ザンネック/ゲンガオゾ

登録日:2014/10/06 (月) 01:53:20
更新日:2023/02/27 Mon 23:01:20
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ザンネック及びゲンガオゾは、ザンスカール帝国で開発されたサイコミュ搭載型の試作MSである。
両機ともに宇宙漂流刑から回収されたファラ・グリフォンによって運用された。


ザンネック



……2コンマ2度上、コンマゼロイチ、撃て!!


型式番号 ZMT-S29S
所属 ベスパ
建造 ザンスカール帝国
生産形態 試作機
全高 19.4m
本体重量 16.7t
全備重量 38,3t
出力 5,570kw×2
スラスター総推力 164,220kg
装甲材質 ハイチタン合金ネオセラミック複合材
武装 ザンネックキャノン
   ビームサーベル×2
   胸部ミサイルランチャー×2
   ビームシールド×2
パイロット ファラ・グリフォン

概要

形式上はMSに分類されているが、当時の機体としてはかなりの大型、かつ専用のサブフライトシステム(SFS)・大型ビームキャノンとの同時運用が前提で、
それを含めたシルエットはさらに巨大なものとなり、実質的には小型MAと言っても差し支えない代物。
実際、劇中でもMS用カタパルトには接続不可能で、MA用ランチから発艦していた。
サイコミュによる長大な索敵範囲と専用ビーム砲を連動させることで戦闘空域外から精密砲撃をやってのけることから、『ミニカイラスギリー』の異名を取る戦略級機動兵器

サイコミュ搭載機ではあるが、その感応能力をレンジ外索敵に全振りした、ある意味では非常に潔いサイコミュの使い方をしている。
サイコミュを通してパイロットの発するサイコウェーブを増幅制御し外界に発信、それに“引っかかった”情報を機体に反映させることで、
戦艦さえも凌駕する常識外の索敵能力と、それに伴う超長距離精密砲撃能力を獲得した。ぶっちゃけると『サイコミュソナー』。
本機搭乗時のファラは鈴を模した形状のサイコミュ補助具を装着していたが、この補助具の鈴の音がサイコウェーブとともに発信されるため、
ニュータイプの素養があるものには鈴の音と頭痛で襲来がモロバレという欠点もあった。
なお、それでも関係なしにリガ・ミリティアを圧倒しており、ボスユニットの面目を果たしている。

肩部後方には三日月状の開放型粒子加速器が据え付けられており、ミノフスキー粒子の圧縮・縮退・加速をこれ一対でこなすザンネックキャノンの外部パワーソース。
加速器稼働時にはメガ粒子が円環状の光輪を形成するほか、ユニットそのものを開放式の簡易ビーム砲として扱うこともできる。
また、加速器はバックパックに折り畳むことができ、移動時などに余計な慣性モーメントが発生しないよう配慮されている。

専用SFSのザンネックベースは底面にビームシールド発振器が内蔵されており、対空砲火から機体を保護する役割も持つ。
また、サイコミュで連動制御されているのか、機体から切り離されても遠隔操作可能。
大気圏突入/離脱用のシールド件ブースターとしても機能するほか、機動時には外縁部にメガ粒子のリングが形成されるため、
これを敵機に接触させる体当たり攻撃も可能となっており、無駄に多機能かつ隙がない。

この長射程と大推力を使い、地球の重力に捕まった状態で高度を維持しつつ、キャノンで地上を狙撃するというチート戦法が可能。

強い(ザンネックキャノン)・堅い・デカい(あの時代に19m超えの巨体)・名前がキレッキレ(斬・ネック=斬首)・怖いと五拍子揃った
超大型ボスユニットのためか、ファラといえばこの機体というイメージの強いガノタは多い。
おかげで本来ザンスカール最強候補のゲンガオゾが悲しみを背負うはめに……
ちなみにデザインの元ネタは「風神・雷神」の雷神で、初期設定では「ザンコック」という名称であり、対になる「ゴクアック」というMSが存在した。
それにつけてもザンコックとは、タマヒュンな名前であると言わざるをえない……
お禿様直筆の小説版では「三日月のブーフゥ」なる渾名を頂戴していたが、ブーフゥってなんぞ?

