青銅の鎧

登録日: 2014/08/27 Wed 01:30:43
更新日:2024/04/03 Wed 11:48:32
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青銅の鎧とは、青銅製の鎧である。
なお一口に「」と言っても、状況によって扱う範囲がまちまちなので注意。胴鎧が含まれる事はほぼ確実だが、胴鎧単体だったり、頭や手足等の他の箇所の防具とセットだったり、兜だけ別口だったり…。

(1) 史実においては、青銅器時代における主要な金属製防具。
銅と錫(スズ)の合金である青銅は、武具や道具の素材としては銅や金銀よりも優れていた。
錫の配分次第で硬度や色(白銀色→黄金色→赤銅色)も変わる為、様々な配分のものが装飾から実用品まで幅広く用いられた。

紀元前2550年から紀元前2350年にかけて存在したシュメール人の戦士は青銅製の兜をかぶり、金属製の兜は主力武器の一つであった鎚鉾や手による攻撃を防ぐことができた。
紀元前2世紀ごろの古代ギリシアや古代ローマでは、青銅や革でできた、1枚成形の四角や楕円の板を胸の前に肩紐で吊り下げ、脇下の紐で結わえ付けたような胸甲が使われていた。
イラン・イラクや中国、北アジアの遊牧民などでは紀元前の時代から青銅や鉄などの金属や革などの小片を丈夫な布や革の下地に紐やリベットで鱗状に貼り付けたスケイルアーマーの利用が見られる。
中国の周代には殷代同様の木や革を胸に当てる形式から、青銅製の一枚板で造られたものが出現した。春秋戦国時代に入ると、小さな長方形の札を革紐で縦横に綴った札甲が一般的なものになり、一般の兵士は革製の札を、司令官や将校などは青銅製のものを着用した。

但し、銅も錫も(特に錫は)採掘可能な地域の偏りが大きく、全世界に普及とはいかなかった。
竜の鱗から無尽蔵に得られる訳ではないのだ。
製鉄技術の発達に伴い、原材料の調達がより容易な鉄・鋼鉄に主流の座を明け渡す事となる。

(2) ファンタジー作品においては、鉄(鋼鉄)よりも一段下の材質の防具とされる事が多い。
例えば『NetHack』の青銅の鎧(bronze plate mail)は、鋼鉄の鎧(plate mail)よりACが1点分悪化している。
メダルでもお馴染みの金・銀・銅のランク付けからか、青銅聖衣は黄金聖衣や白銀聖衣より格下。
こうした概念は、(3)以降においても根底にある事が多い。

(3) 『超魔界村』に登場する鎧の1つ。着用中は装備武器が強化される。
但し上位の鎧と違い、魔法を使う能力は得られない。

(4) せいどうのよろい。ドラゴンクエストシリーズにおける、序盤~中盤辺りの店売り防具。
重量が結構あるせいか、着用者が限定される。
初登場は『4』。その後は何気にナンバリング作品では『11』まで皆勤賞。

(5) 《青銅の鎧》。デュエル・マスターズのクリーチャーの一体。
読みは「ブロンズ・アーム・トライブ」だが、公式非公式問わず「せいどうのよろい」と読まれる事も多い。
→この項目で説明






その力を借りたことの無い者がいないほどの英雄。




青銅の鎧(ブロンズ・アーム・トライブ)》とは、TCGデュエル・マスターズ」のクリーチャー。
基本セット第1弾「DM-01」で登場したビーストフォークである。


解説

青銅の鎧(ブロンズ・アーム・トライブ) 自然文明 (3)
クリーチャー:ビーストフォーク 1000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から1枚目をマナゾーンに置く。

能力は至ってシンプルで、場に出したらマナブースト。
レアリティはコモンで集めやすく、使い勝手もいい能力は発売当初からもてはやされ、特に初期はマナブーストの手段が少ないことや、クリーチャーとしても運用できる点から非常に好まれた。

現在ではマナブーストの種類も増えたものの、クリーチャーマナブーストは青銅をベースにカードデザインしているようであり、3→5のマナカーブを活かせるデッキであれば当然採用理由になりえる。現在使われるようなデッキはこんなところか。


