カガクゴー(空想科学大戦!)

登録日:2014/08/24 Sun 21:00:00
更新日:2024/03/14 Thu 23:33:32
所要時間:約 9 分で読めます






熱血万能 カガクゴー見参!!



カガクゴーとは、漫画空想科学大戦!』シリーズに登場する科学的に正しい巨大ロボットである。初出は『空想科学大戦3』。
モデルとなっているのはスーパーロボットの開祖であり、作者の柳田氏も大好きだと公言するマジンガーZ
定期的にロボットもの特有の主人公機強化を施されながら、最終巻『最後の空想科学大戦!』まで戦い抜いた。


【スペック】

パイロット ネッケツ・モユル
全長 17m
重量 160t
出力 12000馬力(最大出力:97000馬力)
装甲 STM鋼(後述)
動力 無し→巨大発電車→空気電池
武装 バネ式ロケットパンチ、実体剣、レーザーブレード
オプション プロペラアダプタ、宇宙戦用バックパック
所属 万能科学研究所→SAMONヒーロー課


【STM鋼】

「スーパー・チタン・モリブデン鋼」の略称。ネッケツ・サワグ博士が開発した超合金。
チタンとモリブデンをベースに細かい亀裂が全く入らない方法で精製した科学的に正しい最強の合金。
ガンダム世界のミノフスキー粒子のように本作の世界観及びリアリティを支える物質である。
精製の詳しい方法はモドキングに知られると困るのでナイショ

単なる合金なので特別な性質等は全く持っていないが、極めて頑丈であり、自分と同等の大きさのロボットと殴り合おうが超巨大発電車に轢かれようが、果てにはTNT換算5メガトンの威力がある隕石の直撃を受けようが傷一つ付かない。
作中、世界中から6万5千人のエリート科学者を集めて研究した結果「現時点の人類の技術でこれ以上の強度の合金を作り出すのは不可能」という結論が出た。
ただしSTMという名称の通り、主成分は鉄なので高熱には弱い。欄外の解説コーナーによると2754℃まで加熱すれば蒸発する。


【第一段階】

前述のネッケツ博士がSTM鋼の実用化(と、万能科学研究所所長の令嬢ミヤビ・シズカの願望)を受けて開発。
しかしネッケツ博士は完成前に急逝、以後は放置されていた。
そんな折、STM鋼のデータを狙って、地球侵略を目論むモドキング一味とトラディショナル重工業の操る悪のロボットが襲来。
敵のロボットに対抗すべく、カガクゴーを起動させようとするシズカ。
だが、研究所の主任研究員に迎え入れられた猫柳田博士が見たその実態は……

猫柳田「中身はカラだ~っ!スッカラカン!!」

なんと外装は完成していたにもかかわらず内部はがらんどう。単なるハリボテだった。
しかしネッケツ博士の息子にしてシズカのアッシー(死語)であるネッケツ・モユルは、この機体の手足をクレーン車で吊るすことによりマリオネットとして起動。
華麗なクレーン捌きで見事敵ロボットを撃破……というか掴んで沼地まで持って行って沈め、初陣を勝利で飾った。
……飾ったの?


【第二段階】

STM鋼のデータを狙って、モドキングの悪のロボットは必ずまた現れる。
対抗するにはカガクゴーを完成させるしかない。
だが、シズカの企画書はあまりにも現実離れしており、猫柳田からその非科学さ加減をみっちり教え込まれてしまう。

シズカ「……じゃあ、私の夢はどうなるの……?」
猫柳田「いや、とりあえず人が乗る歩くは可能かな……?」
モユル「えーっ、歩けるんスか!!」
シズカ「そんなの近所の三歳児だって……」
猫柳田「馬鹿もん、走れるだけ三歳児の方が上等じゃ!」

ハリボテだったカガクゴーに猫柳田は内部メカを搭載(この時、コクピットとなった頭部の形状が少し変わる)。
外装の出来上がったボディにメカを組み込むのはボトルシップを作るようなもので、恐ろしく面倒だったらしい。
とりあえず二足歩行を目指すものの、科学の壁(とシズカの余計な改造)に阻まれて失敗。

そのうち敵が侵攻してきたため、仕方なく場当たり的に「盆踊り歩行法(腕を左右に振って重心を動かす)」で動かしてみたものの、当然ほとんど戦力にならず。
それどころかカガクゴーの頭部=操縦席がぐわんぐわん揺れるためものすごく乗り物酔いするという有様。
敵の失策により棚ボタ的に勝てたものの、実質的にカガクゴー最弱の時期だった。


【第三段階】

流石に盆踊り歩行法はまずい、というか苦し紛れに「歩く」以外何も出来ないため、操作方法を見直すことに。
本気で動かすのなら、カガクゴーの動きをより複雑に人間に近づける必要があるが、その操作は並大抵の覚悟では出来ない。

モユル「オイラも日本一のアッシー(死語)の名誉にかけて、死んでも動かしてみせるっスよ!!」
猫柳田「本当に死ぬぞ。いや、その前に狂う!

