ヘクター(悪魔城ドラキュラ 闇の呪印)

登録日:2014/09/18 (月) 07:46:07
更新日:2023/09/11 Mon 20:43:08
所要時間:約 15 分で読めます






魔の力よ ここに収束せよ

理無き魂のしらべを 我が命によって奏でよ

人の世に非ざる者 無垢なる魂

ここに生まれ出でよ!!





ヘクターはPS2専用ソフト『悪魔城ドラキュラ 闇の呪印』の登場人物。
CV:吉水孝宏


概要

本作の主人公である悪魔精錬士。年代的にはラルフ・C・ベルモンドの活躍した『悪魔城伝説』世代の人物
(『闇の呪印』の舞台はその3年後の1479年)。

人の身でありながら魔王ドラキュラ伯爵に仕えていたという異色の経歴の持ち主。
自分だけに従える悪魔を作り出す禁断の秘術『悪魔精錬術』を修め、
かつては伯爵の側近中の側近・死神に並ぶ力を持ち魔王軍最強の呼び声も高かった。

生来闇を引きつける力があった為に迫害され、少年時代からどこにも居場所を見つけられずにいた結果、
錬金術・ひいては悪魔精錬術の力を手に入れて魔道を志すようになり、
そうした者たちにとってのカリスマであるドラキュラ伯爵には心からの忠誠を誓っていた。

しかし、伯爵が愚かな民衆に妻を殺された怒りから人類に宣戦布告し、大虐殺を始めたことに疑問を抱き出奔。
以降は市井に身を隠し隠遁生活を送っていた(ゆえに彼は直接的にドラキュラの悪逆に加担してはいない)。

その間、落ち延びた先の教会で出会ったシスター・ロザリーと相思相愛の関係となり、
ささやかな幸福を手に入れる。だが、離反者であるヘクターを憎む魔王軍の残党にして
もうひとりの悪魔精錬士変態アイザックの虚偽の密告により
ロザリーは魔女の嫌疑をかけられ、異端審問官に売り渡された挙句惨殺されてしまう。

既に悪魔精錬士としての力を捨てていたヘクターは何も出来ずに最愛の人を失ったが、
わざといくつかの足跡を残していたアイザックを追跡し復讐を果たすべくかつての故郷ワラキアへと舞い戻った。



歴史の陰で戦った知られざる戦士だが、その内に秘めし強大な魔力
ドラキュラ城を復活させると同時にドラキュラの呪いを解く鍵にもなるという
の双方にとって希望にも絶望にもなりうる両儀的な存在。
時をかける中年サンジェルマンがマークし一時は実力行使にすら出たことからもわかるように、
本人は気付いていないものの、もしヘクターが呪いを克服するほどの心の強さを持ち合わせていなければ、
かつてない最強の形でドラキュラが再臨し、ベルモンドでも止められない脅威になっていた可能性があり、
そうした意味で悪魔城シリーズの歴史においては一大転換点に立つ重要な人物である。





人物像

物語開始時の年齢は24歳。実はラルフよりもいっこだけ年長。
ウェーブのかかった銀髪蒼い眼を持つ眉目秀麗な青年。深い青を基調とし、
無数のベルトや鎖をあしらった戦装束に長く吹き流しにしている朱いサッシュ(腰布)が特徴。
悪魔精錬士の力を捨てた後も、服装自体は魔王軍に籍を置いていたころのままらしく、いかにも『悪の軍団の美形幹部』めいた佇まいである。
また、服の背には悪魔精錬士のシンボルである天使と悪魔の翼・白と黒のウロボロスが組み合わさった紋章が
でかでかと貼り付けられており、それが原因でラルフには一発で素性を見抜かれている。隠す気はないんだろうか。
キャラクターイラストとゲーム画面内のグラフィックはかなり雰囲気が違い、イラストでは耽美ながら男っぽい野性味も感じさせるタッチである。

良く通る声と若干芝居がかった立ち居振る舞いが印象的。口癖は「いいだろう」。
人間としての芯が歪みかねない不幸な半生に加え、一時は魔王軍最強の悪魔精錬士というダークサイドの枢軸に属していたこともあってか
若干の自嘲癖がある陰を帯びた性格だが、対人面においてのモラルは意外な程しっかりしている。
初対面の人間にはきちんと自己紹介し、去り際に会釈するなど立ち居振る舞いもエレガント。

人の言うことにも割と素直に従い、勝手にあれこれと複雑な疑心暗鬼に陥っている相手に
拍子抜けするほど普通っぽいリアクションを返すこともある。シリアスな笑い要素はけっこう高め。

こうした冷静さは恋人を殺された憎悪に駆り立てられているという設定とのギャップがあるが、
実はヘクターの復讐心は人間の持つ負の感情を増大させるドラキュラの呪いの影響によって不自然に煽られたもの。
ドラキュラ城に入ってからはそれがより顕著となり、アイザックとの決戦時では「と っ と と 死 ね!!!」など
暴走に近い殺意となっていたが、入城前にジュリアと交わした約束が心を繋ぎ留め、
すんでのところで踏みとどまることに成功している。
このことから、本来は無念を復讐に転化するようなことはない自制心の強い人柄なのだろう。

