ガーゴイル(ふしぎの海のナディア)

登録日:2014/09/12 Fri 02:20:57
更新日:2023/09/16 Sat 15:37:40
所要時間:約 7 分で読めます






\ネオ!アトラン!/
\ネオ!アトラン!/
\ネオ!アトラン!/
\ネオ!アトラン!/
\ネオ!アトラン!/
\ネオ!アトラン!/






愚か者の辿る末路だ……



ふしぎの海のナディア』の登場人物。
CV:清川元夢

古代アトランティスの科学力で世界征服を目論む悪の秘密組織・ネオアトランティスの総統。
上下真っ赤な背広に「第三の目」が描かれた尖がり頭巾の仮面を身に着けた一度見たら中々忘れられないほど異様な外見が特徴の男性。
ファンからの愛称は「ガー様」「冬月先生」。

自らを「」「古代アトランティス人の末裔」と称し、アトランティスの名の下に人類を支配することを目的とし組織を使い、軍事・経済などの多方面で、それも世界規模の暗躍をおこなっている。
その目的のためなら罪なき人々を虐殺し、時には非の無い部下の命をも平然と奪う。そしてそれらの行為を「合理的に事を進めているだけ」と言い切るなど、性格は正に冷酷非道。

古代アトランティス人の文化を崇拝し科学技術を絶対視する。
一方でアトランティス人を含む多くの人々が眠る墓地となった海底の旧アトランティスを「ガラクタ」と称するなど、あくまでもアトランティス人の力や技術を好んでいるに過ぎない。
同時に「愚かな生き物」「信用が置けない」「放置すれば、この星ごと滅ぶだけ」と現代の人間が持つ感情、その存在そのものを嫌っている。

その尊大かつ不遜な物言いや仮面で表情が見えないことも相まって得体のしれない恐怖とカリスマ性を視聴者に感じさせる。
しかしロマンチストな一面も垣間見え、仮面の下からどこか人間臭さが滲み出ている不思議な人物である。常に余裕を崩さない言動の持ち主であるが、それは油断や慢心との表裏でもあり、そのために何度も辛酸を舐めているのが、一向に反省せず、自身の成功・勝利を疑わない姿勢を崩さなかった。


また、指示を出す際口では言わず指パッチンで行うことが多いのだが、手袋をしているのに綺麗な指パッチンが出来る
部下が出てきたり引っ込んだりレーザーが発射されたりと指パッチン一つで様々なことが起きる。
この指パッチンこそガー様最大の魅力の一つである。



本編には第六話から登場。
ナディアの出自についてなんらかの事情を知っており彼女が持つブルーウォーターを狙う。
また敵対するノーチラス号、ひいてはネモに対して執着とも取れる対抗意識を持っており彼とも浅からぬ因縁がある様子。




以下、ネタバレ








彼の本当の名前は「ネメシス・ラ・アルゴール」。
古代アトランティスの系譜を受け継ぐ旧タルテソス王国の宰相であり、当時国王だったネモの友人であった。現在の年齢もネモと同じ46歳。
ナディアのことを知っていたのも、彼女の父親であるネモと共に生まれて間もない彼女を見守る立場にいた人物の一人だったが故。
だが、「アトランティス人が人間を管理し再び地上を支配するべき」と考えた彼は、「人間との共存、ひいては完全な同化」を方針としたネモといつからか衝突するようになっていた。

そして本編の十三年前に王妃、つまりネモの妻が爆破テロで暗殺された(断言されていないが、ほぼ間違いなくガーゴイルの仕業)際にその亡骸からブルーウォーターを盗み出し、そのままクーデターを決行。
これによりネモを力づくで押さえ付け、同時にネモの息子のビナシスをネオ皇帝として祀り上げタルテソス王国をネオアトランティス帝国に変えてしまった。(ガーゴイルという名はこの時から名乗っていた)
国の乗っ取りを成功させたガーゴイルは、今度は世界支配の力として使うべく永きに渡って封印されていたバベルの塔を復活させようとした。
しかし試射が行われようとした土壇場でガーゴイルの手を逃れていたネモが制御装置であるブルーウォーターを取り外したことでバベルの塔は暴走・崩壊。
塔の周囲へ溢れ降り注いだバベルの光によって旧タルテソス王国はその国民のほとんどと共に焼き尽くされ滅びてしまった。


