強制脱出装置(遊戯王OCG)

登録日:2014/05/15 (木) 00:28:07
更新日:2024/01/21 Sun 14:07:09
所要時間:約 7 分で読めます





「強制脱出装置」とは、遊戯王OCGに存在するカードの1つ。


強制脱出装置
通常罠
(1):フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを持ち主の手札に戻す。

【概要】

第3期パックの「暗黒の侵略者」で登場した罠カード。
略称は「強脱」。

効果は実にシンプルで、モンスターをバウンスする(手札に戻す)効果だけ。
相手モンスターに使った場合、一時的にフィールドから離すことで相手を妨害できる。
フリーチェーンなので、伏せた次のターン以降いつでも発動できる。
王宮のお触れ》や《トラップ・スタン》にチェーンして発動すれば無効化されずに済む。
また、破壊ではないので、《スターダスト・ドラゴン》や《魔王龍 ベエルゼ》などの破壊耐性を持つモンスターにも強い。

メインデッキに入るモンスターを戻した場合、手札に戻るため直接的なアドバンテージにはならないが、
特殊召喚にコストが必要なモンスターなどを戻せば、結果的に相手に損害を与えたり、相手のテンポを崩すことができる。
墓地やデッキから特殊召喚するのがメインのモンスターなら、戻った手札から処理しなければならないため、より無力化できることも。

一方、《裁きの龍》や《ダーク・アームド・ドラゴン》など、条件を満たしていればコスト無しで特殊召喚できるようなモンスターにはあまり効果がない。
消費枚数は多くなるが、《マインドクラッシュ》などと併用すれば叩き落とすことはできる。


儀式モンスターは特殊召喚にコストを要求することが殆どなので、アドバンテージを得やすい。
しかし、手札誘発の効果を持つ「影霊衣」や《古聖戴サウラヴィス》などにはあまり刺さらないので注意。

なお、融合シンクロエクシーズモンスターに撃つとエクストラデッキに戻る。
多くは2枚以上の消費を伴って出てくる切り札級のモンスターなので、再び出される可能性があるとはいえ、ある程度の損失は与えられる。
リンクモンスターについては素材1体で出てくるものもあるが、切り札になるようなものは基本的に2体以上の素材が必要なので、やはりアドバンテージを奪うことが可能。

ちなみに、トークンに対して撃つことも可能で、その場合トークンは手札に戻らずに消滅する
トークンとして出てくるモンスターに強力なモンスターは少ないが、カイエントークンなど高ステータスなものもたまにある。

また罠モンスターといったカードにも大変有効。
手札に戻るだけでなく、展開を1ターン遅らせることができ、次の手も把握しやすいため、流れを持って行きやすい。

ペンデュラムモンスター相手には注意が必要。
一度破壊されエクストラデッキに送られたペンデュラムモンスターがペンデュラム召喚された場合にそのモンスターを手札に戻すと、
場合によってはせっかく倒して一旦は封じたペンデュラム効果を再利用されてしまう恐れがある。
全てが全てではないが、こういったパターンはなくはないため、慎重に扱う必要がある。


変わった使い方では相手モンスターだけでなく自分のモンスターにも撃つことができる。
相手による除去や戦闘破壊を受けそうになったモンスターを回収する、
E・HERO エアーマン》のような召喚時に発動する効果を持ったモンスターを使い回すといった目的に使える。
また相手フィールド上に存在する持ち主が自分のモンスターは自分の手札に戻るため、
《強制転移》でコントロールを渡したモンスターや《溶岩魔神 ラヴァ・ゴーレム》、「壊獣」を戻して再利用することもできる。

スキルドレイン》や《デモンズ・チェーン》を使われた時、モンスターの効果発動にチェーンして発動という使い方もある。
強引にフィールド上から離すことで効果を無効にさせないという戦術である。
効果が無効になっていてもモンスター効果の発動は可能な点を利用したものである。

ただし《エフェクト・ヴェーラー》や《ブレイクスルー・スキル》などの場に残らないタイプの無効化は注意。
モンスター効果発動に対してチェーンして発動された場合に関しては同じことができるが、
通したいモンスター効果の発動前にすでに撃たれて適用されていた場合には、そのまま効果も無効になってしまうので気を付けよう。


【評価の変遷】

このカードが登場したのは第3期の終盤だったのが、当時はあまり評価が高くなかった。
モンスターの召喚時にこのカードを撃っても、優先権による起動効果発動を止められず、
デッキの切り札となるモンスターはメインデッキに入るものが大半だったためである。
アドバンス召喚(当時は生け贄召喚)したモンスターをバウンスできればアドバンテージを奪えるものの、《人造人間-サイコ・ショッカー》には通用せず、
便利ではあるが活用できる場面は限られていた。