武装

ビームサーベル
2本装備しているが作中未使用。

ビームシールド
両腕に1基ずつ装備されている。V2アサルトのメガビームライフルを防げる程度には高出力。

○胸部ミサイルポッド
多連マイクロミサイルを斉射する、近接迎撃用装備。

○ザンネックキャノン
成層圏から地表を狙い撃てるほどの威力・エネルギー量・ビーム収束率を持つ大型ビームランチャー
撃ち出される真紅のビームは曲がりなりにも艦艇であるホワイトアークの艦首ビーム砲を、軽く干渉した程度で掻き消すほどに高出力。
ただし威力相応にチャージに時間を取られる。
大気の壁によるビーム減衰を物ともせずに対象を破壊する恐るべき処刑装置。
強化人間化したファラの常識外れな索敵能力と併用することで、敵の索敵範囲外から一方的に嬲り殺せる強力な兵装である。

劇中での活躍

○第40話「超高空攻撃の下」
初登場話。高高度からザンネックキャノンでラゲーン基地の居住区を蹂躙した。
地上から迎撃に上がってきたホワイトアーク隊と交戦、キャノンでホームランかましてトマーシュ機の頭部を吹き飛ばすなど、多対一でありながらも終始圧倒。
しかし、初期目標を達成したからか、あっさりと離脱した。

○第41話「父のつくった戦場」
ジャバコの編隊とともに展開し、リーンホースJr.と交戦。
キャノンのビームをリング状に拡散させるという機能を見せるが、V2ガンダムが機体を前転させて盾にした光の翼に防がれる。
そのまま叩き付けられた光の翼を、加速器のビームリングで反らして防ぐという地味に凄い芸当をやってみせた。
極大出力の対軍ビームサーベルとも言える光の翼を反らせるあたり、こっちのビームリングの出力も並大抵ではない。

○第43話「戦場の彗星ファラ」
コクピットにキル・タンドンを同乗させ、操縦と火器運用を任せている。ファラ自身は指示・索敵と敵味方識別を担当。
ウッソへの当てつけを兼ねてファラ自身を囮にすることでV2のメガビームシールドごと左腕を破壊する。なお、V2本体の損傷はこれが最初で最後(パーツを除く)。
が、キルがファラへの被害を避けてビームを細く絞りすぎたことが裏目に出てしまい、ファラが「お前はメッチェの代わりにもならん」とキルを射殺。その後はファラの単独操縦となっている*1
ウッソのビームライフルを装備させた大量のブーツにオートで乱射させながら自爆特攻させるという奇策にベースと左腕を破壊され、
その爆発に飛び込んできたV2に右腕を斬り落とされる。
イジェクション・ポッドでファラが脱出したのち、V2のビームライフルの連射を受けて爆散。その際、ファラは「トドメを刺さないと、いつまでも鈴の音が鳴るぞ」と忠告していた。


機動戦士クロスボーン・ガンダム ゴースト
ザンスカール本国部隊の試験機として名無しのパイロットが搭乗している。
マリア・シティに核ミサイルを撃ち込む作戦の別動隊として、敵機を爆破範囲内に足止めするために、衛星軌道上から超長距離射撃を行っていた。
核ミサイルを無力化しようと脱出を図るフォントの駆るファントムに狙いを定めて執拗に撃つもIフィールドによって防がれていた。
ファントムに反撃手段が無いので膠着状態となっていた中サウザンド・カスタムの一機、コーシャの駆るバイラリナが乱入して戦局は一変。
ファントムが射撃を防いだ隙を狙ってバイラリナが連射したニードル・ヴェスバーを浴びて爆散した。



ゲンガオゾ


みんなギロチンで、一刀両断にしてやる!!

