エリック・リカード(悪魔城ドラキュラ)

登録日:2014/10/02 (木) 08:15:51
更新日:2023/06/09 Fri 16:13:46
所要時間:約 20 分で読めます





最期にお前たち2人の姿を見られて本当に良かった

精一杯生きてくれ…。






エリック・リカードはコナミのアクションゲーム『悪魔城ドラキュラ』シリーズの登場人物。
初出はメガドライブ専用ソフト『バンパイアキラー』。以降も本シリーズにおいて何度か登場しているが、
その度に人物像や物語上のポジションも大きく変化している、波乱に満ちた生涯を送ったキャラクターである。


✝概要✝


1892年5月3日生まれ、スペイン・セゴビア出身。
夜を狩る一族・ベルモンド家の血を引く分家・リカード一族のヴァンパイア・ハンター。

同じベルモンドの分家であり、故あって本家から退魔の鞭・ヴァンパイアキラーを預かったモリス家のように、
リカード家はかつてラルフ・C・ベルモンドと共に戦った魔王ドラキュラの実子・アルカードより
魔槍アルカードスピアを授かり、モリス家を支える宿命と共にこれを受け継いできた。


ゆえに『バンパイアキラー』で共に主人公を務めたジョニー・モリスとは
家ぐるみの付き合いがある親友同士(エリックが3つ年長)で、その父にしてモリス家で初めてドラキュラ討伐を成し遂げたハンター、
キンシー・モリスとも親交があった。




✝少年期✝
~ 悪魔城ドラキュラ ジャッジメント ~


現段階で最も過去のエリックが描かれた作品。謎の男・アイオーンの手で『時の狭間』に召喚された13人のひとりとして選ばれる。
華奢な体躯を仕立ての良い礼服で包む、まだ声変わりも迎えていない金髪碧眼の美少年。
(CVは国内・海外共に女性声優が当てている。日本語版は三瓶由布子氏)。ファンからの通称はショタエリック。
専用BGMはバンパイアキラー4面のBGM『Iron-Blue Intention』。

驚くべきことにこの時点で魔槍アルカードスピアの継承者として一人前の印可を得ており、
槍術だけでなく魔術においても非凡な才覚を持つ早熟の天才であるという設定。
その背景のせいか表向きは歳の割に大人びた雰囲気を醸し出しており、ほとんど表情を変えずに淡々とした口調で言葉を紡ぐ。

しかし、この時期の彼を一言で表すなら『イヤなガキ』というのが適当であろう。

同じベルモンドの分家であるにも関わらず、リカード家でなくモリス家に聖なる鞭が預けられたことで
二番手に貶められたという僻み根性を募らせ、
退魔の武器の中でも別格の存在である『ヴァンパイアキラー』『英雄・ベルモンド一族』に異常なまでの対抗意識を持っている。

その思いは『最早鞭など無用の長物』『自分の揮うアルカードスピアこそが唯一無二にして最強の武器である』
という傲慢な主張となって表れ、時の狭間においても己の力量を試し・あるいは誇示するために
本来の敵である夜の一族はおろか、シモンラルフといった歴代のベルモンド、
果ては自身の一族に槍を授けたアルカードにさえ見境なく勝負を吹っかけて回るのだった。
エリック坊ちゃんマジ天使の皮を被った狂犬。

子供だと侮られることを嫌っており、常に余裕を見せつけるような態度で振る舞う。口癖は「がっかりだ」。
例外としてマリア・ラーネッドに対してはその力量を高く評価し、興味を寄せている。
彼の耳には『マリアの実力はベルモンドをも凌ぐ』というただの事実風聞が伝わっており、
『子供の身でありながら鞭の力を使うことなく魔王討伐に成功した』彼女の偉業に内心憧れ、目標にしていた節がある。

しかし、勝手に納得してテンション上げたうえ、「ぜひ手合せしたい!」
血相変えてにじり寄ってくるエリックのことをマリアは「エッチ!」の一言で切り捨てている。ざまあwww

