トレイリアのアカデミー/Tolarian Academy

登録日:2014/04/09 (水) 17:02:34
更新日:2024/04/22 Mon 17:12:01
所要時間:約 4 分で読めます




アカデミーは時の研究をした ――― 時を使い果たすまで。



マジック:ザ・ギャザリングに登場するカード。
種類は土地。ウルザズ・サーガに収録され、レアリティはレア。

以下カードテキスト。

トレイリアのアカデミー/Tolarian Academy
伝説の土地
(T):あなたがコントロールするアーティファクト1つにつき、あなたのマナ・プールに(青)を加える。

概要

ウルザズ・サーガに収録された伝説の土地サイクルの1つ。は、アーティファクトの数を参照してマナを出す。

ひと目見て「…まずくねえ?」と思った貴方は正しい。
MtGにおける青の呪文には、ゲーム全体の流れに影響を及ぼすものが他の色と比べて目立つ。
ターンを追加で得たり、タップやアンタップを操作したり、ライブラリーを丸ごと操作したり…
一方、青はマナを増産するのが5色中で一番苦手。特に、固定色「青」を増産するのは自力ではほぼできないと言っていい*1
そこでバランスが取られているのだが、ご想像通りこのイカレた学園はそのバランスを完全に破壊する。

これだけでもうやばいがこれに飽き足らず増えるマナに上限が存在しない
つまりアーティファクトをばら撒けばばら撒くほどアーティファクトが展開しやすくなり、ばら撒けばばら撒くほどマナが加速度的に増えていく…
MtGにおいて「土地は一ターンに一度=マナ上限を増やせるのは基本的に一ターンに1マナだけ」という大原則があるが、ご想像通りこのイカレた学園はその原則を完全に破壊する。

増える条件となるのが場にいるアーティファクト指定なのも大問題である。
なぜならアーティファクトには「効果を生かせるかは置いといて、取り合えず場に出しておける」0マナ、1マナのカード達が存在する。
んな所へ安易なマナ軽減効果を持たせようものなら…

一応カードタイプ伝説により1枚しか場に出せないという欠点はあるが、ハッキリ言って1枚だけで十分すぎる程の破壊力である。
むしろ対策しようにも土地なので触れる手段も限られる。いったいどうしろと。


さて、このカードを語る上で欠かせない話がある。MoMa、マジック史…いや、TCG史においても語り継がれるソリティアデッキ。
このカードはそのキーカードだった。

水蓮の花びら/Lotus Petal (0)
アーティファクト
(T),水蓮の花びらを生け贄に捧げる:あなたのマナ・プールに、好きな色のマナ1点を加える。

モックス・ダイアモンド/Mox Diamond (0)
アーティファクト
モックス・ダイアモンドが戦場に出る場合、あなたは代わりに土地カードを1枚捨ててもよい。
そうした場合、モックス・ダイアモンドは戦場に出る。そうでない場合、それをオーナーの墓地に置く。
(T):あなたのマナ・プールに、好きな色のマナ1点を加える。

魔力の櫃/Mana Vault (1)
アーティファクト
魔力の櫃はあなたのアンタップ・ステップにアンタップしない。
あなたのアップキープの開始時に、あなたは(4)を支払ってもよい。そうした場合、魔力の櫃をアンタップする。
あなたのドロー・ステップの開始時に、魔力の櫃がタップ状態である場合、それはあなたに1点のダメージを与える。
(T):あなたのマナ・プールに(3)を加える。

当時は、これら軽量アーティファクトが色々と環境に存在した。こういったカードを大量に展開すれば、トレイリアのアカデミー1枚から大量の青マナを出せる。

それからのMoMaの動きは当該項目を見てもらうとして、こんなカードが許容され続けるはずもなく。
1998年12月1日の禁止カード発表で指定された(発効は1999年1月1日)。ちなみにウルザズ・サーガの発売は1998年10月である。
禁止自体はウルザブロックではよくあることだしともかくとして、ここまで短期間で禁止されるのは珍しい。
後に記憶の壺精神の願望オーコやオムナスに抜かれたけど。

