ワラキアの夜

登録日:2009/11/18 Wed 17:12:41
更新日:2024/03/17 Sun 13:39:08
所要時間:約 5 分で読めます




──―それはね、シオン。答えを見たからだよ─――


『MELTY BLOOD』の登場人物。
今回の騒動の元凶のようなキャラクターであり、無印ではラスボス。
死徒二十七祖第十三位の『タタリ』であり、自身を存在から現象へと祭り上げようとした祖の成れの果て。


実体を持たない死徒。もとは普通の死徒であったが、とある事情により存在を失い現象となった。
条件が成立した時のみ出現する、一夜限りの吸血鬼。

「ワラキアの夜」というのは通り名であり、その所以は初めて出現したのが五百年前のワラキア公国の村だったことから。
その時、村中の生物はおろか、ありとあらゆる水分が丸ごと飲み尽くされており、その惨状を目撃した教会から以後、
最大限の嫌悪と畏怖を込めてこう呼称されることとなる。

一定のコミュニティ内で広まった噂を元に一夜限りの具現化をする能力を持つが、
どんな噂をベースに具現化しようとも、結果的にはコミュニティ内の人間を皆殺しにする。
ちなみにこれは「タタリ」と呼ばれる固有結界の一種。
『MELTY BLOOD』で本来一般人である双子や女子小学生が吸血鬼相手に渡り合えるほどの戦闘能力を発揮しているのは、
この固有結界の影響を受けているためである。



「カットカットカットカットカットカットカットカットカットカットカットカットォ!」

ワラキアの夜というキャラクターを象徴するものといえば、狂言回しと奇声だろう。
それはストーリー、戦闘中、勝利メッセージにて如何なく発揮され、中の人の熱演もありとても印象に残る。
かと言って奇声や早口ばかりかといえばそうでもなく、時折冷静に相手を批評したりもする。
奈須氏いわく、人面牛身の妖怪『件』がモデルになっているとか。



MELTY BLOODではマントを使った長いリーチと素早いダッシュで相手を近づかせない戦い方が得意。
飛び道具も豊富で攻撃範囲はかなり広いが画面端まで届く飛び道具はないため、リーチが生きる中距離が強い。
ネタも豊富で、特に2C等でダウンを取った後Cレプリカを重ね、ネロの攻撃が当たる前に投げると、
投げとネロの攻撃が両方HITする『極死投げ』はワラキアを象徴する起き攻めネタ。
使用人口も初級者層に多いが、中~上級者には通常技の判定の弱さや耐久力の薄さから不人気。
特に開幕のワラキアは減る。まさしく開幕直後より鮮血乱舞。
リーチ、機動力は高いので上記の通り逃げながら戦おう。

最終奥技のラストアーク、「ナイトルーラー・ブラッドディーラー」は威力は低いがガード不能で相手のゲージを0にする。
決まると「鼠よ廻せ、秒針を逆しまに誕生を逆しまに世界を逆しまに、廻せ廻せ廻せ廻せ廻セ廻セェー!!」の台詞がゲーセンに響き渡る。

ちなみに別verの台詞は
「開幕直後より鮮血乱舞、烏合迎合の果て名優の奮戦は荼毘に臥す、廻せ廻せ廻せ廻せ廻セェェー!!」



以下ネタバレ











本名、というか現象となる以前の名前は「ズェピア・エルトナム・オベローン」。
シオンの祖先(曽祖父)で三代前のエルトナム家当主だった男。
優れた錬金術師であり、アトラス院の初代院長が生み出した未来計測の解「人類の消滅」を回避するために尽力するが、ことごとく失敗。
その後、魔術を極めて自身を死徒にしたうえで第六法に挑戦するが、あえなく破れて霧散する。
その際に体を失うが、アルトルージュとの契約により、自身を「現象」と化すことに成功。
以後はタタリ/ワラキアの夜として世界を漂うこととなる。

なお、最初に「人類の消滅」を回避する方法を見つけられなかった時点で彼の精神はその事実に耐え切れずに発狂しており、
死徒ズェピアの性格が色濃く出ている「ワラキアの夜」が冷静かと思えば急に狂笑したりする、まさしく狂人のような振る舞いなのはそのため。




