タイムウォーカー零

登録日:2012/05/28 Mon 04:23:32
更新日:2021/09/19 Sun 11:48:29
所要時間: 約 5 分で読めます






週刊少年ジャンプに連載されていた漫画作品。作品名の場合「零」は「ゼロ」と読む。作者は飛高(現:飛鷹)ゆうき。単行本は全4巻。

連載は平成3年の36号からだが、それ以前の(いわゆる連載のプロトタイプとなる)読切作が平成2年春の季節増刊(スプリング・スペシャル)から、なんと3回も執筆・掲載された。
週刊少年ジャンプ本誌初掲載は、その3作目の平成2年48号となる。

というか、それ以前に第38回手塚賞にて本作の最プロトタイプ(単行本3巻に収録)を出して最終候補に残り見事に落選している。
落選したのに担当の目に止まり連載までこぎつけたという経緯の上、前述のプロト読切の多さも含め、地味に異例でイレギュラーな取り上げられ方で連載をゲットした作品と言える。
その経緯と後述するシンプルで分かり易い話のつくり故の魅力から現在でもマニア的なファンが多い作品。

物語は読切版から連載初期までは過去改変をからめた1話完結(時に前後編や3部構成)の人情話となっている。
この頃のストーリーフォーマットは「過去に悔いを残して不幸な人生を歩み苦しむ各回のゲストキャラが時空転移能力を持つ主人公の存在を知り過去改変を依頼する」というもの。
しかしストーリーのラストに「引き」が無い1話完結形式のストーリーでは限界があった(このあたり、作者や担当の引き出し量の乏しさに言及し問題視する声もある)のか連載中期から時の狭間に複数存在する謎の数珠玉「漏尽珠」を探すという内容にシフトした。ジャンプお得意のバトル展開の導入である。_つかそれなんてドラゴンボール?.
が、この事により人情話として「ゲストの人生(の選択肢)や人間関係を深く掘り下げて読者に悲喜劇のドラマを見せる」「主人公によって悲劇が喜劇へと転化されるカタルシスを示す」という本作の最大の魅力がゴッソリと削ぎ落とされてしまい、この「漏尽珠編」以降の評価はかんばしくなかったとされている。
バカのひとつ覚えのバトル展開が完全に裏目って名作をダメにした典型的な例と言える。_ちょっと考えればバトル展開とは相性悪い作品である事は簡単に想像できように…腹を切れ担当.

そして「漏尽珠編」終了と同時に連載及び作品も完結となった。
ファンは長編終了後に原点回帰となるシリーズ読切連作による人情話という形での復活を望んだが、ジャンプというフォーマットでそれは叶わぬ無茶であった。

一応「漏尽珠編」で無理矢理ながらも全ての伏線を回収して終わったため、よくある「ジャンプ打切作」とは一線を画し「ジャンプできちんと終わらせた」という部分でも評価される作品である。

なお「主人公の手に能力者の印がある」という共通点から後発のジャンプ作品である『神撫手』と混同されやすい。



【登場人物】
  • 刹那 零(せつな れい)
本作主人公。孤児出身。時間移動の超能力を持ち、これを用いて歴史から散逸した美術品をサルベージして現代の美術商に法外な高値で売り渡す裏稼業を営む。通称はゼロ。法外に過ぎる仕事料から「歩く請求書」の異名を持つ。
裏の世界で一匹狼として生きているため守銭奴で意地汚い。
しかし孤児出身のために孤独の苦しみを知っており、実は情にもろい。
早い話が偽悪者であり根は善人。そのため過去改変に絡む仕事では時に「神に逆らう事」として一応は法外以上(時に人生破滅レベル)の報酬を前払いで要求するが結局は依頼者の涙に負けて文句を言いながら割に合わない仕事を敢行してしまう(報酬を約束されても過去改変によって歴史が変わり取りっぱぐれる事も多い)。
また時間移動はカロリーを多量消費する燃費の悪い能力のため大食漢でもある。しかし味にうるさいグルメでもあったりする(後述する「あのラーメン」を嬉々として喰らうあたり到底信じられんが)。

  • ラーメン「火の車」の女将(おばちゃん)
零の行きつけのラーメン屋の女将。早世した旦那の店を守る未亡人。
零にとっては母代わりとも言える肝っ玉の据わったガタイのいい女傑。実は真のヒロイン…かも、しれない。
彼女の作る「カラシメンタイコキムチあえワサビラーメン」は本作の名物にして零の大好物。(ただし零以外は食べない。後に九条が食べるようになる。そして零は興が乗ればさらにラー油を大量投入する)
なお零の裏稼業の事は知らず、日がな一日ブラブラしている謎の男(時にプータロー)と思い込んでいる。

  • 一柳斎はるか(いちりゅうさい はるか)
「漏尽珠編」から登場するヒロイン。治癒能力者の一族の末裔で彼女も未熟ながら同様の能力を使える。
当初は中学1年生という設定だったが話が進む毎にドンドン、グラマーになって本当の年齢が解らなくなっていく事に(汗
結局、連載中途で17歳に設定し直される事になった。

  • 九条京介(くじょう きょうすけ)
「漏尽珠編」から登場する正体不明の謎の男。零と同じ能力を持ち、その能力の強さは零を上回る。
さらに零の持っていない能力である念動力を持っている。自らの過去と家族の敵討ちの目的から漏尽珠を求め零と対立する。
はるかに自らの妹の写し身を見ている。本作のロリコン要員。

  • 一柳斎 心坊(いちりゅうさい しんぼう)
零の前に現れた謎の占い師。実は、はるかの祖父。
他心通(テレパシーおよびサイコメトリー能力)の持ち主。
娘(はるかの母)の命を助けるために漏尽珠を必要とし、零にその捜索と回収を依頼する。

  • 時の番人
時空のはざまで暗躍する謎の黒ずくめたち。マント姿で目深にフードをかぶり中身は謎に包まれている。
歴史の大改変と支配のために漏尽珠を狙う。



追記・修正は2億円を請求した後、カラシメンタイコキムチあえワサビラーメンのラー油落としを食べながら、お願いします。

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最終更新:2021年09月19日 11:48