ジロー/キカイダー(人造人間キカイダーThe Novel)

登録日:2014/05/29 Thu 10:04:51
更新日:2023/07/09 Sun 15:31:09
所要時間:約 15 分で読めます




ジロー/キカイダーは小説『人造人間キカイダーThe Novel』の登場人物。本作の主人公である。



概要

世界的ロボット工学の権威、光明寺信彦博士が自身の研究を悪用し、軍事用ロボットの開発・販売を行った
『ダーク・マジェスティック・エンジニアリング』の罪を告発するにあたり、
逃亡生活を送るであろう自身の代わりに家族(娘・ミツコ、息子・マサル)を守る力として設計・開発した最新型のアンドロイド。

光明寺博士の研究成果として思考と思索が可能なロボットの自意識ともいえる『仮想生命』を持ち、
高い伸縮率を持つマイクロコイル内蔵形状記憶合金を素材とした伸縮自在な人工筋肉アクチュエータにより、
人間と同様に敏捷かつなめらかな身体能力を発揮するヒューマノイド・ロボットである。
動力源はカートリッジ式の小型原子炉。


開発に必要な設備と予算を得るには雇い主のダークによる承認が必要とされる状況で、
反ダークの意図を悟らせぬまま承認を得られるよう、かねてからダークが博士に開発を要求(という名の脅迫)していた
レスキュー・医療用ロボット『ゼロダイバー』と戦闘・軍事活動用ロボット『フュージティヴ・フロム・ヘル』の制作を隠れ蓑に条件をクリア、
それぞれの半身を正中線を境に結合させ、そのどちらでもないロボット、コードネーム『キカイダー』として完成させため、
ツートンカラーに塗り分けられたボディを持つ。

この誕生経緯はダークへの隠ぺいと同時に、相反する二面性を内包した仮想生命を授けることで、
ダークに生まれながら造物主に反逆可能なロボットを創造するためにも不可欠なプロセスでもあった。
事実、物語を通してジローの良心回路は成長を続け、『大切な人を守りたい』『命を奪う悪への怒り』が齎す
闘志を力に変えてハカイダーを圧倒・撃破し、『後先を考えずに行動に踏み切る』ことで結果的に人間であるギルの抹殺に成功するなど
既存のロボットには無い不可解な次元に彼を導きつつある。

以上からわかるように、本作のキカイダーの左右非対称な姿は意図的な仕様であり、
『不完全さの発露』といった意味合いはない。ジローの苦悩も従来の作品群とは意味合いが異なっている。

とはいえ、ややこしい造りであることは間違いなく、
劇中で敗北し、甚大な損傷を受けた時には修理以上に異なる半身の同期がきちんとできるかのテストに手間がかかるとされている。
開発に携わったエンジニア曰く、
『同じ車格のクルマ2台、ベンツSとBMW7を半分に切って合体させたようなもの』らしい。
クルマが高くてわかりにくいと思ったならスバルのステラとダイハツのタントでも良し。




― あなたを守りたくなる。ただそれだけです ―


ジロー

アンドロイド・キカイダーが後述の擬態機能により人間の青年の姿を取った状態。
服装は七分丈の黒いテーラード・ジャケットに、ジップブーツカットのデニム、
色白の細面に涼やかで中性的な目鼻立ちが溢れる知性を感じさせる超絶イケメン。ちなみに髪も脚もロング。
その容姿のモデルとなったのは光明寺博士の亡き長男タロー。
厳密には『タローが死なず、今日まで順調に成長していたなら』…という仮定の元に造られた架空の青年像こそがジローである。

見た目はほっそりとしているものの、元がキカイダーなのでフィジカル面は極めて堅牢。
戦闘能力がセーブされているこの状態でも武装SPやアンドロイドマン程度の相手には余裕で無双ができる。
休憩なしに5000㎞歩き続けても大丈夫。塩害対策モデルで防水処理も完璧なので海の中に入っても錆びない。
一方で目方は凄まじく重く、ジローを介抱した服部半平の体感ではゆうに150㎏は超えているとのこと。
左手首にはタッチパネルがあり、そこを操作することで体内のシステムチェック作業ができる(傍から見ると脈を取っているように見える)。

あらゆるネットワークにアクセスしてシステムを掌握可能なため、電子戦にはめっぽう強く、
監視カメラを乗っ取って離れた位置の状況を観察したり、火災報知機をわざと誤作動させるなどは朝飯前。
電話機能やインターネット検索機能も内蔵しており、大抵の物事は即座に検索して正解にたどり着けるほか、
発声機能が故障した際は目の前にいる服部の携帯にメールを送信することで電子的な筆談を行った。