禁止発効前の12月に行われた2つの大きな大会では大暴れ。
挙句、伝説の土地ということを利用して「青マナ使わないけど、相手のアカデミーを阻害するためにアカデミーを4枚積み」なんてことも行われる事態に。
(当時のレジェンドルールは、敵味方問わずゲームで一番長く存在する奴のみ残ったので、アカデミーを置かれる前に自分が置ければ不毛の大地で割られない限り相手が置けなかった)
最近も神ジェイス対策に初代ジェイス積んだりとかあったけども。
(こっちも対消滅しなくなったのでもう意味が無い)



現在でもレガシーと統率者戦では禁止カード(使用不可)、ヴィンテージでも制限カード(1枚のみ)に指定されている。

また、2003年に書かれたコラム「The Top 50 Nonbasic Lands」(特殊地形50選)ではデュアルランド(2位)や露天鉱床(3位)を抑えて堂々の1位。
20年前のコラムとはいえ、今選んでも変わらないと思われる。


関連カード

セラの聖域/Serra's Sanctum
伝説の土地
(T):あなたがコントロールするエンチャント1つにつき、あなたのマナ・プールに(白)を加える。

ガイアの揺籃の地/Gaea's Cradle
伝説の土地
(T):あなたがコントロールするクリーチャー1体につき、あなたのマナ・プールに(緑)を加える。

ウルザズ・サーガのレアに存在する、伝説の土地サイクルの相方。

はエンチャント、はクリーチャーを参照してマナを出す。
にも伝説の土地はあるのだが、性能は大分異なるので割愛。

前者は他2枚ほどではないが、エンチャントレスなどで使われた。

後者は流石にトレイリアのアカデミーには敵わないとはいえ、様々なデッキで使われた立派な強カード。こちらはレガシーでも使えるため、現在では1万円以上と高額カードになっている。

前述のコラムでは前者が37位、後者が16位となっている。もっともこの2枚に関しては、現在なら他の土地に押されて順位が低下する可能性が高い。
ちなみにトレイリアのアカデミーも含めたこの3枚、ウルザ・ブロック構築では全て禁止カードとなっていた。
また、全て再録禁止カードにもなっている。

アカデミーの廃墟/Academy Ruins
伝説の土地
(T):あなたのマナ・プールに(1)を加える。
(1)(青),(T):あなたの墓地にあるアーティファクト・カード1枚を対象とし、それをあなたのライブラリーの一番上に置く。

トレイリア西部/Tolaria West
土地
トレイリア西部はタップ状態で戦場に出る。
(T):あなたのマナ・プールに(青)を加える。
変成(1)(青)(青)((1)(青)(青),このカードを捨てる:あなたのライブラリーから、点数で見たマナ・コストが0であるカード1枚を探し、それを公開し、あなたの手札に加える。
その後あなたのライブラリーを切り直す。変成はソーサリーとしてのみ行う。)

後世でのアカデミーの姿。

前者は名前の通り、海底に没したアカデミーのなれの果て。後者は、数百年後に元のアカデミーの北西に位置する島に作られた新しいアカデミー。

前者は時のらせんのレア。2マナ+タップの実質3マナでアーティファクトを回収出来る。
こいつで精神隷属器を無限回収して永遠に相手が行動できなくしたり出来るが13マナ必要なので浪漫に近い。

後者は未来予知のアンコモン。
土地として使われることは少なく、3マナで0マナまたはマナコストがないカード(土地など)をサーチするのに使われる。


前者のフレーバー「かつてその秘密は、歴代知られる中でも最高の技術を生み出した。いまでは蟹が瓦礫をほじくり返して殻を飾るばかりだ。」は、まさに諸行無常。

宝物庫襲撃/Storm the Vault (2)(青)(赤)
伝説のエンチャント
あなたがコントロールしているクリーチャー1体以上がプレイヤー1人に戦闘ダメージを与えるたび、「(T),このアーティファクトを生け贄に捧げる:あなたのマナ・プールに好きな色1色のマナ1点を加える。」を持つ無色の宝物(Treasure)アーティファクト・トークンを1つ生成する。
あなたの終了ステップの開始時に、あなたがアーティファクトを5つ以上コントロールしている場合、宝物庫襲撃を変身させる。