…なお、錬金術の応用で多彩なアイテムを創造することができるが、
彼の作品の中には文化圏や時代背景をまったく無視した珍奇なものもあり、
混沌の産物であるドラキュラ城で腕を磨いた影響か相当にフリーダムな想像力&創造力の持ち主である。






能力

悪魔精錬士という肩書から魔法頼りの文弱な優男にも見えるがその闘法の真髄は
使い魔との一糸乱れぬ連携攻撃にあり、彼自身も軽やかな身のこなしに加え
剣・両手剣・刺突剣・槍・斧・ナックルダスター等とあらゆる武器と戦技を手足の如く操る超一流の武人である。
入手できる装備にはデッキブラシやフライパン、ピコピコハンマーといった日用品まであり、
その武芸は手に持ったものはなんであろうと凶器にできると言ってもよいレベルに達している。

この時代には異質なノウハウとして火器の扱いにも長け、各地に据え付けられた『魔砲台』を問題なく操作・命中させられる他、
自身の技術で調合した火炎ビン爆弾で魔物を焼き殺したり、携行式のガトリングガンを発明することも可能。
反面、真正のヴァンパイアハンターでは無いので従来作の定番であった聖なる力を宿すサブウェポンは一切使えない。

意外と手癖が悪く、相手の持つアイテムを盗む『スティール』の技巧にも優れる。



★悪魔精錬術

ヘクターが修めた『イノセントデビル』(以下ID)と呼ばれる自分専用の使い魔を創造する秘術。
よそから自我を持った悪魔を呼び出したうえで契約を結ぶいわゆる悪魔召喚術とは別物である。

神の御業である生命の創造を人の身で行うことから絶対の禁忌とされている。
ヘクター自身も一時は「忌まわしき力」として封印していたが、復讐のための手段として解禁。
以降はワラキア各地に点在するドラキュラの魔力が色濃く残る場所で創造したIDを駆使して戦うことになる。

確立された学問であると同時に芸術的な感性も求められ、ヘクター曰く、悪魔精錬に最も困難なのは精錬するIDのイメージ創り。
精緻かつ鮮明なイマジネェェェェェイショォォォォンが不可欠な作業である。
具体的にイメージを高めるための方法として悪魔を象った石像を媒体とすることもあり、ムービーで実演が見られる。

名前の響きからもわかるように錬金術とは近しい関係にあり、ゲーム内でもID以外にも素材を集めて
武器や防具といった装備を錬成することが可能。探索型悪魔城で多彩な装備が出てくるのは恒例だが、
自前の技術で装備を作ってしまえるというのはヘクターならではのスキルである。

最終決戦では魔力を別の形に変えることの応用で、ドラキュラの遺した呪いそのものを収束させ浄化・解呪させた。
ヘクターはこれを「最後の悪魔精錬」としており、
同じ術を使うアイザックもドラキュラの憑代となったことで死亡したため、後世には伝承されず、ヘクターの代で絶えたようである。

なお、エンディングでヘクターは「俺には人に見せられない友達が多い」と語っており、
悪魔精錬術で創造したIDそのものには親愛の情を持って接し、戦いが終わった後も処分したりはしていないようである。







椅子魔城ドラキュラ

本作のお遊びコレクション要素であり、ヘクターを語るうえで避けては通れないマストアイテム。それが『椅 子』である。
闇の呪印のセーブポイントは天使の翼の生えた石造りの玉座であり、
そこに腰かけることで翼がヘクターを包み込みセーブが完了するというオサレな幻想的で耽美な演出が入るのだが、
それとは別に全ステージ各所に種々雑多な『椅 -Chair- 子』が配置されており、○ボタンで座ることができるほか、
コルドバの街にある一室(ヘクターの隠れ家?)にコレクションすることが可能。

最終的には部屋中が椅子だらけという至極奇っ怪な様相を呈する。
また、この椅子の中にはヘクターの被造物同様、明らかに歴史的におかしいシロモノも紛れておりカオスに拍車をかけている。
城でなくても混沌の産物だろ…







余談

★『闇の呪印』には各ステージ間の道のりが遠く、非常に移動シーンがダルいという欠点があるのだが、
ヘクターの移動モーションに若干のクセがあることも加わり、『趣味はジョギング』というネタにされたりする。

★あらゆる武器を使いこなし、実際OPムービーではアイザックと華麗に剣戟で渡り合うシーンもあるヘクターだが、
プレイ中は固定装備がなく、なおかつアイテムを処分することも可能なシステムゆえ
ゲーム中のムービーで戦闘シーンになっても徹底して素手で戦うという不自然な演出になってしまっている。
そのため、ファンからは冗談交じりに『最後に頼るのは己の肉体』『大勝負だからこそ拳でケリをつける』
といった素手喧嘩(ステゴロ)番長のようなキャラ付けがされることもある。





Wiki籠りタイプ

部屋に籠りきりで運動不足のため連れ歩くには不向き。働くことは期待できないが、
しばらく放置しておくと知らないうちに項目が追記・修正されていることがある。
アニメやゲームといったサブカル関連の資料を与えると異なる属性に目覚めて非常に細分化された進化を遂げるが、
実生活でその知識が役立つことはほとんどない。

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最終更新:2023年09月11日 20:43