性格は温厚で爽やかな好青年といった風で、海を見て大はしゃぎしたり初めて見るカレーをしげしげと観察するなど
彼がロボットであることに気付かない人の目にはかなりの天然(あるいは変人)にも映る。
その一方で、無益な殺生こそ好まないものの敵と戦わざるを得ない状況では不敵な態度で挑発的な軽口を叩き、
相手の機能を容赦なく停止させる機械的な冷徹さを帯びる。

優れた検索力&分析力で質問に対しては辞書を読み上げるかのように詳細な説明を返すあたりはいかにも機械だが、
のいずれかの値しか取りえない通常の論理とは別に、真偽の中間の答えを
半ばランダムに選択するファジィ論理制御を自動的に選択できる機能も有しており、これにより相手の心理を慮った
微妙な受け答えも可能…要するにこの手のキャラクターにしては珍しく『空気が読める』
ただし、ジロー自身はファジィ理論の出した答えががどのようにして導かれたかを自分でも理解できないことも多い。

自分の存在も所詮は人工物が寄せ集まった『仮想生命体』に過ぎないという自覚があり、
他のロボット同様、人間への強い憧れや消滅することへの恐怖を内に秘めている。
それゆえ造物主であり父親に当たる光明寺博士には、思慕と同時に何故自分に自意識を与えたのか戸惑いに似た感情を覚えている。
また、護衛対象のミツコに優しく接しながらもヒトと機械の差異を意識して本質的なところで線を引いてしまうこともあった。





擬態機能

体表面からの立体映像の投影で人間態をとる機能。
擬態中は知覚も人間の五感に近い体感的なものが基本フォーマットとなる
(ただし、食事をすることができないので味覚は感じられないものと思われる)。

キカイダー/ジローをはじめ、光明寺博士の手掛けたロボットの中でも
ロボットカーストの最上位に位置するヒューマノイド・ロボットにしか搭載されていない。
ギルの秘書を務めるマリのように周囲の人間の目に触れても問題を起こさないための方策だが、
ジローの場合、護衛対象のミツコとマサルに対し受け入れられやすいよう設けられたプログラムの一環でもある
(容姿以外にもジローの言動は全て光明寺姉弟への影響を第一に考えてプログラミングされたものである)。

立体映像は完全なCGで皮膚や毛髪は本物のものをテクスチャとして取り込んでおり、
機体の表面を覆う柔軟・極薄の液晶画面『有機EL』を介して投影される。
それに並行して映像に同期した重力子が体表から放射されているので服や髪のリアルな手触りもするし肌は柔らかく体温も伝わる。
重篤なダメージを受けた状態でジローの形態を取ると表情もきちんとやつれ、
雨の中田舎道を歩いてきた場合など髪が濡れ、服も泥だらけになって見えるなど異常なまでの徹底ぶりである。

なお、わざわざCGを用いるのは、シリコンの肌と人工筋肉の合わせ技で表情のある顔を物理的に再現する試みは
『不気味の谷』を越えられないという判断によるもの。

理論上は違うプログラムを用いれば他のどのような人間の姿も取れるが
作中のキカイダーの擬態化デバイスはジロー専用であり、それもハードウェアに依拠しているので変更はできない。
また、基本となる背丈や体格もそのままである。

擬態機能には膨大なメモリとエネルギーを食うのでジローの姿を取っていることは
キカイダーにとっては負担であり大きなハンディキャップでもある。
そのため大きなダメージを負った状態で擬態するのは好ましくないが、ミツコに与える心理的影響を考慮して
彼女の前では極力ジローに擬態したままでいるようプログラミングされている。
また外部から強い衝撃を受けたりジローの演算能力が低下すると映像の投影がうまくいかずにブロックノイズ状の歪みが生じ、
時折本体であるキカイダーの一部が透けて見えてしまうことがある。









コンバージョンアンドロイドモード

― ミッションコード=キカイダー ―

さあ、ここからは機械的にいこうか ―




● キカイダー ●


ジローの本当の姿にして戦闘形態がキカイダーである。
スマートフォン型の専用デバイスの画面をタッチし、『コンバージョン・アンドロイドモード』の音声入力で
『ミッションコード=キカイダー』が発動。
このプロセスは従来のキカイダーの『肩のスイッチを押してチェンジする』という様式に比べると、
アイテムの電子音声 (音声自体はジローの体内から出るが)や
前後に言い放つクールなキメ台詞も含めてかーなーり平成ライダーを意識したものとなっている。
\ヒートォ!/\トリガー!/???「さあ、お前の罪を数えろ!…え、赤が左青が右?」
???「ここからは俺のステージだ!・・・あれ?お前ジローじゃないのか?」

