遠坂時臣

登録日:2010/05/19 Wed 18:55:15
更新日:2023/11/07 Tue 02:09:39
所要時間:約 15 分で読めます







つまり聖杯は、この遠坂に二人分の令呪を与えるべくして、
君というマスターを選んだ。

……どうかね? これで説明にはならないか?




遠坂(とおさか) 時臣(ときおみ)は『Fate/stay night』、『Fate/Zero』の登場人物。
遠坂家5代目頭首。遠坂葵の夫で、遠坂凛間桐桜の父。
『SN』では故人、『Zero』ではアーチャーのマスターとして登場する。

CV辻谷耕史(TVアニメ版『Fate/stay night』)/速水奨(『Fate/Zero』以降)*1
身長:177cm
体重:68kg
誕生日:6月16日
血液型:O型
特技:チェス
好きなもの:ティータイム
苦手なもの:反則攻撃、不慮の事態
天敵:アイリスフィール・フォン・アインツベルン



【人物】

周囲からは天才と称されてきた実力の持ち主だが、魔術師としての才能は遠坂家の中では凡庸。
それでも揺るぎない克己心と自律心を持ち、通常以上の努力で常に結果を出してきた秀才。
並々ならぬ信念と自負を持ち、今や数少ない「本物の貴族の生き残り」と評される人物である。モットーは「常に余裕を持って優雅たれ」
だがそれ故に自らの判断が誤っていると疑わず、その余りにも強固過ぎる自信から肝心な所で足元を見ない悪癖を持つ。
しかもこのうっかりエフェクトは先祖代々伝わるものなのか、娘の凛にもしっかり受け継がれてしまっている。
ただし、あくまで時臣のうっかりエフェクトが発動するのは命に関わるほどの重大な局面に限った話であり、普段は完璧過ぎる程完璧で、葵と凛が連日メロメロになる程。

ギルガメッシュ曰く「退屈で面白味のない男」。
凛の回想によれば、凛の知る限り冗談一つ言わない人物で、時臣を笑わせようとジョークを練習したが結局披露せずじまいだったとのこと。
しかし『SN』にて、遠坂邸の時計という時計の時刻がずれていたことが発覚した際、凛は時臣がこれを仕掛けたのではと疑う場面がある。
実際この疑いは正解で、「この程度の身近な狂いにも気づかないようなら、聖杯戦争に参加するのはまだ早い」というちょっとした茶目っ気だったとか。
取りつく島もない堅物かと思いきや、そんなこともない時臣だった。

そうした一方で、生粋の魔術師である時臣は冷酷とも言える非人間性、もとい魔術師特有の価値観を色濃く持ち合わせてもいる。
娘達に対する愛情は本物であるものの、桜を間桐家へ養子に出したことについて間桐雁夜に問い詰められても「これが桜の幸せ」と語り、
その果てに凛と桜の子孫が将来殺し合う事になったとしても「我が末裔たちは幸福である」と言い放つなど、一般人からすればその思想はどこか歪んでいる。
時臣が葵に求婚したのも、禅城家の人間が持っていた優秀な特異体質に目を付けた故の行動だったという。

+ 桜にまつわるあれこれ
魔術師として生きる事を至上とし、一般人として生きる事を凡俗と評する時臣ではあるが、
娘たちに対して「魔術師として生きるか否か」という選択の機会すら与えることができなかったことを内心では悔いているなど、
実のところ、雁夜が思うほど娘たちのことを蔑ろにしていたわけではない。

時臣が桜を間桐へ養子に出したのは、共に類稀な魔術の才能を持つ凛と桜のどちらか一方を凡俗に堕とすことを良しとしなかったためである。
仮に二人をそのまま家に置き続けた場合、魔道の加護を受けられなかった=家督を継げなかった方にはその血に誘われた怪魔が災厄をもたらし、
魔術協会がそれを発見すれば嬉々として保護の名の下にホルマリン漬けの標本にしてしまっただろう、と語っている。

その上で凛ではなく桜の方を養子に出したのは、桜の持つ「虚数属性」より凛の持つ「五大元素」の方が遠坂の魔術に適していたため。
もし桜を跡継ぎにしても、珍し過ぎる虚数属性の習熟は時臣の手には余り、時計塔に留学させるしかなかったとか。

