イレギュラーハンターX

登録日:2011/02/16(水) 21:20:25
更新日:2023/04/09 Sun 10:47:22
所要時間:約 5 分で読めます





2005年にカプコンから発売された、PSP用横スクロールアクションゲーム。

ロックマンX』のリメイク版であり、愛称は「イレハン」。

英語圏のタイトル名は『Mega Man Maverick Hunter X』(メガマン マーベリックハンターX)。


アクションや操作性はオリジナル版と同じだが、奥行きと立体感のある3Dモデリングとなり、より美麗なグラフィックになった。
キャラクターデザインも一新されており、レプリロイド勢は敵味方共にフルボイス。
8大ボスの各戦闘前にプレイヤーキャラとの掛け合いも追加されており、ある条件を満たすと内容が変化する。
ニューゲーム時とエンディングではアニメーションが挿入される。

同シリーズには珍しく、難易度の選択が可能。
また、パーツカプセルやライフアップといったパワーアップアイテムの配置箇所が変更されている。

クリア後の要素としてVAVAが使用キャラとして選択可能になり、シグマの反乱決起を描いたオリジナルアニメムービーが視聴できる。
さらに『ロックマンロックマン』の体験版がオマケで収録されている。


2009年には『イレギュラーハンターX / ロックマンロックマン バリューパック』が発売された。
価格はとてもお買い得になっている。

厳選されたBGMが収録されたオリジナル・サウンドトラックが同梱されている。
パッケージの表裏は、それぞれのキャラクター達が演奏しているイラスト。*1


2013年に発売された、シリーズ生誕20周年記念のサウンドトラックCD『ロックマンX サウンドBOX』には、外伝も含めたシリーズのほぼすべてのBGM498曲が収録されている。

本作のBGMがフル収録されるのは今回が初めてとなり、新規・追加録音が行われている(X1・X2・X3と初音源化のGB・GBC2作品もROMより新規抽出)。



◆あらすじ

古びた研究所で発見された革新的ロボット『エックス』。
発見者のケイン博士はエックスを基に、人間に限りなく近いロボット『レプリロイド』を生み出した。

高度な人格を持ったレプリロイドは急速に普及。
思考能力の低い従来のロボット『メカニロイド』と共に、瞬く間に社会になくてはならない存在となった。

そんな人間とレプリロイドが平和に暮らす世界で、突如『イレギュラー』と呼ばれる暴走レプリロイドが急増。
強力かつ極めて危険なイレギュラーへの対策組織として『イレギュラーハンター』が結成され、エックスもその一員としてイレギュラーと戦い始めた。

そしてある日突然、シグマを始めとする多くのハンター達までもがイレギュラー化し、人間社会に反乱を起こした。
エックスは、イレギュラーを鎮圧しながら首謀者シグマの影を追う。



◆主要キャラクター

本作の主人公。
イレギュラーハンター第17精鋭部隊」に所属する。
ロボットにはあるまじき「悩む」ことができるため、安全が確認できるまで製作者によって封印されていた。
戦闘においてはその「悩み」からくる迷いのために攻撃をためらうことがあり、ランクはB級にとどまる。
仲間内からもその迷いを「甘さ」と見られていて、ゼロ以外からの評価は芳しくない。

しかし、彼には「無限の可能性」が秘められている。


  • ゼロ(CV:置鮎龍太郎)
第17部隊に所属するエックスの先輩。
ハンターランクは特A級。
エックスの隠された力に気付き認めている、数少ない一人。
オリジナル版からの大きな変更はないが、彼から託されるバスターはライト博士のものより強力な仕様になっていて、フルチャージのエフェクトも差別化されている。
VAVAモードではエックスとコンビを組んでラスボスとして登場する。

残念ながらゼロは操作できないが、稲船敬二氏は「ゼロが使えるといっても、当たり前すぎてつまらないでしょ」と話している。*2

X1のリメイク作品である本作では、製作者の存在やナンバーズに関する話が出る場面はない。


エックスの生みの親。
エックスが暴走し人々に危害を加える事を恐れ、安全性の確認を続けていたが、自分の寿命が近いことを察してチェックを機械に任せる。
その後チェックが終了する前に亡くなったようで、取り残されたエックスは長い年月を経てケイン博士に発見される。

回想シーンでは、エックスが未完成の時は『初代ロックマンシリーズ』と同じ外見。
そして封印する直前の場面では、眉毛が白くなり、髪や白衣がやや乱れ、をつくといった、全体的に老いを感じさせる風貌となっている。

某パワーアップカプセルでは今作もまたコスプレ姿
さすがにセリフは変わっているが。
「宇宙を、パワーを、波動を、感じるのじゃ…!」


アニメムービーのみの登場。
封印されたエックスを発見し、エックスを元にレプリロイドを開発した科学者。
物語開始時点で人工心肺での延命に頼るほど老衰しており、シグマの反乱時にはに包まれた。


