闇に囁く/空より淡き瑠璃色の(少女革命ウテナ)

登録日:2014/04/06 (日) 01:03:14
更新日:2019/04/04 Thu 12:34:48
所要時間:約 4 分で読めます





ずっと言葉にできない想い…

でも私の心はいつも囁き続けている。

そして、あなたも…





少女革命ウテナ』の28話・29話のサブタイトル。

デュエリストの一人・有栖川樹璃を焦点に当てた前後編のエピソードであり、彼女の秘めた『想い』に関する決着が描かれる。


●28話『闇に囁く』
鳳学園フェンシング部の真の部長・土谷瑠果が復学してきた。
部長と思われた樹璃は代理部長だったのだ。
そして瑠果もまた、世界の果てから選ばれたデュエリストだった。
そんな彼に、樹璃が密かに思いを寄せる高槻枝織が接近し、ふとしたきっかけで二人は交際を始める。
瑠果の真意をつかめない樹璃は二人の仲に不信を抱くのだが…。



【登場人物】
  • 有栖川樹璃
前後編では完全に主役。
ご存知縦ロールの百合お姉様。
内に秘めた枝織への想いをいまだ断ち切れず、枝織の写真入りペンダントを肌身離さず持っている。
自分の師とも言うべき瑠果と枝織が親しくなっていくのに焦燥を感じるがひたすら空回りしてしまう。
最終的に彼女を捨てた瑠果に激怒し、勝負を挑むも…。
「枝織は…私の古い友人だ」
「貴様は何か勘違いをしている。私は私の想いが届かなくてもいいのだ」

  • 土谷瑠果
フェンシング部の本当の部長で、病気の療養から久々に復学した。
唯一剣技でウテナを追い詰めた樹璃の腕を育てただけあって抜群の剣技を誇る。
枝織が自分に接近したことを機に彼女をその気にさせて交際するも、それはまるで樹璃の想いを承知の上でやっていることのように見えた。
さらに枝織と共にデュエリストとしてウテナに勝負を挑むが敗北するや否や彼女を手酷く捨てた。
今度は樹璃の心をも弄ぶような発言をするが…。
「君の胸は仔犬のように弾んでいるね」
「あれはね、僕の剣じゃなかったんだ。君の演技、面白かったよ。アドリブにしては上出来だ」

  • 高槻枝織
最早樹璃の想いを気付いているにも関わらず彼女への対抗意識から心を弄ぶ、ファンからは相当叩かれてるビッチ。
瑠果と付き合いだしたのは、彼女が瑠果のロッカーに近づいたところを彼から「休学している間僕の剣を磨いてくれたんだね」
とその気にさせ、彼女がそれに便乗したのが始まり。
学園中の注目の的となって忠告に来た樹璃に対しても嘲笑で返すほどの余裕っぷりだったが、
瑠果から「奇跡の力を手に入れよう」と唆され花嫁として付き添った決闘で敗北し、
「負けたのは花嫁のせいでもある」と言われただけでなく彼女が剣を磨いてなかったこともバレバレだったと告白され、
さらに全校生徒の前で修羅場を演じた挙句捨てられるという公開処刑まで受ける羽目になった。
しかし捨てられた後も毎日電話をかけ続けヤンデレ化…さすがは毒虫と揶揄されるだけはある。
また、振った瑠果からも「わがままで強引で自分勝手で、おまけに嘘つき」とボロクソの評価を得ている。
「樹璃さん…あなた、最低ですね」
「あなたを私を笑いに来たの?いい気味だって思ってるんでしょう!あなたってますます最低だわ!」

今前後編ではほとんど出番がなく狂言回しに徹する主人公二人組。
特にウテナは荒む枝織を放っておく樹璃を感情的に叱責するという空気の読めなさっぷりである。
「友達があんな目に合ってるのに何にもしてあげないんですか?」
「それもまた樹璃さんの本心の一部なのではないでしょうか?」

