巨人症

登録日:2014/08/11 Mon 21:30:00
更新日:2024/02/11 Sun 18:56:14
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※ご自身の健康問題については、専門の医療機関に相談してください

巨人症とは、何らかの原因により、身長が異常に伸びてしまう疾患である。

説明


医学的に分類すると、
  • 「ソトス症候群」という疾患が原因で発生する脳性巨人症
  • 下垂体と呼ばれる器官に発生した腫瘍から成長ホルモンが異常に分泌されてしまい、身長の伸びに歯止めがかからなくなってしまう下垂体性巨人症
この2種類がある。
後者の方が良く知られている為、当項目では後者の方を優先して説明する。

特徴としては
  1. 額の眉弓と言われる部分が突出する。
  2. 下顎が肥大化し、噛み合わせが悪くなる(しゃくれる)
  3. 成長期にかかった場合、異常に身長が伸びる。
  4. 声帯が分厚くなる為、声が太くなる。
  5. 少年少女の場合その年齢の平均より異常に身長が高い(10歳で190㎝を超える等)*1
  6. 舌と唇が大きくなり、分厚くなる

何故体が大きくなるのか

本来人間の体は、下垂体と呼ばれる器官によって成長ホルモンの分泌を調整しており、特に少年少女は身体が過剰に大きくならないようにできている。
しかしこの下垂体性巨人症を発症すると成長ホルモンが過剰分泌されることで、身体の成長にブレーキが利かなくなり、正常な成長ではありえないような異常な高身長になる。
それがよく知られている下垂体性巨人症の症状である。


問題点


成長期に罹患すると急激に身長が伸びていく巨人症だが、当然問題点もある。
身長が伸びるということはそれだけ体重が増えることも意味し、足腰への負担が常人とは比べ物にならないくらい大きくなるのだ。
世間一般では体が大きい=体が強いというイメージがあるが、実際には巨人症の患者は健康に問題を抱えやすい。
成長ホルモンの過剰分泌には「骨がもろくなる」という副作用もあるため、背骨や足腰を傷めてしまう場合が多い。
そのため、杖などの歩行器具無しでは歩けなくなったり、酷くなると寝たきりになってしまったりもする。

しかも大抵の場合その身長に対して心肺機能は常人と同じ程度であるケースが多く、常人と同程度の心肺に不相応な大きな体の為、心臓への負担も相当なものであり、早死してしまうケースが多い。

考えてみよう、2mを優に超える巨体に常人程度の心肺だったらどうなるか……
テレビで出てくる巨人症患者の中には、寝たきりで心肺機能を補うために呼吸器等が手放せないケースもある程である。

他方で、その常人以上の身長から、プロレスラーや格闘家、バスケ選手などの道に進み成功したケースもあるが、体の成長に無理がある故か、体を壊しやすいようで長続きしないことが多いのが現状である。

なお、骨の発育が完了した後に発症すると身長は伸びず、手足や顎等の体の先端部のみが肥大化してしまう先端巨大症(末端肥大症、アクロメガリーとも)という病気になる。

巨人症・先端巨大症両方に共通する症状として、下垂体に発生した腫瘍が神経を圧迫することによる頭痛や視野狭窄、成長ホルモンの過剰分泌を原因とする脱力感や糖尿病などが挙げられる。
特に糖尿病は外見以外での主要な症状であり、尿検査や血液検査などから判明するケースもあるという。


治療方法


国で指定されている難病であり、手術も困難ではあるが不治の病ではない。
手術で直接原因となる腫瘍を取り除いたり放射線で破壊するといった治療方法がメジャーである。
しかし場合によっては血管の近くに腫瘍が存在するケースもあり、手術自体が危険と判断された場合にはホルモン剤による治療が行われる。


著名な巨人症/先端巨大症の人物(実在)一覧


フランス出身のプロレスラー。巨人レスラーの代名詞にしてプロレス界のレジェンド。
その地位を築いた源であるその巨体は巨人症によるもので、死ぬ直前まで背が伸び続け、実際の身長は240cm以上あったという。
病気由来の巨体は全身の慢性痛・他人の好奇の視線に晒されるストレスをもたらす生涯の悩みでもあった。
また繊細な性格で、自身の身体を奇異の目で見られる事を嫌ってリング外での露出を避けており、その巨体に関するエピソードは意外にも多くない。

  • アントニオ・シウバ(1979-、身長193㎝)
ブラジル出身の総合格闘家。
その風貌からゴリラを自称しており、日本の総合格闘家ファンにはゴリバと呼ばれていることで知られている。

