菊池啓太郎

登録日:2014/06/23 Mon 10:59:10
更新日:2024/02/28 Wed 19:41:25
所要時間:約 5 分で読めます




菊池啓太郎とは、『仮面ライダー555』の登場人物。
演:溝呂木賢


先祖代々続くクリーニング店の跡取りである青年。
人懐っこく明るい性格で、同時に無類のお人好しでもあり、困っている人物がいると放っておけずに助力を申し出る。
臆病な所もあるが、いざという時には恐ろしい相手にも本気で立ち向かう勇気を持つ。

乾巧園田真理が東京に向かう旅の途中、真理の無茶振りな要求に逃げる巧のせいで車がオシャカになったのをきっかけに知り合った。
ちなみに、二人への呼び名はそれぞれ「たっくん」と「まりちゃん」。
東京到着後は東中野にある家業のクリーニング店「西洋洗濯舗 菊池」を営む傍ら、巧と真理(後には草加雅人が加わる)をアルバイトとして雇い、
衣食住の面倒を見るなど、「555」の日常面を支えている人物でもある(ちなみに配達に使っているのはビビッドブルーパールのホンダ・モビリオスパイク前期型)。

メル友である「ユカさん」とのやり取りを何よりの楽しみにしているが、存外に惚れっぽく、後にそのユカさんと同一人物であるとは知らずに出会った長田結花や、新しくバイトとして雇った木村沙耶にも結構デレデレしている。
またそれを自分で「二股かけてるのかな…」などと悩むなど純情な所もある。


彼の夢は汚れた洗濯物を綺麗にするように、世界中の人が幸せになること。
その夢を自ら実践するかのように、常日頃から人助けを買って出ており、街の人からも頼りにされている。

こう書くといかにも素晴らしい人物のように思えるが、少なくとも登場初期の彼はお世辞にも立派とは言い難いものがあった。

「お肉買いに行って」というオバハンにそのとおり肉を自腹で買ってきてやるなどという、
どう考えても単なるパシリとしか思えないこともしており、知り合ったばかりの真理を早々にドン引きさせている。

また、登場時の彼は、自分のやっている人助けを他人にも当然のように押し付け、「そうしない人間はむしろ異常」と考えている、端的に言ってかなりウザいところがあり、巧が人助けに興味がないとわかるとあからさまに失礼な態度を取るばかりか、ベルトの力を二人が世の為人の為に使おうとしていないと分かると、無断でそれを盗み出して自分が変身しようとすらしていた。

しかし、その行動は元を辿れば「損得勘定抜きに誰かを助けたい」という志の現れには違いなく、そんな彼の特徴は、旅が終わり、
巧と真理が東京で暮らすようになった頃から徐々にプラスの方向に発揮されていく。

東京に出てきたばかりで宿代も食事代もロクにない二人を住まわせ、後から現れた草加雅人も快く同居人として迎え入れるのは、彼の懐の深さを示している。
無愛想な巧と気の強い真理、そして裏表がありすぎる草加という面子が同居していながら日常面ではそんなに問題が起こっていないのも、啓太郎あってのことと言える。

上述の押し付けがましさも回を重ねるごとに見られなくなっていき、話がある程度進んだ頃には巧や真理ともすっかり打ち解けている。

家出少女のワガママな要求を一つ一つ、ヘトヘトになりながら叶えてやるなど、他人の困り事をすぐに請け合うお人好しな性格は東京でも相変わらずだが、同時に彼女がオルフェノクに襲われた際には身の危険を省みず彼女を守ろうとしている。

ちなみにこの少女の一件も含めて、なぜか彼はオルフェノク事件の第一目撃者になる確率が異様に高く、
オルフェノク発見→巧に通報「たたたたた、たっくん!オルフェノクが!!」→巧、現場に急行
という流れはもはやテンプレと化している。
視聴者の一部からは「オルフェノク発見機」などという不名誉なあだ名まで付けられてしまう始末。

ちなみに「心が汚い者が近くにいるとクシャミが出る」と当初語っていたが、実際はこの体質はオルフェノクに対して反応しているとみられる。
すると、本人が知らないだけで本編開始前から本人が知らないだけでオルフェノクと接触していたということだろうか。

もっとも、巧たちが持つ変身ベルトはスマートブレインの所有物であり、相手はそれを狙って次々と刺客を送り込んでくるので、巧たちを居候させている以上避けて通れないのは事実だが、その辺をうろついてるスマブレと何の関係も無い野良オルフェノクにまで引っかかってしまうのはどう考えても運が悪すぎるとしか言いようがない。
とは言え、きっちり最後まで生き残っている所はむしろ強運というべきかもしれない。


彼の人間性が特にうかがえたのが、巧の正体が判明した時。

草加は当然として真理までもが巧を拒絶してしまう中、怖がりながらも巧の事を「裏切られたとは思わない」と信じようとし、
草加に「おめでたい奴」と嘲笑されても一歩も引こうとしなかった*1

家を出た巧をボートでの遊覧に誘い、手を震えさせながらも、巧の好物ばかりが入った手作り弁当を渡そうとするシーンは彼の優しさが見えてくる。
その直後には、巧が一度手放したファイズギアを無理やり彼に渡そうともした。


「俺の気持ちは本当に変わらないから!」


あれ?ヒロインて誰だっけ??







