ONE PIECE FILM Z

登録日:2014/09/06 Sat 15:08:11
更新日:2024/01/27 Sat 21:08:31
所要時間:約 3 分で読めます







標的、全海賊。




ONE PIECE FILM Zとは、2012年に公開された『ONE PIECE』を原作とするアニメーション映画である。
劇場版としては12作目に当たる。


●目次

【概要】

監督は『ハートキャッチプリキュア!』の長峯達也、脚本は放送作家で大の『ONE PIECE』ファンと公言する鈴木おさむが担当。
また、総合プロデューサーとして原作者の尾田栄一郎も参加している。

尾田は前々作の『STRONG WORLD』の製作総指揮を担当していたが、原作執筆との兼ね合いによる多忙さ・当時の編集部が中々休載も許さなかったこともあり「二度と映画製作には深く関わらない」と考えていたという。
しかしその後何度も関係者から頼まれ、映画スタッフから何度も相談を受け、最終的には脚本や絵コンテの細かいチェックを行う総合プロデューサーに落ち着いた。

脚本の鈴木おさむは「原作と密接なストーリーを作りたい」と考えており、矛盾がないように尾田と会談を重ね、脚本を完成させた。
本編に先駆けて青キジが登場できたのもそのため。

そのためちゃんと原作に沿った時系列が考えられており、「魚人島編」の直後の話になるらしい。まぁ言われずともそれ以外考えられないが。ちなみにサニー号のガオン砲がアニメ初登場から5年にして初めて劇場版で使われた。

主題歌を世界的歌手のアヴリル・ラヴィーンが担当しているが、何気にアヴリル初の邦画楽曲提供となった。

今作にはゲスト声優として篠原涼子、香川照之が出演しているが、本作からは集英社の雑誌で活躍するモデルが端役として出演するようになった。
田中美保、佐々木希、西内まりや、「MEN'S NON-NO」から赤塚弘卓、大杉友兼、そして後の最高神岩永徹也が特別出演している。

映画公開時には、週刊少年ジャンプに全海兵の若い頃を描いた巨大扉絵を記載。
総集編「THE 24TH LOG」では、「当時の2人の担当に「コミックス全巻から海兵のいるコマを全部コピーしてくれ」と指令を出し、広辞苑の様な厚さのコピーを貰いました。そこから更に僕は見落としがないかチェックしてそいつらを全て20年若返らせつつ原稿に顔を描いていきました。」とその苦労を明かしている。


【あらすじ】

偉大なる航路の後半の海、新世界のとある島。
NEO海軍を自称する元海軍大将・ゼットらは巨大なエネルギーを持つ鉱物、ダイナ岩を盗み、その破壊力で全海賊抹殺を企てていた。

一方、新世界を航海中のルフィたち麦わらの一味のもとに、右腕に大型の武器を装着し、けがを負ったゼットが現れ、ルフィたちは介抱する。
しかし目覚めたゼットはルフィたちが海賊だとわかると突然襲い掛かり、サニー号は半壊。仲間も敵の能力にさらされてしまう。

「絶対的正義」を掲げNEO海軍殲滅を遂行しようとする海軍本部、そして独自にルフィ達と接触してきた元大将・青キジも交え、ルフィ達は新世界の命運をかけた戦いに挑むことになる。


【登場人物(ネタバレあり)】


麦わらの一味


ご存知我らがゴム人間。
時系列が二年後の新世界編なので、頂上戦争の時に負った胸の傷と、レイリーとの修行で身につけた高い戦闘力+覇王色を初めとする覇気の扱いが格段に上がっている。
実際二回敗北を喫するものも、元海軍大将と互角以上の戦いを見せる。

ご存知三刀流の腹巻き剣士。
こちらも二年間の修業の末にルフィに勝るとも劣らない実力者になったのだが、今作では活躍は少なめ。敵幹部クラスと戦えたのでまだマシか。

ご存知オレンジ髪の航海士。しかし今作では相手の能力により8歳へと幼女化してしまう。
凄く可愛いのだが、活躍は少なめ。

ご存知キャプテン・ウソップ。
戦闘シーンは雑魚海兵の相手ぐらいしかないが、ゼットに敗れたルフィを回収したりバナナボートで火砕流から逃れたりとそこそこ活躍はしている。
「海導」の合唱バージョンでの存在感は異常。

