ウルトラマンタロウ(作品)

登録日:2012/02/07 Tue 23:30:36
更新日:2023/10/22 Sun 21:44:54
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タローウ!ウルトラマンNo.6!!



『ウルトラマンタロウ』とは、1973年4月6日1974年4月5日にTBS系列で放送された円谷プロダクションのウルトラシリーズ第6作である。全53話。


【物語】

ボクサー志望の青年・東光太郎が、長旅の末に日本に帰国。超獣オイルドリンカーを撃退した勇気と行動力を見込まれ、彼は宇宙科学警備隊ZATに入隊する。

光太郎は宇宙大怪獣アストロモンスによって瀕死の重傷を負わされるが、ウルトラ5兄弟の手でウルトラの星に運ばれる。そして、彼らとウルトラの母に導かれてウルトラマンタロウと一体化。こうして、ウルトラ兄弟6番目の弟が誕生した。


【概要】

円谷プロダクションの創立10周年記念作品として製作された作品である。
初期案では「ジャック」という名の宇宙を意識した作品になるはずだったが、ハイジャック事件などの影響で没になり、最終的にはジャックが西洋の昔話の主人公の名前だったことから、日本の昔話の主人公によくある太郎からタロウとなったらしい。そこから現代のおとぎ話を志向した内容になったとのことである。
なお、「ジャック」という名のウルトラマンは後に『帰ってきたウルトラマン』の帰マンの正式名として採用されることになる。

作品としては、ZATに代表されるように全体的に陽性なテイストに仕上がっており、明るい作風になっている。
反面、
  • 人間たちに子供を喰われた怪獣が復讐のために次々と人間を殺していき、処遇を巡ってZATと地球警備隊が対立する第4・5話
  • 捨て子という重いテーマを扱った第11話
  • ウルトラマンと怪獣との戦いに巻き込まれて両親を失った少女が登場する第38話
  • 凶悪な宇宙人によって怪獣に改造されてしまった女性と、幼馴染だった北島隊員との悲恋を描く第45話
……などシリアスなテイストの話も存在しており、話の幅の広い作品になっている。

また、前作『ウルトラマンA』でウルトラの父が登場したのに引き続き、本作でウルトラの母が登場、ウルトラ兄弟からさらに発展してウルトラファミリーともいうべき展開になった。

話の構成としては、東光太郎とゲストの子供の交流を軸にした話が多いのが特徴である。
またテーマとしては親子の繋がりや、自分の力で戦うことの重要性を説く話が多い。
イベント編が多いのも特徴で、ウルトラファミリーの客演だけでなく、過去の怪獣や宇宙人の再登場といったイベントも組まれた。前後編の数はシリーズでも多い方。

また、本作は一般人が異常に強いという特徴がある(もちろん、上述したように一般人の被害者も多いのだが)。
どれくらい強いかと言うと、怪獣に生身で挑んでダメージを与えられるレベル。
次回作『ウルトラマンレオ』にも出ていたら、さぞ頼りになっていたことであろう。

既に特撮ヒーローのブームは峠を過ぎていた中では安定した視聴率と人気を獲得、他の第2期シリーズの作品では唯一大きいテコ入れもなく放送を終了した。
さらに日本国内のみならず、香港や東南アジアでも放送された。


【スタッフ・キャストについて】

スタッフ面ではメインライターに田口成光氏、サブライター陣に石堂淑朗氏や阿井文瓶氏を配し、子供向けながらバラエティに富んだ話を作り上げた。
また、音楽ではウルトラシリーズには本作のみの参加となった日暮雅信氏が従来とはひと味違った音楽で盛り上げた。

キャストでは既に若手俳優として活躍してた篠田三郎氏を主演に抜擢した他、ベテランの名古屋章氏や東野孝彦氏を起用している。
また、ウルトラの母の人間体に歌手のペギー葉山を起用したりもしている。

ゲストでは、形態模写が持ち芸の江戸屋猫八といった芸人や、新人時代の大和田漠(前述の怪獣にダメージを与えた役である)といった意外な人物がいる。


【主題歌】

作詞は阿久悠、作曲は川口真。本作より積極的に主題歌が戦闘シーンにかかるようになり、以降お約束の一つになった。
また、OPではZATの戦闘機の出撃場面が使われており、これも以降お約束になった。
なお、歌の冒頭に入る「タローウ!! ウルトラマンナンバーシックス!!」という台詞だが、タイトルにもまったく同じ台詞が入るため、
続けて見た場合同じ台詞を2連続で聞くことになる。大事な事なので(ry