そして肝心の間桐家における桜の待遇に関してだが、
まず時臣は間桐臓硯からの養子縁組の申し出を「桜を一人前の魔術師にする為の魔道の名門にして盟友からのありがたい話」と素直に捉えており、
臓硯が最初から桜を「間桐の魔術師を生み出すための胎盤」としか見ていなかったことを看破できていなかった。
加えて間桐家との契約で桜との接触を禁じられていたため、桜が間桐で虐待紛いの鍛錬を強制されていることも知る術が無かったのである。

もし雁夜がその事実を時臣に伝えていれば桜の将来は変わっていたかもしれないが、
時臣は間桐家の家督相続を拒んだ雁夜を「魔導と血の責任から逃げ出した男」と軽蔑しており、
雁夜の方も想い人である葵の夫であると同時に桜を家族から引き離した時臣を深く憎悪していたため、中々に無理な注文にはなるだろう。

ただしシリーズの別作品の描写を見る分には、その気になれば間桐ではなくエーデルフェルトに桜を託すことも可能だったようで、
間桐家での桜への仕打ちとそれによって歪んだ彼女を知るファンからは「最初からやれ」「また遠坂のうっかりか」等と辛辣な評価がなされている。
間桐家、というか臓硯の本性をついぞ知らなかった時臣には無理からぬ事なのだが、まあ是非もないよネ!


虚淵玄の「凜の善良さを父親にまで引き継がせると、ものっそ殺すのを躊躇させられるキャラになる」という考えにより、敢えて悪寄りのポジションに立たされた不憫なキャラ。
奈須きのこは「雁夜との対決での彼は最高に人でなしで、だからこそ魔術師として名に恥じるところのない『偉人』なのですが」とコメントしている。

「時臣の最大のラッキーって(社会的には異端者の時臣を、社会的に受け入れちゃう)葵さんと出会えたコトじゃね?」というのも奈須の談。
Fate/EXTRA』の世界では非人間的な面すら込みで盲愛してくれる妻がいるのに愛人とにゃんにゃんして子供遺してたのが明らかになったが、彼もまた男である。仕方ない。

ちなみにドラマCD『TYPE-MOON Fes.スターダストオペレッタ』にて衛宮士郎と対面したが、基本的に娘が選んだ男ならば文句は言わないスタンスの模様。
凛と桜に二股かけていることを知った際にも、謝る士郎に対して「紳士だから一夫多妻制に理解はある」「私だってしてみたかった」とサラッと問題発言をしていたり。
一方で、自分の子供が二人揃って粉をかけられていることについては「片方だけでは足りないのか」と子煩悩(?)な様子も見せている。
(が、士郎の名字が衛宮であることを知ってからは激怒して士郎を焼こうとした。)
また、魔術師として魔法とそれを操る魔法使いには敬意を払っているようで、蒼崎青子の魔弾を見た際には魔法の一端を見る事が出来たとして感嘆を露わにする一幕も。


なお遠坂家は魔術師の家系ではあるが、隠れキリシタンの末裔として聖堂教会とのパイプも持っている。
さらに第四次聖杯戦争の監督役である言峰璃正は時臣の後見人であり、個人的にも時臣の祖父の代から続く懇意な間柄であった。
これらの人脈を活かして、時臣は璃正から秘密裏に全面的なバックアップを受けており、
璃正の息子である言峰綺礼を幕下に加え、何重にも策略を張り巡らせた上で第四次聖杯戦争に臨むこととなるが……。

ついでに作中ではあまり目立たないが、時計塔にも間諜を放ち、他マスターの情報を抜かりなく収集していた様子。


聖杯に託す望みは、「魔術師にとっての悲願、万能の力である”根源”に到達する」こと。




【外見】

凛が回想するところによれば、背が高く彫りの深い顔立ち。凛自身はクォーターであり、時臣の母親によく似ているとか。
一部のファンの間では第三次聖杯戦争で戦死したとされているエーデルフェルト家の双子の妹が実は生きていて時臣の母になったのでは? と考察されていたりする。
髭がチャームポイントで、日々の手入れに時間をかけているらしい。
年齢は不明。『SN』で凛は十分に天寿を全うしたと語っているが、CGに映る手は特に老けていない。『Zero』でも外見年齢は当時20代だった言峰綺礼と大差ない。
凛が父の死について強がっているだけなのか、コルネリウス・アルバの如く若々しい外見を保っているだけなのかは判然としない。


