ユージオ(SAO)

登録日:2014/05/03 Sat 13:00:10
更新日:2024/04/11 Thu 18:20:50
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青薔薇の剣!力を貸してくれ!僕は前に進まなきゃいけないんだ!



ユージオとは、ライトノベルソードアート・オンライン』の登場人物であり、第4部となるアリシゼーション編のもう一人の主人公。


◆概要

謎の仮想世界《アンダーワールド》に迷い込んだキリトが最初に出会った少年。辺境のルーリッドの村で悪魔の杉《ギガスシダー》を倒す、《刻み手》という天職についている。
後に切り倒したことで新たな職を選ぶ権利を与えられ、剣士になる為にキリトと共に央都へ旅することを選んだ。

6年前、《ダークテリトリーへの侵入》という禁忌目録違反を行った幼馴染のアリスという少女を《公理教会》に仕え人界を守護するはずの整合騎士が人界の中心・央都アルンにある《セントラル・カセドラル》に連行しようとした際、何も出来ずただ立ち尽くしていたという過去を持ち、整合騎士となって今度こそアリスを救い出すことが最大の目標。

性格は生真面目で純朴、誰にでも優しく礼儀正しい少年。真面目過ぎてキリトの冗談を真に受けてしまっていたが、二年間寝食を共にした事で冗談に冗談で返せる器用さも身に付いた。
しかしながら曲がったことを見過ごせず、信念を貫く芯の強さも併せ持っている。

破天荒な一面のあるキリトを諌める保護者的な立場であると同時に、キリトから《アインクラッド流剣術(ソードスキル)》を教わる弟子のような立場でもあり、キリトとは互いの足りない部分を補い合える、相棒で親友と呼ぶにふさわしい存在となっている。


◆戦闘能力

武器は果ての山脈で手に入れた神器《青薔薇の剣》。
当初は権限が足らずに持ち上げることもできなかったが、北の山脈でゴブリンの集団を撃退した事でオブジェクト・コントロール権限が上昇し、意のままに使いこなせるようになる。

木こりをやっていた為剣の扱いなど知る由も無かったが、キリトが《アインクラッド流剣術》と称してソードスキルを教わってからはメキメキと実力をつけていき、眠っていた才能が開花。
その剣の才能はキリトをして戦慄を隠せないほど。キリトはあっという間に自分を上回る腕前まで上達するだろうと考えている。

またカーディナルから武器の《完全支配術》を学んでからは、剣から氷を発すことができるようになり、冷気を自在に操れるようになった。

◇主な使用技

キリトから教わったアインクラッド流剣術(片手直剣ソードスキル)を使用。中級技まで使うことができる。

《スラント》

 斜めに斬りつける単発技。右上から左下に、または左下から右上に斬りつける。
 後述する《バーチカル・アーク》の隙をキャンセルしてこの技を放ったりもした。

《ホリゾンタル》

《バーチカル》

 同じく初級の単発技。キリトの項目も参照。

《バーチカル・アーク》

 2連撃。垂直に斬りつけ、そのままV字を描くように切り上げる。

《武装完全支配術》

 賢者カーディナルから授かった切り札。《青薔薇の剣》に宿る永久氷塊の記憶を引き出し、攻撃力とする術式。
 《強化》の段階に当たり、剣から発した冷気と氷の青薔薇で敵を拘束する。

《記憶開放術》

 《強化》のさらに先の段階、《開放》にあたる術式。青い光を放ちながら、周りにあるものを完全に凍結させる。その冷気は大浴場の膨大な湯を一瞬で氷の床に変えてしまうほど。


◆本編での活躍


※以下ネタバレ注意

9巻から登場。
上記のようにキリトがアンダーワールドで最初に出会った人物。巨木《ギガスシダー》を切り倒すために毎日斧を振る日々を送っていた。

キリトと出会って数日後、アリスの妹であるセルカが姿を消したことで、彼女を探してキリトとともに果ての山脈へと向かい、そこでゴブリンの集団に襲われ瀕死の重傷を負うが、セルカの神聖術により一命を取り留める。
この一件によって権限(いわゆるレベル)が飛躍的に上昇し、かつて自身が手に入れた《青薔薇の剣》をある程度使いこなせるようになり、これを用いてギガスシダーを倒すことに成功する。
その後は新たに剣士の天職に就き、連れ去られたアリスを助け出すため、キリトとともに整合騎士を目指し、村を出る。
キリトからソードスキル(キリト曰くアインクラッド流剣術)を習うが、その才能はキリトをして戦慄を隠せないほどの天賦の才を秘めており、近いうちに自分を超えるだろうとキリトは考えている。
ルーリッド村を出てからは、常にキリトと行動を共にしており、アンダーワールドの時間で2年を共に過ごす中でともになくてはならない相棒となる。

