超獣攻撃隊 TAC

登録日:2011/12/10 Sat 21:07:08
更新日:2024/03/18 Mon 15:38:23
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「TAC」。Terrible-monster Attacking Crew。
全滅した地球防衛軍に代わって、新しく登場した地球の守り。




超獣攻撃隊 TAC(タック)とは、円谷プロ製作の特撮番組『ウルトラマンA』に登場した防衛チームである。




概要

MATがバット星人によって壊滅的なダメージを受けた後、地球の平和は地球防衛軍によって守られていた。

しかし、地球征服を企む邪悪な異次元人 ヤプールの送り込んだ生物兵器“超獣”の第1号・ベロクロンの圧倒的火力の前に防衛軍は全滅してしまう。

直ちに超獣への対処が急務となり、科学の粋を集めて結成したのがT errible-monster A ttacking C rew (超獣攻撃隊)』、通称『TAC』である。
本部はMATと同様ニューヨーク。南太平洋には国際本部が置かれている。

日本、ヨーロッパ、アフリカにも支部が置かれ、日夜超獣の動きの監視や戦術や新兵器の研究が行われている。

ヤプールの超獣は、並の怪獣を遙かに凌ぐ戦闘力を持った個体や、空間転移などの超能力を持った物が多いため兵器開発部が置かれ兵器開発能力に関しては、梶洋一主任率いる科学班の尽力もあって他の支部の追随を許さない程。
ホタルンガを瀕死に追い込んだV7ミサイル、ファイヤーモンスを一撃で粉砕したシルバーシャークなど高い成果を挙げており、多くの怪獣・超獣・宇宙人を撃破している。


しかし常識を超越した存在である怪獣を更に超えた超獣の能力やヤプール人の策謀によって物語初期は後手に回る事も多く、また隊員間の疑心暗鬼(主に北斗が集中的に疑われる)だけでなく市民の通報や訴えを取り合わないことも良くある。
結果ついたあだ名が「謹慎TAC」であり、MACNRと並んで就職したくない防衛チームとしてよく名前が出て来る。

その為か、警察と縄張り争いをしたり、フブギララやヒッポリト星人、ガスゲゴンの時に出てきた保身優先の自分勝手な市民に非難されたりと、世間からの信頼度は疑問がつく。

しかし優れた体術の宇宙人をも倒す様はまさしく地球防衛のエリートであり、複数の超獣や宇宙人を撃破した。


他の特色としては、やたら戦闘機から脱出することが挙げられる。撃墜など序の口、酷い時には北斗と夕子が変身する為に無傷の機体を空中で乗り捨てるというケースすらある。
ここから「脱出TAC」というもう一つのあだ名があり、前述の謹慎TACの名をよく思わない層に用いられている。




TACのメンバー



◆竜 五郎 隊長
演:瑳川哲朗

TAC極東支部の隊長。厳格だが冷静沈着で、自ら率先して危険な局面に乗り込む勇敢な性格。
洞察力も高く、第二話の時点でウルトラマンAの正体を北斗星司とほぼ的中させており、『エースに助けられたと聞いたが、実際に助けてくれたのは君だった』と本人に揺さぶりをかけている*1
部下の命を何より大切に思っており、北斗の命を無視した命令を下した高倉長官に鉄拳を見舞ったことがある。

ただし、厳格過ぎて謹慎または出撃停止処分を乱発してしまう傾向がある。
処分を受けるのは71.4%北斗だが。(北斗5回、南1回、美川1回。北斗と吉村に監視させていたメトロン星人を無断攻撃して無駄な被害を出した山中と今野は妖星ゴランによる攻撃が迫っている上に、南が負傷入院中で人手不足の状況ゆえに処分保留とした。)