型式番号 ZMT-S28S
所属 ベスパ
生産形態 試作機
頭頂高 17.3m
本体重量 14.3t
全備重量 35.9t
出力 6,310kW
スラスター総推力 150,780kg
装甲材質 ハイチタン合金ネオセラミック複合材
武装 ビームライフル
   ビームサーベル(ビームメイス)×2
   ビームシールド×2
   マルチプルビームランチャー×5
搭乗者 ファラ・グリフォン

概要

サイコミュ搭載型試作機。スーパーサイコ研究所の手になる機体で、ゴトラタンリグ・コンティオと同時期に決戦機として開発された。
これらの機体はある程度性能傾向に差があるとはいえ、帝国のMSでも最高峰の性能を誇る。
ただ、型番がザンネックより若いので、オールレンジ攻撃端末の実用化に手間取って開発が遅れた可能性はある。
ザンネック撃破後のファラが受領・運用した。

その機体コンセプトは“標準サイズの機体に大火力とオールレンジ攻撃能力を持たせる”というもので、極めて高い機動性と攻撃力を併せ持つ。
とは言っても同時代の機体よりは若干大型の規格外機と化してしまい、発進形式はザンネックと同様。
サイコミュシステムは後述のバックエンジンユニットの遠隔操作をメインとしているようだが、コクピットレイアウトがザンネックと同形式であることからして、
サイコミュによる索敵も不可能ではないようだ(まぁ、できたとしてもそれだけの長射程兵装を持たないわけだが)。

MA一歩手前のザンネックにも劣らぬスラスター推力は凄まじいの一言で、本機にMAクラスの機動性をもたらしている。
大推力スラスターユニットでもあるバックエンジンユニットは、切り離して内蔵ビーム砲とサイコミュ制御でのオールレンジ攻撃端末としても使用可能。
総じてファラとの相性は抜群であり、度々ウッソを圧倒した。
ファラの先代乗機であるザンネックがインパクト強すぎたためか、登場=ウッソを圧してるにもかかわらず記憶に残りづらいという地味な悲しみを背負った機体。

初期設定では風神をモチーフにした「ゴクアック」という機体で、ザンネック(の元ネタ)とともに登場する予定だった。
なお、デザイナーの石垣純哉が後に語って曰く、「バックエンジンユニットデザインしてたら太鼓みたいになって、こっちが雷神になっちゃった」とのこと。
当時の製作環境のブラックさ加減を揶揄して、ザンネックともども「原画が遅いと首を斬る」から名付けられたという説もあるが、俗説

武装

○ビームメイス
ビームサーベルとしても使用可能で、専用デバイスを装備しており大型で高出力。
デバイスを延伸させ、棘付き鉄球状ビームを展開するビームメイスとしての使用が本来の使い方。
この状態でさらにビームの棘を任意に伸ばすことも可能で、トリッキーかつ避けづらい強力な白兵兵装となっており、ウッソも手を焼いていた。
具体的にはビーム球を受け止める=あらぬ所から棘が伸びてきてウボァー。

ビームライフル
専用の大型デバイスを用いており、機体性能に恥じない高性能品。

○バックエンジンユニット
普段は丸まったような状態で本体に結合しており、機動戦闘時にはウイングを展開させ、五連装大型スラスターパックとして本体の機動性を高める。
分離後は本体との連動によるオールレンジ攻撃や質量弾頭としての特攻などが可能。
スラスターユニットのひとつひとつにはマルチプルビームランチャーが搭載されており、これは本体との結合如何にかかわらず使用可能。
各ランチャーは3つのビーム砲ユニットから構成されており、各々の収束・拡散・出力/発射タイミング制御を任意で行える多機能ビーム攻撃システムとなっている。
同時発射で範囲攻撃や対艦攻撃、タイミングをずらして斉射することで対MS攻撃など、パイロットの発想の数だけ戦術を練り上げることができる。
火力自体も三連装小型ヴェスバーを背中に5基装備しているようなもので、端末サイズとは裏腹の凄まじい火力を秘めている。