キリトにとっては初めての同性・同年代で対等な親友。
当初は現実世界に戻ることを目的としていたキリトであったが、ユージオと過ごすうちに考えを変え、ユージオを現実世界へと招待し、アスナやリーファ、クラインら今まで自分を助けてくれた大切な人たちにユージオを紹介することを最大の目標とする。

キリトはユージオを現実世界やALOの世界に招待してアスナ達に紹介するのを非常に楽しみにしており、危機に瀕した状況でもその場面を思い浮かべるだけで思わず笑みがこぼれてしまうほど。
そこ、キモいとか言わない。





ユージオの正体は《人工フラクトライト》、いわゆるボトムアップ型のAI(人間の脳と同じ構造によって作られた人工頭脳)であった。
そもそもアンダーワールドの正体は防衛省の菊岡主導の下、軍事利用するためのAIを作り出すための大規模実験《プロジェクト・アリシゼーション》の実験場であり、アンダーワールドの住人はユージオやアリスを含めてすべてが人工フラクトライトである。

帝都にたどり着いた後はキリトとともに帝立修剣学院で修行に励むが、自分とキリトの傍付き見習いであるロニエとティーゼを守るために「他者の天命を損失させる」という禁忌目録を犯したため、セントラル・カセドラルに罪人として連行され、記憶を封じられ整合騎士となったアリスと思いもよらぬ再会を果たす。
この時ユージオは架せられた右眼の封印を破り、より柔軟で感情的な思考を得ている。

一度は牢につながれたがキリトと共に脱獄、謎の少女カーディナルから、すべての元凶であるアドミニストレータの存在を教えられると、彼女を倒してアリスを取り戻すためにキリトと共にセントラル・カセドラル攻略を開始し、単身で整合騎士長ベルクーリを倒すまでにその戦闘能力の成長を見せる。

しかしアドミニストレータに単身囚われ、心の隙間を突かれたことで整合騎士となってしまい、キリトと真実を知ったアリスの前に立ちはだかり、キリトと刃を交えることとなってしまう。










キリトと本気で刃を交えたことで正気に戻り、キリトやアリス、カーディナルと共にアドミニストレータと対峙する。
自分たちを救うため致命傷を負ったカーディナルの最後の力で己の姿そのものを剣に変えてもらい、アドミニストレータ最強の切り札であったソードゴーレムを撃破することに成功する。
さらにユージオはアドミニストレータに特攻を試み、アドミニストレータのレイピアを打ち砕き、右腕を切り飛ばすことに成功する。

しかし・・・


「ユージオーーーーーーーーー!!」


その代償は大きく、ユージオが変じた剣も真っ二つに折れてしまい、直後に人間に戻るものの、その姿は上半身と下半身が完全に分断された無残なものであった。


相棒の無残な姿と、右腕を失ってもなお圧倒的な強さを誇るアドミニストレータに心が折れそうになるキリト、しかしその耳にかすかだが相棒の声が届く。


「らしく・・・ないぞ。あきらめ・・・る、なんて」


「さあ、キリト・・・君なら、もう一度、立てる。何度だって、たちあが・・・れる・・・」


ユージオは自らの愛剣《青薔薇の剣》と自らの生命エネルギーを糧に新たに《赤薔薇の剣》を作り出し、キリトに差し出す。


「さあ、立って、キリト。僕の、親友・・・。ぼくの・・・英雄・・・・・・」


「ああ・・・立つよ。お前のためなら、何度だって」


ユージオの思いはキリトに力を与え、ついにアドミニストレータを打ち倒すことに成功する。が・・・


「止まれ・・・止まれよ!なんでだよ!!」


「ユージオ・・・・・・戻ってこい!ユージオ!!」


戦いののちすぐに治癒を試みるキリトだったが、無情にもユージオから流れ出る血液を止めることはできなかった。
自分の身を犠牲にしてでも、そう考えるキリトの耳に懐かしい声が届く。


