登録日:2012/01/03 Tue 16:32:49
更新日:2024/02/25 Sun 16:07:02
所要時間:約 11 分で読めます
CV:
宮野真守
演:
藤原竜也(映画)、 浦井健治・柿澤勇人・村井良大・甲斐翔真(舞台)、窪田正孝(テレビドラマ)
●目次
【概要】
1986年(アニメ版は1989年)2月28日生まれ。
さほど苦労している様子もなく全国模試であっさり一位を取るほど頭が良く、更にスポーツ万能という文武両道を地で行く優等生。
さらにはルックスも海砂に一目惚れされるほど整っており、歩いているだけで道行く女子に振り向かれたり、
一声かければすぐデートに行けるほど女子をキープしているという、
イケメンで
リア充な完璧超人。
作中でLに名前をパクられたアイドルの流河というモブキャラ以外では原作者も「特に整った顔」と明言している唯一の公式イケメンキャラである。
好奇心から道端で拾ったデスノートを使い、効果が本物であることを知った時から、彼の運命は変わっていく。
【人物】
経済的にも裕福な家庭に生まれ、極めて優秀な頭脳と容姿を持ち、人間関係も良好だったが、それゆえ世の中に対して退屈と不満を感じていた。
当初はデスノートを用いて世の中を変えることを目論み、悪人以外を殺そうとはしなかった。
が、保身のためだけに本来正義の側であるはずのFBI捜査官を殺害したことをきっかけに、性格もだんだん歪み始め、
「新世界の神になる」目的の障害とみなした者は例え悪人でなくとも躊躇なく殺すようになり、
やがては自分の目的のためなら殺人すらも厭わない、独善的なサイコキラー『キラ』へ本格的に変貌。
言動も徐々に自分の優秀さに自惚れ、他者を見下す傲慢さを(特にモノローグでは)見せるようになるが、
普段は猫を被ってそれをおくびにも出さず、卓越した話術で相手を自分の思い通りに動かして利用する稀代の悪人へと成長していく。
※アニメ版の心理描写では髪と目が赤い色に変化し、よりその二面性を強調する演出がなされている。
その様は
死神リュークから「死神以上に死神らしい」、
レムから「死神を超えている」と評されたほど。
一方で優秀であるがゆえにプライドが非常に高く、負けず嫌いなので、煽り耐性も皆無。
想定外の事態への対応も拙い所があり、メロに出し抜かれノートを奪われてしまったりと、ニアからは非常時への対応のお粗末さを酷評されている。
勝利を確信するとその瞬間死に行く相手に対して自分がキラであり勝者であることを堂々と宣言して相手を見下すなど驕りから来る行動も時折見られる。
その為、Lに決定的なヒントを与えてしまったほか、最終局面では『僕の勝ちだ』という勝利宣言が墓穴を掘る結果へと繋がった。
本来の月
デスノートを拾う以前は、
父親譲りの
道徳的で生真面目な優等生であった。
デスノートの効力を信じておらず、興味本位で名前を書いた音原田九郎の時はともかく、効力について半信半疑の状態で
渋井丸拓男を殺した際には、
「自分が(ノートで)殺した」と確信した直後に路上で吐きそうになり、深刻な表情で布団に包まり、夜はうなされて眠れない影響で5日で4キロ痩せ、
死神を自称するリュークが初めて現れた際には、ノートを使った代償に魂を取られることも覚悟するなど、「殺人」の責任を非常に重く受け止めていた。
前述の変貌も、「
新世界の神」としての使命感や殺人、日々続く頭脳戦によるプレッシャーによるところも大きいだろう。
一時的にノートの記憶を失っていた際には、「たとえ捜査のためであっても女性の好意を利用するなんて出来ない!」と提案を却下し、
護身用に拳銃の携帯を勧められた際にも「日本では(法律で)それは許されない」として拒否するなど、
特に最終話まで読んだ読者からすれば「本当に同一人物か?」と言いたくなるほどの好青年であった。
『誰かに迷惑を掛ける人を殺したほうが良い』という生真面目さが、アングラで評価されて「自分の手で犯罪の無い世界を創る」という歪んだ使命感に変わり、
その使命感に排除されていく者を嘲笑ううちに、いつしか傲慢になっていったのであろう。
