ドラえもん のび太のひみつ道具博物館

登録日:2014/04/04 Fri 13:04:02
更新日:2024/03/04 Mon 22:18:42
所要時間:約 8 分で読めます





ここに来ると、夢はかなう。


『ドラえもん のび太のひみつ道具博物館(ミュージアム)』とは、2013年に上映された映画ドラえもんシリーズの33作目である。
わさドラ版では8作目。

●目次

【概要】

題目に「ひみつ道具博物館」とある通り、おなじみのひみつ道具が大量に登場する珍しい作品。
本作では単に過去のひみつ道具を総登場させるだけでなく、それらの前身の歴史、
専門の職人の存在についてなど、シリーズ中最も「ひみつ道具」自体の大きな設定掘り下げが行われた。


今回はドラえもんの鈴が盗まれた事が物語の発端となり、鈴を盗んだ犯人を捜すことが物語の主軸。
そのため映画ドラえもんシリーズでは推理要素が強い一方、終始コミカルな雰囲気も強いので明るく楽しめる。
また今作は歴代でも珍しく、映画だと目立った活躍が出来ないことが多いドラえもんがしっかり話の中心となっている(詳しくは後述)。


主題歌(エンディングテーマ)はPerfumeの「未来のミュージアム」。
地上波で次回作の主題歌に丸々差し替えられた時はファンが葬式状態だったとかなんとか…



【あらすじ】

ある日、のび太の部屋に一枚の怪しいカードが届く。

ドラえもんは昼寝中で、学校から帰宅したのび太も気付かなかったが、
カードの正体は「怪盗DX」なる者から送り込まれた予告状であった。
5分後にドラえもんの鈴をいただく、と。

…予告通り、昼寝中のドラえもんは首元の鈴を盗まれて大騒ぎ。
どうやらあの鈴に特別な思い入れがあるらしく、他のものは嫌だと意地を張ってきかない。
そこで「シャーロック・ホームズセット」をのび太に着せ、犯人を捜すことにした。
すると、22世紀の「ひみつ道具博物館」に手かがりがあると判明。
何とかドラミちゃんからチケットを手に入れたドラえもんは、いつもの5人で22世紀に出発する。


しかし…裏に一人の男の野望があった事を、ドラえもん達はまだ知らない。



【登場人物】

◆いつもの

説明不要のネコ型ロボット。
鈴をつけていないと時々ノラネコ化してしまう事実が判明した。この映画以外では無かったことにされているが

今回は過去のドラえもん映画でもあまり目立つことが少ない「ドラえもんの鈴」に焦点が当てられ、彼の鈴にまつわる過去が明かされることになる。
物語の動機が「ドラえもんの鈴を探すため」であり、中盤でドラえもんの回想を丁寧に描写する等、
ドラえもんが映画全般の視点人物となっており、普段はのび太達のサポートに徹する為に影に隠れがちなドラえもんが立派に活躍をしている。

1番の見せ場とも言える、クライマックスで起こす奇跡はシリアスな笑いを誘う。しかしこの時のドラえもんはかなりカッコ良い。


説明不要のダメ小学生。
ドラえもんがひみつ道具としての機能を失っている自分の鈴にこだわることを疑問に思うが、実はのび太とのある思い出が深く関係している。
彼がシャーロック・ホームズに憧れている縁か、作中では前述のセットを着ていることが多い。
また漫画では怪盗DXが差し向けたころばし屋を全て撃ち倒すという見せ場もある。


ドラえもん達と一緒にひみつ道具博物館を訪れる。
中盤、クルトの家で思わぬとばっちりを受けてしまう事に…
そして地上波でまさかの規制が入った。後々のご時世を考えれば、もはや気軽に流してはいけない時代の始まりとも言える。


しずかちゃんに同じく博物館参加組。
ジャイアンと一緒に博物館で遊んでいた所、
ふとしたアクシデントから「ガリバートンネル(2号)」でジャイアンともども小さい体になり、元に戻れなくなる。


同じく博物館参加組。
上記のアクシデントで小さい体でいることを強いられるが、同時にとある人物の怪しい企み(?)を知ってしまう。
漫画版ではスネ夫を殴って南京錠にぶつけて解錠するという奇跡を起こしている。ルパンレンジャーもビックリの凄技である。


千秋ドラミ。今回は冒頭だけの出演に留まっている。
(実際は劇中歌も担当しているけどね)
ひみつ道具博物館のチケットを取るのに苦労したと言いつつ、メロンパン20個と引き換えに譲ってくれた。
メロンパンじゃなかったら危うく物語が成立しない所だったかも知れない。