シグマが反乱を起こした後も、イレギュラーハンター達をサポートするために懸命にナビゲートする。
アニメムービーでは彼女の出番も多い。

デザインがやや異なる青いナビゲーターも複数人がチラッと登場しており、R20とR20+5では正面のデザインを見ることができる。
R20+5で追加されたQ&Aコーナーにおいて、赤オペ子も量産型だが、青オペ子よりもかなり少数であることや上位版のイメージであることが判明した。


  • VAVA(CV:下崎紘史)
イレギュラーハンターにも関わらず破壊を好むもう一人の主人公。
電子頭脳に異常があり、イレギュラー以上に残虐な性格で、度々ハンター内で揉め事があったりした。
単なる戦闘狂と思いきや、ナウマンダーをからかったりエックスに対して明確な嫉妬を覚えたりと今作では感情的な一面を覗かせる。
VAVA編はエックス編のIFストーリーとなっている。

オリジナル版と違いシグマに付くことはなく、額のマークも「Σ」から「V」に変更されている。
Q&Aコーナーによると、「シグマに協力はしても与していないので、VAVA自身の「V」を付けていたのだと思います。VAVAの意思がよりはっきりしていたと思います。」とのこと。
またキャノンの形状が変更され、アームを介して背中に接続されている。
カプコンが監修したD-Artsでは、肩のキャノン砲の形状がリメイク版に近い。
ニンテンドー3DS用ソフト『Project X Zone』では、ボイスは本作(イレハン)準拠*3だが、マークやキャノンはリメイク前のものとなっている。

武器はステージ選択時に三種類を指定する方式で、ステージ中での変更はできない。
武器エネルギーの仕様が異なっており、すべての武器で武器エネルギーを消費するほか、常にゲージが回復し続ける。このため消費の大きな武器を連発することができない。
Xのようなダッシュは使えないが、8ボスを倒すことでエックス以上に豊富な武装が手に入り、また防御や歩行速度も向上する。
彼の専用ライドアーマーをプレイヤーが操作する際、制限時間を超えると爆発する。


イレギュラー騒動の首謀者。
Dr.ケインがエックスを元にして開発した最初にして最強のレプリロイドで、エックス達が所属する第17精鋭部隊の元隊長でもある。
ケイン博士の言うエックスの可能性に興味を抱き、エックスを試すために反乱を起こす。
尚、今作において目の傷は覚醒したエックスにヒートエンドされて出来たものとされている。

最終戦では「ウルフシグマ」となり、エックスの前に立ち塞がる。


◆8大ボス

リメイク前は人間を守る為に戦うハンターの職務に疑念を募らせたが故の反乱だったが、今回は戦闘に対して「美しさ」を求める独特の美意識を持つ知性派となった。
しかし同僚には理解されず笑われていたが、シグマには認められたことで恩義を感じ彼に従うことを決意する。
後に毎度恒例の再生ボス達の中ではトップバッターを務めるが、オクトパルド含め今作の再生ボス達はあくまでボディだけを再生させられたメカニロイドに近い存在という理由付けがされており、機械的で棒読みな名乗り口上や戦闘中の抑揚のないセリフの数々がそれに拍車を掛けている。
ミサイルがセミチャージ以上で貫通可能、ピラニア魚雷の見切りやすさ、8ボスの中でもダメージ後の無敵時間が短い、それでいて低い防御力はそのままと、8ボス最強候補だったSFC版から大幅に弱体化し、一転して最弱候補と化している。


実力はあるがやり口が汚く、性格の悪さから出世できずにいたのは同様。
それでも今作ではレンジャー部隊の副隊長にまでは昇格しており、動機も過小評価したハンター組織を見返すためというより、寝返った反乱軍の中で更にのし上がろうと野心を燃やしてシグマに加担している。
「ににに」が口癖で、VAVAには嘘か真か「あんたのことは尊敬していたんですがね!」と話している。
そのVAVAで初手に挑むと8ボス屈指の難敵となる。

礼を重んじる武人気質で、侍のような古めかしい言い回しが特徴的。
シグマの命令に従って行動する点は同じだが、本人は決して盲信も思考停止もしておらず、あくまでも自分の意志でシグマに従い、命令を理解して遂行しているのだという。
狂ったシグマの命令に従う事を非難するエックスを拒みつつも「我々はどちらも間違っていないと言う事だ」とエックスの主張にも理解を示したり、
「シグマの命令通りにしか動かない木偶の坊」と罵ったVAVAに「命令に従うことすらもできない…哀れだな」と切り返す辺りからも彼の価値観が垣間見える。
ローリングシールドのバリエーションこそ増えたが、全てセミチャージ以上でキャンセル可能になり、防御力も低下した事から相対的に彼もSFC版に比べて弱体化した一人。

