ムートー

登録日:2014/07/25 (金) 23:25:30
更新日:2023/10/21 Sat 00:32:56
所要時間:約 6 分で読めます








※この項目には映画の重大なネタバレが含まれています。未視聴の方はお手数ですが、ブラウザバックすることを強くお勧めします。









「もう、手遅れだ・・・!」



2014年公開の「GODZILLA ゴジラ」にてゴジラの対戦相手として登場する怪獣。
タイトルに名前が付かないがゴジラシリーズの怪獣としては実に「FINAL WARS」に登場したモンスターX(カイザーギドラ)以来、
そしてハリウッド版ゴジラとしては初の新怪獣である。


●目次

【概要】

◆名前

名前の「ムートー」は「Massive(マッシブ) Unidentified(アンアイデンティファイド) Terrestrial(テリストリアル) Organism(オーガニズム) (未確認巨大陸生生命体)」=「M.U.T.O.」から名付けられた名前。
日本語訳からも分かるようにこの名前はモンスターバースにおける怪獣の総称であり、実はこの種単体での呼び名は存在しない「名無しの権兵衛」だった。
前日談に登場したシノムラや『髑髏島の巨神』にてモナークの資料にあった巨大な亀もMUTOと呼称されていた。
今後、モンスターバースの中で新規に名前が付けられるのか、それとも彼らだけずっとMUTOと呼ばれ続けるか謎だったが、続編のKOMで怪獣全体を括る名称としてTitan(巨神)という名詞が登場。*1
晴れてMUTOはこの昆虫めいた種の固有名詞となったのであった。

◆性格

性格は非常に凶暴。
人類に対してはそんなに敵意を表していない(むしろ流れ弾から庇っていたようにすら見える)ゴジラとは違い、容赦なく人間を襲う。

とはいえ、人間をそのまま餌としている訳でもなく、あくまで反撃や移動に巻き込まれて被害が出るという感じ。
そのため、ゴジラにも言えるが、基本的に人間に対してはほぼ存在を認識していないレベルかと思われる。
本編でムートーが明確に人間を敵として認識したのは終盤の1シーンのみ。

◆容姿・デザイン

三角形の長い頭部、グロテスクで強靭な顎、真っ赤に輝く目つきの悪い複眼
胸部から生える巨大な腕と胸部の小さい副腕(計4つの腕)を持ち、全体的な風貌はまるで節足動物のよう。
地上を移動する際は胸部の腕を前に迫り出しながら歩くので、ゴリラの歩き方にも似ている。

総じて外国映画によくある「クリーチャー」然としたデザインであり、
アメリカナイズされながらも日本の「怪獣」イメージにも沿ってリデザインされたゴジラとは対照的。

◆生態

その生態は非常に特殊であり、放射線を放つ放射性物質を餌にして生きており、
特に自身の繁殖に必要な卵の孵化には放射性物質が欠かせない。

その為、動き回る天然の原子炉同然の存在であるゴジラの体内に卵を産みつけ寄生させる習性を持っている
無論ゴジラ自身も寄生されまいとムートーに対しては敵意を剥き出しにしており、
ゴジラとムートー双方は古代から続く完全なる敵対関係である。

しかし現代ではゴジラに代わるまた別の放射線源…
即ち原子力発電所や核弾頭を執拗に狙っており、物語を大きく動かす事件を何度も起こしている。

当然のことながらゴジラの体に産卵・寄生するにはムートー自身にも大きなリスクが伴うため、
それに比べれば人間が濃縮・貯蔵している放射性物質を奪うほうが圧倒的に簡単であり、生物の本能的に見ても非常に合理的な行動と言える。
人間や熊が蜂の巣を襲うのと同等だろう。

必殺技ではないが特殊能力を持ち、両腕を赤く光らせて地面に打ち付けることで、
都市一つを簡単に機能停止出来るほど強力な電磁パルスを発することができ、
米軍が擁する近代兵器群はあっという間に戦闘不能状態に陥ってしまっていた。なす術もなくポンポン落ちてく戦闘機は見てて怖い。

