バトラ(ゴジラシリーズ)

登録日:2014/08/09 Sat 16:17:00
更新日:2024/03/17 Sun 20:51:35
所要時間:約 20 分で読めます




バトラゴジラ・平成VSシリーズゴジラVSモスラ』に登場する怪獣。
映画タイトルにこそなれなかったものの、実質上の本作の敵役的ポジションである。

モスラ亜種にあたる怪獣で、正式名称はバトルモスラ
バトラはそれを短縮した通称のようなもの。ちなみに『バトルモスラ』の製品名で商品化されたこともある。

幼虫がまさにイモムシな姿、成虫が純白暖色主体なモフモフの毛で覆われ、曲線主体で女性的なシルエットを持つモスラに対し、
バトラは幼虫・成虫ともに全身が硬い漆黒の外殻にビッシリと覆われており、
なおかつ体の各部に鋭いエッジやトゲ状の部位を備え、鋭く吊り上がった目つきをしているなど、
戦闘的・男性的な外観をしており、見ただけで『モスラと対を成す存在』であることがわかる。

成虫の翼はというよりに近く、その模様は黒地に赤と黄で稲妻のような模様が走る禍々しいものである。

彼自身も地球が自らの意志で生み出した守護神であり、大自然の使者とも呼べる存在であるが、
モスラが文明=人類も自然の一部として『守護』するのに対し、
バトラは文明を地球生命を脅かす害悪と見做し『破壊』することを使命としている。

設定の上で言えばウルトラマングレートの最終章で登場したコダラーシラリーみたいなものである。

背負った相反する宿命ゆえに、モスラとは非常に仲が悪く、敵対していると言っても過言ではない。
一万二千年前にも小美人・コスモスの同族が築いた文明が気候を自由に制御できるテクノロジーを開発したことがきっかけとなり、
それに危機感を覚えた地球がバトラを生み出したことで文明の守護者たるモスラとの間に


等の熾烈な戦いが繰り広げられ、最終的にモスラの手でバトラは北の海に封印されたが、
その際の気候操作機械の破壊により地表のほとんどが海中に没し、コスモスの文明は滅びたという。

他方でモスラと同じ起源をもつ怪獣である事も示唆されており、実際に劇中、
遺跡の石板にモスラと同じタマゴから生まれた事を思わせる壁画が描かれているシーンがある。

両者の存在意義が矛盾しているあたり、地球さんの葛藤が現れている気がしないでもないが、
人類(+その他地上生物)を巻き込んで兄妹で殺し愛をさせないでください。

ちなみに上記のエピソードからわかるが、本作のバトラは12000年前に現れた個体そのもの。
しかし本作のモスラは作中で卵から生まれた新しい個体なので、別に姉妹とかではない。遠い先祖のようなものか。
平成VSシリーズでは唯一の、古代から完全に怪獣だった個体でもある(ラドンやモスラは現代生まれ。デストロイアも怪獣化したのは地下鉄掘削で掘り起こされてから)。


肩書は戦闘破壊獣。
今回は人類の文明を滅ぼすために復活したと思われていたが…


◆幼虫◆

体長:90メートル
体重:2万トン

バトラの幼虫形態。壁画には成虫の状態で描かれていたので、封印された際に幼児退行してしまったのだろうか?
本来の種族からすれば生きていけそうにない氷海の中で生き残るための姿かもしれない(そう考えれば羽化するときの異常さも納得がいく)。
トゲだらけの外骨格に全身を包み、鋭く太い一本角を生やしている。そして数ある東宝怪獣でも五指に入るくらいの凶悪面。
地面にゴローンと寝そべっているモスラ幼虫と異なり、上体をビンビンにのけ反らせた姿勢がデフォルトであり、
着ぐるみの構成はなんとなくゴーデスに似ている。

全身凶器でただまっすぐ歩くだけで進路上を壊滅させる水陸両用の殺戮暴走特急めいた存在だがそれに加えて
両眼から破壊力抜群のプリズム光線、角からは放電攻撃を放つ。
コミック版では角からエネルギー弾状のビームをばら撒き、角そのものも直接相手に突き刺す凶悪な武器として描写されている。
ゴジラの胴体を串刺しにした状態からエネルギー弾をぶっ放す極悪コンボで一度はダウンを奪うなど、ぶっちゃけ成虫より強そう。