力試しをしたいという動機は同じだが、言動がより脳筋じみた乱暴者となっており、小さい相手を見下す癖も大幅に悪化。
対峙したエックスは出会い頭から彼に散々罵られた結果、半ばキレる手前でイレギュラー宣告をしていた。
VAVAでさえ「暴れたいなら俺が遊んでやるよ」と嘲笑する有様である。
シグマの反乱の動機も大して興味がないどころか、エックスを試す為と聞いた際には文字通り鼻で笑い飛ばしていた。
こんな性格なので人望は薄く、反乱に参加した彼についた部下は誰一人としていなかったという。
ペンギーゴに代わってステージにフットパーツが置いてあるポジションであり、体力半減後に息切れして隙を晒すなど意図的に弱ボスと設定された節が見られるが、実際はSFC版より強化されており、実際の強さは中堅程度といったところ。

やはりハンター組織の人望が熱く、エックスも先輩ハンターとして尊敬の念を示していた。ゼロとも知り合いで任務の合間に雑談する位には親しい間柄。
シグマに直接屈服させられて仕方なく従っているのは同様だが、カメリーオ曰く「人質をとられて仕方なくって奴もいるかもしれねーな」とのこと。
ステージが狭くなった事や追加された攻撃もあってSFC版より大幅強化されており、フットパーツや特殊武器の使用を縛ってプレイしていると撃破に運が絡むなど、弱めだったSFC版から一転、マンドリラーと並ぶ最強候補のボスとなっている。

ものぐさで物事を深く考えるのが苦手な性格だが、故に直感的に鋭い点を突く一面があり、シグマの反乱についても「隊長のやろうとしていることは間違っていない気がする」と直感的に賛同して加担した。
エックスに対しても「隊長が正しくてお前が間違っていると思った事は無いか?」等と問い掛けたり*4、「答えは戦えば分かるのかもしれん」とアルマージとはまた別角度での武人肌のような一面を見せたりと、意外と複雑なキャラ付けがなされている。
戦闘前に「うるあああああ!!」と雄叫びを上げて戦闘モードになり、普段の気だるい態度を感じさせない戦闘力を発揮する。
ハードモードでの高火力は脅威の一言で、バスター攻略を試みると純粋な反応勝負の強敵となるのはSFC版から変わらず。

リメイク前は「面白そうな側につく」という程の極度の気分屋で、残忍なハンターとしても恐れられていた。
しかし今回は好戦的でこそあるが同時に善悪に因われない冷静な人物であり、シグマの計画が今後のレプリロイドの進化を促すと確信し、要であるエックスを自ら見届ける為反乱に加担する。
エックスがB級ハンターに収まらない大器であることも既に見抜いており、彼特有の『悩む』気質についても好意的。今作のシグマに対する最大の理解者とも呼べる存在。
怯みにくくなって強化されたと思いきや、グラフィックの強化によって増えた振り返り動作が仇となり「突進をジャンプで避けて背後からチャージショットを撃ち込む」という簡単なループで呆気なく沈んでしまうように。フットパーツが無くても十分間に合う。
逆にこのループパターンにハメずにバスター攻略を試みると難敵なのは変わりないが…。

極地部隊での任務に退屈しきっていたが、反乱直前に17精鋭部隊からの応援要請を受け、既にシグマやエックス達と合流している。その為、極地部隊隊長を殺害したかは不明。
エックスの甘い姿勢には苛立ちを募らせており、反乱後に対峙した際にはエックスに対し溜め込んだものを吐き出している。
ハードモードではショットガンアイスのバリエーションが強化されたことと、他に意図してか意図せずか弱体化したボスが複数居るため、SFC版ではぶっちぎりの最弱として有名だったのが、今回は相対的に中堅程度の強さになっている。


戦闘前にエックスが「Day of Sigma」視聴前と視聴後で2パターン、VAVAで1パターン、合計3パターンの会話シーンがあり、シグマ側に付いた理由やプレイヤーキャラへのコメントが聞ける。
各ボスの異名は変わらないが、性格や口調、デザインに変更が加えられている部分がある。
また、新たに判明した設定も存在する。

例)
  • オクトパルド
口がタコ型になり、頭脳派の丁寧口調に
  • アルマージ
盾装甲が籠手→手持ちの
  • イーグリード
エックスから尊敬されている(「あなた」と呼ぶ場面もある)
OVAにてゼロと親友関係*5
  • クワンガー
気分屋ではなく、冷静な分析ができる頭脳派
レプリロイドの未来を考えての行動
エックスが持つ無限の可能性にも気付いている

