カスピトラ

登録日: 2011/11/08(火) 21:57:26
更新日:2022/08/23 Tue 17:38:09
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  • 名称
カスピトラ
  • 分類
哺乳綱ネコ目ネコ科ヒョウ属トラ種の亜種
  • 学名
Panthera tigris virgata
(仮名転写:パンテラ・ティグリス・ヴィルガタ)

カスピトラとは中央アジア・カスピ海沿岸を中心にアゼルバイジャン・グルジア・アルメニアからアフガニスタンまでの範囲に生息していたトラの一亜種。
ペルシャトラとも言い、漢字では「裏海虎」と書く。
オスはおよそ3m、メスは2.6m程の大きさで、10km程の川幅もものともしない程泳ぎが得意だった。


〇絶滅までの経緯

当初は必要な時以外に捕まえられる事は無く、害獣という認識も無かった。
そもそもトラは夜行性の為、夜中にヒトが縄張りに入るという自殺行為さえしなければ共存は十分に可能だったのである。

…が、近代になると農地が開拓され住処が激減。その上、毛皮の需要が高まるとソ連(当時)やイランがマシンガンまで取り出し狩猟を開始。
毛皮は勿論、骨は漢方薬として日本や香港に輸出された…
ちなみに、トラの骨に薬効的効果は無いが、情弱な奴等は「トラの骨マジ試してみ、捗るぞ」と騙されていた訳である。

そんな訳で、野生の目撃は1958年が最後、1974年には完全に絶滅したと思われる。
同じような経緯で絶滅した亜種にはバリ島に住むバリトラや、ジャワ島に住むジャワトラがいる。
また、中国南部に生息しているアモイトラも絶滅が濃厚である。


〇その後

2009年に行われた研究によると、何とアムールトラと遺伝子がほぼ同じという事が判明した。
また同じ絶滅したロプノールトラ(チベットやモンゴルなど内陸北東アジアに分布していた亜種)も同じ亜種である事が分かったが……
ん?アムールトラもロプノールトラもカスピトラとは生息域が離れ過ぎているぞ。何故だ?
(本来この3亜種はユーラシア大陸に広く分布する一つの亜種だった?王族への貢ぎ物として連れて来られたモノが帰化した?)
ともあれ、この結果が正しければカスピトラは絶滅したとは言えない事となる。
……が、アムールトラもまた絶滅寸前。このままでは今度こそ絶滅動物にランクインするかもしれない。


〇フィクションの中のカスピトラ

他の絶滅動物に比べてイマイチマイナーなイメージのあるカスピトラ(『種』ではなく『亜種』というのも一因か)だが、
何とハムレットに出演している。
当時の生息数は不明ながら、ヨーロッパ人の中では「トラ=カスピトラ」だったようだ。

また、『ウルトラマンガイア』に登場した、絶滅したトラの最後の一頭が怪獣化したという設定のイザクの原種「アルテスタイガー」は、
絶滅した経緯なども含めて現実のカスピトラとそっくりであるが、これは脚本段階では実際にカスピトラであったものが変更されたためであり、
この初期設定について、登場回の脚本を担当した太田愛氏は、「絶滅動物が実在していたころの姿を(実際の映像資料等で)視聴者に見せたい」という思いがあったという。




追記・修正はシェイクスピアの作品に登場した人がお願いします。

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最終更新:2022年08月23日 17:38