◆山中一郎 隊員
演:沖田駿一

副隊長格。ヤクザではない。
短気な性格で、しばしば北斗が怒鳴りつけられている。

また、現実主義の堅物である為か北斗や目撃者の証言を頭ごなしに否定することが多く、TACを非難する際真っ先に槍玉に上げられることもよくあるが、事実を知ると素直に謝罪したり、自ら危険な任務を買って出たり、事実上の特攻を命じられた北斗とすり替わることを提案したり理不尽な命令を下した高倉司令長官を追い払ったり、北斗の自主訓練に付き合ってやったりと、実際は面倒見のいい兄貴分といった性格である。
第一話で自分を撃墜したベロクロン相手に孤軍奮闘している北斗を褒めたり、第三話で主力不在の基地を奇襲したバキシムを足止めした北斗、南、美川を褒める竜隊長に賛同する等、他人の功績に関しては素直に認める傾向が有る。
よくも悪くも体育会系なのだろう。

TACきっての射撃の名人であり、彼の二丁拳銃はしばしば活躍する。
第7話で、メトロン星人Jr.に婚約者を殺害されてしまう。
ウルトラマンメビウス アンデレスホリゾント』ではGUYSの調査員となっており、シャプレー星人と交戦している。
数少ない、後の防衛チームにも参加したことが明確になっている隊員である。



北斗星司 隊員
演:高峰圭二

『ウルトラマンA』の主人公にして南夕子と合体変身することでウルトラマンAとなる青年。元トラックの運転手。
そしてTAC最大の被害者である。
とにかく報告や証言を聞いて貰えず、ヤプールの策謀もあってよく孤立する。

頻繁に謹慎を食らうと思われがちだが、実際に食らった回数は2、3、30、32(厳密には地上勤務)、46話の5回である。
2話は撃墜報告をした敵の再出現で北斗が無茶をする事を恐れた隊長が置いていった(後に解除)*2
3話は勤務中に酒を飲んだままタックアローを操縦して燃料切れで不時着、そこを警察にしょっ引かれた(後に解除)。
ただし、酒は事情聴取した民家の老人に、北斗が勤務中だと断ったにもかかわらず、押し付けられる形で飲まされたものであるし(現在の法律なら飲ませた老人も処罰される)、
アローの燃料切れはバキシムの化けた少年がタンクに穴をあけたためなので、北斗だけの責任とは言い難い。
30話は犠牲者を伴うミスを2度繰り返した*3
32話は飛行訓練中にコオクスの超能力で妨害され、北斗が異常を訴えても信じてもらえなかった。
46話は女ヤプールの仕掛けた幻覚装置により、北斗にのみ見えたベロクロン2世の幻覚に銃を乱射したためである。
この5回の中で、明らかに隊員達に非があったのは32話のみである。




◆南夕子 隊員
演:星光子

『ウルトラマンA』のもう一人の主人公にして北斗星司と合体変身することでウルトラマンAとなる女性。元看護婦。
誰も北斗を信じない状況でも北斗を信じるなど、二人は強いで結ばれている。
仕事中は冷静沈着である反面、細身にも拘らず北斗より大食い(第19話)で、デートも積極的に誘う(第5話+第22話)一面もある。
第28話で実はルナチクスに故郷を滅ぼされた月星人であったことが判明し、ルナチクス撃退後北斗にウルトラリングを授け故郷に帰って行った。(月星人の設定は降板に伴い急遽設定されたものであり、それまでの回に伏線は存在しない。)



◆今野 勉 隊員
演:山本正明
デブ。
出動寸前にトイレに行ってタックアローに乗り遅れたり、資料写真を撮り逃して一般人に写真を貰いにいったりとルーズな面がある。
TACのムードメーカーなのだが、自己中心的な言動やしばしば山中に便乗して北斗を叩く様子から、ファンからは嫌われている。
というか、TACの評判を一番落としているのはコイツ。山中ですら自分の落ち度を理解した時には素直に謝罪するにも拘らず、第9話では自分のミスの尻拭いに名前を悪用された被害者である北斗に協力させた挙句、散々庇って貰った北斗に「もう隠している場合ではない」と諭されても一瞬逆切れしている
ロケット工学のオーソリティという設定や怪力という設定を持つが、作中では全く活かされたことはない。
九州出身で、岡山県に親戚が住んでいる。
住職の息子で、劇中でもよく念仏を唱えている。
何気に「太った科学者隊員はモテる」というジンクスの元祖でもある。