隕石が小笠原沖に落下し、気候変動が起きた影響で北極海の氷が砕け落ち、復活。玉乗りを仕込みたくなる。

バタフライ泳法で海を泳ぎ、自衛隊の攻撃すら物ともせず本土に上陸、
地中を通って名古屋で大暴れし、破壊の限りを尽くす。この時点で目や角からビームを放ち、戦車部隊を壊滅させるなど、
モスラに比べてかなり攻撃的であることをアピールした。

名古屋を破壊し尽くした後、再び地中に潜航。
因縁の敵を感じたのか、モスラとゴジラが戦ってるフィリピン沖で再び姿を現し乱入、両方に攻撃を仕掛ける。この際、戦いの邪魔だったゴジラが破壊できなかったモスラが孵化した卵の殻をビーム光線で粉々に粉砕した。

が、攻撃されたことにキレたゴジラが放射熱線を乱射、その隙を見てモスラは逃走。
そのままゴジラとタイマン勝負に縺れ込み、海中へと引きずり込む。

海底でも放射熱線とビームの撃ちあいになり、凄まじい激闘を繰り広げるがその衝撃で海底火山が活性化、
二匹ともそれによって生じた地割れに飲み込まれてしまう。こうして二匹は姿を消したのであった…



追記、修正宜しくお願いします。















それにしてもゴジラシリーズにはいったい破壊神が何匹いるんだ…


◆成虫◆

翼長:180メートル
体重:3万トン
飛行速度:マッハ2.5


しかしマグマに飲み込まれ焼き尽くされたと思われたバトラはまだ生きていた。
マントルを通って富士山からゴジラが姿を現し、←こいつも大概おかしなタフネスである
それに呼応するかのようにモスラが繭から羽化・成虫となった時と同じ頃、
再び海上に姿を現し、まるでオニボウフラから蚊に羽化するような動きをした後、
バチバチと強い閃光を発しながら繭の段階をすっ飛ばして一気に成虫へ変貌した。
(この時のシーンは滅茶苦茶カッコイイので実際に視聴することをオススメする)

このことからよく「モスラは完全変態だが、バトラは不完全変態」と評される。
別にモスラが手の付けられないくらいアブノーマルな怪獣という意味ではない。


天を舞う翼を手に入れ、『黒いモスラ』と呼ぶに相応しい姿に。
幼虫の頃のような武骨でパワー主体の戦闘スタイルは取れないが、外骨格で身を覆っているため見た目以上に防御力は高い。

幼虫時と同じく眼からはよりパワーアップしたプリズム光線を発射できるが、飛ぶのに邪魔だからか角は小さく縮んでいる。
またモスラよりも脚が長く、モスラと分担すれば超重量級のゴジラを抱えて空を飛べるほどの運搬力がある。

変態完了後、横浜にて目からビームを乱射しながら因縁の宿敵であるモスラを追いかけまわす。
超音速のドッグファイトの末にモスラを撃墜、さらに追い打ちをかけ止めを刺そうという所で
ゴジラが乱入、やむなく戦闘となる。


ゴジラとの戦いでは後ろにあるランドマークタワーを崩して下敷きにし、一時は優勢になったかと思われたが
かの怪獣王がそんなもので倒れるはずもなく、瓦礫を吹っ飛ばしたゴジラはバトラを投げ飛ばし、
地面に叩きつけて放射熱線をこれでもかと言わんばかりにブチ喰らわせる。

地球の生み出した破壊神バトラより、人類の業の申し子たるゴジラが戦いで上を行くというのがなんとも複雑である。

が、ここで宿敵だったモスラが加勢、ゴジラを吹っ飛ばす。そしてモスラはダウンしたバトラにエネルギーを分け与える。
こうして、バトラは因縁の宿敵であったモスラと和解、目的を地球と人類、共通の脅威であるゴジラを倒す事に切り替える。
小美人「要するに……別にモスラのためじゃないんだからね!……と申しておりますの
バトラ「……余計なことは言わんでいい