暁生編の黒幕二人組だが、今回は暁生カーを召喚したり運転するだけの簡単なお仕事。
ちなみに冬芽は瑠果の後輩にあたるが瑠果の休学により同学年となっている。

  • 薫幹/桐生七実
今回はチョイ役。主に瑠果の復学に驚いたりしている。

  • 影絵少女A子/B子
28話では魚釣りをしているが目当ての魚は釣れず代わりに下駄やヤカンといったゴミばかりが釣れた。
29話では珍しく影絵芝居なし、と思いきや…。





●29話『空より淡き瑠璃色の』
瑠果に捨てられた枝織は部屋に引きこもるようになった。
見かねた樹璃は瑠果に彼女と復縁するよう説得するが逆になじられた挙句唇を奪われる。
激昂した彼女は復縁をかけた勝負を申し込むが結果は負け。
しかし瑠果は「天上ウテナとの決闘に勝ち、奇跡の力を手に入れよう」と彼女に協力を迫る。
やむを得ず結託した樹璃はウテナに決闘を申し込んだ。
その決闘の果てに、彼女は何を見たのか。








…瑠果と樹璃の決闘で、瑠果が決死の想いを叫ぶ。


「樹璃、彼女は愚か者だ!自分に振ってきた奇跡が誰かの犠牲の上に成り立っていることに気付かないのだからな!」


「だが、そんな奴こそ奇跡を手にする…!」


「理不尽だと思わないか、樹璃!!」




ウテナとの決闘。

ディオスが降臨し、ウテナが樹璃の胸の薔薇めがけて剣を振るう。


瑠果「樹璃!!」




ウテナの剣が直撃したのは、樹璃の首に下げていたペンダントだった。


粉々に割れ、砕け散るペンダント。

それを受けた樹璃はよろめきながら、しばし呆然としていたが…


やがて、自らの胸の薔薇をもぎ取り、地面に落としていた。



その場にいた者達が立ち尽くす。

やがて、決闘場に雲がかかり降るはずのない雨が降り出した。
天を見上げるだけの樹璃に瑠果が傍に寄り、言う。



「樹璃、心配ない。心配ないよ、樹璃…」









それから数日後、瑠果はまた学園に来なくなった。
復学時あれほど騒いでいた女子生徒も今や冷め切っている。
練習中、フェンシング部の女子が怪我をしたようだ。
七実「ま、樹璃に任せておけば心配ないでしょ」

入院することになった彼女を見舞う樹璃部長。挨拶を済ませ、病室を出た。



B子「ねえ知ってる?」
A子「うん、あの患者さん、昨日亡くなったのよね~」
B子「いい男だったのにかわいそー」
A子「退院したらまたフェンシングやりたいって言ってたのに…」
B子「あの人、自分の病気のこと知ってたみたい。なのに無理して病院を抜け出して、学校に戻って…」
A子「きっとフェンシング部に好きな子でもいたんだわ」
B子「そういえばあの人、よく言ってたわ。愛する人に奇跡の力をあげたいって。あの人を解放してあげたいって」
A子「何それ?どういうこと?」
B子「さあ~?」



一人、並木道を歩く樹璃は思う。
そこへ後からそっと着けてくる枝織。





【余談】
29話のストーリーは当初、「瑠果によって樹璃の想い人が暴露される」という完成版とはほとんど違うストーリーだったが、
絵コンテ担当の橋本カツヨ(細田守)が「これは樹璃じゃない」と初稿脚本のほとんどを却下。
幾原監督に打診したところ「やりたいなら自分で新しく書きなさい」と言われ、
彼なりの解釈で絵コンテを作成した結果、脚本家名が「白井千秋」と別名義になった。
なお次回予告にそのストーリー変更の名残がある。




お元気ですか?私は今度、あなたに会った時に是非尋ねてみたいことがあります。


あなたは奇跡の力にどんな想いを託したのでしょうか?
そして、その想いは誰かに宛てたものだったのでしょうか?




({…願わくば、その想いが、届きますように…}


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