◆吉村公三 隊員
演:佐野光洋

宇宙生物学の権威。過去作に登場した怪獣・宇宙人の名前を一発で当てたりと、怪獣などに対する知識だけでなく気象や宇宙科学にも精通する地味に便利な人。
だが地味。
超獣との戦いではさりげなく見事な射撃の腕前も見せる、地味に万能な人である。
ギターが趣味で、第2話のパーティシーンなどで腕前を披露している。故郷の岡山県牛窓町に母がいる。実家は化粧品店で、父は他界している。



◆美川のり子 隊員
演:西恵子

数少ない女性隊員。夕子離脱後はTACの紅一点である。
普段は基地でオペレーターをしているが、ひと度事件が起こるとタックファルコンなどによく隊長と同乗して出撃する。
また、爆発物のスペシャリストであり、身に付けているペンダントやイヤリングには爆弾が内蔵されており、TACの窮地を幾度となく救った。「いいわね?行くわよ!」とは言わない。
しかし男運は最悪で、彼女に絡む男のゲストキャラは大方ヤプールの手先である。



◆梶洋一 主任
演:中山克己

TACの兵器開発担当。タックガンのアタッチメントやエレクトロガンなど、強力な兵器だけでなくミサイル・マリア2号や異次元突入装置などのキーアイテムを開発した影の功労者。
メトロン星人Jrに焼却されたマリア2号の設計図を完璧に記憶していたりと記憶力も折り紙付き。
ヤプールの陰謀で夕子以外の皆が北斗をキチガイ扱いする中、ただ一人「信じられるような気がするんです。」と発言したりと、人格面でもよく出来た人。
27話でレギュラーを外れ、31話のゲスト出演を経て登場しなくなったが、彼のその後は資料によって異なり、中には実験中の事故で殉職したとされているものも……



◆高倉司令官
演:山形勲

第14話に登場した南太平洋本部の司令官。
ヤプールの拠点だと思われていたゴルゴダ星を捕らわれたウルトラ兄弟ごと吹き飛ばす為に超光速ミサイルNo.7の設計図を持って来日した。
横暴な上に度量が狭く、保身を第一に考える俗物であり、自分の意見に反対した北斗をミサイルのパイロットに指名したりと権力を盾に好き勝手振る舞った。
ミサイルの欠陥が明らかとなった後も失敗を指摘されて逆上するなど反省を見せなかったが、そのまま北斗に特攻を命じたことで遂に他の隊員たちや竜隊長を激怒させてしまい、
鉄拳を喰らった挙句に南と山中に司令室から叩きだされる形で、作戦指揮を下ろされた。
もう1人の高倉長官の爪の垢でも煎じて飲ませてやりたい。

31話では、彼とは別の司令官が登場している事や竜、山中、南の3人にお咎めが無かったところを見ると高倉は欠陥ミサイルの責任を取らされて更迭されたと思われる。





極東支部基地

日本に置かれた極東基地は富士山麓山梨県側の富士五湖一帯にあり、地下には作戦司令室や格納庫など基地の中枢が存在する。
タックファルコンの発着場やレーダー設備などの地上施設は牧場や観測所などに偽装されていて、シークレットロードを通して日本各地に移動が可能。
ここを中心として東京タワーをはじめとする日本各地のレーダー基地や兵器工場などと連携をとって異常事態に対処するのである。

緊急時には隠匿された多数の砲台を展開して防御に当たり、外部からの攻撃にはかなり強い。
しかしこの手の基地のお約束として、宇宙人はおろか一般人の子どもが無断で司令室に行ける程警備は薄い。
一応警備員がいるのだが、何も抵抗できないうちにに殺されるのがデフォルト。
酷い時は司令室を滅茶苦茶に破壊されたときもあった。*4


なお、富士山麓の秘密基地といえば旧地球防衛軍の極東基地が挙げられるが、あちらは静岡県側という設定なので微妙に立地が異なる。
防衛軍全滅を契機に急遽結成された組織なので、基地施設の一部を流用しているのかもしれない。