そういう点では、彼自身もデスノートに人生を狂わされた被害者なのだろう。
異性関係
劇中では海砂を始めとして様々な異性に恋心を向けられている月だが、原作者は「彼は女性を好きになることはないでしょう」と発言している。
別にこれは月がゲイだからではなく、飛び抜けて優秀な才覚を持って生まれた故に、
自分に比肩する、対等に付き合える人間が周囲にいない彼は、周囲の人間を「馬鹿」と見下しているため、
例え自身に強烈な恋心を抱く海砂や高田であっても、月から見て「馬鹿」である時点で好きになることはないという意味合いだと思われる。
これについてはノートとは関係がない、彼の育った環境によるものであるため、
例えノートを拾わずとも、何らかの精神的変化があるか、自分に比肩する優秀な女性と出会わない限り、女性を好きになることはなかったと思われるが、
それでも、ノートを拾って『キラ』(=サイコキラー)になることがなければ、月が内心女性を含む周囲を見下していても、
高田のように、彼に関わったばかりに不幸な目に遭う女性が出ることはなかっただろう。
【劇中の活躍】
第一部
突如として手に入れたデスノートにより、次々と世界中の犯罪者を裁いていくが、
死因こそ違えど犯罪者ばかりが凄まじいペースで死亡していくという異常事態に、警察やFBI等の司法機関は流石に疑惑の目を向け始める。
そして、彼らに依頼された世界最高の名探偵『
L』は、「犯罪者を何らかの手段で殺している者がいる」という前提の下、
アングラで流れる噂から仮称『キラ』とするその何者かを、死刑囚を使って挑発し、死刑囚を殺させることで存在を立証しようと試み、
果たして月はLの作戦に見事に嵌められ、素性こそバレなかったものの、『キラ』とアングラで呼ばれる犯罪者殺しの殺戮者がいることと、
日本の関東地区、東京の近くに住んでいることまでLに知られてしまい、互いの命と正体を賭けて彼との頭脳戦を余儀なくされることに。
そして、Lの卓越した推理力により、月はFBIに尾行されたり、部屋に監視カメラを仕掛けられたりとマークされ、
ついには自ら「自分はLです」と名乗りながらLに直接接触されるという危機を何とか退けるが、『第二のキラ』
弥海砂の出現で事態は急変。
世間一般に公表されるであろうビデオメッセージで「死神」やら「ノート」やら口走る、あまりにも考え無しで無防備な彼女の振る舞いに悩まされるも、
「顔さえわかれば殺せる『死神の目』を持つ海砂をLに会わせれば勝てる」と考え、自分に恋心を抱く海砂を抱き込んだ上で行動に移していく。
結果的にLと海砂を引き合わせることには成功するも、海砂がLの名前をデスノートに書く前にLが彼女を拘束・監禁したことでその目論見は崩れ、窮地に追い込まれてしまう。
だが、彼は諦めなかった。
月はある計画を立て、まずは入念に根回しや準備をした上でLに自身を拘束させ、デスノートの所有権を放棄。自らキラとしての記憶を失う。
急に態度が変わった月に困惑しながらもLは彼の拘束を続けるが、その最中に新たなキラによる殺人と思わしき怪死事件が発生。
Lは推理の練り直しを余儀なくされ、月と海砂の拘束を解く。解放された月はLに捜査協力を申し出て、共にキラを追うこととなった。
ちなみに、月がLに捜査協力を申し出たのも、キラを捕まえようという熱意も、全て月の本心から出たものであり、
もしもデスノートを月以外の誰かが拾ってキラとなっていたのなら、月はL側に立っていたと推測される。
そして、Lと月、そして捜査本部の活躍で、キラは
ヨツバという企業の人間だとわかり、月達は『ヨツバキラ』火口を拘束。
ノートを押収するが……、
実は『ヨツバキラ』登場から確保まで、Lや捜査本部、そして火口は皆、月の手のひらの上で踊らされていた。
月は自分への疑いを晴らした上でノートを取り戻すべく、記憶を失った自分すらも利用した計画を立て、それを見事に達成したのである。
ヨツバキラは犠牲になったのだ……。
そしてL達が混乱している最中に、死神
レムを利用してLとワタリを殺害。
これにより、「新世界の神になる」という野望は一気に現実味を帯びていく。
