サブラク(灼眼のシャナ)

登録日:2011/12/19(月) 22:21:23
更新日:2022/09/24 Sat 13:57:58
所要時間:約 8 分で読めます




ともあれ、俺の宿敵、お前の仇、いずれもが、この地に来ることを願おう。
今度こそ、互いに逃走の余地はあるまい。殺してから、改めてお前のことを考えよう……“戯睡郷”メア

サブラクとはライトノベル『灼眼のシャナ』に登場するキャラクター。声優は黒田崇矢
歩いてはいけない隣にある異世界“紅世”の住人である“紅世の徒”と呼ばれる異世界人。炎の色は茜色。
サブラクはこの世で定めた通称で、紅世での本名である真名は“壊刃(かいじん)”。
力の強い徒の呼称である“紅世の王”に数えられ、幾多の強力なフレイムヘイズを葬ってきた強大なる“王”。

初出はVII巻のダンタリオン(教授)のセリフ。
以後、教授やベルペオルヴィルヘルミナ・カルメルなどの会話上に昇っている。
依頼を受け標的を討つ仕事を多く引き受けているため、『殺し屋』の異名で呼ばれることもある。
生まれながらに強大だったタイプの“徒”で、周りに扼されることなく、自分のままで在り続けているため他人にあまり関心を持たない。
また、他の徒のような強い欲望や願いを持ったことが無い。
この世に渡ってきたのもきまぐれに行ってみるか、と思っただけである。
その表れとして、思考を独り言としてブツブツ垂れ流す癖がある。これは周りが言葉を聞いていようが聞いていまいがどうでもいいという性格の現れで、
相手の返答も反応もどうでも良く、むしろ聞かせて会話するつもりの言葉のほうが短いくらい。
そのため登場人物には彼を「ブツクサ野郎」というあだ名で呼ぶものもいる。

刀剣類を好んでおり、古今東西多数の種類の刃物を無数に所有している。殺し屋としての依頼の報酬も剣であり、戦闘にも“存在の力”を用いて強化した刀剣を使う。
基本的に嗜好品のようなもので過剰な執着はなく、戦闘で使い潰すことも厭わないが中には秘蔵のものもあり、
教授に宝具の剣『ヒュストリクス』をドリルに改造され激怒、彼も教授の発明を「イカレたカラクリ」と呼んで袂を分かち、今もお互い仲が悪い。
本編にはXIII巻で初登場した。
“蝶”と形容される知り合いの女性の徒(“戯睡郷”メア)と待ち合わせをするために日本に訪れていたところを仮装舞踏会(バル・マスケ)に発見された。
メアが殺されて再会できなかったこともあって、「依頼は選ばせて貰う」と非常に不機嫌であったが、
依頼がメアを殺した者に関することだと聞くと「よかろう、受けた」と即答している。

もっとも、これはあいつの弔い合戦、などという気取った話ではない。
全くないわけではないというわけではないが、むしろこれは、
その情報をあいつに与えて死なせてしまった、俺なりのけじめと言うべきものだ。
そのけじめの内に、あいつへの弔いもまた成ろう……

要は「べ、別にメアの弔い合戦なんかじゃないんだかんねっ(〃・ω・〃)
そりゃ全く無いわけじゃないけど…むしろ自分なりのけじめでオマケなんだからっ」ということ。
とんだツンデレである(本人に自覚ないけど)



本編の大きなネタバレ含む





戦闘スタイルは、最初に不意打ちを放った後に、サブラク自身が現れて炎と剣を使って標的を討つ、という戦法を基本的に取る。
この不意打ちは周囲の地面や建造物から突如として無数の剣を混ぜた炎の濁流が吹き上がるというもの。
実際に放たれるまでは感知できない完全な不意打ちでありながら、威力・規模・範囲のいずれも並の者では凌ぐことすら出来ず卑小なら即死するほど強大。
その上、不意打ちが終わった後に現れるサブラク自身も、津波のように膨大な量と圧力を持った炎の怒涛を自在に操る上に白兵能力も高く、
回復力も異常なレベルで優れる。