【能力】

魔術属性は「」で、宝石魔術を得意とする。
作中では宝石を使ったFAXらしきものや翡翠の鳥などを用いる他、大粒のルビーをはめ込んだ杖を魔術礼装としている。
その腕前も折り紙付きで、雁夜との魔術戦においては彼が操る蟲の使い魔を軽く焼き払い、一匹たりとも寄せ付けることなく瀕死に追い込んだ。
サウンドドラマ版では、大量に飛び回る対火加工を施した蟲を相手に装甲の薄い関節部だけを的確に焼き尽くして撃墜するという神業を披露している。
……まあ、活躍らしい活躍はこの場面しかないが。

奈須曰く
「(ケイネスに対して、切嗣を除く四次の)マスターで太刀打ちできるのは時臣くらいかな」
「(冬木のイリヤに対して、SN、HA、Zeroの魔術師の中だと)ケイネスや時臣なら魔術戦で撃破可能です」
とのことで、時計塔の一、二級講師と比較しても引けを取らない力量を持つ模様。ケイネスの水と風の二重属性と、時臣の火属性は相性が悪いだろうことを考えるとかなり凄い。

また、先祖である遠坂永人は魔術と武術を等しく見ていたが、時臣に武術の心得があるとは描写されていない。
これについては『Fate/unlimited codes』で凛に
「父さんは生粋の魔術師だったからこの手の野蛮な魔導書(『宝石による近接格闘礼装全種』)はお気に召さなかったんでしょ」
と言われている。

一方で、魔術師…というか凛の父親故なのか重度の機械音痴。
機械よりも魔術の方が良いと綺礼に豪語しているが、少なくともコスト面では情報伝達などの雑用には機械を用いた方が数十倍優れていること等には気付いていない。
一度使えばウェイバーのような新米もその事実に気付いているところを見るに、そもそも豪語できるほど機械類を扱ったことがあるのかすら怪しい。

ちなみに遠坂家は先祖代々商才にも恵まれており、時臣もまた例外ではない。
冬木市のセカンドオーナーとして莫大なテナント料の収入があり、本来なら凛もその恩恵を受けるはずだったが、
後の綺礼の杜撰な管理によって土地の殆どが人の手に渡ってしまった。
ただしこの件に関しては綺礼の悪意によるものではなく、彼が聖職者としての清貧を重んじた価値観をもって運用をした結果である。

その他にも、時臣が魔術協会に申請した「魔術を簡略化する魔術式」の特許による年間数千万の収入が凛にはあるものの、宝石魔術には相当な出費がかかるため十分とは言えない。
そもそも時臣が特許を申請した魔術式自体、そこから十年の月日が流れた『SN』では流石に少々時代遅れになってきており、年々年収が下がっている状態。
総じて『SN』時代と比べると、『Zero』時代の遠坂家は、海外に別荘を持ったり、調度品のグレードが上だったりと、裕福さを感じさせる描写が多い。


【作中での活躍】



勝ったぞ綺礼。この戦い、我々の勝利だ


もしかして→死亡フラグ
聖杯戦争開始当初は、触媒を用意した甲斐あって目当てであるサーヴァント殺しの英霊・英雄王ギルガメッシュを首尾よく召喚できた上、
協力者である綺礼が諜報能力に長けたアサシンを召喚し、そちらに情報収集を丸投げできたことで、他のマスターと比べると中々に好調なスタートを切れた。
ちなみにアニメ版1話におけるギルガメッシュを召喚した際に放った上記の台詞が印象的だが、これは原作では璃正の発言だったりする。

また、召喚したギルガメッシュとの関係性については、
本来は使い魔にすぎない自らのサーヴァントに対し「高貴なる者」として掛け値なしの敬意を払い、臣下の礼をとるなど、通常とは真逆の主従関係になっている。
この点についてはギルガメッシュ本人も「この時代にしては希少な男」と評価しつつ臣下として認めており、
「貢ぎ物(=魔力供給)がある以上は臣下の進言に耳を傾けるのも吝かではない」という形で一旦の行動体制を敷いていた。