ジロー→キカイダーの形態変化は偽装を解除して『元の姿に戻る』というべきもので、
これは装着変身系ヒーローと比べると一風変わったアンドロイドならではのパターンである。
アンドロイドモードになることで普段擬態に廻していたエネルギー消費と電子演算領域を
純粋な戦闘行動のためにフル活用できるようになるのが最大のメリット。
作中のジローの主観では『身体が鎧を脱いだように軽くなる』と表現されている。

骨格の上から人工筋肉アクチュエーターや外装が被さる構成は人体に似る。
体表を覆っているのは質感的には一見レザーのスーツのように見えるが、実際は強化炭素繊維製。
また身体各所に巻きつくように配された黄いろの帯状の部分は
アクチュエーターの熱を逃すための極小呼吸式エアインテーク(ガンダムの胸のアレみたいなもの)である。

ダーク破壊部隊の戦闘ロボットと比べると細身の小兵といえるほどのサイズ差があるがスペックは極めて高く、
高速回転するドリルの刃を直接掴んで固定し逆回転させるほどのパワーや
自分に向けて撃ち込まれた銃弾を発射後に感知して全弾受け止める反応・動作スピード、
機械とは思えないほど有機的で複雑な動作を可能とするほどの柔軟性を兼ね備える。
ボディの強靭性もかなりのものだが、なにぶん精密機器の塊なので
格闘戦では相手の攻撃はほぼ『躱す』『受け流す』ことで無効化するのが基本。

また肩の可動式スパイクを展開し、膝部と肩部から吸入した空気を体内で圧縮・燃焼させ
足の裏に設けられたラムジェット噴射口から吹き出すことで推進力を得る『エアークラフト』機能を搭載。
この機能の利用により高所からの着地や亜音速の跳躍・飛行が可能となる。
特に飛行時は『身体一つで空を飛ぶ』ことが自由自在で、インメルマンターンやバレルロールなどの
華麗な空戦テクニックを駆使して相手を翻弄する。

戦闘時は基本的に手持ちの武器は用いず、プログラミングされた武術のムーヴを活かした格闘戦で
速やかに対象を無力化する。無論後天的な学習も可能で、受けた攻撃は即座に分析され次の瞬間に対策が完成するため、
キカイダークラスのアンドロイド同士の戦闘において奇襲攻撃が威力を示すのは格闘のごく初期段階のみである。
『大車輪投げ』『ダブルパワー』など必殺技は原作そのままで、きちんと技名も叫ぶ。

最大最強の攻撃は左右の体内に独立して存在する粒子加速器で原子核と電子をそれぞれ加速させ、
それを同期させた瞬間、腕をクロスさせて混合・電気的に中性な原子をつくり出し、
手刀と同時に零距離で叩き込む『デンジエンド』
これを荷電粒子ビームとして放射すると『キカイダースパーク』となり、こちらは広域破壊にも抜群の威力を顕す。


弱点として、3万ヘルツを超える超高音波を利用したギルの笛型インターフェースからの命令がある。
この音波をキャッチすると、ダーク破壊部隊と同じ戦闘用ロボット由来の左半身が
攻撃性増進プログラムに呼応することで普段は同期している右半身との連携を崩し、
それに伴い橋渡しを行う良心回路に異常な負荷がかかって、物理的な破損やシステムエラーが多発する
絶体絶命のピンチに陥ってしまう。

これに対しジローは自身の動力炉をわざとメルトダウン寸前の状態に持っていき、
爆発寸前に発生する低い周波数の異音で超高音波をマスキングするという捨て身の一手により、ギルの笛の呪縛から脱した。
以降はその時の音を内蔵されたギターチューニング用アプリで再現することで
特にリスクを冒すことなくギルの笛の無効化に成功している。





●ゼロダイバーフュージティヴ・フロム・ヘル●

光明寺博士がキカイダー完成のための『パーツ』として設計開発した2機のロボット。

全く異なる電子頭脳の処理機能を同期させる良心回路や、
規格の異なる右半身の動力軸と左半身のハブをジョイントさせる特殊スリーブなど、
両機にはボディを正中線で分断・半身ずつを結合させて『キカイダー』にできるよう
極めて精緻な仕掛けが施されている。
なお、博士の思いつきで両機とも腕部をアタッチメントのように付け根からワンタッチで取り外せる機構になっており、
これらはキカイダーの意思で男のロマンとして射出も可能。