【登場人物】

東光太郎
本作の主人公。詳しくは項目を参照。

ZAT
本作の防衛隊。隊員含めて詳しくは項目参照。

◆白鳥家
光太郎が劇中で居候している一家。

◆白鳥船長
光太郎が帰国した際の船の船長。光太郎を見込んでおり、船員にスカウトした他、下宿先に自宅を紹介した。
出番は第1話のみだが、色々な意味で光太郎にとって重要な存在となった。
しかし、最終回で……

◆さおり
長女で大学生。母親のいない白鳥家の母親代わりである。光太郎に思いを寄せているが、イマイチ届かない。
劇中で役者が交代している。

◆健一
長男で小学生。光太郎にとっては友人で弟分。交友関係は広く、ゲストの子供の半分以上は健一の知り合いである。
子役が声変わりの時期だったため、最初と最後でかなり声が違う。


【怪獣・宇宙人について】

時期によって、ある程度登場する怪獣や宇宙人の傾向が決まっているのも特徴である。
ここでは大まかに3つに区切って解説する。

◆前期

「超獣を超えた大怪獣」というコンセプトが最初期にはあり、超獣を食ったアストロモンスや液体化するコスモリキッドみたいな一芸に秀でた怪獣が登場した。
また、トータス親子に始まりジレンマやデッパラスやアリンドウ、キングゼミラなど実在の生物をモチーフにした怪獣も多い。
さらに笑い声と再生能力のライブキングや、そのものずばりな見た目のエンマーゴといったインパクト抜群な怪獣も存在する。

◆中期

メフィラス星人を皮切りに宇宙人も登場するようになった。
また、本来は敵意のない怪獣も現れ、殺さずに終了する回も増えていく。

宇宙人に濃いキャラクターが多く、テンペラー星人やタロウを目潰し光線で攻撃したカタン星人テロリスト星人などが登場した。

◆後期

フリーダム。
あまりにも強烈なキャラクターのモチロンモットクレロン、歌が大好きオルフィや酒が大好きベロン、ボール大好きガラキングカラータイマーを盗んだドロボンといった他の作品には出てこないような怪獣が大量に登場した。

また、シリアスな話でもメモールエレジアピッコロといったシナリオに密接した濃い怪獣が登場した。


【関連作品】

1984年に公開された、ウルトラシリーズ初のオリジナルストーリーによる映画作品。
タロウを主役に据えた本作の前日譚という位置付けだが、後続の『レオ』と『ウルトラマン80』の映像も使われるなど、『タロウ』本編とは矛盾する部分も散見される。
ただし、ニュージェネレーションヒーローズ展開以降は同作の設定が反映されている。


【余談】

  • 本作で怪獣がやたらフリーダムになったのは、商業展開が怪獣中心からウルトラマンと戦闘機中心になったため、デザインの縛りがなくなったためとされる。

  • OP映像が初代マン以来の伝統であるウルトラマンや防衛隊メカ、怪獣の影絵ではなく、各ZATメカが発進する描写となっているのもこれらの玩具展開を意識してのこと。怪獣ブームから変身ヒーローブームへと移行した当時の時勢もあり、総じて昭和第二期ウルトラの怪獣たちは第一期のそれと比較して人気はイマイチで、商品展開も第一期とは比較にならないほど小規模なものとなったが、各作品とも防衛隊のメカは例外だった。

  • 小学館の子供向け雑誌で積極的に特集やコミカライズもされていた。低年齢向きにはよくある特集が、やや年齢層が上になるとメイキングも掲載された。
    コミカライズは内山まもる版を筆頭に豊富だが、あの石川賢の手掛けた狂気の産物も存在する。

  • 怪獣による殺人の描写は他のシリーズに比べると多めで、リアルな咀嚼音や人間の死体のシーンなど、トラウマになりやすい要素は意外と多め。
    加えてタロウにパンチで腹をぶち抜かれてドロドロに溶けて死ぬメフィラス星人や流血描写など、スプラッター描写も多い。



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最終更新:2023年10月22日 21:44