◆経過と結末

…だが、計画とは得てしてそうそう予定通りには運ばないもの。
時臣にとって予想外の事態が次々と重なり、心が休まる暇もない程に心労が蓄積していく。

中でも、聖杯戦争そっちのけで児童誘拐事件を繰り返すキャスター陣営に関しては、冬木の地の管理者としても早急な対応を迫られることとなり、
璃正と結託して「キャスターを討伐した者には追加の令呪が与えられる」という追加ルールを設けることで、他のマスターも利用しつつ解決を試みることとなる。
これには、日の下に引きずり出されたキャスターをアーチャーに討伐させることで合法的に令呪を増やそうという思惑もあったのだが、
出現したキャスターは、異界から大海魔を召喚するという魔術の隠匿など知ったことかと言わんばかりの蛮行に走って冬木の街を大混乱に陥らせた上、
肝心のアーチャーにやる気が無かったため、結局キャスターはセイバー・ランサー・ライダーの三陣営の手で討伐され、諸々計画をご破算にされる。
そればかりか、追加の令呪を貰いに来たケイネスに璃正が殺害される(時臣視点だと下手人が誰かも不明)という悲劇にも見舞われることに。

協力者だった璃正の急死により、いよいよ先行きが読めなくなった時臣は、後顧の憂いを断とうと妻子の元を訪れる。
そこで初めて凛の頭を撫で、父親らしさを見せてこなかったことを後悔したが、かける言葉はやはり魔術師としてのものだった。
(時臣視点では大真面目なのだが、凛視点では初めてのことだったので撫でるというよりグリグリされる感じだったとのこと。優雅はどこ行った優雅は。)
なおこの時、凛は時臣が死ぬことを本能で察していたが、それを飲み込み礼儀正しく送り出したという。

その後、時臣は(ライダー陣営を除けば)始まりの御三家が残った状態であることを鑑み、セイバー陣営へ協力関係を申し入れる。
アインツベルンの名代として時臣との交渉の席に立ったアイリスフィールは、
遠坂家の協力など不要だと強気な態度を見せつつも、休戦ならば2つの条件付きで受け入れると提案。
1つはライダー陣営に関する情報提供で、これは時臣としてもセイバー陣営がライダー陣営を狩るなら好都合と素直に応じる。
もう1つは綺礼の国外退去であり、時臣にとっては予想外だったことに加え協力者を失うデメリットもあって当初は渋りを見せるが、
自分が関知しないところで綺礼がセイバー陣営とトラブルを起こしていた事実を知らされたことで、結局押し切られる。
ちなみにアイリにとっては情報戦の一環だったとはいえ、アインツベルンの者として居丈高な態度で条件を2つも呑まされた為か、時臣はアイリを天敵認定している。

…こうして、アインツベルンとの取引を受けて綺礼は時臣の下から去ることとなり、間もなくその出発予定日を迎える。
時臣はこれまでの綺礼の協力に対する感謝を伝えると共に、自分に不測の事態が起こることも危惧し、彼に自身の後継ぎである凛の後見人となることを頼む。
同時に、魔術の弟子として一応の卒業を迎えた綺礼にその証である魔術礼装・アゾット剣を贈り、聖杯戦争を勝ち抜く事を改めて決意するも、
出発の予定など最初から無く、とうに裏切る腹積もりを固めていた綺礼に、自身が渡したアゾット剣で背後から刺され、理解が及ばぬという顔のまま呆気なく死を迎えた。
部下としても弟子としても信頼を置いていた男は、英雄王との邂逅によって愉悦に興じる外道となっていたのである。

この最期の流れ一連を指して、誰が言ったか通称「アゾッ時臣」。裏切られることそのものの代名詞として「アゾる」なんて派生も生まれる始末。
…「マミる」「初瀬る」「シドる」といい、つくづく業の深いライターである。

◆その後と余談

通常、魔術師は魔術刻印の存在によって強制的に延命させられる。
そのため、確実に反撃されないよう速やかに仕留めるには、魔術回路の起動に意識が向く一瞬の猶予すら与えず心臓や脳等を完全に破壊して、
「対象が殺されたと自覚出来ない程に素早く殺す」こと以外に手は無い。
そうした背景もあって原作では「肋骨の隙間から心臓を串刺しにした」のだが、アニメ版では何故か「脇腹を刺されただけで死んだ」ことになっている。
これについては奈須も「時臣が一撃で死んだのは、剣で心臓を刺されたから……というコトにしておけ」と語っており、フォローを諦めている。*2

