サイエンカタパ(遊戯王OCG)

登録日:2014/08/16(土) 22:22:00
更新日:2023/04/18 Tue 07:40:28
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サイエンカタパとは、遊戯王OCGにおけるコンボデッキの一つである。

遊戯王OCGは、数多くの頭のおかしいデッキが生まれてきた。
特にシンクロ召喚エクシーズ召喚登場以降の猛速環境は、皆の記憶に新しいところだろう。
例えば、【シンクロアンデット】。
又は、【甲虫装機】。
そして、【征竜】・【神判魔導】。
だが、それらを差し置いてなお、このデッキはこう呼ばれている――「史上最凶」、と。


コンボの基本構造は、非常にシンプル。デッキ名にもなっている、
魔導サイエンティスト》と《カタパルト・タートル》とを、フィールドに二枚揃えるだけである。

後は《魔導サイエンティスト》でエクストラデッキの融合モンスターをずらずらと並べて、《カタパルト・タートル》で射出してやればいい。

フィールドに2枚揃えるだけでコンボスタートできるので、デッキの残りの部分はいかにこれをフィールドに出すかに特化している。

よく使われたのは【推理ゲート】のギミック。
(筆者註:【推理ゲート】とは《名推理》と《モンスター・ゲート》の二枚を利用したデッキの総称。
最終的には【ドグマブレード】でも悪用されたので、両者とも制限カードになった。)

また、当時は《遺言状》も無制限カードだったので、確実なサーチ手段として重宝された。
効果発動のトリガーとしては、上記《モンスター・ゲート》のほか《トゥーン・キャノン・ソルジャー》も採用される。
当然デッキ圧縮兼サーチカードに《トゥーンのもくじ》も積まれる。
《連続魔法》で二回発動してやれば、あっさりコンボパーツが揃う。

この二枚だけだと、《魔導サイエンティスト》のライフコストから即死は不可能に思えるが、
最後にコンボパーツ自体も《カタパルト・タートル》で射出してやれば問題なく8000ライフを削りきれる。

一応、コンボ成立にもたついて対戦相手にライフを削られた時の用心のためや、
後述のマッチキルを狙う際にLP回復の手段として《神秘の中華なべ》(エサは《おジャマキング》辺り)を採用するパターンも存在するが……、
そんなのが不要なほどにこのデッキの1Kill率は高い。

コンボ構成要素の少なさと、それに由来する決まりやすさ、1キル率の高さ、
そして妨害手段の少なさ(当時は《エフェクト・ヴェーラー》なんてカードはなかったのだ)も相俟ってこのデッキは大流行した。

その強力さはカオスが存在していた当時でも、世界大会選考会で上位出場者全員がサイエンカタパだったことからも窺える。
また、今まで見向きもされなかった効果のない融合モンスター(代表格は当時レベル6融合モンスターで最も攻撃力の高かった《紅陽鳥》)が高騰するなど、
このカードが決闘に与えた影響は計り知れない。

また、サイエンカタパ地獄とも呼ばれた当時の環境で、
【サイエンカタパ】同士のミラーという先手後手ジャンケンゲーを回避するため、
ヴィクトリー・ドラゴン》によるマッチキル手段を搭載したデッキも現れた。
題して【サイエンカタパV】。

コンボを決めると対戦相手のLPをある程度自由に調整することができるという点に注目して、
相手のLPを500点以下になるまで削り、《魔力の枷》をセットすることで完全に身動きを取れなくしてしまう。

後は上記の《神秘の中華なべ》などで自分のLPを回復し、
《魔導サイエンティスト》でドラゴン族融合モンスターを三体揃えて《ヴィクトリー・ドラゴン》を召喚、ダイレクトアタックでマッチキルするだけである。

上手く嵌れば先手で対戦相手を完全ロックして何もさせずにマッチキルまで持っていけるし、
運悪くジャンケンに負けて後手を引いても、二本目にマッチキルしてそのままマッチ勝利することもできる。
サイドデッキからの対策を許さないのも勿論利点の一つ。

難点は、コンボパーツが増えることによる安定性の低下と、ロックカードの《魔力の枷》をサーチする手段に乏しいこと。
だが、マッチキルは無理でも普通に1Killは狙えるし、そもそもコンボの構成要素そのものが少ないので、
この程度で1kill率が下がるほどこのデッキは生易しいデッキではない。

ちなみにこのデッキの現役時代は、悪名高き【カオス】を始め、【三原式】、
現世と冥界の逆転】などの凶悪な1ターンキルデッキが跳梁跋扈していた。
だが、その中にあってなおこの【サイエンカタパ】は規格外の力を有していた。
つまり、このデッキは言わば「暗黒時代の頂点」であり「一つの象徴」でもあるのだ。

そんなデッキだが、《魔導サイエンティスト》(このデッキ以外にも悪用手段は多かった)が、
公式大会で禁止カードに指定されたことで、消滅を余儀なくされた。
遊戯王=ジャンケンゲーにしてしまったので、これは当然の措置だろう。

ここまでが公式OCGのお話。ここからは筆者独自の余談、というかオマケである。

さて、《魔導サイエンティスト》が禁止カードに指定されてから数年後、
遊戯王の世界にはシンクロ召喚なる新たなるギミックが加わり、その中には《カタパルト・タートル》の後継者も含まれていた。

そのカードとは、史上最凶とも謳われるシンクロモンスター、あの《ダーク・ダイブ・ボンバー》である。

このカード、単純な火力の高さもさることながら、チューナーさえいればエクストラデッキからいつでも召喚可能という汎用性の高さが何よりも凶悪。
この《魔導サイエンティスト》+DDBのコンボ(便宜上、【サイエンボンバー】とでも呼ぼうか)は、
【サイエンカタパ】が名前通りサイエンティスト+カタパなのに対し、サイエンティスト+好きなチューナー一枚で成立してしまう。
チューナーには自己蘇生能力を持つものやサーチが容易なもの(《緊急テレポート》など)も存在するため、その決まりやすさは本家を遥かに凌ぐ。
さらにお誂え向きなことに、《魔導サイエンティスト》を簡単にサーチできる《ワン・フォー・ワン》まで加わってしまった。

その凶悪さから、ノーリミットデュエルでは【現世と冥界の逆転】・【エクゾディア】と並び最強デッキの一角に数えられている。
禁止カードをふんだんに使ったこのコンボ自体もまた、遊戯王OCG史上最強だろう。
《エフェクト・ヴェーラー》による妨害を受けやすいのは難点だが、上述の通り《ヴィクトリー・ドラゴン》を利用したマッチキルまで狙えるのがこのデッキのポイントである。
ちなみに、遊☆戯☆王タッグフォースでは禁止・制限を解除したデッキ構築も可能なため、マッチキルの部分まで含めた再現が可能。
試してみるのも一興である。ソリティア・パズル的な楽しみのないデッキだからすぐ飽きるけど

……だったのだが、《ダーク・ダイブ・ボンバー》(とついでのような《カタパルト・タートル》)のエラッタにより、
このデッキは幻のデッキとなってしまった。残念無念。

え? 今はもうカタパとか関係無くサイエン1枚来ればで先攻1キルできるって? 知らんがな。


追記・修正は《カタパルト・タートル》に8000ダメージを与えられた人がお願いします。


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最終更新:2023年04月18日 07:40