「……ワラキア、貴方は何故」
「吸血鬼、になったのですか」

『――――――?』

「―――罵迦だな。私は。ああなったワラキアに問いかけて、答えなんて―――」

『──――――――――――――それはね、シオン。答えを見たからだよ。─―─』

「え?」

『答えを見たんだ、シオン。 私は答えを見た。そして君も、いつかはその果てに辿り着くだろう』

『優れた錬金術師ならば誰でも辿りつける。私たちは魔法使いたちのような出し惜しみはしない。
ちゃんと世界の全てを知り、きちんと計算をすれば誰だってたどり着けるよ。
その、変えようのない終わりというものに。
アトラスは狂人の蔵なんだ。未来に避けられない滅びがあると知り、あらゆる手段をもって対抗策を作る。
けれど対抗策を作れば作るほど、滅びはおぞましさを増して私たちを打ちのめした。何をしようと救いなどない。
私たちはあらゆる人間に平等な世界をもたらす為、未来を読んで世界を運営しようとした。なのに、まず初めに出てきたのは滅びなんだ。
考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。
考えた。考えた、考えた、考えた、考えた考えた、考えた考えた考えた……!!
そう、あらゆる方法をシミュレートした! なのに手を尽くせば手を尽くすほど、
私たちは余計ひどくてメチャクチャでグロテスクな未来を運営するだけだったんだ!
狂った。滅びの未来に至った練金術師はみな狂った。狂ったように未来に挑んだ。そして本当に気が触れた。
─ああ君もアトラシアの名を冠したのなら、いずれあの穴蔵に落ちるだろう。
歴代のアトラシア、狂いながら新しい滅びを計算する錬金術師を押し込めたあの地獄に!
私は───それに挑んだんだ。
不可能を可能にするのがアトラシアの称号だ。結論として吸血種となり自身の能力を強化させ、奇跡へと至る事だった』

『キ……キキ、キキキキキキキ! タベロタベロタベロタベロ、骨ノ髄マデ食イ尽クセ! 
救いナンテありはシナイ娯楽なんてアリハしない、ツマらないツマラナイ、人間ナンテツマラナイ!
ツマラナイクダラナイ、ウバイアイコロシアイ! ソウシテ自滅シロ自滅シロ、ツマラナイナラ自滅シロ!
キ、キキ、キキキ、キキキキキキキキキキキキキ─キキ、キ、キ。ひ。ひひひ、あははははははは!
ソウダ、ワタシ、ワタしハ、そウ─ただ、計算しきれぬ未来こそガ、欲しかった─』



【余談】

  • 無印最期の言葉からも「単純な悪役」とは言い難いラスボスだったことがうかがえる。
    • 狂いながらもひたすら策を探し続けたこともあって、即座に事後策を選んだオシリスの砂を全否定している。
  • 何者にでもなれる『現象』であるがゆえに、それを誇る。
    • ゆえに本来タタリがズェピアの姿になることはなかった。干渉を受けて死徒ズェピアの姿になってしまったことは非常に屈辱的であったらしい。
    • 同様の理屈で、レンの姿に固執する新たな「タタリ」白レンや、一つの魂の転生で永遠を求めたミハイル・ロア・バルダムヨォンを批判したことも。
  • タタリとなる前から二十七祖の十三位であったため、ワラキアの夜から死徒ズェピアに戻っても祖に相応しい力を持つことに変わりはない。
  • 型月屈指のキてるキャラ・ワラキアを熱演した増谷氏だが、長台詞の多いワラキアの収録をリテイクなしで成功させたとか。


【客演】

ロード・エルメロイⅡ世の事件簿

こちらの作品ではアトラス院の院長ズェピア・エルトナム・アトラシアとして登場。
数百年の長きに渡りアトラス院の院長の座に就いていると言われており、本作では死徒にはなったがタタリにはなっていない。
Fate時空では死徒は月姫時空ほどの力は持っておらず、伴って現象と化す事もなかった。
世界の全てを演算する事で擬似的な並行世界の観測を可能としており、この世界にいながら別世界の事象をほぼ正確に俯瞰してみせる。
その演算によれば、自分が二十七祖となる可能性は千七百年ほど前に摘まれたとの事。

Fate/Grand Order

名前こそ出ていないが、シオンからアトラス院長である彼についても語られる。
この世界では吸血種でこそあるが二十七祖になっておらず、事件簿同様に現象化もしていない。*1
シオンは一族で最も才能があったため養子として引き取っており、現在は親子関係である。
その娘からは演劇狂いの失格親父(ダメオヤジ)と呼ばれているが親子関係は良好で、シオンも彼にかなり影響されてメルブラより明るい性格になっている。




追記修正を「カットカットカットカットカットカットカットカットカットカットカットカットォ!」

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • MELTY_BLOOD
  • メルブラ
  • ズェピア・エルトナム・オベローン
  • アトラス院
  • 院長
  • ロード・エルメロイⅡ世の事件簿
  • ズェピア・エルトナム・アトラシア
  • 第十三位
  • タタリ
  • TYPE-MOON
  • 死徒
  • 死徒二十七祖
  • 声優の本気
  • 初代ラスボス
  • 飲血鬼
  • (´・ω・`)
  • おべろーん
  • 駄目だなシオン君!君はハムか大根かソーセージかね!
  • 変態
  • ハイスピ
  • カット
  • リテイク
  • 監督
  • 増谷康紀
  • ワラキアの夜

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年03月17日 13:39

*1 死徒であるかは明言されていないが、シオンが死徒ではないので恐らく彼も死徒ではないと推測できる。