もともとはゴジラの放射熱線の発動を阻害するための能力らしく、映画ではその部分がカットされているため(小説版では存在する)、
映画しか見てない人には、なんでこいつはこんなに対人類特化の能力を持ってるのかと思ってしまったことだろう。

またマイクロ波の類も発生しているらしく、小説版では至近距離で喰らった田中康司さんが内蔵をドロドロにされて即死した。怖ろしい威力だ……。


知能もそれなりにあるようで、ロシアの原潜をわざわざハワイの山奥まで運んで隠れながら核燃料を摂取したり、
山に隠れながら核ミサイルを運搬している列車を奇襲したりしている。

何よりも砲撃を受けて痛がったり、卵を爆破されて鳴き(泣き)叫んだり、怒り狂ったりととても感情豊か

なお、一度に大量のタマゴを産む、自分の子どもが皆殺しにされて主人公への怒りをあらわにするといった、1998年版ゴジラを彷彿とさせる描写もある。

無機質で凶暴なクリーチャーという印象は薄く、むしろ生物らしさが強調された演出がなされている。

◆能力

前足の爪を地面に叩き付けることで電磁パルスを発生させる。
熱線を吐こうとしているゴジラに対して直接爪を叩き込んで電磁パルスを打ち込むことでゴジラの生体電流を乱して熱線の着火を阻害することができる。
なお、あくまでも熱線の着火を阻害するだけであって熱線の威力を弱めたりゴジラの身体能力を低下させたりすることはできない。
映画の中でメスムートーが熱線の直撃を受けていたがこれは機動力に劣るメスでは熱線をチャージしていたゴジラに爪を叩きつけることができなかったためだと考えられる。
小説版ではオスが熱線のチャージ中のゴジラに爪を突き立てて熱線着火の阻害に成功するシーンが描かれている。


【活躍】

◆『GODZILLA ゴジラ

フィリピンの鉱山にて発見されたゴジラの化石に寄生し、休眠状態になっていたムートーの繭(オスとメスの二つ)が発見された。

オスは発見時に起きた崩落のショックで覚醒し羽化した後であり、メスの繭は休眠状態のままだったため調査の後ネバダ州の放射性廃棄物処分場に移された。

両者は互いが遠くに離れていてもイルカのエコーロケーションのように交信が可能。遠距離恋愛である


◇オス


体高:60m

劇中最初に現代の人類にその姿を見せた怪獣で、後述するメスよりも体格が一回り小さい。
代わりに肩から一対の巨大な翼が生えており、空中を高速で縦横無尽に飛びまわれる飛行能力を備えている。
……が、流石にラドンのようなソニックブームを発生するほどではない模様。

また、その翼を羽ばたかせてる様は遠目で見るとギャオスにそっくりである。

フィリピンから日本の雀路羅(ジャンジラ)市に向かい、
原発を破壊した後、エネルギー不足からかまた繭に戻り、原発跡地で核燃料から放射線を吸収しつつ休眠していた。

15年後全ての放射性物質を吸収し尽くすと復活、原発跡地を完膚なきまでに破壊した後ハワイへ飛び立ち、
近くを潜行していたロシアの原子力潜水艦をサルベージして美味しく頂いた。

その後ムートーを狙ってハワイへ上陸したゴジラと対峙するが、前述の通りムートーにはもうゴジラと積極的に戦う理由が無いため戦闘はほどほどにして逃走。

サンフランシスコ近郊の海上でゴジラ・ムートー殲滅作戦のために移送中の核弾頭を奪った後、市街地でメスと合流、営巣する。

その後ムートーを追って襲来したゴジラをメスと共に迎え撃ち、飛行能力を活かした奇襲と撹乱でメスをフォローするナイス連携でフルボッコリンチに。

……が、人類(主に主人公のフォード)の活躍により市街地に建設された愛のに設置しておいた核弾頭を奪い返された挙句、
産卵していた卵を纏めて爆破されメスがそっちに気を取られた隙を突かれて連携が崩れてしまう。

メスが奪われた核弾頭を追ってしまったため単身ゴジラと戦うが、
不用意に正面から突っ込んだところにカウンターで放たれたゴジラ渾身のテールハンマーがクリーンヒットし、ビルに激突。
ビルの建材で串刺しにされ死亡してしまった。