それぞれを仮想生命の宿る独立したロボットして完成させることも可能ではあったろうが、
実際のところはあくまでダークの追求をかわすカムフラージュのために設計された機体なため、
光明寺博士にはその意図は最初からなかった。
また、仮にそうしたとしてもキカイダーに持たされた『二面性に基づく善悪の混在する判断』が不可能なため、
いずれも『プレジデント・ギルには絶対服従』というダークロボットの宿命からは逃れられなかっただろう。

キカイダー完成後も余った『青い左半身』『赤い右半身』はダーク本社内の研究棟に残っていたが、
繋ぎ合わせるには光明寺の技術が不可欠なので残しておいても仕方ないのと
光明寺にまんまと出し抜かれたギルが激おこぷんぷん丸になったことで
アンドロイドモードとなったマリの手で破壊されてしまっている。
ただし、破壊を免れたパーツはキカイダーが本社に襲撃をかけた時、欠損箇所を補うために利用された。



● ゼロダイバー -ZERODIVER- ●

光明寺博士が設計・開発した青いボディの医療救護救難用レスキューロボット。
前の震災以来、危険地帯での活動を可能とするロボットの登場を待ち望む人々の悲願と
博士自身の使命の結晶ともいえる存在
(一応、闇市場で売りさばかれる本命の軍事用ロボットとは別に、
公に売る福祉ロボット開発をダークも商品として希望してはいたが)。

完成する前に正中線から分断され、キカイダーの右半身を構成することになる。
本来の仕様は戦闘向けではないものの、良心回路を介することで
戦闘用の左半身と同調し、ダーク破壊部隊と比較してもなんら遜色のない戦闘が可能となる。

同様の理論でいずれ赤い方の半身青い半身の影響で変化していき(作中では青いボディに染まっていくと表現されている)、
人の心を持ったレスキューロボットになるのがジローの夢である。



● フュージティヴ・フロム・ヘル -FUGITIVE FROM HELL- ●

光明寺博士が設計・開発した赤いボディの戦闘用ロボット。
完成する前に正中線から分断され、キカイダーの左半身を構成することになる。
その名は『地獄からの逃亡者』を意味し、これは光明寺博士が戦闘用のロボットを造ることで
ダークの手から解放される己の身の上を皮肉ってつけたもの。

コスト削減のために太陽光発電で稼動する試作型の金型を
そのまま流用した名残で頭部は強化ガラスに覆われており、内部の電子頭脳が透けて見えている。
スリムなプロポーションながら強大なパワーを持ち、純粋な腕力はゼロダイバー以上。

この機体はあくまで試作型であり、各国に商品として売り込まれる予定なのは
さらに高性能な『フュージティブ・フロム・ヘル改良強化量産型』である。
名前が長すぎるとギルに突っ込まれたことで便宜上付けられたコードネームこそ・・・






ギター

ジローのギター。自身も楽器演奏を得意とし、仮想生命体の情緒の発展には音楽が効果的と考えた光明寺博士が持たせたもの。
外見はどう見てもエレキギターだが、演奏機能を選択することでアコースティックギターの音も出せる。
また、アンプやスピーカーの類も必要ないがストラップはついている。
劇中ジローはプロ顔負けの演奏テクニックを何度か披露している。

以下、ジローの華麗なるレパートリー

♪アルハンブラの思い出 
作曲はタレガ。ダークの手先に襲われそうになったミツコを救うべく初登場した際に弾いた。
光明寺博士のお気に入りの一曲でミツコが幼少の頃よくCDで聴いていたとか。
登場BGMを自分で奏でながら登場する謎めいたイケメンにミツコさんもメロメロだ!
ちなみに演奏を邪魔しようとするともれなく顎を蹴り上げられる。音楽を奏でながら暴力を揮うまさに二面性!

♪禁じられた遊び
逃亡生活の途中泊った民宿で、夕食時に弾いた曲。上手い。上手いんだけど曲調が暗すぎてマサルにダメ出しされる。残念!