劇中での活躍

○第44話「愛は光の果てに」
初登場話。シャクティ関連の何やかんやにつけ込んで恋人同士を殺しあわせ、その隙にV2と殺りあうなど初っ端からファラ節全開
この時はランチャーから赤い網状の拡散ビームを撃ち出している。
心ゆくまで堪能……とはいかなかったが、何やかんやあって漂流していたシャクティを掴んで撤退する。

○第46話「タシロ反乱」
V2バスターと交戦。ここから緑色のビームを吐き出すようになった。
そんなお荷物を持っていれば、あたしの敵じゃあない」という台詞通りに、機動性に難のあるバスターを散々に翻弄する。
ただ、肝心の主砲はスプレービームポッドとメガビームキャノンの合わせ技で水際防御されていたりするが。
長物背負って動きが鈍いと見るや瞬時に接近戦へ移行し、ビームメイスでの鍔迫り合いからビーム棘を伸ばしてキャノンを叩き斬る。

が、タシロ艦隊の異変を察知したウッソが先行したのを追って本機も同宙域へ移動。
牽制射を加えて追い抜いた後バックユニットを切り離して奇襲をかけるが、これは大股開きで躱された。
タシロの座乗艦「シュバッテン」に接近したところでV2と再戦。一発ランチャーを撃ち込むが躱され、エンジェル・ハイロゥに誤射してしまう。
再度白兵戦を挑み、ビームメイスを叩き込んでスプレービームポッドも破壊……したところで第46話完。

○第47話「女たちの戦場」
前回からの続き。開始早々、V2がパージしたミサイルポッド(中身あり)を機雷代わりに使われバックユニットに被弾。
右翼と右端のスラスターポッドを破壊されるが、それでもなおV2に追随する推力を発揮、なおも攻める。
被弾したバックユニットを囮にタックルを決めて弾き飛ばし、さらにユニットを特攻させる波状攻撃をかけるが、まさかの殴る蹴るでバックユニット破壊。
詰め込みすぎて脆かったのだろうか?

女王マリアに念話で呼ばれ、彼女の身勝手とも取れる悔恨の言葉を「こいつも女だ!!」と吐き捨てたウッソに「女の前で他の女に気を取られるんじゃないよ浮気者!(意訳」とビームライフル(本邦初使用)を乱射。もう完全にヤンデレ
なお、イっちゃった表情と言動でよく誤解されるが、この時点でふぁらさんにじゅうにさい……見えねぇよ!
脚部をパージしたV2を追い込み、援護に駆けつけたマーベットのVガンダム(即座にパージしてコアファイターとなったが)をも討とうとするが、
マーベットの胎内の鼓動を捉え、「1つの命の中に2つの命がある」事に動揺して動きが止まった隙にウッソのVのハンガーを駆使した奇襲で両足を薙ぎ払われ、反撃へのカウンターで左腕を落とされる。

首を落とせば命も消える!
そうすれば、命の輝きに脅かされる事もない!!

ギロチンの鈴など捨てれば、楽になるんですよ!ファラさん!!


あなたは、女性でありすぎたんです!!


なおもライフルを捨てて追いすがるが、メイスを振りかぶった瞬間にブーツのミサイルをカウンターで浴びせられ、態勢を崩したところにビームサーベルを受けて爆散した。
ファラの死の間際、彼女を束縛していた鈴が外れ穏やかな表情でメッチェの元へ旅立った。


ウッソとV2というU.C.最強クラスの組み合わせをこうも追い込んだのはゲンガオゾのファラのみであり、知名度でほぼ完全上位互換のザンネックがいるとはいえ、そのインパクトは絶大。
だが、そのせいでラスボス(一応そのはず)のクロノクルカテジナがおまけ扱いと化してしまった。というかどう見てもファラがラスボスな件。
アチャー、お前は泣いていい。






追記・修正は鈴の音を感じ取ってからお願いします。

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最終更新:2023年02月27日 23:01

*1 その後の戦闘でのファラの言動から、ウッソを道連れに死のうとした可能性が高い