◇メス


体高:90m

オスと比べてかなり巨体。(性的二形の理に適うとするとこれは昆虫に多く見られる傾向らしい)
宙を舞うオスとは違い、こちらは完全に陸上型。

耐久力やパワーもオスと段違いで、ゴジラの放射熱線の直撃を受けても辛うじてだが生き長らえるほど……だが、戦闘能力は低く、
メスが産卵している間はサシでゴジラとやり合っていたオスとは違い、単独でゴジラと戦った際は、オスのような敏捷性がないため苦戦を強いられていた。

メスらしく劇中では子宮(卵嚢?)に大量の卵を抱えて歩いているのが確認できる。オスと合流した後は交尾を済ませたのか、巣に産み付けてあった。

こちらは繭のままで人類に捕獲されていた。
調査の結果「休眠状態」と推測され、放射線量があまりにも高かった為に米軍が半ば強引に引き取り、ネバダ州のユッカマウンテン放射性廃棄物処分場*2に封印していた。
しかし、成長を終えたオスの呼び声に応えて羽化。封印されていた処分場の一角を破壊して地上に現れると、昼間のベガスで豪遊……をする筈もなく堂々と破壊しながら通過。
列車でサンフランシスコに輸送される途中の核弾頭を襲撃して腹ごしらえし、サンフランシスコ市街地でオスと合流。
そこで巣を作り始め、オスが奪ってきた核弾頭を媒体にして産卵。

そして産卵後、サンフランシスコに襲来したゴジラを迎え撃ち、オスの奇襲で出来た隙を突いてボッコボコにして圧倒する。
しかし、人間に核弾頭を奪われた上卵が爆破され、人類(というよりフォード個人)に対し怒りと敵意を剥き出しにし襲い掛かる。

この時、戦いの最中にも関わらず卵の様子を確認しに行ってしまったせいで夫婦の完璧な連携に隙が出来てしまい、
態勢を立て直したゴジラの熱線を受けて一時ダウンしてしまう。

それでも尚、核弾頭の奪還とフォードへの復讐をゴジラよりも優先したため上記の通り大事な夫がお亡くなりになってしまった。

海に運ばれる核弾頭とフォードの命を狙い、他の兵士達を薙ぎ倒しながら猛追するが、
後一歩のところでオスを倒して追いついたゴジラに阻止され、口を無理矢理こじ開けられ口内へ直接放射熱線を流し込まれて体内を焼き尽くされる
首も焼き切れてしまい息の根を止められた。





因みに2匹の仲はとても良いようで、サンフランシスコで合流してすぐさま
抱き合って、熱いキスをかまし、口移しで核弾頭を渡すという非リア充が泣いて逃げ出すほどの熱々のリア充・・・もといリア獣っぷりを見せた。
それもサンフランシスコの市街地内、白昼堂々、この巨体で、あの巨大怪獣が。

……お前ら末永く爆発しろ!メスは本当にしてしまったがな!

前述の「人妻」や「リア獣」「ラブラブカップル」といった怪獣としては非常に珍しい要素から、
多くのイラストサイトなどではムートーの人気は(特に擬人化などが)かなり高い。
特にムートー♀の最期は「リア充っぷりにムカついたおっさんが人妻の唇を無理矢理奪うように見える」とかなんとか

◆漫画『Godzilla: Aftershock』

◇プライム

プライム、の名が示すとおりムートーの頂点に立つ存在。
モンスターバース第三作『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』の前日譚に当たるビジュアルノベルGodzilla: Aftershockにて登場。
ゴジラを地底から引きずり出すために地震を引き起こすほどの力を持ち、地震虫、龍虫とあだ名される。
ゴジラの同族を複数殺害した不倶戴天の敵と言える存在。

2014年のムートー夫妻敗死後、ゴジラと対決。
凄まじいパワーでゴジラすら一撃で張り倒し、破壊力を持つ音波兵器と言っていい咆哮でゴジラの背びれを粉砕。
そこから卵を産みつけようとするが、背びれが壊れたゴジラの背中から凄まじい量の熱線が放射され、これをモロに浴びて大ダメージを受け、倒れたところに怒りのストンピングで頭を粉砕され敗死した。