TACの退治・対処した怪獣・兵器


  • 妖星ゴラン
  • ガマス(ヤプールに両剣を追加される前に出現した個体。物語ラストではガマスの入り込んだネガも処理している)
  • アンチラ星人
  • キングカッパーを操っていたアンドロイド二体
  • 宇宙仮面
  • ファイヤーモンス
  • ガスゲゴン
  • コオクスの宇宙船
  • ヒッポリトカプセル(5個)
  • 水瓶座第3星人(円盤ごと)
  • 巨大バイオリン(直後ギーゴンに変化)
  • ユニバーラゲス
  • シシゴランの太鼓
  • 女ヤプール
  • レボール星人
  • オニデビル(後述)
  • サイモン星人の子供(ヤプール)

ユニタング戦、カウラ戦、ホタルンガ戦、ゼミストラー戦、マッハレス戦、ヒッポリト星人戦、オニデビル戦*5ではTACの援護によってエースに勝利をもたらした。




TACの装備


◆隊員服
オレンジ色基調の隊服。耐久・耐熱・耐寒性に優れる。
隊長の物は胸の灰色のラインが黒となる他、梶さんの着ている専用のものがある。


◆TACヘルメット
通信機内蔵のヘルメット。隊長の物は黒いラインが入る。
昭和シリーズでは唯一バイザーが無いヘルメットである。
通信機は奈良時代から現代へ、時を越えてリアルタイムで通信可能な優れものである。


◆タックガン
火薬発火式の炸裂弾を発射する拳銃。団子のような形をしている。梶さんの開発したアダプターを付けるとレーザーも発射出来る。
射撃の名人である山中は常に2丁形態している。
レボール星人戦ではアタッチメント無しでレーザーを撃っていた為、作中でアップデートされた可能性アリ。


◆ビッグレーザー50(ファイブオー)
梶さんの発明品。通常のレーザーの50倍の威力を持つが、劇中ではもっぱら実弾を発射する場面が多い。
しかしユニバーラゲスを倒したりと、普通の怪獣くらいなら焼き殺す程の威力がある。


◆ウルトラレーザー
郷秀樹に化けたアンチラ星人が使用していた光線銃の流用。タックアローにも搭載された。
これも劇中では実弾を発射する場面が多い。
ある意味ではメテオールの1つとも言えなくもない。


◆シルバーシャーク
第39話から登場したレーザー砲。
車両に備え付けるくらいのサイズだが、メタリウム光線を火炎剣で防いだファイヤーモンスを一撃で撃破する程の威力を発揮した。
第45話のガスゲゴン戦にも投入されたが、使用はされなかった。
A作中での活躍はこの第39話だけだったが、その有用性のためか、『ウルトラマンメビウス』においても砲塔型に拡大発展した「シルバーシャークG」が登場し、何度か戦果を挙げている。


この他にも様々な装備を保有している。




TACのメカニック

対超獣用に開発されたスーパーメカ。詳しくはリンク先へ。







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最終更新:2024年03月18日 15:38

*1 イデ隊員にウルトラマンとの同一性を疑われたハヤタ・シンの例はあったものの、この時点では防衛組織に正体を確認された上で地球を去ったウルトラマンは怪しい風来坊として初接触したウルトラセブンのみだったので、身元のしっかりしている北斗とエースの関係に気付くとはとんでもない洞察力である

*2 竜隊長自身は自身がレーダーで観測していた事も有って、『巧みに撃破を装う手段を有している敵では?』と北斗の撃破証言をほぼ全面的に信用する推理をしていたのだが、山中と今野にその推理の証拠を見せるまでは北斗に大人しくしてもらう必要が有ると判断した

*3 ただし、2度目に関しては北斗が諸事情で検問を離れている間に暴走族が面白半分で侵入した結果、出現したレッドジャックに殺されたというものであり、代わりの検問官を立てなかったのは判断ミスではあるが、被害者達の自業自得でもある

*4 メトロン星人Jrの犯行だが、彼は職員(山中隊員の婚約者)を殺して乗り移っていたので警備を突破されたことを責めるのは酷かもしれない。

*5 『ウルトラ怪獣大図鑑』ではオニデビルはTACが倒した怪獣としてカウントされており、倒れたのはエースとの格闘中であったものの、致命傷になったのはTACの攻撃であると思われる