大蔵家(Navel)

登録日:2014/07/18 Fri 07:27:22
更新日:2022/11/23 Wed 18:38:04
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大蔵家(おおくらけ)


Navelの18禁アダルトゲーム月に寄りそう乙女の作法』および、同メーカーによる続編作『乙女理論とその周辺』『月に寄りそう乙女の作法2』に登場する架空の家系。
両作品の主人公大蔵遊星はここの生まれである。


遊星の人格形成はもちろんのこと、遊星を取り巻く環境に根幹的な影響を与える重要なファクターではあるものの、つり乙時点では設定の大半が語られずじまいだった。
遊星の異母妹『りそな』をメインヒロインに据えた続編乙りろにおいて、改めてこの一族に関する情報が明らかにされていく。
過去に繰り広げられた愛憎劇、そしてそれらを発端とした大蔵家の現状は「なにこの昼ドラ」とか言いたくなるくらい複雑でドロドロとしており、乙りろを前作よりシリアス成分高めな内容にする一因となっている。だがそれがいい。



【概要】

作中世界において日本の財界を代表し、『華麗なる一族』と謳われる一族。
歴史の浅さから家の格はさほどでもないが、巨大な資金力により世界規模でシャレにならないほど強い影響力を持つ。
作中で判明している限りでは、日本を本拠としつつヨーロッパ、アメリカ、アジアにそれぞれ支部がある。

各支部は以下の通り一族の者が運営している。
ヨーロッパ(本拠はイギリス):衣遠
アメリカ:駿我
アジア:アンソニー

当主・日懃がかなりの高齢となった現在は後継者問題が浮上し、長男家の衣遠、次男家の駿我が次期当主候補筆頭として水面下で競争を続けている。



【晩餐会】

大蔵の血族(とその配偶者)を集めて開かれる食事会。
開催周期は不定期(新年会は毎年開かれる模様)で、一族の中から日懃に指名された一人が召集・会合当日のホスト役を担う。
日懃が家族のつながりに強くこだわるため、この食事会への参加を拒んだ者(ひいてはその一家)は日懃から冷遇される。
特に後継者争いにおいては大きなハンデを負ってしまうので、どれ程多忙だろうが欠席者はまず出ない。というか他の家族が欠席を許さない。

一族の運営方針が話し合われることもあり、その際には年齢や実績を問わず、一人ひとりの発言権が一律均等なのが大きな特徴。
多数決のような場面ではそれが顕著で、多くの功績がある衣遠と、引きこもり学生のりそなの一票が同じ重さを持つことになる。これが遊星をお家騒動に巻き込むのだが……。

ちなみにこの『一族』とは大蔵の血族であることが最低条件のようで、金子などは晩餐会に参加しているものの『票』は持たない。公に一族と認められていない遊星も同様。
そもそも遊星は晩餐会の存在すら『つり乙』時点では知らない始末。



【人物一覧】

《当主とその妻など》

○大蔵日懃(- にちぎん)
現当主。
大蔵家を自らの代で急速に成長させ、90歳を越えた現在でも各界に絶大な影響力を持つ人物。
戦争で当時3人いた息子を全員亡くし、それをきっかけに「血の繋がり」や「家族愛」を至上のものと考え、執着するようになった。
すでに高齢だったにもかかわらず、後から新しく3人もの息子をもうけたのはその執念ゆえ(つり乙2時点では更に娘が一人増えているとか……)。

一族にも家族を大事にするよう求めているが、不義の子とはいえ自分の孫である遊星に対してはその存在を認めようとせず、一度も会おうとすらしてこなかった。
かと思えば乙りろ本編でいきなり「死ぬまでに遊星(家族)と会いたい」と掌を返してみたり、逆に溺愛していた孫をちょっと反抗された程度で遠ざけようとしてみたり(メリルルート終盤のりそなに対して)など、その「家族」の線引きは割と簡単に変化するものらしい。
ぶっちゃけ、どうにも薄っぺらく表面的な認識で「家族」を捉えている感は否めない。

そうした性質ゆえか、他の一族が日懃の前でだけ仲の良さを取り繕い、その裏で互いを陥れようと躍起になる現状にまったく気づけていない。
りそなは日懃のこの境遇に同情しつつ、しかし過去の遊星への扱いを知っているために「自業自得」とも語る。


○大蔵とまと
日懃の妻。故人であり、作中で特に話題に挙がることはない。
夫に付き合って都合6人もの子供を産んだすごい(?)人物。
作中、シリアスな話の流れで紹介された家系図に「とまと」のファニーな字面を見つけて戸惑ったプレイヤーは多いかも。


