サマーキャンプ・インフェルノ(映画)

登録日:2014/08/09 (土) 12:50:21
更新日:2019/07/15 Mon 21:24:33
所要時間:約 7 分で読めます




『サマーキャンプ・インフェルノ』(原題:Sleepaway Camp)とは、1983年にアメリカで公開されたスラッシャーホラー映画。
監督はロバート・ヒルツィク。
日本では劇場公開されておらず、ビデオ販売のみの未公開映画で終わった。
いわゆる『13日の金曜日』ヒットに伴って80年代にかけて量産された「キャンプ場で若者が殺人鬼に血祭りに上げられ~」というありがちなC級殺人鬼ものうちの一作である。
ぶっちゃけ作品でのチープな殺人シーンの視覚効果、緩急と緊迫感に欠けたゆるい序盤~中盤のストーリーと、どれをとっても褒められる出来ではないのだが、ラストシーンおよび犯人の正体のあまりのインパクトの強さによって、一部のファンの中でカルト的伝説と化している怪作である*1



【ストーリー】
8年前、湖畔に遊びに来た双子の姉弟とその父親がモーターボートの事故に遭い、父と子供の一人が死亡した。
それから現在、事故で一人生き残った少女アンジェラは、事故のトラウマで口数の少ない自閉症気味な鬱屈した性格に成長した。
そんな彼女は、里親のマーサの勧めでいとこのリッキーと共にサマーキャンプに参加することになる。
だが、誰とも喋らず挙動不審な振る舞いのアンジェラはすぐ浮いた存在に。
彼女の味方はリッキーと彼女を気にかけているリッキーの親友・ポールだけだった。
やがてアンジェラは、ポールに気があるわがまま女子のジュディや悪ガキ男子達のいじめの標的となってしまう。
しかし、アンジェラに乱暴を働こうとしたコックが大火傷を負ったことをきっかけに、彼女をいじめた人間が次々と謎の死を遂げていく…


【登場人物】
  • アンジェラ・ベイカー
ヒロイン(…?)。
父と弟を亡くし変人の里親に育てられ、暗くて無口な自閉症気味なコミュ症になってしまった悲劇の少女。
キャンプの食事も摂らず、シャワーも水泳も参加したがらないため周囲から浮いてしまう。
キャンプで自分に対等に接してくれたポールに初めて心を開き、親密な仲になっていくが…

  • リチャード(リッキー)・トーマス
アンジェラのいとこ。
明るく活発な少年で、この映画の数少ない良心。
幼い頃からアンジェラをサポートし、本気で彼女のことを想い、いじめた奴には激怒する正義漢。
続発する殺人事件の犯人だと周囲から疑われてしまう。

  • ポール
リッキーの親友。
分け隔てなく優しい紳士な性格の少年。
一人ぼっちのアンジェラを気にかけ、彼女に親しく接するうちに打ち解ける。
だが、ジュディに強引に迫られ、ある時キスをしてしまい、それをアンジェラに見られてしまい、仲直りしようとするが…

  • マーサ・トーマス
アンジェラの叔母さんでリッキーの母親。
とぼけたような電波な言動が特徴な、どう考えても変人な中年女性。ちなみに医者。
二人の子供に分け隔てない、だが過剰なまでの愛情を注いでいる。

  • ピーター・ベイカー
アンジェラの双子の弟。
8年前の事故で死亡している。共に父親が男と寝ている場面を目撃している。


≪以下、犠牲者順≫
  • アーティ
キャンプ場のコック。
食事に手を付けないアンジェラに教育的指導と言いつつ無理矢理襲おうとしたロリペド野郎。
調理中に踏み台を外され、大鍋の熱湯を頭からかぶり重傷を負う。運が良かったな。

  • ケニー
悪ガキ男子の一人。
ボートで女の子とのデート中ボートがひっくり返って失敗し、相手が帰った後、突然水中から現れた何者かに押さえつけられ、溺死。
翌朝、藻が絡みつきブヨブヨになったやけにリアルな溺死体で発見された。

  • ビリー
悪ガキ男子の一人。
個室トイレに半裸で入っていると外側から閉じ込められ中に蜂の巣を放り込まれ、全身蜂に刺され死亡。

  • メグ
キャンプ場の監視員。
自分の言うことを聞かないアンジェラに腹を立て、ジュディと一緒になって彼女を激しくいびり倒す、大人の風上にも置けないDQN女。
恋人のオーナー、メルとのデート前にシャワーを浴びるというこの手の映画でお約束の行動をとり、お約束通り鼻歌を歌いながらシャワーしてる時に背後から壁ごとナイフで背中を真一文に切り裂かれ死亡。