ご存知戦うコック。
一味の(多分)NO3としてこちらも二年間の修業でかなり強くなっている。敵幹部クラスと交戦し、ほぼ圧倒していた。

ご存知船医兼ペット兼非常食。
ナミと同様に若返りの能力をくらい、ただでさえ小さいのに余計小さくなるという事態に陥る。

ご存知お色気考古学者。
ナミやチョッパーと同様に敵の能力で12年若返っているが、元の年齢が年齢(30歳)なので何も問題はなかった(後二回触れられたら消滅していたが)。
若返って嬉しいんじゃないかとウソップに茶化された時は能力で締め倒している。

ご存知サイボーグ船大工。
もっぱらゼットに半壊させられたサニー号の修理にあたっていたため、映像として出ていた時間は多分一味最短。
それでも新兵器「フランキー将軍」にて相手の白くま軍団を一掃するという大活躍をする。

ご存知骨でアフロの音楽家。
上記三人と同じく敵の能力を喰らうが、何の変化も見られなかった。まぁ彼は51年間アフロ骸骨をやっていたので、5回は能力を喰らわないと変化しないのだろう。年齢的には90歳から78歳に若返った。


◎NEO海軍


「お前たちに最後の稽古をつけてやる!」
NEO海軍総帥にして元海軍大将。本作のラスボスであり、真の主人公。74歳。
非能力者ながらも武装色の覇気の達人で、現役時代は両腕に覇気をまとったその容貌から「黒腕のゼファー」と海賊たちに恐れられた伝説の海兵。
ガープやセンゴク、つるとは同期。

また教官として三大将や多くの現役中将達を指導したこともあり、ゼファー先生と呼ばれていた模様。

現在は対能力者用の兵器であるスマッシャーを失われた右腕の代わりに装着し、新世界に巣食う海賊たちを殲滅する新世界殲滅作戦「グランリブート」を決行するため暗躍する。

流石に今は老いのせいか全盛期より遥かに劣っており、特に心肺機能はかなり弱っている。それでも現役大将の黄猿と渡り合ったり、修行後のルフィを圧倒する戦闘力を誇っている。

最終的にはルフィの事を認め、彼を逃がす+好き勝手やった落とし前をつけるため海軍相手に向かっていき戦死した。
悲しい過去などがあるが詳細は個別項目で。

  • アイン CV:篠原涼子
NEO海軍の女幹部。劇中の台詞から恐らくNEO海軍中将(vice admiral)。ゼットの元教え子で、大型ナイフの二刀流や二丁拳銃を使った戦闘スタイル。
手から放つ光で相手を12年若返らせる超人系悪魔の実「モドモドの実」の能力者。対象は生物のみならず無機物にも効き、生まれてから12年経っていないものは喰らうと消滅する。重複も可能だが自分には効かない。
かなりの実力者だが、流石にゾロには及ばないようで本人もそれを認めつつ足止めに徹していた。またゾロ曰く、迷いがある模様。

何故かゼットに能力をかけて全盛期まで戻さなかったが、元来ゼットは能力に頼り切るのを嫌うため受け付けなかったのだろう(戦闘中に元の年齢に戻ったら大ピンチである)。
別世界では女刑事でビンズと結婚し、某アイドルグループ総監督として活躍する子供を持つ母親らしい。

  • ビンズ CV:香川照之
NEO海軍の幹部。ゼットの元教え子で、忍者風の男。
素早い動きで翻弄する戦闘スタイル。超人系悪魔の実「モサモサの実」の能力者で、植物の成長を促し操ることが出来る。向こうは自然系だが、大体はモリモリの実の下位互換と思えばいい。

こちらもかなりの実力者だが、サンジ相手には分が悪かったようだ。
同じ別世界ではアインの旦那で新聞記者をしているらしい。


海軍本部


現海軍本部元帥。公開当時は本編第2部で顔見せしてなかったためか、今作では声と首から下の映像のみ登場。
ゼットを「昔は世話になったが今は敵」と断じてゼット及びNEO海軍の殲滅を海兵達に伝えた。

「さよなら、ゼファー先生……」
二年前と変わらず大将。冒頭の戦闘シーンではゼットのことを先生と呼び、苛烈な攻撃を加え投降を呼びかけるが失敗、取り逃がす。
最終決戦後はゼットを葬るため攻撃を加え、討ち取る。この時はいつもの様に飄々とした口調ではなく、シリアスな口調だった。