○大蔵止水
○大蔵南斗
○大蔵太光
戦時中の空襲で全員が死亡。
そのため、年を経て生まれた真星が本編時点での実質的な長男として扱われる。


○大蔵瑠美音(- るみね)
『2』に登場。乙りろから十数年後、日懃が90歳を超えた後に再婚相手に産ませた。名前は作中だとほぼ漢字で表記されず、ずっと「大蔵ルミネ」表記。
遊星たちはもちろん作中世界に登場する大蔵性の人物の中で最も若いが、立場上衣遠ですら敬語で接するなど絶大な権力を持っている。衣遠からは「大叔母殿」とからかいも含めて呼ばれている。
幸い、問題児集団すぎる大蔵家の中でも極めて真面目な性格に育つが世間や大蔵家の規則に縛られ過ぎる排他的な頭の固さも目立つ、「規則至上主義」。それ故に暴走してしまうと恐ろしい。
愛人やら愛人の子やらが日常茶飯事の大蔵家の男女関係のだらしなさにうんざりしている。ただし自身のルートでは自分もその一人になり衣遠にお叱りを受けたり。


《長男・真星一家》

衣遠が実質的な代表兼次期当主候補として立ち、それを金子が後押ししている。
一家の主であるはずの真星は実権を持たず、衣遠や金子にりそな共々従っている状態。


○大蔵真星(- しんせい)
日懃の長男。衣遠・遊星・りそなの父。
ある事情で次期当主候補からは外されており、さらに本編の十数年前には一家の舵取り役を衣遠に取って代わられ、ほぼ全ての実権も奪われた。
以降、イギリスはマンチェスターの屋敷にて衣遠の指示で軟禁状態にある。
りそなルート終盤のあるシーンを発端に、時にネット上で「真性」呼びされる(変態的な意味で)。100%ネタとして笑い飛ばせればいいのだが、マジモンのド変態である可能性もまた捨てきれない業の深いお方。


○大蔵金子(- かなこ)
真星の妻にして衣遠、りそなの母。
若いころは才気に溢れる美人だったらしいが、乙りろにて極道モノにでも出てきそうなドぎつい顔グラを引っさげて初登場。
権力欲の塊のような人物といってよく、性格は非常に苛烈。衣遠を次期大蔵家当主に据えるのに「味方」となるか「敵」となるかが人間関係における指標の全てで、「敵」には一切の容赦をしない(溺愛する娘のりそなは例外)。
また、それとは別に夫の浮気相手とその息子への憎悪から遊星母子への当たりが厳しい。その悪感情は今でも収まることを知らず、遊星母子が絡む話題では我を失って喚き散らす。
根本的に理屈が通用しないタイプな上にヒス体質な人間で、逆上状態の彼女には衣遠ですらウンザリさせられているとのこと。


○大蔵衣遠(- いおん)
つり乙から続けて登場。真星家長男にしてりそなの実兄、遊星の10歳上の異母兄。
大蔵グループヨーロッパ支部を運営しつつ、自己ブランドを立ち上げてファッションデザイナーとしても世界的に活躍する天才。
能力的には歴代の大蔵家男子の中でも飛び抜けていると評される。
クハハーな笑い方や演技がかった物言いは健在で、『1』と変わらぬ濃いキャラクター性を発揮するほか、そうした人格を獲得するに至った入り組んだ事情が明らかにされる。
山弌家の娘の行方を知っており、駿我以外の誰にも知られないように黙っていた。
なお、使いの者と偽り何度も自身が様子を見に行っていたようで本人曰く「あの娘はわが娘も同然」とのこと。直後に「弟さんを私に下さい」とか言われなければいい話だったのだが。


○大蔵りそな(漢字表記では里想奈)
つり乙から続けて登場、乙りろにおけるメインヒロイン。
衣遠の実妹、遊星の一つ下の異母妹。
人間不信かつ無気力に育ち、唯々諾々と母や兄に従ってきたが、本編にて少しずつ自立の気概を見せ始める。



《遊星母子》

○遊星の母(本名不明)
故人。主人公・遊星の母。アイルランド出身の英国美人。
マンチェスターの屋敷に勤める使用人だったが、真星に見初められて彼の愛人となり、遊星を産んだ。
真星からは深く愛されていたが、幼い遊星の視点では彼女は真星にそれほどの愛を持っていなかった様子(病弱なうえ親類がいないという弱い身の上ゆえに逆らえなかったのでは……と遊星は予想している)。
それでも遊星には確かな愛情を注ぎ、「雌犬」と蔑まれる針のむしろの環境のなか、遊星を唯一の生きる支えとして屋敷に勤め続けていた。
遊星がまだ幼いころ、金子の命令で互いを引き離されたことでその支えを失い、一年後に体調が悪化、病没する。


○大蔵遊星
つり乙・乙りろの主人公。
真星の子として一応の認知はされたものの一族として列席することは認められず、さらには生まれてから長らく、マンチェスターの屋敷にある屋根裏部屋で母と共に軟禁生活を送っていた。当時の屋敷住人からの蔑称は『屋根裏王子』。
母と引き離された後は過酷な労働環境に放り込まれて心身ともに疲弊し、さらには母の死を知って自らも死に逃避しようとするが、衣遠と共に現れたジャンと出会い、彼に感化されて明るく生きることを誓う。
以後、ジャンへの憧れを胸に衣遠の下で数年間服飾を志す
→才能の無さから衣遠に見限られ挫折
→日本で暮らすりそなの世話役として、無為な日々を過ごす
→ある時りそなの後押しを受け、フィリア女学院で再び夢を追うことを決意
……という流れを経て、つり乙本編では身分と性別を偽った『小倉朝日』としてルナに出会う。