種の頂点に立つ特異個体、ムートーの「王(産卵するらしいので女王?)」の無残な敗死は他の生き残りの動向にも影響を与えたとみられる。

なお、コミック版の内容は基本的には映画の時系列とはパラレルワールドであり、キング・オブ・モンスターズの描写とは矛盾する点が多々あるため、ムートープライムとの戦いが映画の時空の中で起きたのかははっきりとしない。

映画とAftershockとの矛盾点
  • 映画では2014年のムートー夫婦との戦い以後はゴジラは姿を消して2019年まで地上には姿を現していないと明言され、プライムとの戦いはなかったことにされている。
  • 映画ではムートー種もまた地球のバランスを保つための種の1つとされ、エマ博士はニュームートーも抹殺すべきでないと考えているが、Aftershockではムートー種は自分たちの繁栄のために地球上の全ての生命体を根絶することを目的としている邪悪な存在という設定であり、エマや芹沢はAftershockではムートー種だけは根絶しなければ地球が滅びると認識しており、ムートーの設定が正反対である。
  • ムートーの能力が映画ではEMPによるゴジラの放射能火炎の弱体化であるのに対してAftershockでは地震を起こしてゴジラを攪乱することとなっており、Aftershockではムートーのそばでも電子機器が問題なく使用可能という描写がある
  • 映画では芹沢たちは最強の怪獣の種はゴジラかキングギドラのどちらかと明言しているが、Aftershockではゴジラ種よりもムートー種のほうが強いと明言している。
  • 映画のオルカは最強種であるゴジラの生体音を利用して他の怪獣たちを制御するという理念で開発されたものだが、Aftershockでは最強種はムートープライムであるとオルカの開発者のエマは認識している。

以上の矛盾点から、映画の時空ではAftershockの事件自体が起こっておらず、ムートープライム自体が存在しないものと考えられる。
一方でドハティ監督のツイッターでのファンとのQ&Aでは
Q「ムートープライムに破壊されたゴジラの背びれが映画では再生されているのはなぜ?」
A「ゴジラの背びれは鹿の角や私たちの髪型のように常に再生し形を変えて成長していく」
というムートープライムとの戦いを認めるような発言をしていることから、映画の時空ではAftershockとは違う形でゴジラとムートープライムとの戦いが起こった可能性がある。
その場合はゴジラはAftershockと違って独力でムートープライムを撃破しており、映画版のゴジラ種はコミック版と違ってムートープライムを超越した種と考えられる。

◆『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ

『GODZILLA ゴジラ』とは別個体のものが登場。通称「ニュー・ムートー」。
前作のものとほとんど見た目が変わっていないように見えるが、背中に棘や角のような突起物が増えているのが特徴。
性別はメスで、前作より成熟した個体らしく体色は色あせており、至るところに傷跡のようなものも見られる。
劇中ではギドラの呼びかけに反応して、ニュージャージー州・ホーボーケンの地底から出現。
その後、最終決戦の地であるボストンへと向かうも、到着した頃には既に決着がついていたため、他の怪獣同様、成り行きでゴジラに頭を下げ、平伏した。
ちなみに、ドハティ監督によれば「クイーン・ムートー」「バーブ」という通称もあるらしい。
また、冒頭の公聴会の際には、前作に登場したオスとメスがイチャつく映像がモザイク修正され、「怪獣同士の貴重な生殖行動を記録したドキュメンタリービデオ」として流されほか、ゴジラを監視する第54前哨基地には、前作でゴジラに焼き切られたメスの生首が保管されているのが確認できる。

核弾頭を美味しく頂けるリア獣の方は、追記・修正お願いします。

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最終更新:2023年10月21日 00:32

*1 モスラの学名がTitanus MOTHRAとなっていたりする

*2 ラスベガス北西約160km、ネバダ核実験場南西部に隣接する高レベル放射性廃棄物の埋設処分施設。ちなみに実在する施設だが、建設途中の2009年に計画が中止されており、作中のように稼働はしなかった。