具体的に言うと、「全身に配置された75個のモーターを操縦席に設置された75個のレバーで微調整」。
普段人間が動くために必要な関節の動きを、すべて手動で再現してしまおうというわけである。
言うのは簡単だが、人間の絶妙なバランス感覚の上に成り立つ動作を1から10まで全手動で行うわけで……

「まずは基本動作「歩く」じゃ!
腰を動かし右モモを上げながら、左足のヒザをゆっくりと折りつつも右足首の角度を合わせ、
と同時に両手の振りでバランスを取って……」


当然こける

「よーし!では今度は自力で立ち上がってみるか。
まず右手の肩を持ち上げつつヒジを曲げ手首をかえして地面に手のひらを……」

指が足りないだろとか誰かOSを組んでやれよとか思うが、こうなったのはモユルがカガクゴーを自身の手で動かすことにこだわったためでもある。
実際これまでに出現したモドキング側のロボットはいずれも人力制御とコンピュータ制御を併用しており、猫柳田も当初はコンピュータによる自律制御を計画していた。
付け加えるなら、実戦の中で不測の事態の発生率を減らすためには人力制御の方が有効だと判断したのかもしれない。多分*1

この想像を絶する操作難度を、モユルは天才的なアッシー操縦スキルと血の滲むような努力でクリア。人間に可能な動きは一通りマスター。
カガクゴーを片手倒立させる事はおろか、上空からのレーザーの連射に対してカガクゴーを連続バク転させて避けさせるなど、もはや人知を超えている。指の動きどうなってんだ
(なお、この頃からコクピットにパイロットを保護するためのエアバッグが備え付けられている。
転倒や被弾などの衝撃から身を守ってくれるのだが、身動きが取れないほどデカくて圧力がキツいのがタマにキズ)

しかし、まともに動けるようになってくると今度は動力の問題が発生。
160tの図体を動かせる発電機をロボットに内蔵できるはずもなく、かといって外部からの充電ではあっという間にガス欠を起こしてしまい、とても戦闘は不可能。

猫柳田「燃費は悪い、扱いづらい、取り柄は頑丈なだけってアメ車かこいつは……」

仕方なくアンビリカルケーブルのような外部電源式にし、馬鹿でかい発電車を背負うシュールな絵面に。
当面の問題を一応クリアしたカガクゴーはSTM鋼製の拳を振るって敵のロボット軍団相手に無双する*2が、敵ロボットのレーザー砲で電源ケーブルを切断され一転ピンチに陥ってしまう。

最後はカガクゴーの後ろに陣取っていた超巨大発電車が敵ロボット軍団を轢き逃げして勝った。

猫柳田「最初からこうしてやればよかったわい」


【第四段階】

電源の問題を解決するために軽くて安全な空気電池*3を採用。
200㎏の空気電池を100本(計20t)内蔵して体の各部を動かし、使い終わった電池は自動的に排出する。
これにより通常行動で48分、全力行動で8分間の単独戦闘が可能になった。
小型の電池を採用することにより、行動中のエネルギー補給も容易に(口からザラザラと投入する)。
ここにきてようやく巨大ロボットとして完成したといえるだろう。
(ただしこの空気電池、『空想科学大戦4』において、周囲の空気が薄くなると出力が落ちるという弱点が判明している)

ニセカガクゴー出現の際には、シズカの発案で専用のSTM鋼製の巨大な実体剣が用意された。
猫柳田からはその実用性に疑問符を抱かれていたが、敵が盗電によりレーザー砲のエネルギーを供給していたためワイヤーを切るのに役立った。


【第五段階】

敵のロボットはSTM鋼を溶断できるレーザー砲を標準装備。
カガクゴーにも対抗しうる飛び道具が必要になってきた。

シズカ「だんだんと理想の巨大ロボの姿に近づいてくる……何がつくのかしら、目からビーム? 胸のプレートから溶解熱線?」
猫柳田「もう開発も組み込みも完了しておる」

猫柳田「さっそく実験じゃ!!『バネ式』ロケットパンチ!!
シズカ「こら待てジジイ!!」

こうしてカガクゴーは巨大ロボットの科学的に正しい飛び道具・バネ式ロケットパンチを装備。
人型ロボットに組み込む上での安全性を考慮した結果*4ではあるが、反動が凄まじい上に、パンチは一度撃ったら行ったきり。
きわめてハイリスクな武装となった。

さらに、直後に来襲した敵の飛行ロボット*5に対抗するため、科学的に正しい飛行用装備のプロペラアダプタが開発される。
(もっとも、先走ったシズカのおかげで試作機のローターが壊れてしまい、気球メカとの決戦では間に合わせの装備のでかい団扇を使う羽目になったが)