《次男・富士夫一家》

真星一家と同じく、一家の主ではなくその長男・駿我が実質的な代表兼次期当主候補として立つ。
次男のアンソニーも当主の座に対してそれなりの野心を持ってはいるが、こちらは駿我に劣ることを自覚している+兄上大好き人間でもあるのでサポートの立場におおよそ満足している。


○大蔵富士夫(- ふじお)
日懃の次男(真星の弟)。
真星と同じ事情により時期当主候補からは外されており、また一家の代表としても駿我に取って代わられている。
男性版金子と言っていいレベルの権力欲の塊だが、根はどうしようもない小物。良くも悪くもアクティブに動く金子とは正反対の陰湿な性格で、その癇癪は外ではなく内、つまり自らの妻や息子たちに向けられる。
次男に生まれたことから次期当主争いで真星に出遅れたのを悔やみ、「次の代では競争を有利に進めたい」という一念のみで真星より早く長子(駿我)をもうけた。
おそらく、日懃の求める家族像から最もかけ離れた人物の一人。
『2』にて彼とコメリカとは別の愛人の子「山県大瑛(やまがた だいえい)」の存在が発覚しているものの、彼が認知せずに大蔵家の名前を与えられず、駿我が面倒を見ているなどさらにどうしようもない人物に。


○大蔵十六夜
駿我の母。故人。
富士夫の癇癪で心身が弱り、駿我がまだ幼いころに亡くなっている。


○大蔵駿我(- するが)
富士夫一家の長男。衣遠と並び次期当主候補と目されている物静かな青年。衣遠より年長。
制作サイドが思っていた以上の人気を得た結果か、『しろたまブログ』(Navelのスタッフブログ)にてメインライターの東ノ助によるショートストーリーが書き下ろされたほか、四月馬鹿動画では衣遠と共にメインキャラとして扱われたりした。
衣遠同様に山弌家の娘の行方を知っていた。
しかし管理は衣遠に任せていたようで、パリで彼女に逢った時は本人曰く動揺していたらしい。


○大蔵コメリカ
富士夫の後妻であるアメリカ人女性。アンソニーの母。旧姓は不明。
駿我曰く「自分の母とは対照的に享楽的で楽天的なタイプ」。その人柄のお陰で富士夫に長く付き合えているらしい。
富士夫が彼女にアンソニーを産ませた理由は、単に「晩餐会における発言権の数を増やしたいから」。富士夫ェ……
本編には一切登場しない。


○大蔵アンソニー
富士夫の次男。駿我の異母弟にして愛すべきアホの子。ハッハー!!
駿我に「頭が悪い」と言われているが、何気に名門大学卒という裏設定持ち。


○大蔵アンソニーJr
『2』に登場。相性は「ジュニア」。その名の通り、アンソニーと一夜を共にしたモデルの女性の間に生まれたの息子。
アンソニーが知らずのうちに妊娠、出産され育てられるものの、母親の遺書により大蔵家に存在が発覚。アンソニーが認知したことにより無事大蔵の名を授かっている。
父親に似た明るい女好きの性格。よくアメリカンジョークを言う。とはいえ、大蔵家への興味はなくフィリアの一生徒に過ぎないため父よりは幾分常識人。
美容師科としてプロ既にプロ並みの腕前を持ち、予約が絶えないモテモテ男子。その生まれからか、昔は荒れていたらしい。



《番外:三男山弌一家》

○大蔵山弌(- やまいち)
日懃の三男。真星、富士夫の弟。
晩餐会で時たま話題に挙がりつつ、しかし本人が登場することはないのだが……?
真星や富士夫が一族内で失脚した理由と密接に関わっている。
実は娘がいた。


○大蔵ソシエテ
山弌の妻。夫と同じく本人は登場しない。
メリルルートにて旧姓が明らかにされる。
旧姓はリンチで、出身はフランスのサヴォワ。
つまりメリルの実母。


メリル・リンチ
朝日がパリで暮らすアパートのお隣さん。幼馴染であるブリュエットの付き人としてフィリア女学院に通う同級生。
山弌の娘。村から出てはいけない等の制限を受けながらサヴォワの修道院で育った。
自身が大蔵家の一員であると知った時は「天涯孤独だと思っていた自分にも家族がいたなんて嬉しい」と語っていた。そして彼女のそんな姿勢がある人物の心を動かすことになる。
なお、見た目や雰囲気こそ年下っぽいが実は遊星より一つ年上。



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最終更新:2022年11月23日 18:38