第二部
Lの死亡から4年。二代目Lと「キラ」の二足の草鞋を履いて新世界構築を目指す月の前に、「Lを継ぐ者」たるメロとニアが現れる。
Lに匹敵する頭脳を持つニアと、行動力に長けるメロの二人はそれぞれ「キラ」の捜査に乗り出し、着実に月を追い詰めていく。
この頃になると、執拗に迫ってくるニアの存在もあり、月は精神的にかなり追い込まれていた。
(自分の代わりに裁きを行う者を、ほとんど直感に近い曖昧な理由で
魅上にしたこと等からそれがうかがえる)
また、他者を利用し、場合によっては自分の都合で切り捨てることを躊躇わないほどに、傲慢な性格にも拍車がかかり、
例えば、海砂と婚約していながら、利用価値を見出した元カノの高田清美に近付き、篭絡して手駒として利用したり、
その海砂が自分のためなら自身の寿命の半分を躊躇いなく捨てるほど、月に強い愛情を抱いているのを知りながら、
彼女と会う度に、今後「キラ」としての活動等への悪影響を懸念して「ここで殺しておくべきか?」と考えたりしている。
ともあれ、ニアたちの猛追で余裕を失いつつも、ニアが自分の正体を明かすために取る策を予想した月は、
彼の思惑に敢えて乗った上で、逆にニアとSPK、そして日本捜査本部を一網打尽にする策を考案し、進めていく。
その策の準備が整ったところで、ニアとSPKの面々に、自分も含めた日本捜査本部で一度顔合わせしようという提案を受けた月は、
ニアが自分の思い通りに動いていることを確信し、その提案を受けて顔合わせの日時・場所をニア主導で設定。
月はその日こそ「完全なるキラの世界」が始まるXデーとし、あとは静かに時を待つだけ…
ニアとの対面まで残り3日となった時、日本に潜伏していたメロがキラの代弁者である高田を誘拐する事件が発生。
月からメロの人相と本名、そして緊急時にどうすべきかを教えられていた高田により、ついにメロはデスノートによって死亡する。
高田からの電話でメロの死を確信した月は、「用済み」となった彼女も始末するが、後にこれが尾を引くことになるとは誰も予測出来なかった。
そして迎えたニアとの対面当日。
ニアとついに対面した月は、彼が発案し、密かに進行してした、
「デスノートの一部をただのノートにすり替え、そこにXキラこと魅上に自分たちの名前を書かせることで、本命のキラを炙り出す」
という、キラの正体をXキラを利用して焙り出す作戦を聞かされる。
しかし、月はニアがそういう策を考え、実行してくるだろうと、内容も含めて正確に予測を立てており、
予め魅上にノートの精巧な複製を作らせ、それを持ち歩かせることで、ニアとSPKに偽物を本物と誤認させて接触・細工させ、
来たるべきXデーには、魅上にそれまで隠し、保管させた本物を持ってこさせ、ニアの策通り自分以外の名前を書かせて殺すという、
ニアの策を妨害することなく逆手に取り、邪魔者を一掃する策を仕掛けたのである。
果たして目論見通りに事が進み、魅上が自分以外の名前を本物のノートに記入したことを確認した月は、
名前が書かれてから35秒後、今までで1番のゲスい笑顔と共に、ニアに対して勝利宣言をする。
だが……、
実は、メロが突発的に起こした高田の誘拐に対して魅上は独断で本物のノートをXデーの前に使ってしまい、それを確認したSPKは月の仕掛けた陥穽を察知。
SPKは
ジェバンニの活躍もあり、本物と偽物のノート両方に細工を施すことで月と魅上を出し抜くと共に、上記の作戦を成功に導いたのだ。
魅上に足を引っ張られる形になった月は自分の立てた抹殺計画を台無しにされた上、上記の勝利宣言が実質的な自白となってしまったことで窮地に追い込まれる。
※おそらくなりふり構わなければ、魅上に本物のノートではなくあらかじめ切り取っておいたページを使わせる、この場では名前と顔を覚えさせるに留めて後でノートで殺させる、
キラ崇拝者の武闘派を予め呼んでSPKだけを始末させる、魅上以外の『キラ』も選んでノートの切れ端を渡しておき、高田の誘拐のような『有事』に備えておくなど、
『安全』な策は色々あったと思われるが、プライドの高い月はそれらの安全策ではなく、ニアに決定的な敗北を見せつける上記の策を採ったのだろうと考えられる。
