エリナ・ペンドルトン

登録日:2014/02/07 Mon 11:36:42
更新日:2024/04/14 Sun 00:40:58
所要時間:約 7 分で読めます




エリナ・ペンドルトンジョジョの奇妙な冒険の登場人物。
第一部第二部に登場。
名前の由来はビートルズの楽曲『Eleanor Rigby』より。
名字の方はアメリカのテキスタイルメーカー/ブランド『ペンドルトン』もしくはマーキー・クラブ、レディング・フェスの創設者ハロルド・ペンドルトンと思われる。


CV:久川綾 (PS2ゲーム版) / 水樹奈々 (劇場版) / 川澄綾子(TVアニメ版)。
演: 清水美衣紗 (舞台版)



第一部のヒロイン。父親は医者(悪ガキには『ヤブ医者のくせに儲けてる』と揶揄されているが)をしており、裕福な家庭に生まれ育った。


幼少期、近所の悪ガキどもに人形を奪われてイジメられている所を偶然通りかかったジョースター家の一人息子、
ジョナサン・ジョースター(ジョジョ)に助けられる。
喧嘩には勝てず、一方的に叩きのめされてしまうジョジョだが、
さらに殴られているとわかってあえて自身の名前が刺繍されたハンカチを見せたことで
『本当の紳士』を目指す彼の気高い精神に触れ、次第に彼に想いを寄せ始める。

※なお、このハンカチは後日ちゃんと洗った後にお礼のブドウと一緒にジョジョに返された。
これが二人の仲が進展するさらなるきっかけになるのだから運命とは面白い。

後にジョースター家にやって来たディオ・ブランドーの陰湿ないやがらせにより
子供社会で孤立していたジョジョと相思相愛となり交際を始めるが、
それを目撃したディオがジョジョを追い詰めるべく彼女のファーストキスを奪う(ズキュゥゥゥン!!!)。

しかし、エリナはその直後に泥水で口を洗うという行為で拒絶の意思を示し、
逆にディオに強烈な敗北感を刻み付けた。逆上したディオに顔を張り飛ばされるという仕打ちを受けるが、
この物語中で『初めて明確にディオに勝った人物』はエリナである。


※当時のイギリスで、『未婚のレディの唇を無理やり奪う』というのは現代ならばレイプに等しい言語道断の陵辱行為である。
しかもディオは単にエリナに負い目を持たせてジョジョから遠ざけるためだけにこのような非道を行ったのであり、
この当時から他者を道具としか看做さない吐き気を催す邪悪臭いをプンプンさせている。
無論シビれたり、あこがれたりしてはいけない。もしそうなったら、それはディオ様の魔の魅力のせいである。
その上で、それに打ち克ったエリナの気丈さは尋常ではない。
ディオの取り巻きは「近くに川もあるのになぜわざわざ泥水で洗うのか」と首をかしげていたが、
もちろんこれは「ディオのキスは泥水より汚い」という痛烈な揶揄である。

この事件はすぐにジョジョの知るところとなり、ディオが現れてから精神が萎縮してしまい、
ほぼ一方的にされるがままになっていたジョジョの内に眠る爆発力に火を点け、
「君がッ 泣くまで 殴るのをやめないッ!」となる大喧嘩となった。
結局、この事件の影響でジョジョとは気まずい関係になってしまい破局。
父の仕事の都合でインドへと渡り、そこで医療活動に従事して時を過ごす。

※若い二人にとっては非常に苦い思い出となったが、この事件がなければジョジョはディオの狙い通り
敗北感に打ちのめされたまま孤独なフヌケ人間に成り果て、長い目で見れば
の目覚めで人類が滅亡していたかもしれない事態になっていたのだから運命とは恐ろしい。



それから7年後故郷イギリスに帰国、彼女が看護婦として勤務していたジョースター家近郊の病院(彼女の実家かもしれない)に、
吸血鬼と化したディオとの死闘で重傷を負ったジョナサンが担ぎ込まれ、劇的な再会を果たす。
幼い頃の面影をどこかに残しながら、しかし美しい淑女に成長した彼女は、贔屓目で見なくとも女神のようである。
この時のジョナサンは、全身火傷に加えて両腕の骨と肋骨がめちゃめちゃに砕かれているという非常に危険な状態で、
骨折をギプスで固定してしまうと火傷の治療ができないため、エリナは不眠不休で自身の手が血が滲んで紫色にふやけるまで
何百回・何千回と氷水で絞ったタオルを患部に当てるという献身的な看病を敢行。見事彼の意識を回復させた。

※なお、この時面会に訪れたスピードワゴンに養豚場の豚でも見るかのような冷たい目を向け、けんもほろろに追い返している。
しかしその夜、病院に不法侵入したストーカー乙スピードワゴンは深夜になってもなおジョジョの看病を続けるエリナを見て、
昼間の冷たい態度はジョナサンを救おうとする必死さがそうさせていたのだということに気付く。
自分では力不足だと悟った彼は意識を取り戻したジョナサンと見つめあうエリナを後にしてクールに去るのであった。
思えばこの時できた縁が後々ジョースター家とスピードワゴンを強く結びつける遠因のひとつとなったのだから、運命とは味わい深いものである。