キャラ性能的には小柄ではあるが得物が槍なので非常にリーチが長く、攻撃力も高め。
反面移動力がやや遅く、距離を取るより積極的に仕掛けていくことが望まれる♂攻めキャラ♂である。
使い勝手の良い技が多く、初心者が操作するのにも適している。


格闘ゲームというジャンル上の都合からかジャッジメントでは
全体的にキャラの性格がやたら好戦的で尖った感じに改変される傾向があるのだが、
その中でもエリックは“『ぼくのうけついださいきょうのやり』を持ったショタが歴代の有名キャラをボコボコにして俺TUEEEE!!する”
…というメアリー・スー(公式だけどね…公式…なんだよな…)じみた展開からコレジャナイ的な拒否反応が激しい。

しかし、本作ではこれまで描かれなかった彼の子供時代がピックアップされたことで未来の人物像には一切手が加えられなかったため、

「まあこの頃は厨2病だったんじゃない?」「あのオッサンにもこういう時期があったとは…w」

…と若さゆえの過ちという解釈を取り大目に見る向きもあり、
「あのガキンチョがよくこんな立派な人物に成長したものだ」と原作エリックの株が上がる珍現象も一部では起きている。

実際この段階での彼は才能はさておき内面的には未熟そのものであり、不遜な振る舞いも
ベルモンドや鞭に対するコンプレックスや未だドラキュラ討伐という実績を出せていない焦りの裏返しに他ならない。
真の最終ボスであるタイムリーパーを撃破して元の次代に帰還するという結果を出せたことで、
彼も本当の自信と余裕を得、後の成長の下地にできたのではないだろうか。



……そして、彼はまだ知らない。“妖鞭”ヴァンパイアキラーの真なる恐怖と、彼自身を襲う悲劇を。







✝青年期✝
~ バンパイアキラー ~


1917年、25歳。親友・ジョニーと共に第1次世界大戦勃発を裏で操り、戦没者の魂を生贄にドラキュラ伯爵復活を目論む
『ドラキュラの姪』を名乗る女吸血鬼エリザベート・バートリー一味との欧州全土を股に掛けた死闘に臨む。

この時期の彼は経緯は不明だが一時はヴァンパイアハンター稼業から完全に足抜けしており、
芸術を愛する平凡な青年として恋人と穏やかな日々を過ごしていた。

しかし、エリザベートに恋人を吸血鬼に変えられるという非道の仕打ちを受けた怒りからハンターとして目覚め、
アルカードスピアを手に復讐を誓った。この時、かつてのリナルド・ガンドルフィーレオン・ベルモンドがそうであったように、
彼も己の宿命に従い、人外となってしまった大切な人を已む無くその手にかけてしまったであろうことは想像に難くない。


ゲーム内容的にはジョニーと並ぶもう1人の主人公。
実際のプレイではエリックを選択した場合、ジョニーが物語に登場することは一切ないのだが、
後のシリーズでは『共に死線を潜り抜けた戦友』という設定がしっかりと打ち出されている。

当時すでに『悪魔城伝説』の三戦士や『血の輪廻』のマリアのように
ベルモンド以外の出自を持つプレイヤーキャラクターの概念はあったが、
彼とジョニーはスタート時点で完全に同じ条件の下並び立つダブル主人公であり、これはシリーズ内では古今あまり例の無い体制。
(NINTENDO64の『悪魔城ドラキュラ黙示録』シリーズがこれに近い)。

ただ、本作のキャラクター設定は淡白な説明文で語られるのみであり、
この段階でのエリックは旧作キャラ・アルカードの名を冠した槍を操る、謎の多いキャラクターであった。
ゆえに以後のシリーズの描写とも若干の矛盾点がある
(本作では一般人の青年が一念発起してハンターになった、いわゆる『覚醒系主人公』のような描き方がされている。
リカード家はモリス家と共にハンターの使命を次代に伝承していかねばならない宿命があるためこの描写は明らかに変)。

