夜科アゲハ

登録日:2014/09/20 (土) 3:40:00
更新日:2024/01/22 Mon 07:26:54
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強くなりてェ、有無を言わせねェ世界を変える力が欲しい




夜科(よしな)アゲハとは『PSYREN-サイレン-』の主人公。
VOMICでの声優は櫻井孝宏


◆概要

白瀧高校のトラブルバスター(+メーカー)で報酬一万円でトラブルを解決する何でも屋。
しかしそれは善意から来る行動ではなく退屈な日常を紛らわすためのものであり、持ち前の暴力を振るえる場所を探しているだけ。
ただ日常に不満を感じつつも無闇に暴力を振るう狂人ではなく、他人を思いやる優しさも持ち、子供にも好かれている。
「ある条件下」で無い限り、まともな部類の人間である。
徐々に明らかになっていく彼の本質を知る者からは度々その危うさを指摘されているが…
家族関係は姉のフブキと父の朱鳥。
母は早くに他界し、父は単身赴任中なので姉と二人暮らし。

ある日偶然ネメシスQと出会った事で赤いテレホンカードを手に入れ、失踪した幼馴染みで同級生の雨宮桜子を救うためにサイレンに関する事件に巻き込まれていくことなる。


ジャンプ公式サイトで「ハゲア」と名前を誤植されたことがある。




◆能力資質と固有能力

PSI能力の内得意なのはバーストとライズ。
ライズは身体能力強化と感覚強化のバランスがとれたものを扱うスピードタイプ。


  • 暴王の月(メルゼズ・ドア)
周囲のPSI反応に無差別に襲い掛かり、触れたもの全てを消し去る黒い球体状のPSI。
超高密度のバースト波動の塊がブラックホールのようにPSIを喰らい続け、内部に取り込む性質を持つ。つまり直撃すると即死する。
分かりやすく例えるとコイツと同類の能力主人公が持つような能力じゃねぇ!
作中最高の攻性能力を持つものの、コントロール不可能かつ恐ろしく脳に負担がかかるPSIで、しかも形状の維持にも常に一定のPSIを吸収する必要がある。
対策を講じなければ問答無用のガー不即死攻撃という癖しか無い能力に反してそのシンプルさから応用性は非常に幅広い。


  • 暴王の流星(メルゼス・ランス)
エルモアウッドの子供達のアドバイスを受けてバーストストリーム(PSIの脳への負荷を軽減する技術)とプログラム(PSIに法則を組み込む技術)を習得したことで生まれた、暴王の月(メルゼズ・ドア)を扱いやすく改造した技。
以下の改造は全てこの技術の応用である。

具体的には出力やPSIの吸収限界は低下したものの、「前方高速射出」「射出から30mでPSIホーミング」「2段階のホーミング」のプログラムを事前に組み込んでいる。また追尾機能を利用し狙撃を回避した相手への斬撃に繋げることも可能。ビジュアル的にはウォーターカッターに近いか。
本来の「PSIに反応しあらゆる物質を喰らい尽くす」性質はそのまま(というか無理に変えると大きな負荷がかかる)なため必殺の狙撃及び斬撃として機能する。
対処法として、複雑なプログラムではないので囮のPSIを放てばそちらを感知してしまい、狙いをそらすことが可能。


  • 暴王の円盤(メルゼズ・ディスク)
「PSI感知範囲5m」「その場に留まれ」のプログラムを組み込んだ近接防御用の運用。
暴王の月(メルゼズ・ドア)の「動き回ってPSI反応を喰らう」性質に反するプログラムを加えた結果、その場で高速回転する円盤(ディスク)になった。

PSIを吸収し、触れることもできない無敵の盾となるが、PSIを喰らいすぎると膨張・鋭利な枝状に変形し、PSI反応に襲い掛かる。
やっぱりコイツも即死技である。

防御プログラムとしてぶっつけ本番で編み出した技故に、アゲハ自身もこのような形になるのは予想外だった。


  • 暴王の渦(メルゼズ・ボルテクス)
自身をドーム状に覆う複数の輪に沿って小型の暴王の月(メルゼズ・ドア)を高速移動させ、周囲の物体を猛烈な勢いで吸引する。
炎や毒ガスなど、身の回りを取り囲む攻撃に対する防御として編み出した。だがPSIを激しく消費するため、長時間は使用できない。
また、性質上一点突破の大出力攻撃に弱いと思われる。


