クイーンエリザベス級戦艦

登録日:2014/02/05 Wed 11:17:31
更新日:2023/05/30 Tue 19:03:22
所要時間:約 4 分で読めます





『クイーンエリザベス級戦艦』とは、大英帝国が作り上げた超ド級戦艦。
当時としては革新的な艦で、15インチ砲を搭載している。

性能諸元

全長:196.8m
全幅:27.6m
排水量常備:27,500トン→:常備:32,930トン、満載:38,450トン(1944年)
速力:25.0ノット
兵装:竣工時:38.1cm(42口径)連装砲4基15.2cm(45口径)単装砲16基7.6cm(45口径)単装高角砲6基53.3cm水中魚雷発射管4基→
38.1cm(42口径)連装砲4基Mrk'1&3 11.4cm(45口径)連装高角砲10基2ポンド八連装ポンポン砲4基エリコン20mm機銃連装20基+同単装14基53.3cm水中魚雷発射管4基(1944年)

建造経緯

主砲に13.5インチ(34.3cm)砲を搭載した「オライオン級」でドイツ帝国海軍に対して差をつけたイギリス海軍が、次なる布石として用意した新型戦艦。
オライオン級などの超弩級戦艦を、さらに火力で上回る強力な戦艦を配備することによって、ドイツ海軍に対して絶対的な優位を確立するべく設計されたのが本級、クイーンエリザベス級である。
この艦が開発された当初、各国海軍は日米で14インチ砲(35.6cm) 仮想敵国のドイツ海軍は巡洋戦艦マッケルゼン級に35cm砲を計画していることから、それらを凌駕するものとして「Mark.1 15インチ(38.1cm)砲」が選択された。
当然、開発段階では未曾有の巨砲♂であり、設計時に現物なんてものは無かった。
しかし、大砲が完成してから船体を設計する既存の方法でチンタラ作ってたら到底戦争に間に合うわけも無かった。
そこに、当時の海軍大臣ウィンストン・チャーチルの強力な後押し(かなり無茶な)により主砲が未成状態で砲塔や船体の設計を始めるという前代未聞の方法で建造が進められ、15インチ砲は搭載されることになったのである。

……これだけ聞くとまた英国面の兵器かと思うかも知れないが、意外や意外、この艦は両大戦通して活躍するのである、イギリスの金剛型戦艦とでも言うべきか。

コンセプト

大口径化に伴い、前級のアイアン・デューク級のような船体中心部に一直線上に主砲塔5基を並べると、デブ(艦体の大型化)になってしまう上に建造費が嵩んでしまうため、
中央部に主砲塔を配置するのをやめ、前部2基・後部2基の計4基の配置に改めた。この配置はダイエット(重量の削減)のために行ったのだが、贅肉(中央部砲塔)の部分を減らしそこに筋肉(機関区)を増やしたために最大出力が向上するという思わぬ利点があった。

機関配置の効率化に加えて、新開発の重油専焼缶を採用したことも高速化に効果があった。重油は石炭よりも遥かに燃焼効率がよく、同じトン数ならば航続距離を40%も伸ばせた。
また補給の作業も、水兵が石炭屑で真っ黒になりながら何度も手押し車で岸壁と石炭庫を往復しなくても、燃料パイプを岸壁かタンカーに繋ぎ、バルブを一捻りすれば後は満タンになるのを待つだけであった。
また、今まではボイラーへ機関兵が火炙りになりながらも腕が千切れるまでスコップで石炭を放り込んでいたのを、バルブの一捻りで済むのである。

しかし「当たらなければどうと言うことはない」というミスリードが英国海軍に浸透していた時代のためか、防御は対13.5インチ防御の域を出ず、対15インチ完全防御とは言えなかった。これは後々にまで本級の戦闘に響いた。
しかし当時の仮想敵に対して垂直防御装甲330mmは必要にして十分な厚みであり、竣工当時では最強の戦艦であった。
これらの工夫により本級は、戦艦でありながら高速力と巡洋艦並の航続性能も兼ね揃えた主力艦として、後の高速戦艦の祖となった。