綺礼と初めて会った際の時臣は「魔術師の師と弟子が殺し合ったり、裏切ったりするのは日常茶飯事」と語ったが、自身もまた例に漏れず同じ末路を辿ったのは皮肉な話である。
時臣は、最初こそ綺礼について狂信的というより空虚な人物だと感じていたのだが、聖職者であるにも関わらず魔術を覚えることに積極的な彼に次第に心を許す様になり、
第四次聖杯戦争の頃には、凛に兄弟子への礼を取らせる程にまで信頼を置くようになっていた。
アゾられる直前も「君という弟子を持った事を誇りに思う」と語っており、まさか綺礼に裏切られるなど思いもよらなかった様子で、
前述の通りその死に顔は「何が起こったのか分からない」と言わんばかりの表情だった。

そして、その結末を招いた要因でもあるギルガメッシュとの関係性は一見上述した通りの逆主従ではあったものの、
実のところ、時臣の「英雄王ギルガメッシュ」に対する敬意は本物だが、サーヴァントとしての彼のことは彫像や肖像画と同列に見ており、
平時は敬意をもって接するが、聖杯戦争を勝ち抜いた暁には大聖杯を完成させる道具として迷わず令呪をもって自害を強制するつもりであった。
この事はギルガメッシュも勘付いていなかったようで、それを知った際には「最後にようやく見所を示したな」と寛容かつ残忍な笑みを浮かべ、
しかしこの頃には既に綺礼に興味を抱いていたため、その離反を咎めることなく、事の結末を見届けることを決め込んだ。
結果、時臣は信頼を寄せていた綺礼の裏切りに気付かずにあっさり殺されることとなり、一部始終を霊体化して見ていたギルガメッシュには、
「もう一悶着ぐらいあるかと期待していたのだがな」と呆れられ、遺体の頭を足で小突かれる始末であった。

ただ、自身のサーヴァントには「手堅過ぎて退屈」と評され、結果的には協力者に裏を掻かれる形で脱落してしまった時臣であるが、
彼の戦略全体自体はそう悪いものではなく、「このまま時臣の戦略が進めば手堅く最後まで勝ち抜いてしまう」と虚淵が語る程であり、
実際、彼の戦略を踏襲している綺礼はその後上手く事態を誘導することに成功している。
しかし、そんなに手堅く勝ち抜いてしまえば面白みに欠ける平坦な物語になること請け合いなため、時臣にとって数々な不測な事態が起きることになった。
そもそも時臣が勝っちゃったら『SN』に繋がらなくなるしね!*3
そういう意味では彼もまた、SNで結末が前以て示唆されていたケイネス同様、脚本の被害者の一人と言える。

一方で、時臣は万一に備えて自らが死んでも凛が問題なく遠坂の後継者となれるよう準備しており、ケイネスとは違って死後の魔術刻印はちゃんと凛に引き継がれた。
なお、時臣がもし第四次聖杯戦争で生き残っていた場合、当時幼く父を心から尊敬していた凛は彼の理念から来る冷酷さを理解していなかったが、
成長と共に時臣の持つ冷酷性を理解するようになり、反発して魔術そのものを嫌い関わりを持とうとしなくなるらしい。
もしくは、父親同様冷酷な面を持った魔術師らしい魔術師として成長するとされている。

ちなみに、『SN』ではギルガメッシュは綺礼を指して「我の召喚者」と呼んでいたが、綺礼の方は「わたしは真っ先にサーヴァントを失った」と語っており、
この時点で既にサーヴァント交代劇に近い何かがあったことは示唆されていた。
そして『Zero』では実際の召喚者は時臣であり、あくまで綺礼はその場に居合わせただけだったが、
その後のそれぞれのサーヴァント・マスターの退場及び再契約という形で、伏線が回収された。
また、なぜ時臣のサーヴァントにギルガメッシュを抜擢したかについては、
「綺礼が殺したと明言している凛の父にこそ、その役が相応しかろうと。ギルガメッシュの油断スキルと凛のうっかりスキルに相通じるものを感じ、
 またマテリアル本においても金ピカと凛の相性は最高にいいという記述があったことも、遠坂一族をマスターにしたかった理由です」
と回答がされている。

Fate/Grand Order

サービス開始当初から概念礼装「優雅たれ」の絵柄として登場していた。ランクに見合わないゴミ効果からネタ礼装筆頭候補に
その後は暫く間を空けて、概念礼装「火焔伯爵」「悲願の継承」でも登場。こちらは流石に実用性あり。