また、サブラク固有の自在法として、自身の力を込めた刀剣で付けた傷にかかる『スティグマ』の能力を持ち、
サブラクの刃で付けられた傷は彼から一定距離離れない限り治癒せず、時間と共に拡大していく。

これにより、対象は最初に大規模な不意打ちで不利な状況にされた上で、並外れた攻撃力・防御力・回復力を持つサブラクとの戦いを強制され、
時間が経つごとに『スティグマ』で疲弊する。

【本質】

そんなサブラクの正体は、桁外れに巨大な身体を備えた“王”である。

戦闘を行う際は基本的に待ち伏せから始まり、まずは自身の身体を薄く分散させ、広域に浸透させる。これにより、本来強大な“王”ゆえに巨大であるはずの気配を、探知能力に優れた者でもそれが徒の気配だと気づけないほどに薄めることが出来る。事実、御崎市では討ち手顔負けのトンデモ感知能力を持つ悠二ですら気づかなかった。

要は、オルゴンが自身の存在を軍勢にしたのに対し、サブラクは自身の存在をバトルフィールドにしたようなものである。

そうして、標的が現れる、あるいは攻撃の機会が来たならば、身体の浸透した全域に溜め込んだ剣と自前の炎を叩き込んで不意打ちを見舞う。ただ、この時点では後述の司令塔が出てきていないため、正確な狙いがつけられず「大体この辺か」と見当をつけて放つことになる。直撃で終わればいいのだが、しのがれた場合は逃げられる可能性がある。それを潰すために編み出したのが『スティグマ』である。

不意打ちを行った後、意志総体を核に司令塔となる本来の姿を現し、戦闘に入る。

ここで現れるサブラクは体の一部を使って作られた人形に過ぎないため、身体を用いて修復・新成が利く。
要は、本来HP100000なところを、あえてHP1の身体にして残りをフィールドにプールしているようなもの。
これで回復・修復のコストを非常に安くし、異常な速度の回復を実現させているのである。
しかも、薄く広がっていてもその身体は全て統御され、分散能力に関係なく彼が持つ強大な攻撃・防御力は全く変わらない。さらに、人間がいれば喰らうことで“存在の力”を補給できる。
例え正体がバレたとしても、市の多くを覆うほどに広く、地中深くまで浸透している彼を滅し切るだけでも至難であり耐久が異常なのは変わらない。

カラクリを知らねば不死身と慄き、カラクリを知れば力の大きさに慄く、という本物の怪物である。

ただし、完全無欠ではなく当然欠点が存在する。
まず、司令塔となる人形を出さない状態では内部の様子が細かく把握できず、先に挙げたとおり狙いが大雑把になってしまう。
さらに、その人形はいくらでも修復できるとはいえ、意志総体を宿した「本体」であるため、何らかの手段で身体との接続を切られた状態で倒されるとそこで終わってしまう。

もう一つ根本的な欠点として、サブラクは身体の大きさと力の規模は途轍もなく大きいのだが、それを統御する本人の感覚レベルが人一人分しかない。つまり、不意打ちの後司令塔を出現させると、その後は目の前の敵と戦うことしか出来ず、周囲の身体を使用して遠くの敵を攻撃する、という搦め手が出来ない。周囲の身体は司令塔が出現した時点で感覚が抜けてしまうため、遠くに敵がいても知覚できないのである。

また、その性質上司令塔は浸透範囲から外には出られず、浸透範囲の外に攻撃することも出来ないので、範囲外に敵が逃げるとそこで打つ手がなくなってしまう。

確かにこれら付け入る隙はあるといえばあるのだが、まず「司令塔を身体から切り離す」ということ自体が著しく困難であり、その司令塔となるサブラク自身の戦闘力も非常に高い上『スティグマ』があるので、引き付けること自体がほぼ無理。

さらに、浸透範囲も非常に広いので、外に逃げるのも難しい、とまともに倒す方法がほとんど存在しないバケモノである。
しかも、並みの“徒”ならハッキングして操ることも可能という小技も備えている。