戦歴

  • クイーンエリザベス
クイーンエリザベス姉妹の長女。ユトランド沖海戦時にはドック入りしていたため戦闘に参加することはなかった。
クイーンエリザベス級では後期に近代化改装を受けたタイプで、上部構造物を一新して新型のKGV級似の箱型艦橋を搭載。副砲もすべて新型の両用砲に切り替えられた。
姉妹艦のヴァリアントと共にパスタ野郎(イタリア軍)の人間魚雷マイアーレによって大破着底させられた。
何気に戦闘能力を持ったまま第二次大戦集結まで第一線にあり続けたのは次女とこの長女のみである。

  • ウォースパイト
クイーンエリザベス姉妹の次女。その名前は戦争を軽蔑するものを指す。
生涯に渡り戦傷を受け続け、操舵装置の異常挙動というハンデを抱えながらも最前線に立ち続けた豪傑であり、第二次世界大戦最高の武勲艦との呼び声も高い。
姉妹では二番目に近代化改装を受け、上部構造物は近代的な箱型艦橋に換装されているが旧来のケースメイト副砲が残るなど、後から改修される姉妹と比べると中途半端な改修にとどまっている。
やたら姉妹艦とばかり接触事故を起こし、
舵が故障して仕方なく旋回を続けたら
撃沈寸前の僚艦の囮をしてくれたと味方に勘違いされたりネタに事欠かない。

  • バーラム
クイーンエリザベス姉妹の三女だが、起工は四女より一月早く進水は一週間、就役は四か月遅い。
MSではない。
ユトランド沖海戦ではQE級で構成される第五戦艦戦隊の旗艦としてドイツ大洋艦隊の巡洋戦艦3隻と交戦。損害を受けるも姉妹と共に生還する。
近代化改修の機会を逃したため殆ど第一次大戦後の最初の改修が施されたときと変わらない姿で第二次大戦に参戦している。
第二次世界大戦では地中海を中心に活動。フランス最新鋭戦艦リシュリューとの交戦を始め、姉妹艦と共に第一線で活躍するも、U-331の攻撃により沈没。同級で唯一の戦没艦となる。
戦没時の映像がリアルタイムで撮影された二隻の戦艦のうちの一隻*1で、動画サイトなどで調べれば映像がすぐ出てくる。
ちなみに彼女は約一か月という短期間の間に上記の衝突魔と2度ぶつかっている。

  • ヴァリアント
クイーンエリザベス姉妹の四女。某大天使の110cm単装リニアカノンではない。
ユトランド沖海戦に参加。
近代化改修の時期は後期にあたり、長女のクイーンエリザベスと殆ど同じ改修メニューを受けている。
第二次大戦ではウォースパイト・バーラムと共に独・伊・仏の三海軍と戦闘するも、
1944年8月8日、セイロン島の浮きドックに入渠中、ドックの崩壊に巻き込まれ横転。
船体中央部のスクリュー軸2本と主舵を損傷し、針路保持すら出来ないという大損害を受け、
以後一度も戦闘に参加することなく退役した。

  • マレーヤ
クイーンエリザベス姉妹の五女。マレー連合州が建造資金を負担したためにこの名が付いた。
ユトランダ沖海戦では8回の攻撃を受けるも小規模な損害で済む。
戦間期にはオスマン帝国最後の皇帝であるメフメト6世の運送という名誉な任務に就いた。
クイーンエリザベス級においては最初に近代化改修された艦だが、ウォースパイト以降の姉妹と違って水上機用カタパルトの搭載などあくまで小規模な改修にとどまっている。
第二次大戦、地中海・北海の輸送船団護衛に従事。この時独海軍シャルンホルスト・グナイゼナウの二隻は
彼女の存在にビビッて攻撃を諦めている。その後1944年に予備役となるまで護衛任務を続けた。




追記、修正お願いします

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 軍事
  • 兵器
  • 戦艦
  • ロイヤルネイビー
  • 異能生存体
  • イギリス
  • 英国
  • 大英帝国
  • クイーンエリザベス級戦艦

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年05月30日 19:03

*1 もう一隻はオーストリア・ハンガリー帝国海軍の戦艦セント・イシュトファーン