◆ゲストキャラクター

  • 怪盗DX(CV:???)
今回の事件の発端。
外見は怪盗をモチーフにした人型ロボットで、
シルクハット状の帽子は四次元ポケットと同様にひみつ道具を取り出せる。
何故かドラえもんの鈴を盗んだ張本人だが、それとは別にひみつ道具博物館でも盗みを働いていた模様。
盗む直前に、必ず予告状を送りつける律儀な一面を持つ。
コレまでの作品で多くの猛者を無力化してきたのび太の射撃から逃げ切った数少ない人物の一人。

  • クルト・ハルトマン(CV:三瓶由布子)
ひみつ道具博物館のガイドを務めるアルバイトの少年。
映画ドラのメイン格のゲストキャラでは珍しいショタ故か、妙に人気が高い。
ひみつ道具に使われる金属「フルメタル」の発見者であるハルトマン博士を祖父に持ち、
いつか博物館に飾られるほどのひみつ道具を作るのが夢。
しかし、肝心の道具はどれも「へっぽこ」と言わざるを得ないヘンテコなものばかりで…

秘密裏にぺプラー博士と交流があることは周りに知られていない。
後ジンジャーに気がある様子。もげろ


  • ポポン(CV:愛河里花子)
クルトがひみつ道具作りの失敗から偶然生み出した、ピンク色のスライムのような不思議生物。
人懐っこく、特にクルトのことが大好き。
元になった道具はナカミスイトールで、モノの中身を吸い取って食べてしまう能力がある。


我らが千葉…だが、今回はコミカルながらもアドリブ(らしき台詞)がほぼ無い。
かつてハルトマン博士と親しかった元ひみつ道具職人で、孫娘にジンジャーがいる。
だが、彼との仕事中にある重大なミスを犯し、職人免許の剥奪と共に追放処分を受けた。
現在はひみつ道具博物館の地下でこっそり暮らしており、ひみつ道具に用いられるエネルギーをハルトマン製のものから自家製のものにしようとしている。
その理由は漫画版と映画版で大きく異なり、前者は「現在ひみつ道具に用いられているエネルギーが枯渇しそうだから」という高尚なものだが、後者は「ハルトマンより自分の方が上であることを証明したい」というなんともしょうもないはた迷惑なものである。そしていよいよエネルギー変換に取り組むがそのせいで大変な事に…



ぺプラー博士の孫娘でクルトのガールフレンド。かわいい。
博士が生活面でいささかだらしない反動か、よくできたしっかり者の女の子。


  • フィークス館長(CV:土師考也)
ひみつ道具博物館の館長。
一見普通のスマートなおじさんだが、実態は笑いに事欠かない本作屈指のネタキャラ。
初登場時にクルトのへっぽこ道具に振り回されるシーンは爆笑必至である。

そんな彼も、何やら怪しい一面を隠し持っているようだが…


  • マスタード警部(CV:松平健)
まさかのマツケンポリス。
怪盗DXの事件を追い、博物館へ調査にやってきた22世紀の警部。
腰にドラえもんの四次元ポケットと同様の四次元ポーチを常備している。
TVアニメ版へ出張したときに寒~いダジャレを連発したことは忘れてあげよう


  • ゴンスケ(CV:龍田直樹)
『21エモン』などでおなじみの芋掘りロボット。
やっぱり芋栽培しています。
博物館内におざしきつり堀を使って「スッポンロボつり」を開いていた。

  • 向井おさる(CV:向井理)
きっと向井理の遠い子孫。
別にサル顔ではない。



【ひみつ道具】

モブを加えると数え切れないほど大量に出てくるため、その一部を紹介する。


  • シャーロック・ホームズセット
帽子・パイプ・ステッキ・マント・虫眼鏡一式揃ったシャーロック・ホームズなりきりセットで、推理や犯人探しに使う。
…はずなのだが、安物ゆえにちゃんと機能したのは帽子、虫眼鏡、ステッキの3つだけであった。
作中のび太は長い時間これを着て過ごすため、最早トレードマークといっても過言ではない。


  • どこでもドア
博物館のエントランスに歴代のどこでもドアが登場する。
初代どこでもドアは無駄にでかい。どう見ても真理の扉です本当にry


  • タケコプター
タケコプターが現在の形式になるまでの歴史がムービーで流れる。
昔の人も相当苦労したようである。


  • きこりの泉
きれいなジャイアンですっかり有名のアレ。
ちなみにきれいなジャイアン自体は下記のコピーロボットで登場した。
怪盗DXが取り出したものはより良いものを取り出すばかりでなく
そのより良いもので笑顔で攻撃する。ちょっと怖い。