デュエル・マスターズの誕生と同時に登場したクリーチャーながら、度々デッキが発売されると再録され、イラストもフレーバーテキストの多さもトップクラスである。ただし初期版はフレーバーテキストは存在しない。

  • 彼らが現れたら注意が必要だ。その後ろに龍がいるかもしれないのだから。(DMC-39版)
  • 自然あるところ青銅の鎧あり。(DMX-02版)
  • その力を借りたことの無い者がいないほどの英雄。(DMX-09版)

このようにフレーバーテキストでも自然文明の基本カードであり、その有用性、自然文明代表としての存在、そして使用者の多さを物語る。特にはじめたばかりのころは自然ならこいつ、なら《アクア・サーファー》、なら《デーモン・ハンド》は誰でも触ったことがあるはずのカードである。

またアニメ漫画にも度々登場しており、「クロスショック」では兄弟で登場。兄はさばきが優秀で切れ者だが感覚がずれており、弟は太っていて着地に失敗するが常識人である。また「ビクトリーV3」ではオラクルでないにもかかわらず、なぜか神かくしの能力を持っていて、探偵団を異変に巻き込んだ。このときのカードがなぜかエピソード2のものであり(エピソード3であり、また再録もされているのに)かつて死んだ少年のが持っているカードとしての不気味さを感じさせた。
アニメでも複数個体が登場しているからか、フレーバーテキストに本人が登場しても口調が一定しない。そもそも背景ストーリーは基本セットからエピソード3までの間に、2万年以上は経過しているのでその時代その時代ごとに青銅の名前を受け継ぐビーストフォークがいてもおかしくない。


派生カード

上記のような登場時期の古さから、派生カードも多く登場した。ここではそれについて触れる。

青銅の鎖鎌(ブロンズ・チェーン・シックル) 自然文明 (4)
クリーチャー:ビーストフォーク 2000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から1枚目をマナゾーンに置く。
シールド・プラス-このクリーチャーが破壊された時、自分の山札の上から1枚目を裏向きのまま、自分のシールドいずれかの下に置いてもよい。(こうして重ねたカードの束を1枚のシールドとみなす)

DM-28で登場。単純に1コスト上がってパワーとシールド・プラスがついてきただけのようなステータスだが、4コストというのが肝であり、2コストブーストの後に出すことで2→4→6のマナカーブが完成する。このため、《スーパー大番長「四つ牙(クワトロ・ファング)」》に繋げやすいのが利点。
とはいえ、普通に考えれば4マナある状態で3コストの《青銅の鎧》を出せば、残るマナが2マナになるので、《フェアリー・ライフ》を打って2→4→7というマナカーブを描くこともできる。そのため、特に初心者は何がいいのかわからないだろう。

このカードの肝は、四つ牙は6コストでいいことと、《ローズ・キャッスル》下では《青銅の鎧》は焼かれてしまい進化元にできないという点が重要になる。ビーストフォークビートダウンは進化クリーチャーに打点を頼るので、進化クリーチャーになりやすい、つまり場持ちがいい《青銅の鎖鎌》のがいいのではないか、という判断になるわけである。

ただしローズ・キャッスルがあまり環境に飛んでいないなら、当然《青銅の鎧》のほうが便利に決まっているので、そこらへんは採用を考える必要がある。また、ドラゴンがデッキ内に多く存在し、種族を問わない場合は《エコ・アイニー》という選択肢もあることから、4だからといって一概に《青銅の鎖鎌》を採用していいわけでもない。…1コスト増えただけなのにいろいろ考えなきゃいけないなあ。

斬込の哲(アイアン・アーム・トライブ) 自然文明 (4)
クリーチャー:ビーストフォーク/ハンター 1000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から1枚目をマナゾーンに置く。
このクリーチャーが破壊される時、墓地に置くかわりに自分のマナゾーンに置く。

とか言ってたら、逆に破壊されやすさを活かしたカードも出てきた。
要は登場時と退場時に二度美味しいクリーチャーとして登場したのである。
こちらのクリーチャーを破壊しながら発動する効果との相性は抜群で、ハンターデッキでは非常に美味しい上、ビーストフォークデッキでも闇文明と組み合わせると相手とのマナ差アドバンテージが大きくなる。

