テレビ朝日

登録日:2014/04/07 (月) 22:14:57
更新日:2024/02/25 Sun 22:10:08
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株式会社テレビ朝日とは、関東広域圏(東京神奈川千葉埼玉群馬茨城栃木)をカバーする、テレビ放送局である。
2014年4月1日付けで、テレビ朝日は持ち株会社制に移行、それまでのテレビ朝日を商号と業態を変更し、テレビ朝日ホールディングスになり、
テレビ朝日分割準備株式会社にテレ朝HDが保有していた放送免許や放送に必要な資産などを無償で譲渡し、
放送局としてのテレビ朝日はテレ朝HDの100%子会社となった。
本社所在地は東京都港区六本木六丁目。

テレ朝HDは商号と業態の変更前の持ち株比率を維持していて、筆頭株主が朝日新聞社、第二位が東映(正しくは東映グループ)である。


複雑な会社の経緯

●最初は教育専門の民間放送局だった
1957年に、テレビ事業の進出をうかがっていた東映、ラジオたんぱ(現在のラジオ日経)、日本経済新聞社と旺文社を中心とした教育出版関係の出版社が中心となり、
一日の編成を教育番組を50%以上、教養番組を30%以上と言う、NHK教育(現Eテレ)も真っ青の編成を行なうことを条件に、郵政省から放送免許を取得し、
「日本教育テレビ」という会社の設立にこぎつける。
しかしながら、旺文社などの中学、高校、大学の各入試の対策番組などの人気は非常に高かったが、その他の教育番組は全くと言っていいほど人気がなく、
教育のためとして子供向け番組の放送を行なったり、外国の文化を紹介する教養番組として海外の映画を放送するなど、事実上総合放送局へと舵を切る。
このため社名を日本教育テレビから「NETテレビ」に商号を変更する。

また、教育専門テレビという性格上全く報道に人員を割く余裕がなく、東映と朝日新聞社が共同で製作していたニュース番組垂れ流しという事態に陥っていた。
このため、NETでは朝日新聞社から報道に関するノウハウを教えてもらい、
人員交流が進んだため実質的にはNETの報道部は朝日新聞社の取材技術を吸収しているため、部門傘下のような状態となる。


●毎日放送とのネット解消、朝日放送とのネットに切り替える
1972年に、当時の郵政相であった田中角栄氏が「系列局は新聞社ごとに整理するのが分かりやすい」と発言したことがきっかけとなり、
当時TBS・JNN系列に加盟していた大阪・朝日放送に対し、
報道部門で朝日新聞社の世話となり、朝日新聞社との関係を深めていたNETが朝日新聞大阪本社が中心となって、
旧朝日放送(朝日新聞大阪本社が中心となって開局させたのは今の朝日放送ラジオ)を立ち上げた経緯があるため、
ANN系列へネットチェンジするよう再三にわたって働きかけた。
しかしながら、ラジオ専業であった旧朝日放送とテレビ専業で且つTBSがノウハウを教えて開局した旧大阪テレビ放送が合併して出来たのが現在の朝日放送であったため、
朝日新聞との関連はあるものの比較的自由が利き、且つTBS製作の「8時だョ!全員集合」などの高視聴率番組を放送していた朝日放送にとって、NETへの編成替えは不利以外何ものでもなかった。
しかし、NETとのこれ以上の衝突は何としても避けたいTBSが朝日放送に対してネット打ち切りを通告したため、
朝日放送は「NET系列に入るか、東京12チャンネル(現在のテレビ東京)系列に入るか、独立局となるか」の3つから答えを探さねばならなかったが、
結局東映のとりなしでNET系列に入ることで落ち着き、それまでNET系列であった毎日放送が1975年4月1日にTBS系列にネットチェンジを行なった。
これに伴い『仮面ライダー』シリーズがTBS系列に移転し、その穴埋めで始まったのがスーパー戦隊シリーズの第1作『秘密戦隊ゴレンジャー』である。