因みにその飄々とした性格のせいか、ゼット曰く「昔から相性が最悪」とのこと。ゼファーからは能力に頼りすぎだと度々注意を受けていた。

海軍の英雄でルフィのじいちゃん。同項にもある通り肉親を喪った頂上戦争がきっかけか現在は肩書そのままで教官をしている。
ゼットとは同期なので彼の過去もよく知っており、なんともやるせない感情を抱いていた。

元海軍本部元帥で元同期。現在は一線を引き大目付として海軍にとどまっている。
ガープと同じくゼットの過去を知っており、同情に値するとする一方で、「無関係な一般人をも巻き込む彼のやり方は断じて許されるものではない」と発言した。

  • つる
海軍本部中将で元同期。
「ダイナ岩」の爆発に巻き込まれ生死不明になったゼットだったが、その力をよく知る彼女は会議の場で「これぐらいのことでくたばる男ではない」と断言していた。

  • その他中将の方たち
ドーベルマン、オニグモ、モモンガ、ストロベリー、ヤマカジなどなど多くの中将が前半の会議及び最終決戦の場に登場。
皆恩師であるゼットには思うところがあるようで、ゼットが討ち取られたのを目の当たりにしたドーベルマンは涙を流していた。


◎その他の登場人物


元海軍大将で現在の所属は不明。
原作に先駆けてルフィ達と邂逅し、ルフィ達にゼットの人となりと目的を語る。
容貌はあまり変わらないが、サカズキとの死闘で負ったと思われる傷跡が痛々しく、片足も失っており能力で作った氷の義足で代用している。

彼にとって一番の恩人はガープではあるが、それでもゼファーには世話になっており、よく一緒に酒を飲んでいた。
作中では、ゼファーの生き様を見届ける。ゼットに引き起こされた噴火に巻き込まれそうになった人を助けたり、ダイナ岩をまとめて凍らせて被害は止めていた。


◎用語解説


パシフィスタの改造型。恐るべき戦闘力を誇りNEO海軍の切り札として投入されるが、「フランキー将軍」に一掃される。

  • ダイナ岩
本作のキーアイテム。
卵型の形状をした手のひらサイズの岩石。酸素に触れ衝撃を加えると島ひとつ吹き飛ばすほどの大爆発を引き起こす天然危険物。その破壊力はあの黄猿をすら動揺させるほど。古代兵器にも匹敵する破壊力とされて厳重に保管されていたが、冒頭でゼット率いるNEO海軍に強奪される。本来はエンドポイント防衛の切り札だったらしいが、ゼットによって全く逆の目的で使用されることに。


  • エンドポイント
本作のキーポイント。
新世界にファウス島セカン島ピリオ島と3箇所あるマグマ溜まりのことで、もしそれらを全て破壊すると新世界を焼きつくす程の大破局噴火が起きるとされている。
表向きには調査の結果根も葉もないデマ情報であった...とされているが、実は真実。このエンドポイントをダイナ岩で吹き飛ばし、新世界に蔓延っている海賊を彼らの目標である「ワンピース」ごと葬り去るというのがゼットの目的。
当然そんなことをすれば他の大勢の一般人もろとも新世界が吹き飛ぶことになるが、ゼットの信念は変わらなかった。

  • 海導(うみしるべ)
作中で歌われる印象的な歌。冒頭では作中ではゼットの独唱ver、中盤ではクザンの独唱ver、ゼットが死を迎えるラストでは合唱verが使われ、合唱verだけはCD化されている。死にゆく海兵をたたえるための歌だが、それ故にクザンは「嫌いだった」と述べている。
作詞は今作の脚本も手がけた放送作家の鈴木おさむ氏。作曲はONE PIECEの音楽担当の田中公平氏。合唱verには麦わらの一味の声優陣などが参加している。


【評価】

初日2日間で興行収入13億7205万4050円・動員数114万81人を記録する。
動員数は「ハウルの動く城」が持ち続けてきた約110万人の記録を上回るもので、21世紀邦画最高記録を樹立する。興行収入も「ハウルの動く城」に次いで第二位である。

最終興行収入は68億7000万円で、前作の「STRONG WORLD」はもとより東映歴代最高記録となる爆発的なヒットを成し遂げた。
2012年公開の邦画興行成績ランキングでは「海猿」についで第二位、2013年間でも「風立ちぬ」についで第二位と近年を代表する映画作品となった。



追記・修正は3つのエンドポイント破壊を防いでから、よろしくお願いします。


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