ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣

登録日:2011/06/21 Tue 00:10:45
更新日:2024/04/08 Mon 12:16:19
所要時間:約 4 分で読めます





「ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣」は1970年8月1日に公開された東宝の怪獣映画。東宝チャンピオンまつりの枠で公開された。

【あらすじ】

行方不明になった無人ロケットヘリオス7号が海に落ちるのを、飛行機からたまたま目撃したカメラマンの工藤は、次の仕事がセルジオ島という島の写真を撮ることで、ヘリオス7号の落下地点が近いことから仕事を受けた。

工藤とセルジオ島の開発会社社員の星野、島の生態調査が目的の宮博士はセルジオ島に向かう。途中で同じくセルジオ島に向かうという小畑が加わった一行だったが、島では派遣されていた会社の駐在員が謎の怪物に襲われたのだった。


【概要】
本作は円谷英二氏が亡くなってから最初に作られた東宝特撮で、葬儀には製作中だった特撮スタッフが駆けつけた。

次年に製作された『ゴジラ対ヘドラ』と違い1960年代のスタッフやキャストが一通り揃っているため、従来の製作体制で作られた最後の怪獣映画といえる。


ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃』と違い、万博用映像作成も同時期製作の作品も無いためか、今回は特撮スタッフもきっちり揃った作品である。
有川氏が特技担当をした最後の東宝特撮で、ゲゾラの触手等の表現で力を振るっている。

怪獣ブームの谷間の時期の作品で、尚且つ派手な都市破壊も有名怪獣との戦いも無いため、東宝特撮では比較的マイナーな作品ではあるが、程よいリアリティと嘘の混ざったスーツの出来も良く小品の良さがきらりと光る佳作である。

【登場人物】

◆工藤(演:久保明)
カメラマンで、ヘリオス7号を目撃したのをきっかけにセルジオ島に向かう。観察眼が鋭く、小畑の正体を疑っていた。
久保明は60年代後半の怪獣映画を引っ張った俳優の1人である。

◆宮博士(演:土屋嘉男)
島の動植物の研究のために同行していた学者。島では自分の知識が通用しない怪獣に動揺したが、工藤と共に怪獣対策の前線に立った。
土屋嘉男氏が演じた数少ない科学者役である。

◆星野(演:高橋厚子)
島の開発会社の社員で一行の先導役。島では守られる役が多かった。

◆小畑(演:佐原健二)
自称南洋の民俗学者だが、実際は企業スパイだった。最後は良心に目覚めおいしいところを持っていく。

◆リコ(演:斎藤宜丈)
島の先住民の若者。かつて日本軍がいた関係で日本語が多少話せる。
ゲゾラに襲われて記憶喪失になるが……

◆サキ(演:小林夕岐子)
リコの恋人。記憶喪失になったリコを世話するために結婚を決意する。 

【登場怪獣】

本作の怪獣は、ヘリオス7号に取り付いて地球に入った不定形の宇宙生命体が、島の動物に取り付いて怪獣化したものである。宇宙生命体は最終的には地球の支配を目論んでいた。ある種の超音波を聞くと狂ってしまう。
ただし、セルジオ島には元々怪獣の言い伝えがあった。

サイズは20〜25mとゴジラよりはフランケンシュタインシリーズの流れを踏襲しており、人間との距離感も近い。

着ぐるみはどれも工夫がされており、エビラや昆虫怪獣を手がけた有川氏や造形担当のセンスが発揮されている。

◆ゲゾラ
作品で最初に登場した。カミナリイカが怪獣化したもので、体の表面が直接触ると凍傷を起こすほど低いのが特徴。再三人間を襲いに上陸したが、弱点である火による攻撃で倒された。
他の怪獣と戦わないし、後述のガニメのように2体目も出てこなかった*1

着ぐるみはイカの形態を生かし、アクターの足を隠しつつ、繰演による長い足の表現が見所である。

◆ガニメ
カルイシガニに取り付いて現れた。
劇中では2体登場し、1体目は火薬庫に近付いたところを爆発させる作戦で倒され、2体目は超音波で狂わされカメーバと戦いながら、火山の火口に落ちた。
足の隠し方が素晴らしく、常に中腰であることを要求するアクター泣かせなスーツである。

◆カメーバ
マタマタガメに取り付いて誕生した。作中では最後に登場した。1体目のガニメが倒された後に出てきたが超音波で狂い、同じく出てきた2体目のガニメと戦ってしまう。
首が伸び縮みする特徴があり、攻撃にも活かす。
火は吹かないし、空も飛ばない。

撮影や演出で後ろ足を上手く処理しており、首の伸縮機構は空気圧を利用している。


ゴジラ×モスラ×メカゴジラ』にまさかの(死体だけ)登場をした。
初代の個体が卵を産卵していたとの説があるが、真相不明。

行け!ゴッドマン』にも登場。浜辺でデートをしていたカップルを襲うも、ゴッドマンに倒される。しかし着ぐるみの劣化の影響か、下顎がなくなっており、何とも痛々しいことになっている。

GODZILLA3部作』の小説版『怪獣黙示録』『プロジェクト・メカゴジラ』では3体全てが登場。
ガニメはベーリング海でカニ漁の漁船を襲う怪物、ゲゾラは地中海を支配し難民の避難を妨げる悪魔、カメーバはバンカーバスターを弾くほどの強固な甲羅を持つ恐るべき怪獣として登場したようだが、ゴジラなどに比べるとよほどマシなこともあって年月が経つに連れてさほど脅威ではなくなってしまっている。

それとは別に、ゴジラの初出現時には例によってカメーバ(4体目の発見のためカメーバIV)が死体として漂着
しかしこのカメーバ、全長60m本来のカメーバの3倍ほどの大きさの近縁種とされており、発見された死体はゴジラと戦ったためか、甲羅や顔の半分を熱線で焼かれてボロボロな上に右腕が欠損していた。

また、化合物質J-MOを研究していた研究所を襲撃したガニメの亜種と思われる怪獣は集団で行動し、鉄の扉を溶解して破壊していた。

ちなみに、テレビ東京で放送されていた人形劇『ゴジラアイランド』のオープニングテーマではゲゾラ、ガニメの名前は歌詞に登場しているのに、カメーバだけ出てこない
ゲゾラ、ガニメときて次に歌われた怪獣はショッキラスだった。マニアックすぎるだろ…

ゲゾラの近縁種や亜種は確認されていない。


追記・修正はゲゾラでイカ焼き、ガニメでカニグラタン、カメーバでスッポンスープを作ってからお願いします。

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最終更新:2024年04月08日 12:16

*1 宣伝用のスチール写真などでは、ガニメやカメーバと対戦させられている