以下、終盤のネタバレ












物語終盤、ずっと想いを寄せていたメル友の「ユカさん」が長田結花だということをようやく知る。
ショックで立ち竦む二人のもとへ、結花を仲間に引き入れるためにラッキークローバー・影山冴子が現れた。
オルフェノクの姿に変身して襲いかかる冴子に対し、啓太郎の目を気遣って変化できない結花の目の前で──

何と結花を守るために素手でロブスターオルフェノクに殴りかかった。

ただの人間対オルフェノク、しかも相手はその辺の三下ではなく、最強の誉れに与るラッキークローバーの一人である。
当然敵うわけもなく、何度も地面に叩き伏せられながら、それでも必死に組み付いていく啓太郎の姿に、ついに結花もオルフェノクとしての正体を啓太郎の眼前で明かす。
そして激しい格闘戦の末、冴子を撃退することに成功した。

自らの正体を見られてしまい、これまでの関係が終わることを悟った結花を、啓太郎はそっと引き寄せてぎゅっと抱きしめた。

「俺、本気で思うんだ。人間もオルフェノクも、みんなが幸せになればいいって」

そんな啓太郎の気持ちに結花も応え、対オルフェノク機関に追われ、行き場を失った彼女はクリーニング店で同居することになり、真理が呆れるほどのイチャイチャぶりを発揮。
啓太郎はもちろん、今まで虐げられてばかりだった結花にとっても、至福の時を過ごしていた。


しかしそんな束の間の幸せすらもオルフェノクとなった者には許されず、結花は能力を失った所を冴子に襲われ、命を落とす。

結花からの最後のメールで、もう二度と会えないと知らされながら*2、無理して明るく振舞おうと努力し、それでもメールを見返して号泣する彼の姿には、巧も真理も言葉をかけることができなかった。

そんな悲しみも乗り越え、最後まで「ベルトの力を持たない一般人」でありながら、啓太郎はベルトの戦士──仮面ライダーの戦いを最後まで見守り続けた。

余談だが、彼は流星塾生でも、ましてやオルフェノクでもないため、一度も死んでいない「本当の意味での一般人」だったりする。



TV本編の続編『パラダイス・リゲインド』では両親と同様に世界中の洗濯物を真っ白にする旅に出ており、甥の菊池条太郎が登場する。



劇場版では、真理と共にレジスタンスの一員として戦い続けており、彼女と同じく巧=ファイズの帰還を固く信じている。
お人好しぶりはこちらでも健在で、ディレクターズカット版では、オルフェノクとして疎まれる木場が「君にも迷惑がかかる」と自分に近づかないように忠告したのに対し、「そんなの全然気にしないから」と笑顔で答えている。

だが、やがてアジトを突き止められ、サイガ率いるライオトルーパー部隊が総攻撃を仕掛けてくると、ついに意を決してカイザギアを装着。

「飲めば死ぬ」と言われた変身可能化ドリンク「変身一発」を飲み下し*3ついにカイザへと変身した!

初めての実戦ではあったが、長いことファイズや先代カイザの戦いを見守り続けてきただけのことはあり、ライオトルーパー部隊の隊長格であるライオンオルフェノクを相手に終始圧倒。
必殺のゴルドスマッシュを見事に決めて勝利する。

だが、啓太郎が飲んだ「変身一発」は変身能力と引き換えに使用者が生命を失う薬。
TVシリーズのレギュラーたちが次々に命を落としてきた劇場版、ついに啓太郎にも最期の時が…!





「でも、全然平気ですけど?」
「そうか、やはりワシは大天才!変身一発は完璧な発明だ!」

ポン(啓太郎カイザの胸を叩く)

ピピッ『ERROR』

カイザギア灰化




無事でした。というか塵になったのはベルトの方でした。




どうやらこの『変身一発』、変身者ではなくベルトに負荷がかかるものだったようだ。




「世の中甘くないな。『変身一発』は一発でオシマイ、なんてな!」




カイザギア『解せぬ』




まあ、啓太郎が死ななかっただけでも良しとすべきだろう。


ちなみに、啓太郎変身時のカイザのスーツアクターは本来の伊藤慎ではなく、高岩成二が担当している。
カイザらしからぬ愛嬌のある所作から、ファンからは俗に「啓太郎カイザ」と呼ばれている。


その後も、身勝手なレジスタンス達から疫病神扱いされ、一人で真理救出に向かおうとする巧に何としてもついて行こうとするが、彼を気遣った巧にわざと置いていかれてしまい、結局最終決戦に立ち会うことはできなかった。





『555』の物語のテーマの一つとして、「人と人ならざる者の共存」がある。
直接戦いに参加することはほとんど無かったが、巧サイド、木場サイドを問わず、最後まで風評に流されずに人物そのものを見続け、信頼関係を築き上げてきた啓太郎は、これ以上ないテーマの体現者と言えるかもしれない。




「俺、思うんだ。アニヲタもwiki篭もりも、みんなが幸せになればいいって」

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最終更新:2024年02月28日 19:41

*1 それ以来、草加はそれまでのように口車で啓太郎を丸め込まなくなっている。

*2 明言されていないが、彼女の死を察した様子ではあった。

*3 ディレクターズカット版では、一本だけでは『ERROR』で弾かれてしまったため、二本目を服飲している。