和歌山線

登録日:2014/07/05 (土曜日) 10:25:30
更新日:2023/06/26 Mon 21:30:45
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和歌山線(わかやません)は、王寺駅と和歌山駅を結ぶJR西日本の鉄道路線である。

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概要

奈良県内は中西部から和歌山県北部を結ぶ路線で全線が大阪近郊区間及びアーバンネットワークに含まれている…

が、ICOCAが使える区間や大阪方面への直通列車が走ってくるのは王寺~五条間のみ
優遇されているのは奈良県の13駅間のみとなっており、残りの2/3の区間は実質ローカル線である。

何故、こんなに線内格差が生まれているのかと言うと、元々この路線の誕生経緯に遡る。

【1】和歌山線内で優遇されている王寺~高田間が大阪鉄道によって開通したのが一番古く1891年であった。

【2】遅れる事5年、南和鉄道によって高田~吉野口間が開通し後に大和二見まで延伸する。

【3】更に遅れる事3年、紀和鉄道が和歌山(初代、現在の紀和)~橋本を開通させる。
   同年大阪鉄道関西鉄道に吸収合併される。

【4】1904年、南和鉄道紀和鉄道が相次いで関西鉄道に吸収合併され、ここで漸く現在の和歌山線の原型が誕生する。

【5】しかし、その3年後関西鉄道は国有化され、その際に南海鉄道が作った紀和~和歌山市間までついでに国有化されてしまう…。
   南海カワイソス…。

こうして王寺~和歌山市間の和歌山線が誕生した…がまだ話は終わらない。

【6】1972年これまで貨物線専用だった田井ノ瀬~和歌山間が旅客営業開始となる。
   それに伴いぶっちゃけ紀和駅が衰退した事もあって紀和~和歌山市間は紀勢本線の一部になり、現在の和歌山線が完成した!

【7】1974年10月1日、支線に転落した田井ノ瀬~紀伊中之島~紀和間が廃止。

【8】1980年3月3日に王寺~五条間が電化。
   次いで1984年10月1日に五条~和歌山間も電化して全線電化と相成る。国鉄末期であった為か、五条〜和歌山間はコストの低い直接吊架式で電化されている。

こうした和歌山駅周辺のゴタゴタを尻目に王寺~高田間は高速化が進み、民営化後のJR西日本の目玉路線である大和路線が王寺駅に止まる事もあって、桜井線との連絡も兼ねて高田・五条まで向かう直通列車が設定された。

こうして現在の和歌山線のいびつな現状が生まれたのである…。
因みに奈良県民の方なら御承知かと思うが、奈良県内の駅の近くにはやたら古墳が多い。
和歌山県内の駅は場所によっては橋本駅みたいに人口が多い駅もいくつかあるが、これといって高速化はされていない。

【9】そんな和歌山線にも救世主が現れた。
   國鐵廣島の汚名を雪いだ227系のマイナーチェンジ版である1000番台が、105系と117系の置換として導入される事が決定したのである。
   2019年春から2020年春にかけて2両編成28本56両が順次投入され、これに伴い桜井線とともに和歌山線の全区間がICOCAエリアに編入された。



車両

現在の車両

▼227系1000番台
全線における主力車両。ワンマン対応の2両編成。
近畿圏で初の車載型IC改札機、客室確認用のカメラなど最新の機器が搭載されている。
広島地区の0番台・岡山地区の500番台とは異なり、ラッシュ時を考慮したために座席は全てロングシートとなっており、カラーリングも含めて「2両編成の323系」と言ったほうが通りが良い。

▼221系
王寺~五条間で使用。主に大和路線直通の快速・区間快速で使用される。
かつては期間限定ながらも全線で運用されていた事もあるので、再び和歌山市付近で見れる日が来るかも知れない。

▼201系
王寺~高田間で朝夕に使用。221系同様、大和路線直通列車に使用される。
かつては103系と共通運用となっていた。


過去の車両

▼105系
全線におけるかつての主力車両。
これが主力車両である事が和歌山線の全てを物語っている。
こんなラッピング仕様Verもあった。

*2

▼103系
王寺~高田間で2018年1月まで使用されていた。
なんでこんなボロ列車が主力区間で運用されているのかは、詳しくはココを参照してください。

▼117系
新快速車両であるこの車両だが、和歌山色という塗装を施されて活躍していた。

一体この色のどの辺が和歌山色なのかは突っ込んではいけない。
2019年3月に227系と入れ替わる形で運用を終了した。

▼キハ58・28系
▼キハ55・26系
急行「しらはま」、後の「紀ノ川」などに使用。

▼キハ17系・キハ35系
非電化時代の普通列車に使用。

▼50系客車
全線電化時まで全線を通しての一往復の運用あり。

▼113系
2002年に定期運用を終了したが、2011年に臨時列車へ充当された。


主な駅一覧

▼王寺
大和路線、近畿日本鉄道生駒線・田原本線(新王寺駅)乗り換え。
奈良県西部の代表的なターミナル駅にして奈良県内のJR駅としては最多の利用客を誇り、同時に郡部にある駅としては日本一の利用客を誇るなんか微妙に凄い駅。もう完全に大都会。駅から離れると田んぼも多いけど。