ちなみに、自分の策の成功を確信していた段階で月はニアがデスノートが本物なのかを試さなかった(と読んでいた)ことについて、
「(Lなら偽の可能性に気付いて必ず試すという見解から)Lに遥かに劣る」「美しく勝とうとしすぎた」と内心小馬鹿にしてほくそ笑んでいたが、
結果的に、高田誘拐への魅上の対応が読めなかったのは仕方ないにしても、自分の策の成功を疑わず「美しく勝とうとし」、
「偽物に差し替えられた可能性に気付いて試す」ことをしなかったことが敗因となったため、上記の言葉が自分にブーメランしてしまっている。
しかし、まだ月は諦めない。
「僕がキラだ」と認めた上で、キラの出現により世界の犯罪が70%減少した事実を滔々と語り、SPKや日本捜査本部に自分を認めさせようとする。
だが、ニアには「貴方はただのクレイジーな犯罪者」と持論を一蹴され、SPKも日本捜査本部の面々もまったく自分を認めようとはしなかった。
月は「言っても分からぬ馬鹿ばかり」と説得を諦め、腕時計に仕込んだノートの切れ端でニアを殺害し、その上で他の面々を口八丁で言いくるめる作戦を考える。
そして、月はハッタリをかまして彼らから十分な距離を取った上で、腕時計のギミックを展開。ニアの名前を書き込もうとするが…。
馬鹿野郎ーっ!! 松田ァ! 誰を撃ってる!? ふざけるなーっ!!
あと少しでニアのフルネームを書ききれる、というところで、松田の銃撃でペンを弾き飛ばされてしまう。
松田に、涙ながらに総一郎が月の無実を証明するために死んだことの意味を問い詰められた月は、
「父は馬鹿を見ただけ」(意訳)であり、総一郎のような正直者が馬鹿を見なくて良い自身が目指す新世界を作るためにニア達を撃てと松田に迫る。
あまりの言い様にか怒りのためか、沈黙した松田を尻目に、月はなおも自身の血でニアの名前を書こうとするが、激昂した松田にそれも銃撃で阻止される。
重傷を負った月は、拘束されている魅上に殺害を命じるが、そのようなことが出来るはずもない魅上には当然無理だと言い返され、激昂した魅上にクズと罵倒される。
銃撃されたことによる失血や追い詰められたストレスからか月は次第に錯乱し始め、この場にいないミサや自分が殺した高田にまでSPK達を殺すように叫んだ後、
リュークにすがりつき、彼の持つデスノートでSPK達を殺すように懇願する。
しかし、リュークは一連の流れで月の敗北を確信したことや、本来傍観者である自分にまで助けを求めたことで完全に月を見限り、
「死ぬのはお前だ」と宣告した上で月の名前をノートに書き込み、それを月に見せつけた。
ノートに書き込まれた自分の名前を見た月は最期の40秒間、生への執着を訴え続けるが、一度ノートに名前を書き込まれた者の死は何をしても取り消せない。
『死にたくない』『逝きたくない』という叫びも空しく、ノートに名前を書かれてから40秒後に心臓麻痺によって死亡した。
史上最悪の犯罪者が、最後の最期でその報いを受けた瞬間であった。
ちなみに、漫画では唯一『デスノートに名前を書かれたことを心臓麻痺の前に知り、40秒後の確実な死への恐怖に
怯えながら死んだ』キャラである。
最終回は「『夜』、『神』を想い『月』に祈りを捧げる灯火(=『ライト』)を手にしたキラ信者たち」のシーンで締めくくられている。
【別媒体でのキラ】
アニメ版
原作同様の設定だが、最終回において松田に撃たれた後の展開が大幅に変更された。
魅上が目の前で自害し、周囲が驚いている隙を突いてYB倉庫から脱出する。
ニアは「(逃げてももうすぐ死ぬだろうから)放っておけばいい」と言うが、相沢は「君の指図は受けない」と返し、月の追跡に向かった。
そもそも新世界の神になると決めたのは、
「退屈の気まぐれから半信半疑でノートを使った結果、犯してしまった殺人の罪の意識から逃げる為に、
世の中腐ってる、自分が世の中を変えなければいけない、と開き直る他に無かった思い込みから行き着いた結果」である。
ニアへの演説も、初めて犯してしまった殺人によって心の闇が生まれた結果であろう。