【劇中での行動】

物語に初めて関わった事件は、本編以前の“約束の二人”への襲撃。零時迷子のミステス・ヨーハンに自在式を打ち込む依頼を仮装舞踏会から受けて物語に関わっている。
この時は式の打ち込みは成功したが、直後にフィレスに飛びつかれて「司令塔」ごと転移されてしまう。サブラク自身は全くの無傷だったが、上述の弱点が祟って零時迷子を取り逃がしてしまった。

その内の幾度目かの襲撃と失敗の後にメアを助け、謝礼として出された短剣を断ったことがきっかけで、共に旅をすることになった。
最初は追い払うのも面倒だっただけだが、彼女との関わりの中で、自分でも分からない関心を寄せられていく。


そして二年後、依頼を果たした後に零時迷子の情報をメアに話したことで、彼女は奪取に動き、死んでしまう。
それ以降、彼女のことを考え続ける自分に疑問を持ちながら、疑問を解こうとする。
その矢先、御崎市にてベルペオルの依頼を受け、悠二を捕捉し“零時迷子”を回収するミッションを開始。

いつもの待ち伏せ攻撃で討ち手たちを追い詰めるも、フィレスに「本体」を飛ばされたエピソードをヴィルヘルミナから聞いた悠二は、これを取っ掛かりに不死身のカラクリを看破。
討ち手らの連携の前に追い詰められ、危うく討滅される寸前まで至る。が、実は抜け目なく出現時に悠二に式を打ち込み依頼を完遂しており、さらにはビフロンスを操って不意打ち&彼の『非常手段』を使ってギリギリのところで離脱、その後警護の依頼を受ける。

「あれから、思わぬ仕儀で神たるモノとも出会えたが、その大きな力に羨むべきなにが在るのか……
 こうして警護の名目で近くに立ち、接し、観察しても、俺にはついぞ分からなかった」

「その神は、世界を振り回す渦の中心に在り、何者も無視できない……
 だが、あれのなにが羨ましいというのだ。俺は、どこまでもお前が分からない」

そして『詣道』において、弱点さえも罠とし、解呪不能に特化させた『スティグマータ』で最強レベルの三人を圧倒するが、復活した祭礼の蛇と詣道の崩壊の強大さへの感覚に、生まれて始めての強い欲望を感じる。
ヴィルヘルミナたちが即応態勢を取る中、一人その感覚に飲まれて思考停止してしまい、三人の連係で巨大な身体をバラバラにされ、司令塔の本体も狭間に投げ出される。

「お、お―――あれが、“祭礼の、蛇”―――“紅世”真正の、神―――」

「何という、大きさ―――すごい――これ、なのか?」

周りがその状況に対処し生き延びる中で、ベルペオルの助けも拒否し、自らその力に翻弄されることを選択。

「構わんで、くれ……」

「これを……、もう少し、見ていたい……」

「そうか、これがお前の、感じた――」

そうして、かつて失ったメアが感じていたこと。
彼が理解したいと考え続けていた感覚を理解しながら両界の狭間へ飲まれていった。



初めて、見た。あれほどの大きさを
抗することなど不可能と分かる、大きさを
圧倒的な力を前にした者の、どうしようもない感覚を


あれが、あの大きさの前に抱く畏れが、お前の抱いていた気持ちだったのか
この、なにをもってしても埋めがたい畏れを前に、お前は足掻いていたのか
俺は、お前をあんなどうしようもない気持ちにさせてしまっていたのか

俺はやっと、お前が俺に抱いていた気持ちを、知ることができた
あんな気持ちを抱いたまま、力を持つ者の前に立つことなど、できはしない
ましてや、お前の足掻きを理解できなかった、する気もなかった俺と、共に居れまい



お前が去ったことで、俺はようやく、お前について思いを巡らし
俺の前に立つために、力を欲し戦ったお前は、死んだ
まったく、なんという馬鹿な俺たちだろう


だが俺は、ようやく感じることができた。知ることができた
この世には、俺などが及びもつかない、大きな者が存在することを
俺も、お前も、そいつから見れば大して変わらぬ存在なのだと


お前が俺に及ばぬことを、怒ることはない
お前が小さなことを、恨むこともない
だから笑ってくれ――愛しい蝶よ


愛に気づけた期間は短くとも、彼もまた、愛に生き、愛に死んだ男である。





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