ところが、第6期でシンクロ召喚が登場すると転機が訪れた。
シンクロモンスターに対して撃てば破壊と同等のアドバンテージを奪えるのである。
エクストラデッキに戻すのでもう一度出されてしまう危険はあったが、かつては広く採用されていた《スターダスト・ドラゴン》に対処できるのも評価を後押ししていた。
その後も、エクシーズモンスターというエクストラデッキから出てくるモンスターの登場・増加により、強力な除去カードとしてその価値を上げている。

また、マスタールール2以降、起動効果は召喚時に優先権が戻るまで発動できなくなったため妨害能力が上昇。
フリーチェーンなのも利点であり、強力なモンスターが出た後からでも除去することができる。
他の除去カードを《禁じられた聖槍》で回避しようとしたのにチェーンして除去したり、
相手モンスターの攻撃宣言時に発動することで1回の攻撃を確実に防ぐこともできる。
さらには召喚反応罠も攻撃反応罠も効かない《星態龍》や《SNo.39 希望皇ホープ・ザ・ライトニング》をバトルフェイズ開始時で処理できる。
インフェルニティ相手でカードをドローした瞬間に発動→《煉獄龍 オーガ・ドラグーン》に無効にされることなく除去するなんて芸当も可能。

こういう様々な使い方からどのデッキにも入り得る汎用罠だが、
初登場以降何度か再録されており、入手難度はそこまで高くない。


汎用罠としては《奈落の落とし穴》と並ぶファンデッキ殺しだろう。
破壊を介さない除去であり、罠そのものか、対象を取る効果への耐性でも持っていなければ処理されてしまう。
最上位の神()である《ラーの翼神竜》も、戦闘以外で破壊されない《スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン》も、ありとあらゆる破壊を防ぐ《魔王龍 べエルゼ》も、全部これ一枚で除去されてしまう。
せっかく召喚した出しにくい切り札があっさりと飛んでいったのがトラウマになった決闘者も多い。
まあ、除去が強いのは遊戯王OCGの伝統ではあるのだが。

発動自体はフリーチェーンなので、このカードに対処できるモンスターでもその途中に妨害されることもある。
除去が怖いなら《ツインツイスター》や《砂塵の大嵐》であらかじめ掃除しておこう。


基本的に優秀なカードではあるが、モンスターの展開力は年を追うごとにインフレしており、単体除去一発では巻き返しできないような場面も見られる。

また《アポクリフォート・キラー》、《アルティメット・ファルコン》《ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン》などの耐性を持った高打点が何体も出現しており、
そもそもこのカードが通用しないという場面にもしばしば出くわすようになった。

除去カードの選択肢は色々と豊富なので、あくまで自分のデッキとの相性や、環境内での役割を考えて採用するべきだろう。


【余談】

ちなみに、鬼柳京介の中の人である小野友樹氏が、
かっこいいオリジナル口上を述べながら《氷結界の龍 トリシューラ》をシンクロ召喚した直後、
このカードで退場させられたことがあったとか。
(もっともトリシューラは誘発効果のため、このカードだと効果発動までは止められないが)
その際のエピソードから、このカードで手札に戻ったことを皮肉って「おかえり」なんて言われることも。

海外では環境と規制の傾向の違いもあり、制限カードに指定されている。


イラストでは《ギガ・ガガギゴ》が脱出させられている。
コザッキー》の強化実験に失敗し、暴走する前に飛ばされたのだろう。

亜種として、デッキバウンスになるかわりに自分のモンスターも一緒に戻す《強制退出装置》がある。
こちらは使いづらいがより強力な除去。《ヴェルズ・サンダーバード》などに使えば、相手モンスターのみを戻すことができる。


ガチすぎてアニメとは縁がないと思われがちだが、GXではデッキ破壊戦術の使い手であるエックスが十代とのデュエルで使用している。
ただし、戻された相手は下級モンスターの《N・グロー・モス》という比較的良心的(?)な使い方だった。


また未OCG化の亜種が2枚あり、アニメ5D'sジャックが使用した*1《強制帰還装置》と漫画版ZEXALシャークさんが使用した《強制循環装置》がある。
遊戯王Rで登場した《強制回収》も近い存在と言える。






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最終更新:2024年01月21日 14:07

*1 正確にはマルコのカード