もしノートを拾わなければ、また違った人生を歩んでいたのかもしれない……。
そんな様子を高い塔から見ていたリュークは、どこか名残惜しげに自身のノートに月の名前を書いていく。
「随分長い間お互い、いい退屈しのぎになったじゃないか……」
やがて月は廃れた工場にたどり着く。
死の40秒が始まった瞬間、彼はかつての宿敵だったLの幻を見る。
同じ「正義」を持っていた2人。
もしノートを拾わなければ、本当の意味で2人が手を組むこともあっただろう……。
そして月は独り、安らかな表情で息を引き取った……。
実写映画版
東応大学法学部の大学生として登場。
ノートを拾う以前から司法の道を目指し、犯罪者の実態を独自に探るなど既に正義の実現に向けて数々の行動を起こしていた。
しかし、その過程で多くの犯罪者が野放しになっていることや彼らが全く反省していない状況を知り法律の限界に絶望。
そのような劇的な状況下でデスノートを手にする。
理想以上に退屈さや自己顕示欲が強かった原作に比べると、キラ思想による歪んだ正義感や、それに伴う冷徹さも原作以上と言えるほどで、
自身の理想をわかってくれるだろうと期待していた恋人ですらも捜査本部に入るために利用して殺害しており(一応、その場では落ち込んだ様子は見せている)、
リュークに「悪魔」、レムからも「お前こそ本当の悪魔だ」と評された。
最終的に捜査本部の回収したノートを手に入れるために総一郎の名前までノートに書き込む(これは海砂ですら止めた程だったが、「たとえ家族でも犠牲にしなければならないこともある」と全く意に介していなかった)。
実写映画版ではレムにLとワタリの名前を書かせるも、Lの文字通り命を捨てた策により敗北。
その場でキラの正しさを訴えるが、総一郎からは「お前は独りよがりだ」と拒絶される。
リュークに助けを求めるも、原作同様リュークのノートに名前を書かれて死亡。
その最期は、生への執着よりも、「これからじゃないか!まだ死ぬわけには行かないんだ!」と自らの使命を全うできなかった事への後悔の方が強かった。
父・総一郎に死の直前まで思想への理解を求める姿には父の正義感への敬意と父を超えたいという想いが滲み出ていた。
ドラマ版
もはや別人と呼べるレベルに設定が変わっており、ドルオタなこと以外は普通の大学生。
ノートで人を殺した後も一時は自殺やノートの放棄も考えるが、止むなき理由(ノートを使った相手の死を喜ぶ声、父・総一郎が凶悪犯罪に巻き込まれてしまう等)が重なった結果、
原作同様ノートによる犯罪者への裁きを行っていく。
さらにリュークもリュークで原作より露悪的な性格になっており、「お前がノートを手放せば代わりに殺人鬼にでも渡す」と実質的に脅されたため、キラを止める事も出来なくなってしまった。
天才の素質(所謂「やればできる」)はあるらしく、話が進むに連れ狡猾な面が見えてくるが、根が凡人ゆえに原作の月と比べると詰めが甘い部分も見受けられる。
また、Lに関して「違う形で会っていれば」と友人になり得た可能性に言及するなど、周囲の人間に対して原作版よりも情を抱いて接しており、人間味のある性格となっている。
ある意味、一般人であっても(理由が重なれば)キラになり得る例を描いているともいえるだろう。
命を投げうって月に詰め寄った総一朗の「自分が死んだら月がキラだと断定して捜査してくれ」という遺言と、Lが死の前に残した指示によって追い詰められる。
銃撃され、満身創痍となった月を救うべく魅上は火災を起こすが、確かにニア達が火災から避難することで月は逮捕されなかったものの、月は燃え盛る炎の中で孤立してしまう。
月は燃えるデスノートを自身に火が燃え移ることも省みず手に取り、遂にリュークに死神の目の取引を持ちかける。
その執念はリュークを感嘆させるも、彼の寿命がここで尽きることを知っていたリュークから「おせぇよ」と拒絶され、そのまま焼死した。
「計画通り」の時の顔や演説、「馬鹿野郎ーっ!! 松田ァ!」、そしてラストシーンの月(演:窪田正孝)の熱演はアニメ版に匹敵すると言われている。
ミュージカル版