  • リング開放 攻撃モード“裂弾(スプラッシュ)
暴王の渦(メルゼズ・ボルテクス)」の派生技。
リング部分を解除し、リングと連結していた球を遠心力で渦の外側にばら撒く技。
球は小型の暴王の月(メルゼズ・ドア)であるため、球の軌道上の物体は削り取られることになる。
一帯に暴王を弾け飛ばすので、使う時は1対多数の状況が望ましい。


  • 暴王(メルゼズ)
「PSIを構成する4番目の力」にして最終段階であるノヴァに覚醒したアゲハが発現させた暴王の月の真の姿。
アゲハ自身が暴王と同化。全身が黒く染まり表情も見えなくなる。
そして背中に曼荼羅のような形状の「暴王の渦(メルゼズ・ボルテクス)」を、周囲に「暴王の月(メルゼズ・ドア)」を展開する。
瞬時に「暴王の流星(メルゼス・ランス)」を無数に生み出して弾幕を放ったり、打撃そのものに暴王の特性を付与したりとこれまでに開発した派生技全てを瞬時に展開し操る能力。
攻防全てにおいてあらゆる能力が飛躍的に向上しており、作中最大の強敵だった天戯弥勒は愚かラスボスすらも終始圧倒したトンデモ能力。
発動後の姿は誰がどう見てもラスボスにしか見えないことも特徴。
おまけにこれを使用して以降アゲハは暴王の月を使用しても頭に痛みを感じなくなった。

文字通り完全無敵となる能力だがその代償も大きく、負荷が大きすぎるため長時間の使用は命取りとなる諸刃の剣。
事実、最終決戦での反動によりアゲハは廃人になりかけた。




欠点は総じて消滅即死攻撃なので、手加減が効かず対人戦に向かないこと。非殺傷モードなんて生易しい機能はない。
加えて無敵ではなく、同質量の高密度バーストなら相殺することができる(まず簡単に用意できるレベルのものではないが)。
『NARUTO』の螺旋丸がどんどん威力を上げる方向に進化していったのと比べ、メルゼズは元々攻撃力が突き抜けていたため「使い辛い即死技をいかに当てやすく、様々な状況に対応するようにできるか」に焦点を置いて改造している。どちらにせよ物騒である。




◆来歴

雨宮を追ってサイレン世界に踏み入れてからは現代と2つの世界を行き来する中で脳の感染によるPSIの覚醒、同じサイレンドリフトの朝河飛龍、望月朧、霧崎カブトらと出会い、雨宮の師である八雲祭や天然のPSI能力を持つエルモアウッドの子供達との制御訓練を重ねながらサイレン世界の謎について追求していくことになる。

3度目のドリフトで、霧崎カブトの叔父、霧崎塔二の山荘で発見したDVDの映像により宣戦の儀でエルモア・ウッドの子供達がW.I.S.Eに返り討ちにされることを知り、W.I.S.Eに対して憎しみを抱くようになる。
その後W.I.S.E第5星将ドルキと交戦。霧崎兜と連携し暴王の流星によってあと一歩まで追い詰めるも第3星将シャイナによって殺害は叶わなかった。
このあたりから異常性が明確に現れ始め、自身をして「相手が人型であろうとも一度心に決めたら後は何も感じず 命を奪う時でさえも自分でも驚くほど冷静」と称する冷徹な精神性を見せる。

帰還後にエルモア・ウッドの子供達の死亡を回避させることを目標に行動するがDVDの映像は子供達の死から変わらず、悲痛な気持ちを抱えたままネメシスQによって4度目のドリフトへ誘い込まれる。