当時のアメリカンらしい近代的でマッチョなタフガイであるジョニーとの対比か、
女性的で古風なイメージを主軸としたキャラ造形が施されており、顔の造作が非常に繊細なのに加え、
ふわっとした質感のブロンドを長く伸ばした髪型と、透き通るような白面にやけに赤く浮かんだ唇から
彼を女性と見間違うプレイヤーも少なくなかったという。
服装は肩に羽織った丈の長いマントと伝統の生脚むき出しコスチューム
…とムチ使いのジョニーよりもよほどベルモンドらしい古式ゆかしいものである。

実際のゲーム画面では手足は長いが体幹は割とがっちりして一目で男とわかるし、髪の色も何故か青緑色である(理由は後述)。
また、後の探索型作品では槍を装備できる主人公も多いが、攻撃時のみ槍のグラフィックが表れるそれらのキャラと異なり、
エリックは常時槍を携えたグラフィックがデフォルトである。




英国・プロセルピナ城で仇敵エリザベートを討ち、復活したドラキュラすら滅ぼしたエリックは、
アルカードスピアを再び封印し、いずこともなく去っていく。
恋人の復讐を果たしたものの、その表情は固く、拭いきれない陰りがあった。

それでも彼はより大きく測り知れないものへと挑み出さねばならない。
後の世で始まる最後の闘いまで夜を狩る一族の使命を繋ぐために…













✝壮年期✝
~ 悪魔城ドラキュラ ギャラリー オブ ラビリンス ~




1944年

ヴァンパイア・ハンター エリック・リカード 死す。

享年50歳



世界中に深い爪痕を残した第2次世界大戦終の最中、報われぬ魂の怨念により突如復活した悪魔城。
その城主はドラキュラでは無く、姦策により魔王の復活を阻みつつ城を横取りしたブローネルだった。

討伐に乗り出したエリックだが、魔王の力の象徴である悪魔城を支配したことで
ブローネルの力は遥かに増大しており、返り討ちにあってしまう。

城へ旅立つ時、エリックは娘たちに「何があってもここには来るな」ときつく命じていたが、
帰らぬ父を心配するあまり姉妹は悪魔城に入城してしまう。探索の果て、瀕死の父を見つけるもその時生じた隙を衝かれ、
エリックの目前でブローネルに血を吸われ、ヴァンパイアの眷属に加えられてしまった。
こうして大切な者を吸血鬼にされる2度目の絶望を味わいながら彼は力尽き、リカード家の系譜もここに絶えた。

しかし、絶命する寸前に彼は魔力で己の魂を城に繋ぎとめることに成功する。
地縛霊となった彼は城内の魔物や悪霊の影響を受けずにいられるが、
その代償として結界を張った部屋から外に出ることができなくなってしまった。

己の意志を託すに足る次世代のハンターを待つエリックの前に現れたのが
教会の依頼で悪魔城の調査に派遣されたジョニーの息子、ジョナサン・モリス
天才的な資質を持つ魔法使いの少女、シャーロット・オーリンのコンビだった…




以上の顛末で『本編開始前に死亡した先代主人公の幽霊』という衝撃的な形での再登場を果たす。
担当CVは福原耕平氏。当初は『ウインド』という偽名を名乗っており、素性を明かすのは中盤。
ジョナサンらがヴァンパイアとなったリカード姉妹と交戦した後である。

壮年といえる年齢にさしかかっているが実年齢の割にはかなり若々しい。
ハンサムな男性なのは変わらないが、服装は羽根つきの帽子にロングコートと
ハードボイルドな雰囲気にものに変化している。

幽体ゆえに青一色のグラフィックであることに加え、
手にした長い髪といったエリックを象徴する記号が無くなったこともあり、
『バンパイアキラー』の続編にあたる作品とはいえ、初見でウインドの正体を見破れたプレイヤーは
ほとんどいなかったものと思われる。