このため、現在でもテレ朝と朝日放送テレビとの関係は必ずしも良好とは言えず、
TBSと毎日放送、日テレと読売テレビ、フジテレビとカンテレ、テレ東とテレビ大阪との関係*1と比べると、ネットの発局と受け局というだけのかなりクールな間となっている。
近年は年末の『M-1グランプリ』にてテレ朝がスタジオを朝日放送テレビに提供するなど全面的に協力している他に、2017年10月から日曜朝に放送されている『サンデーLIVE!!』では中京圏のメーテレと共に共同制作として放送しているなどある程度の融和路線も見せており、朝日放送テレビと共に「テレビ朝日・ABC系」としてのネットワークを構成している。しかしながら、番組の編成方針*2やタレントのキャスティング、ネット配信に対する姿勢など、両者異なるスタンスを見せることも度々あるようである。


●社名を全国朝日放送に、愛称をテレビ朝日に
1977年にNETは社名を全国朝日放送に、愛称をテレビ朝日とすることを決定する。
しかしながら、報道番組関係の製作部とその他の製作部では、朝日新聞社との距離感が全然違い、
政治的スタンスでは2014年の今に至るまでなんとも言えない放送局となっている。

というよりも、2000年代前半まで非常に朝日新聞色が薄い番組が多く、旺文社がソフトバンクにテレ朝の全保有株式を売却、
慌てたテレ朝が朝日新聞社に助けを求め朝日新聞社がソフトバンクから全テレ朝の株式を買い取り、
一部を東映に売却して決着するという事件があってからは、東映色が朝日新聞色よりもはるかに濃くなったと言われている。

●テレビ朝日を社名に
2003年10月に愛称であったテレビ朝日を新社名とし、同時にロゴも変更した。
同時に六本木ヒルズに本社屋を引っ越す。その後、2011年7月24日にアナログ放送を終了、デジタル放送に完全移行。

番組編成

プロレス中継

テレビ朝日を語るのに欠かせないのがプロレスの中継である。
前身のNET時代の1969年に、それまで日本テレビ独占だった日本プロレス(団体)の中継に参入したのが始まり。
その後、1972年からNET独占となり、同年8月から長く続く金曜20時枠へと移管。
更に編成側の肝いりもありアントニオ猪木が設立した新団体・新日本プロレス興行の独占中継へとつながる。
特に80年代は同局出身のアナウンサー・古舘伊知郎氏による実況も相まって黄金期を迎えた。
現在も深夜枠でプロレス中継を続けているのは勿論*3、新日所属レスラーによるバラエティ番組も放送されるほか、ニュースでプロレスネタを扱うことも多い。
テレビ朝日は新日本プロレスの筆頭株主に名を連ねている。

アニメ放送

東映の影響力が非常に強いため、東映動画→東映アニメーション製作のアニメがフジテレビ以上に多く、
テレビ朝日の子会社であるシンエイ動画製作のアニメは現在『クレヨンしんちゃん』と『ドラえもん』の所謂「国民的アニメ」2本のみである。なお、2018年10月にテレビ東京の木曜19時枠が日曜の18時に移転して以降、この2本はゴールデンタイムで放送される唯一のアニメとなっていた。その後、2番組は2019年10月改編で土曜日夕方に移行し、一時的に地上波キー局のゴールデンタイムからアニメが消滅することとなった*4
また、深夜アニメ枠はANN系列で全国ネットのものが長らく存在していなかった。
これは、ABCも名古屋テレビも独立心が非常に強く、メーテレに関しては以前平成ガンダムシリーズの『Gガンダム』『ガンダムW』『ガンダムX』をテレビ朝日製作に移され、
さらに勇者シリーズがテレ朝の編成の都合で打ち切られるなどしたためと、
ABCも木曜日のゴールデンタイムに保有していた自社製作のアニメ全国放送枠がなくなってしまうなどの影響があったため、
プリキュアシリーズ以外にはテレ朝へのネットは非常に消極的で、
ABCやメーテレ製作のアニメが関東地方ではTOKYO MXやtvkなどで放送されるというねじれ現象が起きていて、「現代の腸捻転」と冷ややかに見られることもある。
なお、2020年10月から深夜アニメの全国ネット枠が誕生しており、後半30分をABCが担当している。