カトラカンの宝物庫/Vault of Catlacan
伝説の土地
(《宝物庫襲撃/Storm the Vault》から変身する。)
(T):あなたのマナ・プールに好きな色1色のマナ1点を加える。
(T):あなたのマナ・プールに、あなたがコントロールしているアーティファクト1つにつき(青)を加える。

『イクサランの相克』において登場した両面カード
条件を満たすことでトレイリアのアカデミーとほぼ同様の能力を持つ土地カードに変身するエンチャントである。


【ストーリー】

絶海の孤島であるトレイリアに建てられた魔術学校。ホグワーツとかそんな感じ。
若き魔術師の弟子達を教育し、一方一人前の魔術師達の研究施設でもある。現代でいう高校と大学が一緒くたになったような所。

創設者はウルザ、バリンら。目的はファイレクシアの侵攻に対抗できる人材の育成である。平常運転のウルザ。

バリンやその嫁で事務局長のレインらが多くの生徒たちを指導した。有名な出身者はジョイラやテフェリー。

その一方、ウルザはここで歴史改変のための時間遡行、戦闘用人造人間メタスランの育成、血統計画によるキャパシェン族(ジェラードの一族)の創出、ウェザーライトの建造など、様々な研究を行った。
エグイことばっかりやってる気がするが、気にしてはいけない。

ファイレクシアの工作員が学院に潜入、襲撃を受けたこともある。
この際にはカーンの時間遡行によって襲撃を阻止することに成功したものの、タイムマシンが暴走。爆発を起こして生徒や教師たちのほとんどが死亡した他、トレイリア周囲の時空間が乱れることになった。

ファイレクシアの侵攻時、妻と娘を失ったバリンによる捨て身の「抹消」呪文によって包囲したファイレクシア軍諸共島ごと消滅。

タイムマシンの爆発、さらに抹消呪文によってトレイリア一帯には巨大な時の裂け目が発生。
時間にまつわる様々な怪現象が起きるようになる。

この頃、ジョイラとテフェリーは時空間の乱れに巻き込まれ過去を垣間見る経験をする。
その1つとして、前述のバリンの抹消呪文を目撃。
かつての学び舎と恩師の最期を目の当たりにした2人の心中は察するに余りある。

後にカーンは時の裂け目を修復するために、再度の時間遡行を決行。バリンが抹消呪文を使用する直前、ウルザの灯を用いて時の裂け目を修復した。


主な関係者

  • ウルザ
創設者。ファイレクシア大嫌いなプレインズウォーカー

  • バリン
創設者の1人にして終焉の幕を引いた人。多くの生徒を教えた、1000歳越えの偉大なウィザード。
ウルザの友人にして片腕。レインは妻、ウェザーライト乗員のハナは娘。

  • レイン
アカデミーの事務局長。バリンは夫。
ファイレクシアの侵攻時に命を落とした。

  • カーン
時間遡行実験の為、ウルザによって作られた銀のゴーレム。
体が銀で出来ているのは、時間の門を潜り抜けることのできる唯一の物質だったから(「天才のひらめき」の絵とフレーバーに描かれた場面)。
ウェザーライトに乗ったり、プレインズウォーカーになったり、裂け目を修復したり、新ファイレクシアに取り込まれかけたりと波乱万丈。

  • アーテイ
バリンの弟子。
ウェザーライトの乗員になるが、ファイレクシアに捕らえられて悪堕ちしたり改造されたり。

バリンの弟子。アカデミー時代は、才能はあるものの手のかかる問題児だった模様(「問題児」というそのまんまなカードがあったり)。
時間実験の失敗で出来た「時間の泡」に取り残されたことも。
後にプレインズウォーカーとなる。

  • ジョイラ
バリンの弟子。
アーティファクト使いの女性で、カーンの命名者でもある。
アカデミー時代に「時間流れの遅い水」を飲んだため、長寿。
時のらせんでは外見年齢19歳、実年齢1000歳以上だったりする。
ヴェンセールの項目も参照。



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最終更新:2024年04月22日 17:12

*1 大昔には「High Tide」とかがあったが。