  • 生月鯨太左衛門(1827-1850、身長227cm)
江戸時代に活躍した力士。
当時の日本人の平均身長が150cmもなかった為、かなり凄まじい存在だっただろう。
ただし大半は土俵入りのみで実際には取り組みをせず、唯一1846年11月場所のみ出場して3勝2敗(5休)の成績を残している。

  • エル・ヒガンテ(1966-2010、身長231cm)
アルゼンチン出身のプロレスラー。

  • 大内山平吉(1926-1985、身長203cm)
昭和時代に活躍した力士。最高位は大関。

  • 岡山恭崇(1954-、身長230cm)
バスケットボール選手。2023年現在、存命中の日本人で最高身長の人物。
1981年に日本人として初めてNBAのドラフトで指名された選手となったが、本人はオリンピックを志望していたため辞退し*2、1990年に引退。
「日本人初のNBA選手」は2004年の田臥勇太の登場を待つことになる。

  • ゲオルゲ・ムレシャン(1971-、身長231cm)
ルーマニア出身のバスケットボール選手。

  • 篠原信一(1973-、身長190cm)
柔道選手。

プロレスラー・野球選手。詳しくは単独項目を参照。

  • ジャイアント・シルバ(1963-、身長219cm)
ブラジル出身のプロレスラー。

  • スルタン・コーセン(キョセンとも)(1982-、身長251cm)
トルコ出身の元バスケットボール選手。存命中の人物で最長身というギネス記録を持つ人物。

  • 孫明明(1983-、身長236cm)
中国出身のバスケットボール選手。

  • ダリップ・シン(グレート・カリ)(1972-、身長216cm)
インド出身のプロレスラー。

  • チェ・ホンマン(1980-、身長218cm)
韓国出身の格闘家。

  • 出羽ヶ嶽文治郎(1902-1950、身長207cm)
大正・昭和に活躍した力士。最高位は関脇。

  • ニコライ・ワルーエフ(1973-、身長213cm)
ロシア出身のプロボクサー。

  • モーリス・ティレット(1903-1954、身長175cm)
フランス出身のプロレスラー。シュレックのモデルとして知られている。

  • ヤオ・ミン(姚明)(1980-、身長229cm)
中国出身のバスケットボール選手。

  • ラジャ・ライオン(1966-、身長226cm)
パキスタン出身の空手家。

  • マシュー・マッグローリー(1973-2005、身長229cm)
アメリカ出身の俳優。代表作は『ビッグ・フィッシュ』。
「世界一大きな足の持ち主」としてギネスブックに掲載されたことで知られる。

  • レオニード・スタドニク(1970-2014、身長257cm)
ウクライナ人。
かつてはギネス記録保持者だったが、身長測定に関する改定ルール(24時間に渡り数回測定をすること)を拒否したため、2008年以降は記録から外された。

  • ロバート・ワドロー(1918-1940、身長272cm)
アメリカ人。
はっきりした医学的な記録が残っている中で、もっとも長身というギネス記録を持つ人物。
非常に温厚な人柄であったが、クソガキにしつこく足をつつかれた時だけは本気で怒ったという。


漫画アニメなどに登場する人物一覧


成長が止まらず、人並外れた身長になるという嘘のような症状からか、ミオスタチン関連筋肉肥大同様に漫画などでもたまに取り上げられることもあると言えばある。
しかしミオスタチン関連筋肉肥大と違って扱いが難しいようで、バトルマンガでよく登場するような人並外れた大柄な人物でも明確にこの病気と明言されていたり、その疑惑が出ているキャラはかなり稀。

なお、身長だけなら明らかに巨人症、20m超えている、そもそも巨人族キノコ羊羹を食べれば巨人になるなどのキャラが存在するがそれらは省き、作中で明言された、又は元ネタが巨人症の人物などを載せていく。

  • 猫上家当主(ブラックジャック「猫上家の人々」の先端巨大症患者)
  • 出可(ブラックジャック110話「デカの心臓」の巨人症患者)
  • 安藤玲一(グラップラー刃牙、元ネタはアンドレ・ザ・ジャイアント)
  • 「やすらぎの館」のおかあちゃん(藤子・F・不二雄 短編「やすらぎの館」)
  • マウント斗羽(グラップラー刃牙、元ネタはジャイアント馬場)
  • アンドレアス・リーガン(グラップラー刃牙、元ネタはエル・ヒガンテ)
  • アンドレイ・ワーレフ(範馬刃牙 強者たちの戦い編に登場、元ネタはニコライ・ワルーエフ)

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最終更新:2024年02月11日 18:56

*1 身長が高い=巨人症とも限らない為、誤解無き様願いたい。

*2 当時プロ選手はオリンピックに出られない決まりだった