ゲーム内ではジョナサンたちに試練(一種のおつかいイベント)を与え、
それをクリアしてみせることで生前彼が会得した技や魔法、入手したアイテム等を授けてくれる。
クリアするほどに選べるスキルが増え、通常では手に入らないレアアイテムもゲットできる有難い存在。

ストーリー的にも彼の言葉によりこれまで触れられなかった
モリス家やリカード家の宿命についての公式設定が明らかにされるなど重要な役回り。
ジョナサンがブローネルを討つ過程でヴァンパイアとなった娘たちが斃されることには覚悟を決めている。

また、浄化の魔法『サンクチュアリ』をシャーロットが習得し、
姉妹を人間に戻すことに成功しても、一族のハンターとして使命を全うすることを優先させるために
自分から娘に会おうとしなかった(姉・ステラも同様の判断をしている)。
結局親子が対面できたのは、ジョナサンとシャーロットが悪魔城を落とした後だった。

城そのものと魂を結び付けていたため、その崩壊と共に消滅する運命にあったエリックだが、
その間際に2人の若きハンターに感謝の念を伝え、娘たちに冒頭の台詞をかけ、消えていった。










✝余談✝


★『バンパイアキラー』で、実際のゲーム内のグラフィックでは青緑色の髪なのにOP/EDの画像ではブロンドになっている。
これは元々緑髪だったのを、途中からカラー指定が金髪に変更となったが納期に間に合わず部分的にしかカラー変更ができなかったかららしい。
ジャッジメントで描かれた過去の彼が金髪碧眼なので、公式もそれで落ち着いたか…?と思わせておいて、
『ギャラリー』における生前のウィンドを描いた公式イラストでは濃いグレー系の髪色になっている。
生涯徹してとにかく容姿が落ち着かない人である。


★公式ではウインド=エリックの享年は50歳とあるが、本来の生年月日から計算すると52歳になる。スタッフやっちゃったな!


★『ギャラリー』では若きハンター達を導く師匠格として様々な奥義を伝授してくれるエリック。
しかしTASにおいてはイベントや会話シーンは速攻で飛ばすべき要素にすぎず、
神速で城内を蹂躙するバカップルと化したジョナサン&シャーロットは彼の言葉をろくすっぽ聴きもせずに
技やアイテムを巻き上げていく。この時、エリックに話しかけた時の挨拶「調子はどうだい?」と、
試練をクリアした際の賛辞「よくやった」がスキップされた結果くっついてしまい
「ちょwwwよくやったwwwwww」という空耳になることがプレイヤー間でネタになり、
以降も悪魔城TAS関連での賞賛の言葉として定着することになったのだった。
なお、このセリフ自体はクエストの報酬を受け取る際に「○○を手に入れた」と表示されている時にスタートボタンを押してクエスト画面から抜けると報酬をまだ受け取っていないものと扱われるバグを利用して報酬を不正受給するプレイヤーであればよく耳にするものである。


★悪魔城シリーズのグラフィッカー・しずもん氏の手掛ける公式4コマ漫画では
回復魔法の伝授をエサにしてシャーロットにシスターのコスプレを強要したり(ただしゲーム内でもシスター系の装備一式を装備していないと教えてもらえない)、
体力増強の代わりにケーキを集める試練をさせておいて2人が苦労して持ち帰ったケーキを見るなり
「でも俺今甘い物って気分じゃないから・・・」「やっぱ肉持って来い!!(以前の体力増強の試練がステーキの入手)」
と言い放ったりと我儘放題のフリーダム地縛霊と化している。

ただ、別の4コマでは似たような流れで2人を食材集めに奔走させておいて、
オチのコマでその食材を使ったオムレツを作って「食え」と振舞うなど憎めないところも。






こんな項目しか建てられないの?がっかりだな

…………

次の試練だ。誰が見ても納得のいく追記・修正をしてみせろ
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最終更新:2023年06月09日 16:13