他にも、アルマージやマンドリラーとの会話はイレギュラーの定義について考えさせられるものとなっている。


また、ザコ敵もそうだが3Dグラのため、一部の攻撃の仕様が変更されている。

例)
  • オクトパルド
腕部トーピードの撃ち方が増える
  • カメリーオ
針の雨→束になって落ちる
  • ナウマンダー
鳴き声がSE→SEIYU
  • イーグリード
ダイブが一直線→∨字を描く
ストームトルネードが長い

さらにハードモードだとペンギーゴがショットガンアイスを撃つ、マンドリラーがマンドリルだけにドリルを繰り出す等、攻撃パターンが増える。


◆その他のボス
  • ボスパイダー
クモ型の戦闘用メカニロイド。
頑丈ではあるが突進時のショックで一瞬だけ弱点の背中を曝してしまう。
ペンギーゴ「エックス、あのジェネレーターを狙え!」
SFC版では無印のイエローデビル宜しく、体力ゲージが表示されてから不意打ちの如く現れていたが、今回は戦闘前にきちんと姿を現す様になった。
また、あみだくじ状の突進時に一瞬間を挟む為多少見切りやすくなっている。

  • ランダ・バンダ
古代の壁画を模して造られた、人面型の巨大な防衛システム。
部屋の入口と可動式の壁が干渉しない様にか、部屋が縦長になった以外はほぼ変わらず。
本来は壁でエックスをペシャンコにするプレス機の筈が、不具合で半分しか閉じないという間抜けな設定。
グラフィックを見る限りはどうやらシャフトが短すぎた為らしい。

  • D-REX
サイズだけならウルフシグマをも超える、超ド級ティラノサウルス型メカニロイド。
……となる予定だったが、制作時間が足りず間に合わせとして頭だけの姿になってしまった。
おまけに今回は新要素であるゼロバスターの実験台にされたり、出番の増えたVAVAに色々かっ攫われたりと不憫な存在。
ただフットパーツ無しでは上顎の回避がシビアな為、縛りプレイにおいてはかなりの難敵。

  • ベルガーダー
シグマが信頼するペットとされるオオカミ型メカニロイド。
小型ながら裏切り者の粛清を務める程の戦闘力とされたSFC版に対し、今回はシグマから「こいつを試してもらおう」と紹介もそこそこにけしかけられる。
シグマの真意としても初めからエックスに倒させる気満々であり、文字通りのかませ犬となっている。



本作では全カプセルをスルーでき、容易に縛りプレイができるようになった。
前述の通り、ゼロから渡されるバスターはライト博士製より強くなっている。

各アーマーパーツの説明については、リンク先を参照。

ん?相変わらずペンギーゴスタート安定だと思った?
かかったなアホが!



◆The Day of Σ

XEBEC制作のOVAで、本作のセールスポイントの一つ。
本編クリア後に試聴可能となる。
ボリュームは30分弱にも及び、作画もしっかりしており、かなり気合いが入っている。
多脚型メカニロイド等、アニメーションにのみ登場する要素も多い。
エックスとゼロのライドチェイサーはエンディングにも登場した。
R20とR20+5には設定画も多数収録されている。

時系列としては本編の前日談にあたり、ハンター時代のシグマやエックスの誕生秘話、シグマの決起とXに固執する理由等、本編やこれまでのナンバリングタイトルでは語られなかった話を中心に展開する。

しかし、シグマの目に傷をつけたのがゼロではなくエックスだったり、X2にも登場していたケイン博士が死亡したような描写があったりと、過去作品との矛盾点もある。
現在どちらを正史とするのかは不明だが、イレハンを新訳版として考えることもできる。



追記・修正するのはエックスじゃない…。
この、オレだぁ!!

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • ゲーム
  • PSP
  • ロックマンシリーズ
  • ロックマン
  • ロックマンX
  • カプコン
  • リメイク
  • VAVA
  • 異説
  • 新訳
  • レプリロイド
  • レプリロイドの可能性
  • 無限の可能性
  • 可能性
  • 良作
  • イレギュラーハンターX
  • イレハン
  • The_Day_of_Σ
  • Don't_wanna_be
  • 波動拳
  • にににっ!
  • ロクロク体験版つき
  • CAPCOM
  • イレハン2マダー?

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年04月09日 10:47

*1 後に『R20+5 ロックマン&ロックマンXオフィシャルコンプリートワークス』に収録

*2 「R20 ロックマン&ロックマンX オフィシャルコンプリートワークス」とR20+5より

*3 エックスも同様、ゼロはずっと固定

*4 実際、この問い掛けに対してエックスは返せなかった

*5 岩本先生の漫画版を踏襲したものと思われる