ドリフト開始地点の付近でシャイナとドルキに待ち伏せをされ、朧、飛龍と分担されてしまう。再戦したドルキに暴王の流星の弱点を突かれ絶体絶命の危機に陥るも、成長したエルモア・ウッドの子供達によって救出される。
4度目のドリフトに招集される直前のアゲハの行動により、エルモアの死亡は回避され、それにより子供達の死亡も回避されていたため、未来が変わり子供達との再会が叶ったのだ。


その後、ネメシスQの主の救出に向かった夢喰島でネメシスQの主と出会いの正体とサイレンの目的を知る。彼女は国家機密研究組織「グリゴリ」に在籍していた実験体07号。W.I.S.E創始者天戯弥勒の双子の姉である(ちなみに弥勒は実験体6号だった)。
その目的は「最終地点」にサイレンドリフトを送り込むこと。
自分の勝手で命を奪った彼女にアゲハは激怒する。その後、Qの主の力により、シャイナの手で行方不明となっていた飛龍や朧の生存を確認するも、天樹の根を危険にさらすことを避けるため二人の捜索を諦め、二人は現代に帰還した。


帰還後は、早々マスコミから望月朧失踪事件当事者の疑惑を掛けられてしまい、ほとぼりが冷めるまで雨宮や姉と共にエルモア邸で暮らす事になった。
ウロボロスの事を聞くために訪れた父親の研究所で弥勒を知るかつてのグリゴリの研究者、射場公一と出会い、弥勒のPSYを無力化できる彼の脳内チップPacsの存在を知り、封鎖されたグリゴリの研究所に祭と侵入する。
また、侵入後に研究所の様子を見たアゲハは、グリゴリに関わる人間の醜悪さとそれを許容する世界に憤りを感じ「世界を変える力が欲しい」と発言をしている。これに対し祭は「守る力じゃないのか」と問うが、アゲハは「どっちだっていい」と答えている。
潜入中、協力者の遊坂葵が実はW.I.S.Eの構成員であった事が発覚。
遊坂との侵入前の接触によって祭がウイルスに感染し、毒ガスによる攻撃を仕掛けてきた為に状況を打開すべく「暴王の渦」を編み出す。
その後合流した雨宮と共に遊坂と戦い勝利。
しかしこの際遊坂は虫の息ながら息絶えておらず、最後の力で爆薬を生成。
これにより研究所を爆破させた為、アゲハ達は目的を達成出来ずに研究所を脱出する事になった。




◆警告はした


祭がウイルスに感染してから、遊坂はPSIで作った分身を通じてコンタクトを取りに来たのだが


「あ?フザけたことぬかすな 今すぐマツリ先生を治さねーと 殺すぞ

「いいのかなァこの俺にそんな上から目線で物言っちゃって…」

*1 「警告はした」


警告を無視した相手に交渉の余地が無いと見るや、敵とはいえ生身の人間*2相手に躊躇無く即死攻撃を撃ち込み、能力の解除を図ろうとする少年漫画の主人公という凄まじい場面。*3
また後の展開で遊坂の死亡に伴い毒は消滅しているので、能力者本人を殺すという判断自体は正しかったといえる。

ただし別にアゲハは快楽殺人鬼や殺人衝動を持った狂人ではなく、ただ状況に応じて倫理観を捨てて最も効率的な行動を選ぶことが出来る*4人間であり、祭からも「絶望的な状況に陥るほど潜在的な危機判断力と力を発揮する人間」と評されている。
しかし自分がおかしくなっていくことへの葛藤もなく、年相応に恋したり他人を想う人間性を保ったまま力をつけていく現代社会の一高校生というのもそれはそれでぶっ壊れている気がする。








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最終更新:2024年01月22日 07:26

*1 次のページで遊坂に無言の「暴王の流星」を撃ち込みながら

*2 分身であったことは攻撃した後にわかった

*3 その後邂逅した湯坂の本体にも、明確な殺害の意思を持って攻撃し致命傷を与えているが、その場で絶命させるには至らなかった

*4 そのためなら殺人への意識ブレーキも驚くほど軽い