その後はモスラに観覧車が倒れそうになった際に押さえたり、
自身のプリズム光線をモスラの鱗粉(電磁フィールドを発生させることでビームを反射する性質を持つ)に乱反射させることで、
破壊光線と電磁鱗粉の結界を創り出しゴジラにダメージを与えたりとやたらナイスな連携でフルボッコにする。


その後はモスラと何やらテレパシーらしきもので交信し、ゴジラを封印する事を決定。
気絶させたゴジラに掴み掛りモスラと2体掛かりで海まで運ぼうとする。

しかし、往生際の悪さに定評のあるあのゴジラがじっと気絶していてくれるはずがなく、
バトラは喉笛に噛みつかれ、黄緑色の血を流す致命傷を負ってしまう。

モスラの協力もあってか海上までは何とか移動したものの、
ここでゴジラが死なばもろとも・否!てめえだけくたばれ!とばかりに
至近距離で放射熱線を発射、遂にバトラは限界を迎えてしまい、ゴジラと共に海に墜落。
モスラはやむを得ずバトラ諸共ゴジラを封印する事になる。
無論ゴジラは生きている……
バトラ「き…貴様と共に戦った数分間……わ…悪く…なかったぜ……死ぬ…な…よ…モ…スラ…
モスラ「バトラーーーー!!」

なお、実は今回復活したのは人類の文明破壊のためではなく、地球に迫る隕石(後のコイツだったという説もある)の破壊のためだった。
散り際にその使命をモスラに託し*1、かつての宿敵の遺志を継いだモスラは宇宙へと飛び立ってゆくのだった。

また坂井孝行氏による漫画版では自身の過ちに気づいて必死で錯乱する友兼を説得するも逆上した彼に銃撃を受けた上、
ゴジラの熱線による爆風で割れた窓ガラスの破片から友兼を庇って致命傷を負い命を落とした雅子に自身の最後の命を託して蘇生させている。

川石てつや氏による漫画版では最後にテレパシーでモスラに後のことを託す描写がある。モスラ以外はコスモスですら受信できず、
三枝晃司だけがわずかに聞き取れていた。モスラが丁寧語で話しているのに対し、マジで本項目で書かれているような口調であった。

河本ひろしの漫画『怪獣王ゴジラ』では悪の科学者・マッド鬼山が、
『VSモスラ』で海に沈んだバトラの遺骸から翼を回収し、合体怪獣キングゴジラを造るための材料にした。

小説は『GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』てば、ゴジラと共に地球に迫る妖星ゴラスの脅威を感じ取り、
破壊するためのエネルギーを獲得するためにゴジラと戦っている。
背びれをもぎ取るなど善戦はしたようだが、ゴジラに敗れ捕食された。

『ゴジラアイランド』でのバトラ

X星人の操る敵怪獣の1体として登場。*2一応モスラと同じ守護怪獣のはずなんだけどなぁ・・・・・・。
モスラは幼虫と成虫の両方が登場したが、バトラは成虫のみとなっている。
出番はさほど多くなく、ゴジラとガイガンの決闘で膠着状態になっていることに痺れを切らしたX星人ザグレスがバトラを乱入させようとするも、水を差すなとガイガンに撃ち落とされ退場する等、扱いはあまり良くない。

第2シーズンではゴラス火山から見つかったモスラの卵を強奪し、それをバトラが温めて孵化させることで、刷り込みでベビーモスラの親をバトラと思い込ませ、ゴジラアイランドを襲撃させるという作戦が決行された。幼虫バトラが生まれてくるんじゃないかと思った視聴者もいたかもしれないがそんなことはなかった。
一時はベビーモスラを庇おうとする成虫モスラがゴジラと同士討ちの争いを繰り広げることにもなったが、最終的に(卵のときに聞かされていた)「モスラの歌」を聞いてベビーモスラが真実を知り、バトラ達X星人陣営の怪獣は撃退されることとなった。


☆余談☆

☆幼虫のスーツアクターは破李拳竜。

☆デザインは企画が『ゴジラVSギガモス』であったころの怪獣「ギガモス」が元となっている。また環境問題というテーマは『モスラVSバガン』に登場するはずだったバガンから引き継がれている。