しかし辛くも生き残っていたガーゴイルは世界を支配する野望を捨てておらず、世界各地の遺跡などを研究して得た古代アトランティスの科学力を使い十余年を掛けて秘密組織ネオアトランティスを作り上げる。同時に死にかけたネオの体を機械化・洗脳し自身のあやつり人形として使っていた。
そして同じく生き残ったネモが率いるノーチラス号と戦いを繰り広げていたのだった。


上記の通りかつてはネモと友人関係にあり私生活でもチェスの相手をするなど親しくしていたが、クーデターを機に袂を分かち、以来宿敵と言うべき関係になってる。
しかしガーゴイル自身はネモとのかつての関係に執着している節があり、劇中でもネモに対し「アトランティス人の王として再び手を組もう」と申し出たこともあった。(当然取り付く島も無く拒否されているが)
中盤、空中戦艦でノーチラス号を撃破した直後の空中戦艦内で部下たちを参加させ、わざわざ大きな遺影まで用意してネモの葬式(という体の祝勝会)を大々的に行っている場面は彼のネモに対する感情の裏返しでもあったのだろう。





物語終盤、ネモとナディアのブルーウォーターを手に入れたガーゴイルは一万二千年の間眠っていた巨大宇宙船レッドノアを始動。
全世界に戦争を仕掛ける。
ちなみにガーゴイルはこの時背広から赤いボディスーツマント、仮面の付いた金属製のアーマーに衣装チェンジしている。

その後、ネモ達がレッドノアと同じ古代アトランティスの遺産であるN-ノーチラス号と共に登場。
遂にパリ上空で最終決戦が開始された。

二つの船は互いにレーザー砲やバリアを駆使し一進一退の攻防を展開(とはいうものの、終始レッドノアは優位であり続けていた)。ネモのしつこさに苛立ちを強めていたガーゴイルは一気に勝負をつけんとレッドノアを浮上させ、戦場はパリから宇宙空間へと移行する。
レッドノアの放ったバベルの光でN-ノーチラスは追い詰められるも、グランディス一味の活躍でバベルの光は破壊され、その隙をついたN-ノーチラスはレッドノアに取りつくことに成功する。

乗り込んできたネモ達を玉座の間に通し自ら姿を現したガーゴイルは神前裁判と称して操ったナディアとネオにネモを銃で撃たせる。
しかしN-ノーチラス号のビーム砲撃で制御装置が破壊されたことで意識を取り戻したネオが起こした奇跡を目の当たりにしたガーゴイルは驚愕。しかし、もはや自身の傀儡から脱したネオを用済みとばかりに殺してしまう。
これによってレッドノアは制御を失ってしまうのだが、ガーゴイルは尚も諦めない。
死亡(殺害)したネオの代わりにナディアに協力を迫り、脅迫のためにジャンの命をあっさりと奪って見せる。だが直後に捨て身で玉座の間に直接突っ込んできたN-ノーチラスのビーム砲撃を間近で受けて吹き飛ばされる。

全身がボロボロになる重傷を受けながらもなんとか生きていたガーゴイルはナディアがブルーウォーターの力と引き換えにジャンを生き返らせようとしているのを目撃。
それを阻止しようとしたガーゴイルは、「ブルーウォーターの放つ光の中で生きられるのはアトランティス人だけだ」というネモの制止の言葉も聞かず二人に近づきブルーウォーターを奪わんとした。
しかしナディアたちを包むブルーウォーターの光に触れたガーゴイルの肉体は急速に塩へと変化し始める。


彼はアトランティス人ではなく人間だったのである。


自分自身が「愚かな生物」であったこと、これまでしてきたことが全て只の幻に過ぎなかったことを知ったガーゴイルは驚愕と失意の中、かつての友たちに別れを告げると完全に塩と化し死亡したのだった。