  • コピーロボット
パーマンでおなじみの……と言って最近の子供達は分かるのだろうか。
鼻を押すとその人物そっくりに変身。
イケメンのコピーロボットなんてものも存在し、きれいなジャイアン&きれいなスネ夫が揃い踏みした。


ターゲットを3回転ばせるまで狙い続ける。
詳しくは項目参照。
ちなみに本作公開前のTVスペシャルでもころばし屋主役の回が放送され、ドラえもんらしからぬ熱い展開に貢献した。
怪盗DXが取り出したものはお金を入れてなさそうなのになんどでも転ばせてくる。

  • ガリバートンネル
くぐった生き物を小さくしてしまうトンネル。
作中ジャイアンとスネ夫はこれで小さくなり、元に戻ろうとしたら係員が点検に出してしまい、
しばらく小さな姿のままで活動せざるを得なくなった。


  • クルクック
クルトが作ったひみつ道具の一つ。
履いて「飛べ!」と命令することで空を飛ぶのだが、実験台にされた館長は…


  • ハイパー掃除機
クルトが作ったひみつ道具の一つ。
中に小型ブラックホールを内蔵している超強力な掃除機で、あらゆるものを吸い込んでしまう。
あとお色気シーンに貢献した。

クルトが作ったひみつ道具の一つ。
食べたいB級グルメを言うとそれが出てくるとても便利なテーブルかけ。
…なのだが、たまに(生きたまんまの)具材そのものが出てくることも。

目からビームを出して石化させる石像。
歴代の様々なサイズのゴルゴンが登場した。
更に、ある人物の改造によって空を自由に飛べる巨大ゴルゴンの首が…



















ネタバレ

















怪盗DXの正体は、ひみつ道具「怪盗DXスーツ」であり、これを付ければ怪盗のような軽い身のこなしを身に着けられる。
そして、そのスーツを身に纏って数々の道具を盗み出したのは、クルトであった。
怪盗DXが一見関連性のないひみつ道具を盗んだのは、かつてペプラー博士が自身の発明品のチップをその中に隠したので、それを回収する為。
全てのチップを集めることで、フルメタルに代わる新たな金属「ペプラーメタル」を作り出すことができ、彼の悲願が叶うはずだった。


あくまでひみつ道具である為、人間離れした体形であるドラえもんも装着可能。
物語終盤でドラえもんが怪盗DXスーツを身に纏って「怪盗ドラックス」になり華麗なアクションを披露するシーンは色んな意味で一見の価値あり。

因みに不審な動きをしていたフィークス館長だが、実際は無くしたへそくりを怪盗DXに盗まれるのではと不安に駆られていただけでした。

【漫画版】

ペプラー博士とハルトマン博士の研究など、設定面が掘り下げられている。
とくにペプラー博士は中身が全くの別人で、その人物像が掘り下げられている。

ペプラーメタル&フルメタルが、漫画版ではペプラーエネルギー&フルエネルギーに変更。
クルト・ハルトマン博士(孫と同名)&ターメリック・ペプラー博士が人工太陽を研究していた理由も、太陽近くで生まれる未知の物質を研究するためときちんと説明している。
この研究の過程でフルエネルギーが誕生した。
人工太陽実験中の事故も単なる飲み物をこぼした事故ではなく、ハルトマン博士に嫉妬心にも似た対抗心を抱いていたペプラー博士が人工太陽のプログラム変更を試みたところ太陽の暴走事故を起こしてしまい、ハルトマン博士が発見したばかりのフルエネルギーで暴走を止めた。
この事故でペプラー博士は足を悪くした挙句学会を追放された。

ペプラーとクルトの出会いも偶然ではなく、行方知れずとなったペプラー博士のことを思っていた晩年のハルトマン博士がクルトにペプラーのことを頼んでいたためであった。

ペプラーは枯渇するフルエネルギーに代わるペプラーエネルギーを作ろうとして劇中のクライマックスで失敗し諦めかけるが、諦めないクルトたちの姿を見て改めて奮起。
(ペプラーエネルギーが失敗していた原因がクルトのミスとわかり)ペプラーエネルギーの開発に成功している。


SF短編での“未来カメラのセールスマン”でおなじみヨドバ氏がカメラ館のワンシーンで登場。

【余談】

作中、ドラえもんは盗まれた鈴の代わりに黄色いモノを付けて行動する事になるのだが、
1個目のレモンに始まり、画面が変わって気がつくと全く別の黄色いモノに変わっていることが多々ある。
意外と芸が細かい。



前作:ドラえもん のび太と奇跡の島 〜アニマル アドベンチャー〜



追記・修正はひみつ道具博物館のチケットを手に入れた方にお願いします。

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最終更新:2024年03月04日 22:18