退院後もジョナサンのリハビリに付き合い、穏やかな時間を過ごすが、
ある日突然現れた派手な帽子のヒゲのおっさん
座った姿勢からジャンプするやいなや「パウッ!」とジョジョに腹パンをぶち込み、複雑骨折を治してしまう。
「こんな重い石も持てる!」と負傷の完治をアピールするジョジョに、深夜通販の外国人のようなリアクションを返す様はまさに英国風夫婦漫才。
ちなみにエリナによれば、この時のジョジョの状態は「どう見積もってもあとひと月かふた月は全快するのにかかるはず」。

奇人・ツェペリ男爵と彼の伝えた『仙道』によって新たな力と運命を手にしたジョナサンは、密かに生き延びていたディオを完全に滅ぼすための旅に出る。
非日常の世界で繰り広げられる死闘に彼女を巻き込みたくないというジョナサンの意向で、エリナは一時退場。

この展開は、あくまでドラマ主体のサスペンスホラー漫画だったファントムブラッドが、
異能力を駆使する超人同士の闘争を描くバトル漫画へと本格的に移行していくことを象徴しているともいえる。


ウィンドナイツ・ロットにてディオとの決戦に勝利した後、多大な犠牲を払いながらも無事生還したジョナサンと
1889年2月2日、めでたく結婚。この件は当時の新聞の社交欄にも載り、挙式も華やかなものとなった。
新婚旅行先はアメリカ。仲間たちの祝福と見送りを受け、二人の乗った豪華客船は大西洋へと出航した。
幸福の絶頂の中、お互いに出逢えた運命に感謝する二人。

「今日という日が永遠に続きますように・・・」
しかし……




1889年 2月7日 その船の名は『運命』――!



客船にて首から上だけになって生存していたディオに襲撃されてジョナサンは致命傷を負ってしまい、
更に船内はディオの配下のゾンビが増殖し、乗客を無差別に虐殺する地獄絵図と化していた。
ジョナサンは残された最期の波紋を使い船を爆破することを決意、エリナを脱出させようとする。
エリナは、最早助からないと悟ったジョナサンと運命を共にする覚悟を決める。


「逃げる…んだ… エリナ…」
「私にはどんな事態が起こっているのかわかりません…でも言える事はただ一つ エリナ・ジョースターは… 貴方と供に死にます」


しかし、母に庇われて命を拾った見ず知らずの赤ん坊を連れて逃げるようジョナサンに説得される。


「泣いてくれてもいい… でも君は… 生きなくては…ならない…


「ああ! う…美しすぎます! 見ず知らずの女性の赤ちゃんを救って避難しろとおっしゃるの?
わたしにとってそれは残酷なる勇気! わたくしの最後の希望は あなたと供に死ねる事なのに…」


幸・・・わ・・・せ・・に・・・・・・・エリナ


哀しみの中、エリナは赤ん坊と共に船から脱出。ディオの棺桶を救出ボート代わりに漂流の末無事生き延びる。

※公式といえるかは微妙だが、小説『JORGE JOESTAR』では棺の中の漂流生活で何があったのか、
第一部と第二部の間の空白期間、エリナがどう過ごしていたのかが記されている。覚悟のある方は読んでみるのも良いだろう。




お互いが待ちわびていたはずの新婚生活は、たったの5日間しか味うことができなかった…何という皮肉で、哀しい運命だろう。
辛くも逃げ延びたエリナのお腹にはジョナサンとの間にできた新しい命が宿っており、ジョースター家の血統は次世代へと受け継がれる事となる。
一体いつ『仕込んだ』んだァァァ~?という疑問についてはファンの間でも意見が分かれている。
『JOJOraDIO』ではエリナ役の川澄女史も自身の推理を述べて…まあ、綾子ったら!いけない人ッ!!
また、この時エリナが救った赤ん坊こそ、ジョセフの母エリザベス=リサリサであった。




ファントムブラッドから50年後、
新主人公、ジョセフ・ジョースターの祖母『エリナおばあちゃん』として登場。

ジョナサンとの間にはジョージ2世という息子が産まれ、ジョージは船で救助された赤ん坊=エリザベスと結婚、エリナは初孫のジョセフを授かる。
しかし忌まわしき過去の因縁から事故に見せかけてジョージは殺害され、復讐に走ったエリザベスも国外逃亡の憂き目を見るなど、
家庭的には不幸が続き、ひょんなことから友人となったスモーキーからも『おばあちゃんと孫だけの一族か』とその孤独さを酌まれている。

