その他、着陸する前のヘリコプターから事件現場に飛び降りたこともあるが、良い子は絶対にマネしないように。

  • 鑑識官(佐藤二朗)
鑑識の情報を六郎に提供している。
米村でんじろうを敬愛しているとされるが、いつも実験と称した助手へのセクハラばかりしている変人。
鑑識官としての腕は確かだが、なぜか情報はどこかおかしい(証拠から男と判明→顕微鏡をのぞくと♂マークが見える)上、
情報を貰いに来た六郎に対してイタズラする(顕微鏡の覗き口にインクを塗っておく等)ことを好む。
また、隣の部屋に行く際に、ドアからではなく撮影舞台のセットから降りて移動するメタい行動も取る。

  • アイ(野波麻帆)
鑑識官の助手。
いつもセクハラまがいの奇妙な実験に付き合わされている。
六郎に強い好意を抱いており、手作りパン焼き機やマフラー等、毎回ピントのずれたプレゼントを六郎に渡す天然系。六郎は大抵お礼を言って受け取るが持ち帰らない。
鑑識課のアイドル的存在。

関西が舞台となっている11、12話で大田原の役回りを担う京都府警の刑事。大田原のかつての部下でもある。
「京都府警一の理論派」を自称しているが、ハゲと同じく六郎の推理には何故か乗っかってしまう。
整った容姿に似合わず臀部から頻繁にガスを噴射する放屁キャラ。
沢村氏はのちに、六郎役の堂本剛がかつて初代主人公を演じた探偵ドラマの第5シーズンにて主人公を支える鬼警部を演じることになる。

  • 情報屋(小島よしお)
普段は漫画の露天商やカラオケ店の店員等様々なバイト先に身を置いているが、やってきた顧客に情報を提供する。
事件に関する情報提供料は一件につき千円だが、情報自体の精度はかなり高い。
ただ、重要なところで提供を止めてしまうことが多く、大抵は千円以上払う事になる。
胴体着陸・ヘルニアの手術等、事件以外の分野にも精通しており、様々な職種の人々がやってくる。
『帰ってこさせられた~』ではオードリー、ナイツ、はるな愛に情報屋役を取られ、抗議するも六郎からも「旬だからな…」と冷たくあしらわれる。
しかし、そんな情報通な彼もダンディ坂野の「崖っぷちからの脱出方法」だけは答えられなかった。
ちなみに子ども時代の情報屋(よしおかどうかは不明)はビックリマンシールで交渉成立となり、六郎の後に来た子どもは「保健室の先生の攻略法」を聞いていた。
つか俺も知りたい。

  • 被疑者
六郎のトンデモ推理で罪を被せられる不憫な人達。
推理の中でいかにも悪そうなメイクで奇怪な笑い声を立てながら、六郎の珍推理そのままにアホなことをやらされる(厳密にはその再現シーンに出ている人物全員がおかしい言動をさせられている)。
そのシーンは例えるなら、魔人探偵脳噛ネウロ犯人役で、それを実写化したような感じ。
担当俳優の怪演ぶりが凄まじく、視聴者の腹筋に悪い。

  • 証言者
毎回、方言やパントマイムや表情等どこか変な特徴を持った人達。
途中で「もっと○○な調子で証言してみろ」と言われ、最終的にキレた茂木に「○○すぎるんだよお!」と掴みかかられる。理不尽。

  • 訪問者
毎回、冒頭とラストで事務所を訪れている人物。
押し売りだったり勧誘だったり変な人だったりと様々。
たいてい後からやってきたハゲによって扉に挟まれる。
ただし、第5話に登場した「ママママ詐欺の男の子」だけは、子役であることを配慮してか挟まれなかった(この時挟まれていれば、確実に大怪我している)。

  • ナレーション(志賀廣太郎)
冒頭の語りを担当。本編最終回にて情報屋の客として志賀氏本人が出演している。

【おまけ】
本作のキャストの内、堂本剛・佐藤二郎はこの後も2013年のドラマ『天魔さんがゆく』で「主人公役の堂本剛とその亡父役の佐藤二朗」、2017年の映画『銀魂』で「堂本剛演じる高杉晋助と佐藤二朗演じる武市変平太」と福田雄一脚本・演出作品で共演している。
なお『天魔さんがゆく』の最終話では、大田原警部役の高橋克実と超友情出演で武藤リカコ役の水川あさみも出演していた。

また戸次重幸は本作と同時期に制作会社・プロデューサーが共通する日テレ系深夜ドラマ『ザ・クイズショウ』にメインキャストとして出演しており、
『33分探偵』・『ザ・クイズショウ』の両方に堀内敬子・岡田義徳・ムロツヨシ・阿南敦子がゲスト出演者として登場。本作レギュラーでは他にも『ザ・クイズショウ』側に佐藤二朗がゲスト出演していた。
なお『33分探偵』での熱血刑事と、『ザ・クイズショウ』の病んだラスボス系番組制作者という、戸次重幸が同時期に見せた2つの役の温度差に唖然とした視聴者も多い…かも知れない。

余談だが本作の主題歌『Secret Code』(KinKi Kids)のPVでは、キンキや有名アーティストによるセッションの合間に、松本潤版金田一で高遠遙一役だったサックス奏者藤井尚之のソロ演奏がインサートされていた。

『脳内エステ IQサプリ』に番宣も兼ねて六郎がクイズの出題・解説役で出演したことがあるが、この時は最初から最後まで真面目なので、皮肉にも本編以上に探偵らしい素振りを見せている。この番組の放送後に第1話が放送されたので、この番宣を見た後に第1話を見て、その迷走ぶりに困惑した人もいたのではないだろうか。


そして犯人は……なんやかんやと追記・修正したんです。

「なんやかんやって何だ!?」

なんやかんやは……なんやかんやです!

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最終更新:2024年02月28日 15:41

*1 ただし、この回は本作にしては珍しくちょっと切ない場面でもある。