また、イベント「Fate/Accel Zero Order」にも登場。立ち絵こそ用意されなかったものの、「在り得たかもしれない第四次聖杯戦争」を戦っている。
『Zero』同様ギルガメッシュを召喚、綺礼に百の貌のハサンを召喚させ暗躍させる…と、ここまでは上手くいっていたが、突如出現したエルメロイⅡ世と主人公らによって計画が狂い始める。
手始めに管理していた冬木市一帯の霊脈を使い物にならなくなるまでぶち壊され、
切り札のギルガメッシュもエルメロイⅡ世の手引きの下、聖杯問答の場へ襲撃をかけた雁夜とバーサーカーに撃破されてしまう。
だがそれでも聖杯への望みを捨てきれず、綺礼からアサシンのマスター権を譲り受けることで、
自分の計画をぶち壊しにしたエルメロイII世にアサシン達を差し向けるも、まともに使いこなせず一騎残らず駆逐される。
トドメに、エルメロイⅡ世らの活躍によって大聖杯は消滅することとなり、諸々の望みを完全に絶たれた。

当該イベントのストーリーではケイネスや雁夜、桜など、原典である『Zero』において救いがなかった人々が救済される一方で、
彼は「不幸吸収装置」「弟子に刺されて愉悦の肴にされるとかまだ生ぬるかった」などと言われてしまうほど、魔術師としては酷い目に遭っている。
しかしながら、聖杯戦争こそ散々な結果に終わったが、弟子に殺されることなく生還し、葵も精神障害を負うことなく無事で、
今後は葵、凛、間桐家から連れ戻された桜と4人で暮らしていけることを考えると、人間的には救いのある結末を迎えたと言えるだろう。

そして、イベント「セイバーウォーズ2」において、まさかの本人が満を持して登場。
ただし遠坂時臣としてではなく、サーヴァントユニバースにおける考古学者「トキオミ教授」としての出演である。
イベントアイテム交換所を開いたら、何の前触れもなく突然出てきた時臣に笑いをこらえきれなかった人も少なくないはず。
凛……もといスペース・イシュタルの父親で、イベントの時間軸では故人。
原典に比べるとお茶目な発言の目立つチャーミングな紳士。
「原始の女神」を研究する研究者であったが、スペース新陰流の手によって殺害されてしまう。

+ ネタバレ
考古学者という肩書きは隠れ蓑。
その正体は魔術師であり、第三魔法の行使により人類全てがサーヴァントと化したサーヴァントユニバースにおいて七名のみしかいない最後の「人間」にして「マスター」。

そして、女神の「悪の半身」を善性を以て育て上げる事を決意した信念の人。
「善の半身」が愛されるのは当たり前であり、蒼輝銀河のためにもそうするべきなのは理解した上で、
敢えて女神にすら拒絶された「悪の半身」を人々に愛されるように育て上げることこそが、
蒼輝銀河の存在する理由の証明に他ならないと考えたロマンチスト。
「セイバーウォーズ2」は、そんな彼の決意が正しかった事を証明する物語である。


……なお、ムネノリに殺害されたと思われていた教授であるが、イベント終了後の交換所ボイスによればちゃっかり生存していた模様。なんなんだアンタ
Sイシュタルにはそのうち会いにいくつもりらしいが、会った瞬間クエーサーされないか心配である。



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最終更新:2023年11月07日 02:09

*1 『SN』と『Zero』の両方に登場するキャラクターの中で唯一声優が異なっているが、これは『SN』時点では少ししかなかった時臣の台詞を音響監督を務めていた辻谷氏に演じてもらったため。

*2 因みに放映と前後して発売された『魔法使いの夜』にて、魔術刻印の治療能力のチートっぷりが明らかになり、時臣の死の呆気なさが逆に目立ったことについては、「時臣がそれほど優秀な魔術師じゃないから、というのもあるけど。致命傷を受けても強引に蘇生できるのは、青子とか凛とかひと握りの魔術師だけ。天才、天才なんスよ、アイツら」と語っている。青子は破壊以外は三流という話なのだが……つまりどういうことだってばよ?次の回で衛宮矩賢が殺害された時も、奈須は「あまり歴史のない魔術刻印だからだと思われ。蒼崎もあまり歴史ないけど……、その辺はまあ許して」と言っているので、作品間の齟齬程度に考えるべきかもしれない。

*3 ZeroとSNは厳密には「よく似た異なる世界線の話」だとされているが、時臣の死という大きな出来事についてはやはり共通かつ回避不能であると思われる。