【台詞】


「素晴らしい……世界を再び我らに跪かす神の光だ」
バベルの塔(レプリカ)から放たれたバベルの光を見て呟いた言葉。ちなみに同じ光を見たネモは「世界を再び滅ぼす悪魔の光」と呼んだ。

「勇敢な少年だ……愛の為せる業、か…」
人質となったナディア、マリー、キングを助ける為単身基地に乗り込んできたジャンの行動に対し漏らした独り言。
この一件から終盤でもジャンのことを「勇敢な少年」と呼んでいる。

ネモ「バリアか!?」ガーゴイル「その通りだ」
バベルの塔や空中戦艦などのバリアでノーチラスの攻撃を防いだ際に行われる定番のやり取り。N-ノーチラス出現時のみ逆バージョン。
ちなみに二人は通信などはしておらず実際は互いに独り言である。

「どこまでもワシの邪魔をするつもりか、ネモ君…」
パリに上空でN-ノーチラスと対峙した際の台詞。最後の最後まで自分の野望を阻もうとするかつての友に対する静かな怒りを滲ませている。

「感謝されても恨まれる筋合いは無いよ」
ネオの自我を消したことに憤るネモに対する台詞。悪びれるどころか「延命してやったのだから感謝しろ」と告げる彼の非道な部分を端的に示した言葉。

「用が無くなったからね、処分しただけだよ」
自身に逆らったネオを殺したことに関してナディアに向けて言い放った台詞。

「そうか…さらばだ…」
塩と化しながら遺した最後の言葉。自身の半生を賭けた野望が最初から間違っていたことを悟りながらも、外れた仮面の下のどこか穏やかな表情と共に消えて行った。


「ノオオオ!違う!あれは技術上の問題だ!断じてネモに負けたのではなああああい!!」
マリーに「前の(バベルの塔)はノーチラスに壊されちゃったのよね」と言われて思わず出た台詞。やはりネモに負けたと言われるのは心底嫌な様子。

「渋カジが、山へ行ったら、山火事だ」
マリーにバベルの塔第二号炉を木端微塵にされた際にショックのあまり脱力し放った台詞。




【余談】

  • 彼を含めネオアトランティス兵が皆仮面を付けているのは、庵野秀明によると「人間として描きたくなかったから。昔の悪の組織の戦闘員みたいに、キャラクターを持ってないものは顔を付けたくなかった」とのことである。また声優に関しては基本的に他のキャラクターとの兼役で、ネオアトランティス兵としてはクレジットされていない。

  • 「ナディアおまけ劇場」では本編とは打って変わって完全ギャグ調のガーゴイル様を見ることが出来る(一応カッコいい演説をしているものもある)。

  • 本編中はっきりと素顔が描かれる場面は無かったが後にDVD-BOX(2001年版)の箱絵で描かれた素顔は同じガイナックス制作の『エヴァ』の冬月コウゾウそっくりであった。中の人も同じであるため両者はよく話題にあがる。

  • メガドライブゲームでは、最初は外の世界に憧れていて、外の世界へ旅をしていたネモの話を聞いて居ても立ってもいられなくなり、家族で世界旅行を決意したが、旅行中不運にも盗賊団に襲われ、妻子を惨たらしく殺害された挙句、自身も顔に深い傷を負ったため、悲しみと絶望のあまり人間への復讐を決意したという設定になった。ちなみに素顔は上述のとは全く異なっており、前述の事件で左目に傷が走っているほか、髭を蓄えている。

  • 企画のルーツ的にはムスカと親戚のようなもの。

  • ゲーム『スーパーロボット大戦X』にも登場。地味に清川氏はスパロボには本作が収録初参加。
    共通ルート13話にて自軍部隊に顔見せし、以降も度々空中要塞を駆って自軍と激突、最終盤でレッドノアで決着戦を迎える事となる。
    クロスオーバー面ではエンブリヲと二大悪役巨頭として共謀する場面が目立つ。




追記・修正に全力を尽くしたまえ

君の責任は後で問うことにしよう


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  • 冬月先生←一応別人です
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最終更新:2023年09月16日 15:37