▼志都美
史上最低の天皇とされる武烈天皇の陵がある、

▼香芝
近鉄大阪線(近鉄下田駅)乗り換え。
2004年3月13日から「下田駅」から改名した。

▼JR五位堂
元々は「五位堂信号場」であったが、2004年3月より駅に昇格した。
古くから近鉄大阪線に五位堂駅(1km程離れている)があったため、駅名に「JR」が付けられた。

▼高田
桜井線、近鉄大阪線(大和高田駅)乗り換え。
一応、大和高田市の代表駅となってはいるが、地元では「高田駅」というと近鉄大阪線の方を指すことがあるらしい…。
また、近鉄南大阪線の高田市駅が南に15分程の位置にある。

▼御所
近鉄御所駅が西に徒歩5分ほどと近い。
しかも、あっちは毎時4本もある。

▼吉野口
近鉄吉野線乗り換え。
みどりの窓口はないのに駅弁は売っている不思議な駅。普通逆だろう?
因みに2番のりば(近鉄)と3番のりば(JR)が同一ホームにある関係で、両路線は改札内での乗り換えが可能になっている。
近鉄は特急抜いても毎時2本でやはり完敗だが、うまく時間が合えば尺土近辺は御所線経由の方が若干早い。それがどうしたという程度だが。

▼五条
五條市の代表駅。市名は五「條」なのに駅名は五「条」。結構な田舎だが、高田方面から来た人は山中の景色ばっか見てるので都会に見える。
実は近鉄が御所線を五條市まで延伸したかったのだが、国鉄の方が信頼できるということで近鉄を締め出しローカル線が引かれたそうな。信じた結果がこれだよ!
ちなみに五條市北部の市民は不便なこっちよりも、近鉄御所駅を使うことが多いらしい。御所市の駅に客を吸われる五条駅の明日はどっちだ。
快速が両方向に折り返す。

▼大和二見
奈良県最南端の駅。
ここから和歌山県に入る。
かつては川端駅への貨物線が分岐していた。

▼橋本
南海電気鉄道高野線乗り換え。
橋本市の代表駅であるが、乗客数では南海に負けている。五條からここまで快速を伸ばせばもう少し勝負できそうだが…
運転本数も南海の方が圧倒的に多いのだが、ホームの数はこちらの方が多い。

▼高野口
駅名こそ「高野口」なってはいるが、実際の高野山への連絡は橋本駅となっている。
開業当初は「名倉駅」と名乗っていて、高野山参詣道が通る場所であった。
そのせいか、かつての参詣客で賑わっていた名残と思われる大きめの古い木造駅舎が残っている。

▼粉河
快速停車駅。快速はここから北側の駅では各駅停車する。4両編成の一部列車の増解結が行われる。
今では岩出に負けているものの、西国三十三所第三番札所粉河寺を擁するこちらの方が栄えていた。

▼打田
快速停車駅。
一応紀の川市の代表駅だが、明らかに粉河の方が栄えてる。

▼岩出
快速停車駅。
岩出市の代表駅で和歌山県内の駅としては、和歌山駅、橋本駅に次ぐ第3位の利用者数を誇る有人駅である。

▼田井ノ瀬
和歌山駅の隣駅なのに利用客は僅か200人弱…。
かつてはここの駅から紀和駅経由で和歌山市駅と繋がっていた。

▼和歌山
2代目和歌山駅。
阪和線紀勢本線・和歌山電鐵貴志川線乗り換え。
和歌山県の県庁所在地である和歌山市のJR・和歌山電鐵の代表駅にして終点駅。
元は東和歌山駅だったが、改名して現在に至る。

かつて存在した駅

▼紀伊中之島
阪和線乗換え。
田井ノ瀬の次の駅で、阪和線がオーバークロスしていた。現在でも駅には痕跡が残っている。

▼紀和
初代和歌山駅。
かつては二面三線のそれなりの規模を持つ面影を見せていたが、現在では高架化されて一面一線の簡素な造りになってしまった。

▼和歌山市駅
かつての終点駅。
現在は紀和駅共々紀勢本線に編入されている。
紀勢線や和歌山線の終点駅というより、南海本線のターミナルという印象が強い。




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最終更新:2023年06月26日 21:30

*1 出典:日本の旅・鉄道見聞録 URL: http://www.uraken.net/rail/alltrain/ec/105wakayama01.jpg 日時:2016/01/08

*2 出典:日本の旅・鉄道見聞録 URL: http://www.uraken.net/rail/alltrain/ec/105tabi2.jpg 日時:2016/01/08