♪誰がために
マサルくんの好きそうな曲ということでジローが選んだオススメの一曲。
「TVアニメの主題歌だからきっと観た事あると思うよ♪」と演奏しながら熱唱しようとするが
その番組が放送していたのは昭和54年である。マサルくんまだ生まれてないから!?もう!ジローったら本当に天☆然♪
いわずと知れた名作アニメサイボーグ009のOPテーマソングである。マジでイカス曲なのでみんなも聴いてみよう。

《番外》♪女々しくて/♪スターライトパレード
それぞれゴールデンボンバー/セカイノオワリの楽曲。マサルがリクエストしたので
ジローはネット検索して楽譜をDLしようとしたが、JASRACが著作権管理していたので断念せざるをえなかった。
????「夢も希望もない話だな……一緒に『 LIFE is SHOW TIME 』 でも弾くかい?」

また、キカイダーにチェンジした際は指先に内蔵されたピックを通して電気信号を送り込み
ギター内部の認証システムを解除することでヘッド先端から銃口が展開し、30ミリ口径のチェーンガンとなる。
演奏の質によって連射間隔を自由に調節できるという無駄にハイテクな仕様。
ただし、連射速度に対し装弾数が少なすぎるのか、作中での使用は1度だけにとどまっている。





● サイドマシーン ●

キカイダー専用に設計・開発されたサイドカー型特殊車両。
単車でないのはミツコとマサルを連れての逃避行の『足』として運用することを見越しての仕様だと思われる。
ナンバープレートは公道用のものではなく、記されているのはダークの実験棟で使用される4ケタの番号『0100』のみ。

黄いろに塗装された車体が特徴。バイク側はオンロードタイプの750バイクに酷似しており、
カワサキのキチガイマッハⅢに似せられているとあるが、
これは原作の未来的フォルムが特徴的な『カワサキマッハIII500・GTスペシャルサイドカー』のことと思われる。
無論似ているのは外観だけで、中身は水素燃料電池で駆動する2200馬力のモーターを搭載したスーパーマシン。
車輪を備えているが、走行時はタイヤが浮き上がった状態となるため厳密にはサイドカーというより
『路面すれすれで超低空飛行する』乗り物というのが正しい。
見た目によらずサイドカー部の座席スペースにはかなり余裕があり、光明寺姉弟がすっぽりと入り込めるほど。

起動はキーではなくアクセルグリップを握ることでジロー/キカイダーの掌を通して行われる。
絶叫マシンに例えられるほどの猛スピードでの走行が可能なほか、大柄な車体の割に小廻りも利き、
キカイダーの運転テクニックも相まってドリフトから車体を傾けての片輪走行さえ軽々とこなし、
戦闘ヘリからの機銃掃射すら避けまくる。

乗って動かすだけでなく、無人状態でも遠隔・自動操縦が可能。サ~イ~ドマシ~ン『が』~や~ってく~る~♪
また、走行モードに入ると荷重粒子のプラズマ化したエネルギー放射が磁場で分散され、車体全体を覆う強固な防御システムを有する。
これによって走行に伴う振動や空気抵抗を軽減、外部からの衝撃や障害物は遮断され、
たとえ車体が引っくり返るような事態になっても搭乗者の安全は保障される。

積極的に攻撃が可能な武器は搭載していないが、
敵機からのミサイル攻撃対策として機体後部からは囮弾(デコイ)を発射可能。
また、圧倒的馬力と防御システムの恩恵でバリケード程度は体当たりで正面突破しても無傷である。

連戦によるキカイダーの敗北と光明寺姉弟の拉致に伴い一度はダーク本社に回収されるも、
本社襲撃時、修理が完了した状態で保管されているのを発見したキカイダーの手に戻り共に脱出した。

ちなみに運転するジローは無免許、車庫証明も取っておらず、陸運局に届け出もしていないうえに乗員は全員ノーヘル、
法定速度オーバーで公道をぶっとばし、赤信号でも減速せず料金所のバーを飛び越える…という
存在そのものが『走る道交法違反』でもある。これもの二面性ゆえ致し方なし。
警察にデータが行かないよう、道中は取り締まり機を避けるコースを選択して運転している。





余談

☆キカイダーの半身をそれぞれ構成するロボット、『ゼロダイバー』『フュージティヴ・フロム・ヘル』の名称は、
『人造人間キカイダー』という作品タイトルが決定する以前の仮タイトル案から取られたもの。
要するに『仮面ライダー』に対するクロスファイヤーとかスカルマンみたいなものである。


☆フュージティヴ・フロム・ヘルに金型を流用された『強化ガラスに覆われた頭部を持つ、太陽電池を動力源とした試作型』…という記述は
明らかに『彼』を意識していると思われるが、この作品ではその試作型は、動力の一切を太陽電池に依存しているため、
日没と同時に機能が完全に停止してしまうというしょうもない理由で開発が打ち切られており、
金型を一部流用したキカイダーやハカイダーも、ガラス張りの頭部の中には太陽電池とは違う装置を搭載している。
本作終盤には次回作へのフラグも散見されてはいるが、残念ながら肝心の主人公はどこかの仁王像の中で眠りについていたりはしていないようだ。




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最終更新:2023年07月09日 15:31