☆デザインの段階では「半二足歩行型で、翼の形状も蛾というよりカブトムシのようなイメージ」という、決定案とは大きく異なるものも存在した。
鳴き声はラドンのものをアレンジしたもの。

☆『ゴジラ FINAL WARS』劇中でバンクーバーの子供がバトラのソフビ人形で遊んでいるシーンがある。

☆決定デザインは吉田穣で、顔や幼虫時の体系はウルトラマングレートで吉田がデザインしたリュグローと似ている。造形は「レプリカ」による。本社から「派手にするように」と指示があり、成虫ともども大変に色彩の派手な怪獣となっている。そ川北は「操演では動きが単調になるため、バトラは縫いぐるみにした」と語っている。成虫の胴体は蛾より甲虫モチーフにしている。

☆幼虫のバトラの縫いぐるみは1体だけ制作され、場面によって切り離したり接合し直して使っていて、また足元のかぎ爪が歩行の邪魔になるため、これを切除して撮影したカットもある。長い尾の部分には台車を内蔵して動きを助けており、海上を進むシーンでは演技者は入らず、メカニックを仕込んで撮影した。因みに演技者は椅子に座った恰好で演技をする珍しい方式となっている。

☆成虫はラジコンで各部が動く、翼長が10尺(3.5メートル)あるものと、3尺(1メートル)の大小2種作られた。アクションシーンのほとんどは小サイズのものを使用している。

☆劇中での活躍からリア獣、ツンデレ怪獣などと呼ばれる。
二次創作で擬人化された場合、大抵男でモスラは女で描かれ、よくセットで描かれる事が多い。
また、どういうわけかモスラ三部作の主人公レオモスともよくセットになる。というか二次設定で親子になる事すらある。もちろんモスラは母親ポジ。
現にレオとバトラは鋭い目つき稲妻状の羽の模様などがよく似ているので、こうなるのもむべなるかな。

ゴジラ「リア充爆発しろ!」←でも養子持ち

☆成虫の防御力は幼虫の時に比べて格段に劣ると言うが、
実は放射熱線を受けた回数は六回と前作のキングギドラや次回作のラドンより何気に多かったりする(キングギドラは四回、ラドンはアドノア島で五回)。
また幼虫バトラはもっぱら海中でゴジラと戦っており、海水に隔てられて熱線や光線の威力が落ちてしまったことが書籍で明かされている。

☆SFCの格闘ゲーム『ゴジラ 大怪獣決戦』では自キャラとしては操作できないものの、
モスラの隠し超必殺技『モスラ&バトラ攻撃』(まんまやね~)の演出の一貫として友情出演。
画面外から突如飛来し、原作でも見せたプリズム光線と鱗粉を応用した結界で攻撃を仕掛ける。高威力・ガード不能という超高性能技。
なお、このゲームの移植元に当たるPCエンジン『ゴジラ 爆闘烈伝』では自キャラとして幼虫・成虫の両方が使える
(逆にこちらではモスラが背景に登場するのみで操作できない仕様となっている。プロデューサー曰く意図的なものらしい)。
特に成虫は常時飛行可能かつ圧倒的な制圧力から『一人シューティング』と揶揄されるほどの強さ。
破壊神だけにゲームバランスを破壊したらしい。

☆TCGバトルスピリッツコラボブースター東宝怪獣大決戦/怪獣王ノ咆哮にも登場。
特に後者に収録された「破壊の魔獣バトラ」が緑属性でありながら赤属性の苦手な点をカバーする強力な性能を持っており、ゴジラやモスラに関係ないデッキでも定番アタッカーとして採用実績がある。



追記、修正はラドンの鳴き声をアレンジしてからお願いします。

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最終更新:2024年03月17日 20:51

*1 おそらくテレパシーで交信した際に隕石の事を伝えたと思われる。順調にゴジラを封印できればモスラとの対決を再開したと思われるので、どう転んでも隕石を破壊できるようにしたかったのだろう。

*2 ただし、X星人襲来以前は普通にゴジラアイランドに生息していたらしく、その当時はモスラと縄張り争いを繰り広げていたらしい。(その個体と同一なのかは不明)