  • ジュディ
中学生くらいながら大勢の男と付き合いわがままで傍若無人な典型的ビッチ。
リッキーとは昔付き合っていたが今は歯牙にもかけておらず仲は最悪。
挙動不審なアンジェラを嫌悪し、気にかけていたポールと仲良くなっていくのが気に入らず、彼女を集中的にいじめる。
そして彼に強引にキスを奪ってアンジェラに絶望感を味あわせ得意になるが、シャワー上がりに部屋でくつろいでいると現れた何者かに押さえつけられ、熱々のヘアアイロンを女のアソコに突っ込まれ死亡。ア゛ッー!!

  • メル
キャンプ場のオーナー。
典型的な金利主義な銭ゲバジジイ。そしていい年こいて若いねーちゃん(メグ)と恋仲なロリコン。
キャンプをメチャクチャにした連続殺人鬼に激しい敵意を燃やし、アンジェラに味方するリッキーを疑い、彼をいびる。
そしてメグを殺され、怒りに身を任せリッキーをボコボコに殴り倒すも、その直後現れた真犯人によりアーチェリーの矢で首を射抜かれ死亡。














































以下、衝撃のラストネタバレ注意。










殺人事件でキャンプ場が大混乱に陥る中、アンジェラはポールを真夜中の湖畔に呼び出す。
「一緒に泳ごう」と誘い、照れるポールを背に無表情で服を脱ぎだす…



どこにもいない二人を心配した監視員達はようやく湖畔にいるアンジェラを発見。
だが彼女は裸で、鼻歌を歌っていた。
呼びかける彼らに振り向くアンジェラ。



その姿は…


転がるポールの生首。



そして血まみれのまま、ナイフを手に狂笑を浮かべるアンジェラ。


仁王立ちする「彼女」の体には…


「何てことだ…彼女は男だ!」

「彼女」の股間には、まさしく男の象徴たる立派なそれがあった。


アンジェラの狂気の表情が画面に大写しになった状態で、映画はエンドロールを迎える…。


【ネタバレ登場人物】
  • アンジェラ=ピーター・ベイカー
一連の連続殺人の真犯人。そして8年前の事故の本当の生存者。
彼は預けられた叔母・マーサの家で「女の子」として育てられた。
変人な里親による鬱屈した家庭環境、幼い頃目撃した男と男の情事…それらによって彼の性格や性癖は歪み、キャンプでの他者からの攻撃でその狂気を爆発させた。
最後の彼の姿は、ある意味今までで一番、開放感に満ちた姿だったのだろうか。

  • マーサ・トーマス
ある意味この事件の元凶。
預けられてきた甥のピーターを、「男の子はもううちにいるわ」という言い分と、天使みたいな名前である「アンジェラ」という響きを気に入り、死んだ「アンジェラ」として生活することを強制した、ある意味一番の「モンスター」。
事件の後の彼女の行方は定かではないが、いずれにしてもまともな生活を送れない事は確かだろう。






【余談】
  • ラストさえなければC級映画の一作で終わったであろうこの作品は、ラストのおかげでコアなホラーファンの中で評判となり、一定のファンまでついて続編が4本製作された。
    うち二作目のみ、「レディ・ジェイソン 地獄のキャンプ」として日本で劇場公開された。
    ちなみに、2~4は「性転換したアンジェラがキャンプで次々と殺人を起こす」という内容で、5作目は一作目の公開25周年を記念し、2~4をなかったことにした正当な続編である。
    さらにリメイク版の制作まで決定し、ホラーファンの中でカルトな人気を持つ有名シリーズとなっている。

  • アンジェラ役のフェリッサ・ローズはれっきとした女性
    ラストシーンのロングショット撮影は、彼女の顔芸の顔型をとったマスクを男性俳優が被って撮影された。(クローズアップのシーンは本人が実際にあの顔をしている。)
    フェリッサ・ローズは今作が映画初出演で、成人後もコンスタントに映画に出演しており、自身のキャリアとしてアンジェラ役を誇りに思っているのだとか。
    また、アンジェラ役として一定のファンもいるらしい。
    なお、現在40過ぎのフェリッサだが、結構美人に成長している。

  • 日本で発売されたビデオはラストにボカシ修正が入っており、どんでん返しが微妙になっている。


追記・修正は無修正版を見てからお願いします。

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