かくして、カガクゴーは敵ロボットと立派に戦える、一戦級のロボットとなった。

しかし『空想科学大戦3』の終盤、なんと全長400mの超巨大ロボット「オダイジン」5機が襲来。
わずか17mのカガクゴーでは相手にもならず、もはやこれまでと思われたが……。


【キングカガクゴー】

猫柳田「カラッポのロボット……それがまさか機械(ロボット)ではなかったなどと誰が考えようものか!!カガクゴーの正体とは……」

生前のネッケツ博士は特撮番組の科学的な間違いを300以上見つけるなど、科学的にキッチリしていないと気が済まない几帳面な男だった。
そんな男が考えなしに「中身が空っぽの巨大ロボット」などという未完成品を造るだろうか?

かつてウーターマンの巨大化問題にも利用された猫柳田のライフワーク、人体を巨大化させる技術。
そして、遺言で猫柳田を研究所に招いていたネッケツ博士が残したのは、中身がスッカラカンのカガクゴー。

その2つから導き出された答えは「カガクゴーの人造人間化」であった。
本来のカガクゴー計画とは内部に充填した人工筋肉を電気信号によって制御するものであり、がらんどうの外装はその外骨格だったのである。
簡単に言えばエヴァとか機龍

2つの技術を応用し、猫柳田は超巨大外骨格を製作。
内部に人工筋肉を巡らせ、全長500m・重量170万tの「キングカガクゴー」を完成させた。

モーターでもシリンダーでもない、巨大サイズの筋肉駆動故にその運動能力は通常のロボットを遥かに凌駕し、オダイジン軍団を翻弄するが、
弱点としてエネルギーと人工筋肉を維持するために培養液を常に浴びなければならず、また塩水(海水)にも非常に弱い。

モドキング一味もキングカガクゴーに対抗し5機のオダイジンを合体させた全高1kmの超々巨大ロボ、「アンビリバボ・オダイジン」を繰り出す。

この両雄が繰り広げたラストバトルの顛末は、ぜひ閲覧した方自らの目で確かめていただきたい。


【その後】

キングカガクゴーは最終的に失われてしまったが、カガクゴー自体は無傷で残ったため、これまでのヒーローとは違って続刊でも登場し活躍することとなった。

『空想科学大戦4』ではプロペラアダプタの完成形が登場。
さらに『最後の空想科学大戦!』では舞台に合わせて宇宙戦仕様にカスタマイズ、宇宙空間での推進装置&緊急時用のパラシュートを内蔵したバックパックを装備。
ロケットパンチにもワイヤーが取り付けられ、容易に回収可能になったばかりか宇宙空間での移動などにも応用が利くようになった。
恐らくは、動力も真空中では使えなくなる空気電池から変更されていると思われる。
なお、バックパックにはシズカの用意した新兵器のレーザーブレードも備え付けられていたが、当然ライトセーバーみたいにレーザーが固定化されるわけがないので、ただのペンライト型レーザー銃に過ぎない。
しかもレーザーは際限なく伸びていくため、エネルギーをバカ食いするわ味方まで危険に晒すわで、戦況を無駄に混乱・悪化させただけで終わった。


こういった形で地味に強化は続けられている。科学の壁のせいであまり役に立っていないが



もはや、この手しかあるまい
「この項目」を完成させるには追記・修正しかないのだ……
しかし……そうなればもはや「この項目」は、ロボット項目と呼べるのだろうか!?

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最終更新:2024年03月14日 23:33

*1 メタ的な解説をすると、柳田氏が「全自動・自律制御」「半自動・遠隔操作」「全手動・遠隔操作」「半自動・人力制御」「全手動・人力制御」の5種類の操縦方式を検証した結果、どのロボットも一長一短だったため、どうせならと全手動・人力制御が採用された。

*2 超デカい頭に超スリムボディだったため単独で二足歩行することすらままならず、一列に並んでムカデ競争式に突撃してきたため、カガクゴーは突っ立って一番前の奴から一機ずつ殴り壊すだけでよかった。

*3 空気中の酸素と金属の反応で電力を得る燃料電池の一種。つまりその名前や見た目とは裏腹に、この時点のカガクゴーは「使い捨てのバッテリー」ではなく「使い捨ての発電機」を搭載し駆動している。なお、空気電池は極小さな電子機器の電源としては既に実用化されているが、大型の電源としては21世紀初頭現在まだ研究段階にある。

*4 液体燃料は爆発の可能性があり腕に仕込むには危なくてしょうがない、個体燃料は一度飛ばすと燃料が尽きるまで飛びっぱなしでこれも危険などから

*5 ……のフリをしているが、正体は巨大気球から吊り下げられているだけのインチキロボット。