スピードワゴンらからは石仮面・吸血鬼・波紋法といった50年前の因縁の真相についてすべてを聞き知っている。
また、未亡人になって間もない頃、若き日のスピードワゴン(男前)やストレイツォ(美形)と一緒に写した写真が現存している。
なんたる憂いを帯びた美貌ッ!おそらく、事情を知っていても求婚した紳士達は後を絶たなかったであろう。
しかし本人はジョナサンに操を立て続け、再婚などは全く考えなかった。

渡米して油田を掘り当て、大富豪となったスピードワゴンから生活の不便さを気遣われてアメリカへ引越し、
以降はジョセフ共々アメリカ国籍となる。


若い頃と比べて厳格かつややコミカルな、『気丈でピンシャンとした老貴婦人』といった佇まいで描かれており、
(どことなく『魔少年ビーティー』のBTのおばあちゃんにも似ている)
ずっと独身のスピードワゴンと未亡人の自分の関係にゲスな妄想を巡らせたジョセフを傘で叩きめしたりしている。

ジョセフもエリナおばあちゃんのことを世界で一番大切に思っており、
誰に対しても不遜な態度を取るがおばあちゃんにだけは頭が全くあがらない。
その敬愛ぶりはちょいとクレイジーな域に達しており、
『殴られて出た鼻血がおばあちゃんに買ってもらった服に付いた』ので『殴ったやつの乗った飛行機を墜落させた』ほど(しかし場合が場合なだけに服の事が無くとも墜落させた可能性もある)。
なお、これがジョセフの生涯で初の飛行機墜落である。

また、勉強嫌いのジョジョがおばあちゃんに習った歴史関係だけは得意と話す場面があり、
職業として学校の教師をしている(ジョセフの言から担当教科はおそらく歴史だが、看護師をしていたこともある彼女にはまさにうってつけだろう)ところからも、彼女の高い教養が見て取れる。

人種差別が当然のようにまかり通っていた当時のアメリカにおいても
『個人の主義や主張は勝手、しかしそれを表に出して公然と自分たちの友人を侮辱することは決して許さない』という毅然とした任侠道を説く人格者。
黒人のスモーキーがレストランでマフィアのチンピラに言いがかりをつけられたとき、
「他の客に迷惑をかけずにやっつけなさい!」とジョセフの大立ち回りを公認した。おそらく過去数回は類例があると思われる。
これは、生首の状態でも生きていて目から怪光線発射する人外生物を相手に回して修羅場を潜ってきた身としては、
肌の色で人間の価値を区別する思想がナンセンスに他ならないということが大きい。


老いを気に病むあまり乱心し吸血鬼になってしまったストレイツォには過去の因縁を知る重要人物として
抹殺対象にされてしまうが、当人はひたすらにジョセフが非業の宿命に翻弄されることを恐れていた。

やがて柱の男達との戦いに巻き込まれたジョセフが彼女を心配させないために何も言わなかったため退場。
エピローグでは海外から戻ってきたエリザベスに再会するものの、『ジョセフが死亡した』という報告を聴かされ深い悲しみに沈む。
しかし……




第二部完結の約10年後、1950年に死去。享年81歳。
家族や友人に囲まれた穏やかな最期であった。





☆余談☆

  • 不遇?
清楚・可憐・慈愛とこれ以上ないほどの王道的なヒロインだが、時代が進んだ今となってはやや保守的なキャラ造形になってしまったのは否めない。
アニメ版放送時、泥水で口をゆすぐシーンをシリアスな笑いと受け取る新規ファンもいたそうで、
古参ファンは隔世の感を突きつけられることも多い。確かに、見れば台詞は全部舞台演劇を彷彿とさせている

また家庭的に薄幸というジョースター家の暗い伝統の煽りで
実に義父・夫・息子・を『ディオに殺されている』(間接的含む)他、義理の娘も国際指名手配されるなど、
マニアからはジョジョ屈指の不幸なキャラクターと分析されることも。
更に非戦闘員系ヒロインの宿命かメディアの露出がとにかく少なく、20年以上経ったゲームやアニメでようやくカラーの姿を見せることができた。

  • 一巡後の世界で・・・
第七部・スティール・ボール・ランではヒロイン?のルーシー・スティールの旧姓が「ルーシー・ペンドルトン」であるが、ジョニィとは別に恋仲になっていない。
というか、40歳近く離れているオッサンと結婚している。ラブラブで。こっちも、またいろいろタフな女性である。
また、東方理那(ひがしかた りな)なるキャラクターも登場。ノリスケ・ヒガシカタの娘。名前はおそらくエ「リナ」から取られているので、寧ろこちらが彼女の一巡後の姿なのだろうか。
こちらはSBRのラストでジョニィと同じ船に居合わせ、その後結婚してジョージ三世と娘を授かる。




追記・修正は何百回・何千回と氷水で絞ったタオルを患部に当てる看護を終えてからお願いします。

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最終更新:2024年04月14日 00:40