緑銅の鎧(ジオ・ブロンズ・アーム・トライブ) 自然文明 (4)
クリーチャー:ビーストフォーク/エイリアン 2000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札を見る。その中から自然以外のカードを1枚選び、自分のマナゾーンに置いてもよい。その後、山札をシャッフルする。

ハンター世界の《青銅の鎧》がアイアンなら、エイリアン世界のほうはジオ・ブロンズ。
青銅の鎧との違いは、コストとパワーもさることながら、今回は「自由に置くカードを決められる」点である。
単に要らなくなったカードを見極めてマナに置いてデッキ圧縮に使うのもいいが、逆に必要なカードをマナにおいて自然のお家芸「マナ回収」で手札に加えてしまってもいい。また進化クリーチャーを落として《母なる星域》を打つというのも十分あり得る選択肢。

一見鎖鎌に勝っているようにも見えるが、デッキ操作を3コスト域でしたい場合には引っかかったりするなど、万能というわけでもない。

真実の名(トゥルーネーム) 白金の鎧(プラチナ・アーム・トライブ) 無色 (7)
クリーチャー:ビーストフォーク/アンノウン 9000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から1枚目をマナゾーンに置く。
W・ブレイカー
ゼロの力に目覚めた青銅の鎧は、その体が白金に輝いていることに気がついた。

アンノウンのこのカードでついに青銅はエピソード1の全勢力に登場した(このカードはエピソード2だが)。
その効果は…流石に微妙と言わざるを得ない。詳細は個別項目へ。

無色クリーチャーで7コスト行かなのでゾロちゃんやアシッドで出せるが、それならパールジャムを出したほうが当たり前だがゴッド・リンクに繋げやすく、仮にゴッド・リンクを使わないとしてもだったらマナブーストも要らんのでジャスティスだのシューゲイザーだのオルタナティブだの弥勒だの出せばいいということになってしまいがちである。
恐らくは自然文明代表だったゆえに選ばれたものであろうが、7コストならいっそ2マナブーストくらいしていても怒られなかったろうに、残念。

正々堂々(マキシム・ブロンズ) ホルモン 自然文明 (3)
クリーチャー:アウトレイジMAX 1000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から1枚目をマナゾーンに置く。

種族がアウトレイジMAXに変更された同型再販。
「青銅→せいどう→せいせいどうどう」ときて、更に自然アウトレイジの命名法則に従った形で動物の生理活性物質「ホルモン」を名乗らせ、「正々堂々」を「マキシム・ブロンズ」と読ませて「マキシマムザホルモン」をイメージさせるというなんとも凝りすぎている名前である。

エピソード3時点では、ビーストフォークデッキよりもアウトレイジデッキのほうがデッキ構築した際に強かったこともあり、「本家より強いのではないか」と言われたことも。しかしドラゴン・サーガ環境になると、ビーストフォーク號の登場によって、青銅にも分が出てきた(同時にアウトレイジが下火になったことも大きい)。

ただし、それでも「多色のドラゴン・サーガデッキ」であることが基本となる。というのも…

青銅の面(ブロンズ・スタイル) ナム=ダエッド  自然文明 (3)
クリーチャー:ビーストフォーク(ごう) 3000
ガードマン
マナ武装3:このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分のマナゾーンに自然のカードが3枚以上あれば、自分の山札の上から1枚目をマナゾーンに置く。

ドラゴン・サーガ期になり、マナブーストだけでなくガードマンがついてきてコストも3000と他文明3コストバニラ並みの性能を獲得したのである(もっとも登場時点で自然では3コストバニラは既に4000が3体も登場してしまったが)。

自然が多くないとマナブーストができない難点はあるが、自然単色デッキや自然タッチ他色ではナム=ダエッド、多色デッキでは青銅という使い分けが想定されているのだろう。

青銅目 ブロンズザウルス C 自然文明 (5)
クリーチャー:ジュラシック・コマンド・ドラゴン 5000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から1枚目をマナゾーンに置く。

ジュラシック・コマンド・ドラゴンとなった青銅の鎧。
マナとパワーが上がってコマンド・ドラゴンになったが、5マナの状態でマナブーストするならいくらでも選択肢があり、その他の点も一芸と言える部分は無いため採用の余地はない。