基本設定や性格は原作に近いが、高校の授業で正義や法に対する持論を語ったり、デスノートで初めて人を殺した際も自らの行いに怯える一方で晴れやかな気持ちを感じていたりと、社会正義に対する情念や思想、そして危うさを合わせ持った青年として描かれている。
また、妹の粧裕から「強さより正しさを大事にする人」「私のヒーロー」と称されたり、総一郎の背中を見てきたこともあって信念を貫くことの大切さを重んじているなど、正義感の強さや本来の実直さを強調する描写が多いのも特徴。
また今作ではLとのライバル関係が原作以上に強調されており、デュエット曲も多く用意されている。
一方でリュークとの関係性はかなり淡白。曲がりなりにも月に色々協力したりしていた他媒体と異なり、今作でのリュークは月のことを徹頭徹尾玩具としか見ていないうえにキラとして祭り上げられる月を嘲笑っている節があるなど、シェイクスピア劇に連なるような「悪魔に翻弄される青年とその様を見て楽しむ悪魔」という面が強調されている。
最終的には原作同様レムを利用することでLの殺害に成功するものの、月と一緒に居ても面白いものはもう見られないだろうと判断したリュークに見限られ、ノートに名前を書かれてあっさりと死亡することとなる。
【夜神月流ポテチの食べ方】
1.袋は左手で中身が取れるように配置。
2.事前に中に39800円の小型TVを仕込んでおく。
3.ポテチを取りながら袋の中の紙切れに文字を書いていく。
4.小型TVごと破棄。
さあ、君もやってみよう!
※夜神家でコンソメ味を食べるのは月だけ
【キラ様の名(迷)台詞】
「僕は新世界の神となる」
「こう見えても僕は結構モテるんだよ」
「はーっ また表紙に騙された……」(グラビアを読んだ後に)
「変な奴だとは思っていたが、マジでおかしいのか?」
「駄目だこいつ……早くなんとかしないと……」
「お……女を殴りたいと本気で思ったのは生まれて初めてだ……」
「計画通り」
「ははは……いいざまだ」
「だ……駄目だ……まだ笑うな……こらえるんだ」
「ざぁまぁーみろ! ニア!」
「罠だ……これは罠だ! ニアが僕を陥れるために仕組んだ罠だ!
ノートに名前を書かれたのに死なないというのはおかしいじゃないかァ、それが罠だという証拠ォ!!」
「馬鹿野郎ーっ! 松田ぁ! 誰を撃ってる!? ふざけるなぁー!」
「うわー死にたくない!! 逝きたくないー!!」
「ち、ちくしょう……」
【余談】
- 西尾維新の小説「DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件」では、語り部である人物から、
「ただ単に恐怖政治を敷きたかっただけ」
「非現実的な殺人ノートの能力と頭の悪い死神の手助けに、終始おんぶに抱っこしているらしい調子づいた殺人鬼」
と、自身とその思想を完全に否定されてしまっている。
これは作者の西尾維新が月のことを「お世辞にも性格が良いとは言えない人物」と解釈した事によるものである。
- 実写映画版で月が書く字は文字のみのシーンも含めて演じる藤原竜也自身がすべて書いている。
しかし、上映後に「原作に比べて月の字が汚い」というツッコミの声が上がり、そのことを内心気にしていた藤原竜也は後編の撮影に向けて硬筆習字の特訓をしたという。
その甲斐もあってか、後編では見違えるように字が綺麗になっている。
ただ、皮肉なことに後編で月が字を書くシーンは2シーンのみでそのうち1シーンは書きにくい針の先で書くシーンだったため、肝心の成果のアピールとしては寂しい結果に終わってしまった。
- 『ポケットモンスター ベストウイッシュ』に登場するデントは月と同じ宮野真守が担当しており、番組開始当初から月の台詞をデントに入れ替えて遊ぶ「闇デント」が流行していた。
...と思ったら第19話でポケモンソムリエールのカベルネの脳内イメージであるが闇デント(ついでに闇ヤナップ)が公式で登場した。
この前のデスマスデントと言い「スタッフもこのことを知っていたんじゃないか?」と思われる部分もある。
最終更新:2024年02月25日 16:07