バラエティ

1990年代まではアニメとドラマを編成のメインにしていたせいか、テレ朝のゴールデンでバラエティといえば「ウッチャンナンチャンの炎のチャレンジャー」程度しかなかった。一方、23時台に「ネオバラエティ」と呼ばれる実験的な番組を試す枠を新設し、以降他局でも同様の枠が創設されるようになった。
六本木ヒルズ移転以降は積極的にバラエティの制作を行うようになり、深夜番組で成功した番組をゴールデンに移転させるなどしたが、ゴールデンゆえに深夜時代の過激な内容ができなくなるなど方向転換を余儀なくされ、打ち切りに追い込まれた番組も数多い。但しテレビ朝日の場合はタイトルだけちょこっと変えてこっそり深夜に継続させたりしているもの、はたまたネット配信番組に移管して継続させたものもある。

テレビドラマ

東映の影響力が(ry、開局以来特撮を含めた東映枠が多数設置されている。
特に代表的なものが水曜の刑事ドラマ枠で、NET時代の「特別機動捜査隊」を皮切りに刑事ドラマが長年制作されている。
1999年からは東映京都撮影所で撮影を行う、京都が舞台の「木曜ミステリー」シリーズが開始。「京都迷宮案内」や「科捜研の女」等の人気シリーズを生み出した。
時代劇では「暴れん坊将軍」および「遠山の金さん」が定番。朝日放送制作の必殺シリーズも途中から同局での放送となった。
これらの作品は平日昼間の地上波やBS朝日で頻繁に再放送されており、新規視聴者やリピーターの獲得にも貢献している。
東映以外では「西部警察」等の石原プロモーション、「ドクターX 〜外科医・大門未知子〜」等のオスカー女優出演作品もおなじみ。
土曜ワイド劇場」「金曜ナイトドラマ」など、新しいドラマ枠を設置したのもこの局が最初だったりする。

音楽番組

現在こそゴールデンタイムの長寿音楽番組『ミュージックステーション』が有名だが、同番組開始までは他局に比べて音楽の影が薄かった。
なんせ70年代の代表的歌番組が、「スターに別スターの物まねで歌ってもらう」*5スターの使い道を間違ったような『象印スターものまね大合戦』で、
日本のみならず世界最長のクラシック音楽番組『題名のない音楽会』すら元はテレビ東京の前身「東京12チャンネル」からの移籍番組だったのだがら…。
後発のテレ東すらアイドルと演歌に特化することで濃い個性を得ていたのに対し、テレ朝は一応『歌謡ドッキリ大放送』等「歌謡~」と付くシリーズはあったものの、他に比べて歌手の過去映像アーカイブスと魅力に欠けていたことは否めなかった。
だが、80年代には洋楽番組『ベストヒットUSA』が人気を博し、『ミュージックステーション』が定着することで一気に音楽映像の量が増加した。


ゴーちゃん。

2011年にようやく登場したテレ朝のマスコットキャラクター。
エクスパンダ星から来た、金色に輝くパンダさんなんだばい。


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最終更新:2024年02月25日 22:10

*1 他の在阪局とキー局との関係を比べると、読売テレビは日テレと読売新聞の意向で開局したため、現在でも関係は良好であり、テレビ大阪も当時の東京12チャンネルと日経の意向で開局しているため、関係はそれほど悪くないようだ。しかしながら、TBS系列にネットチェンジした毎日放送とTBSの関係は現在でも不安定な状態が続いており、フジテレビとカンテレの関係もあまりよろしくないようである。

*2 主に朝日放送テレビでは、テレ朝の朝の情報番組『グッド!モーニング』の時間帯にローカル情報番組『おはよう朝日です』を放送し、平日の23時台には『ナイトinナイト』という日替わりバラエティ番組枠を編成しているため、テレ朝の全国ネット番組は1時間遅れで放送している。この他にも水曜日には阪神タイガース戦のナイター中継を編成したり、毎年夏に開催される『高校野球中継』を全国ネット番組を差し替えてまで放送するという傾向がある。

*3 系列のBS朝日では2020年から地上波時代と同じ金曜20時台での中継を復活させている。

*4 その後、ゴールデンタイムのアニメはテレビ東京で2020年10月から復活している。

*5 ここで言うものまねはいわゆる「歌マネ」であり、コロッケに代表される見た目を極端にデフォルメした悪ふざけものやホリに代表されるテレビ番組や楽屋の一コマを切り取ったものでもない。