「・・・・・・キリト」


「待っていろ、お前を死なせやしない・・・絶対に死なせない!」


「ステイ・クール・・・キリト」


キリトは確かにそのフレーズを別れの挨拶だと教えた。だがこんな場面で聞くために教えたわけではない。けっして。


「いい・・・んだ。これで・・・いいんだ」


「何言ってるんだ!いいわけないだろ!!」


「・・・キリト。僕は、ずっと、君が…羨ましかったんだ。もしかしたら、アリスだって、君を・・・そんな風に、怯えてたりも、したんだよ・・・。」


「でも・・・・・・ようやく、解った。愛は・・・求めるものじゃなくて、与えるものなんだって。アリスが・・・それを、教えて・・・くれたんだ・・・」


「僕たち・・・私たち3人は、確かに同じ時を生きた」


「道はここで別れるけど・・・・・・でも、思い出は永遠に残る」


「君の・・・あなたの中で永遠に残り続ける」


「だから、ほら・・・泣かないで、キリト」


「ああ・・・思い出は、ここにある。永遠に、ここにある」


「そうさ……思い出は、永遠に残る。だから僕らは、永遠に、親友だ」


変わらぬ友情を確かめ合うと、最後にまだ銘の無いキリトの剣に《夜空の剣》と名付けることを提案し、ユージオは静かにその生涯を終えた。


「そうだ・・・。キリトの、黒い剣・・・《夜空の剣》って名前が・・・いいな。どうだい・・・」


「ああ・・・いい名前だ。ありがとう、ユージオ」


「この・・・小さな、世界を・・・夜空のように・・・優しく・・・包んで・・・・・・」


彼の魂はどこへ消えたのか・・・それを知る者はいない。

親友ユージオの死はキリトの心身に多大なショックを与え、その後の物語に大きく影響することとなる。










ユージオの肉体は死した。魂もどこかに旅立った。

それでも、たった一人の相棒を想う心だけは、滅びてはいなかった。

ユージオのフラクトライトが封入されたライトキューブは確かに初期化されたものの、一時期融合を果たしたからか、それともそれらが深く結びついていたからか。
その残滓は、愛剣である《青薔薇の剣》に遺っており、彼の死を知って泣きじゃくるティーゼにそっと語り掛け、心を亡くしたキリトの傍らに在り続けていた。

現実での比嘉達ラーススタッフの尽力によりフラクトライトの活発化自体には成功したものの、キリトは積み重ねてきた後悔と自責の念によって自らを縛り続けており、
「これならまだ心が死んでいた方がマシだった」と比嘉に言わしめる程の残酷な世界の中にいた。

サチや月夜の黒猫のメンバーを救えなかったこと。ユージオを救えなかったこと。
そして、人を守る為とはいえ何人もの悪人達を切り捨ててきた事すらキリトにとっては苦痛だった。
そんなビジョンが幾重にも繰り返し流れ、己を責めるようにキリトは自らの心臓をえぐるように傷つける。


ごめんよアスナ…ごめんシノン…ごめんなスグ…俺はもう立てない…もう戦えない…ごめん…


もはやキリトを復活させる手立てはないのか…。誰もが諦めかけていた。
そんな時、比嘉のもとに正体不明の存在からのコールが届き、一縷の望みに懸けて比嘉はそれをキリトがダイブに使っているSTLに接続。
残り香程度の微弱なものではあるが、その意志は確かにキリトに届き、彼がもう一度立ち上がる助けとなった。


もう忘れてしまったのかい?あの時僕らは確信したじゃないか。


思い出は…ここにある。


友の想いを受け取り、そして前に進むために。
キリトは復活を果たし、因縁の敵であるPoHを相棒の魂と共に撃破したのだった。
そして来る最終戦。アリスを捕らえんとするガブリエルから彼女を逃がす為戦うキリトに、ガブリエルの唯一の弱点を伝え、青薔薇の剣とキリトの記憶からいっとき甦った彼は透き通る刃でガブリエルの凶刃を受け止め、最後までキリトの《相棒》として、彼と共に戦い続けた。


◆余談

実はweb版において、アドミニストレータに囚われはするものの、キリトたちと敵対するという場面は存在しない。
また、作者の川原氏は文庫化する際にこの先のプロットを全てかなぐり捨ててでもユージオを助けることを本気で考えたらしい。
更に言えばアニメ化の際にもう一度変更しようか考えた程とのこと。
ファンからの人気はとても高く、2015年10月に行われた公式のキャラクター人気投票では、アニメ未登場キャラでありながら5位に入っている。
そんな人気もあってか、文庫化10周年記念のイベントなどではキリト以外の男性キャラクターで唯一イラストなどが存在し、
更に章別ヒロイン+キリトの絵などでも一緒に描かれるなど、まさしく破格の待遇を受けることが多い。

当然ゲームシリーズなど外部作品への参戦を望む声は数多く上がっており、有料DLCという形ではあるがCSタイトルである《ホロウ・リアリゼーション》と《千年の黄昏》、スマホアプリである《コード・レジスタ》と《メモリー・デフラグ》に騎士アリスと共に出演する事が発表された際には方々で歓喜の声が上がり、そして《アリシゼーション》編アニメ化を望む声が一段と高まっていた。

そして「電撃文庫 秋の祭典2017」にて、≪アリシゼーション≫編のTVアニメ化が発表。プロジェクト始動PVでは彼の台詞が全面に押し出されている。
また、《アリシゼーション》編のED4つのうち、実に4つ中3つがユージオが非常に重要な扱いを受けているという程の人気キャラにふさわしい扱いを受けた。

因みに、ユージオを演じる島崎氏とキリト役の松岡禎丞氏は現実でも非常に仲が良い事で知られており、島崎氏がユージオを演じる事は松岡氏がキリト役に決まった当初から希望していた事だったとか。その為、念願かなって彼がユージオ役に抜擢されたときは松岡氏とLINEで大いに盛り上がったそうな。
また当然というべきか、前編のラストの際には松岡氏は号泣していた。





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最終更新:2024年04月11日 18:20