無頼 ブロンズ-1 C 自然文明 (3)
クリーチャー:ビーストフォーク/ディスタス 1000
このクリーチャーが出た時、自分の山札の上から1枚目をマナゾーンに置く。
ササゲール1(ディスペクターを召喚する時、コストを1少なくしてもよい。そうしたら、このクリーチャーを破壊する。そのディスペクターのコストは0以下にはならない)

ディスタスとなった青銅の鎧。
青銅の鎧にササゲール1が付いた完全上位互換だが、《天災 デドダム》と始めとした3マナ域のインフレによって、出た時に1マナブーストしかできない3マナクリーチャーはもはや力不足。そのためササゲールの活用は必須。


比較

《青銅の鎧》の強みは、「クリーチャーでマナブーストでき、事前の準備がいらない」ことである。例えば2コストビーストフォークには《勇気の玉(ハッスル・ボール・トライブ)》というクリーチャーがいるが、マナブーストひとつするのに手間があまりに過借り過ぎるのが難点。

そこで準備がいらないクリーチャーたちと比較してみよう。

《シビレアシダケ》
幻緑の双月(ドリーミング・ムーンナイフ)
《大冒犬ヤッタルワン》
手札からマナゾーンに置く
霞み妖精ジャスミン cipで自壊することで山札からブースト
蛙跳び(ジャンピン・ジャック) フロッグ》 要は《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》
一撃奪取(スタート・ダッシュ) ケラサス》 一撃奪取サイクル自然担当

このうち、まずシビレアシダケとその同型再販は、手札消費が激しいため、《フェアリー・ライフ》などが優先されることも多い。使うとするならクリーチャーの数が必要な場合や自分でマナにするカードを択べた方が良い場合やラムダビートあたりがいいだろうか。
フロッグとケラサスは、やや毛色のことなるカードである。素直にマナブーストしてほしいなら青銅だろう。

ということで一番の比較対象はなんといってもジャスミンである。

デュエル・マスターズは年月を経るごとに呪文メタが増えたこともあって、青銅は3コストブーストながらその点で軽量マナブーストカードと張り合えていた、というのが大きい。しかし、《霞み妖精ジャスミン》が登場したことで、クリーチャーだけで2コストブーストを行うことが可能となり、青銅のクリーチャーであるという点は優位性を失ってしまった。

よって、今後青銅を使う場合は以下の点に注目したい。
  • 場に残るか?
ジャスミンは効果発動後破壊されてしまう。進化元にできない。また、そもそも破壊できないとマナブーストできないという難点もある。このことから、素直に仕事をする青銅のほうが安定性はある。ただしジャスミンの場合、破壊されることでオチャッピィに繋げやすいのは見逃せない。
  • マナカーブは?
例えば他の2コストカードが多いならなんだって2コストブーストすることはないのである。3→5の流れを活かすなら青銅でもいいだろう。
  • 種族は?
ビーストフォークもスノーフェアリーもどちらも自然文明の主要な種族であるが、こと戦闘だけならビーストフォークのほうが優位である。進化クリーチャーに変に妙な個性がなく使いやすいのがビーストフォークであることでの利点だろうか。


Kaijudoでは

Bronze-Arm Tribe Nature Civilization (4)
クリーチャー:Beast Kin 1000
Harvest-このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から1枚目をマナゾーンに置く。

北米版デュエル・マスターズ『Kaijudo』でも登場。
1コスト重くなっているが、向こうは多くのカードがこの補正をされているのでぶっちゃけこれで適正だったりする。
そして、あちらではイラストが日本初出のものは流用されることが多いにもかかわらず、なぜかこのカードは新規で描き下ろされている。


余談

今も昔も初心者向けカードというイメージが強い青銅であるが、こと対戦環境に関して言えば上記のように考えることは非常に多い。そのため、ぶっちゃけかなり玄人向けカードであるのがその正体なのだ。いや、むしろ「玄人向けカードになった」というのが正しいだろうか?

しかし、ジャスミンの効果に比べ、たとえザコクリーチャーであっても生き残ってさえいれば(そしてブロッカー等で攻撃を阻まれない限り)デュエマは「シールドをブレイクでき、相手プレイヤーにとどめを刺せる」ゲームである。そのため、初心者が先に触るべきマナブーストもまた、青銅の方であろう、とも思われる。この点はいろいろ論議もあるだろうが…



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最終更新:2024年04月03日 11:48