オコリンボール

登録日:2014/01/07 Tue 22:28:54
更新日:2022/07/12 Tue 07:05:46
所要時間:約 7 分で読めます




この項目を開いたそこのあなた、一体何の項目だと思ってここを開きましたか?
ドラえもんのひみつ道具?なるほど、いかにもそれっぽい名前ですね。
アンパンマンのキャラ?それもありそうだ。
何かのおもちゃ?「イライラ棒」をマイルドにした感じですかね。



正解はウルトラマン80(エイティ)に登場した怪獣である。
フルネームは「コブ怪獣 オコリンボール」と言う。
怪獣ではあるのだが、「オコリンボール」という名前、「コブ怪獣」という二つ名の両方から1パーセントも強さが感じられない

実際ウルトラ怪獣にはいろんな奴がいるもので、シリーズを通してみればおマヌケな怪獣というのも珍しくない。
有名所では
などが挙げられる。

えーとにかく宇宙は広いのだ。「オコリンボール」なんて気の抜けた名前の怪獣が居ることは何ら不自然ではない。
それではオコリンボールがどんなヤツなのかを確認するため、
コイツが登場したウルトラマン80第20話「襲来!! 吸血ボール軍団」を見てみよう。

ん?今なんか穏やかじゃない文字が見えたような…?






任務を終え地球に帰還する、UGM(今作の怪獣やっつけ隊)の元締め組織UNDA所属の宇宙船ムーンセレナーデ号。
久々の地球を楽しみにしていた隊員たちを乗せたムーンセレナーデ号は、突如未確認飛行物体に襲われ地獄絵図と化した!



「どうした!どうしたんだ!
応答せよ!
ムーンセレナーデ号応答せよ!」

「ボールです!無数のボールが…
 まるで生きているようだ、
 こっちへ向かってきます!」

ガラスが割れる音。何者かのうめき声。断末魔の絶叫

「どうした、ムーンセレナーデ号応答せよ!
ムーンセレナーデ号…」

「レーダーから宇宙船が消えました!」



直後に大気圏内へと突入した無数のボールを追ってUGMは出動。
特殊車両スカウターS7で現場に赴いた矢的隊員(ウルトラマン80)とタジマ隊員、なぜか一緒にいる広報官のセラは、道路に血溜まりを作って停止している自動車を発見する。
だが中に残されていたのは、全身の血を吸われてミイラ化した運転手の死体だけ。
今際の際にどうにか握り潰したのか、死体はぐちゃぐちゃに潰れた見たこともない生物を握りしめていた…



「これはあなた方が持ち帰ったボール状の一部の組織ですが…
 素早く動くものに敏感に反応する性格を持っています。
 ただ…」

「ただ…何ですか?」

「ただ…だからといって、これを一個の生物だとするには問題がありますね
 断言はできませんが…このボール状のものは、
 何か別の生命体の一部分ではないかと思うんです」



未知の生物は一個体ではなく、もっと大きな生物の一部分であるという研究者。
時を同じくして、UGMの自動車整備士が車内から飛び出した吸血ボールに襲われ死亡する。
吸血ボールはスカウター車内に潜み、UGM基地へ潜入していたのだ!
UGMは基地内に毒ガスを流すという捨て身の戦法で辛うじて極東支部内の吸血ボールを全滅させるが、その直前にタジマが吸血ボールの毒牙にかかってしまう。
隊員達は1000分の3以下の可能性に賭け、タジマをコールドスリープさせてボールを完全に殺す事を試みる。
しかし、その間にも吸血ボールは殺人と分裂を繰り返し、日本全国へとその触手を伸ばしていた―



日本を襲ったボールの一群は
関東を中心に日を追って
日本全国のあらゆる市町村に広がり出した

恐怖で理性を失った人々は
UGMから出された外出禁止令を無視して
外に溢れ出た

ボールは逃げ惑う人々の首筋に
容赦なく襲いかかった
ボール軍団は移動するときは触手を引っ込め、
いざ人間に襲いかかる時に吸血触手を延ばすのだ。



日本の運命を賭けたUGMと殺人ボール集団の死闘が続いた
だがどんな最新兵器も、養分を吸っては分裂し増え続けるボール軍団には効果がなかった。




吸血ボール対策国際会議の会場をも襲撃し、要人を次々と殺害した吸血ボールは、
攻撃を仕掛けてくる防衛軍戦闘機に対してマザーボールを中心に集結し、一体の怪獣としての正体を表した!


「やっぱりあのボールは怪獣の一部だった!!」


コブ怪獣 オコリンボール

身長:10センチメートル~60メートル
体重:最大4万8千トン
出身:宇宙

本体兼司令塔であるバスケットボール大の「マザーボール」と、端末であるテニスボール大の「子ボール」からなる群体怪獣。
マザーボールを頭に据え、身体は無数の子ボールが人型に寄り集まることで怪獣としての姿を形成する。

子ボールは動くものに反応して襲いかかる習性を持ち、平時の子ボールは一般的なテニスボールと見分けがつかない姿を装って活動。
動く生物に襲い掛かりくっ付くと2本の触手を皮膚を突き破って体内に伸ばし、脳と心臓に触手を食い込ませ血液を吸収。獲物を瞬時にミイラ化させる。
この性質上、一度襲われてしまうと外科手術による排除は不可能である。
唯一、被害者をコールドスリープに掛ければ摘出可能となるが、蘇生させる際に被害者の心臓が持ち堪えられないかもしれないという大きなリスクがある。

おまけに、吸血・分裂能力以外の戦闘力もかなり強い。
マザーボールは赤色の破壊光線を発射する能力を持ち、合体後は頭部となってさらに威力を増した光線を発射できる
合体前のマザーボールのレーザーは防衛軍の戦闘機を次々と撃墜する高い命中率を誇る。


決戦!オコリンボールvsウルトラマン80!

日本全国で吸血と分裂を繰り返し、遂には体重4万8000tの大怪獣に合体したオコリンボール。
オコリンボールのレーザー攻撃からUGMの戦闘機は辛うじて光線を避けつつ応戦していたが、矢的隊員のスカイハイヤーが遂に被弾、撃墜される。
矢的猛は咄嗟に変身、爆炎の中から現れたウルトラマン80と怪獣オコリンボールの決戦が始まる!

格闘戦を仕掛けるウルトラマン80だが、群体怪獣であるオコリンボールのトリッキーな性質のためマトモに攻撃が通らない。
全身がボールの集合体であるため弾力性に富み、打撃で倒しても起き上がり小法師のようにすぐに起き上がってくる体を柔軟にくねらせて飛び蹴りをかわす手が滑ってしまい投げ技が掛けられないと、物理攻撃に対してはほぼ無敵である。

攻撃能力については頭部からの光線のほか、子ボールを飛ばす攻撃を使用。
おまけにあくまで怪獣形態は子ボールが合体した姿に過ぎないので、本体であるマザーボールを撃破しない限りオコリンボールが死ぬことはない。
80の必殺光線であるサクシウム光線すら効果なし。危うしウルトラマン80!

攻め手がないかと思われたが、窮地の80が両目から発射した光線ウルトラアイスポットが本体であるマザーボールを直撃、甚大なダメージを受ける。
合体状態を維持できなくなったのか、オコリンボールの体から崩れるように子ボールたちが切り離されていく。
街に撒き散らされた夥しい数の子ボールは、次々と連鎖爆発。最後のあがきとばかりに被害を残す。
残ったマザーボールはウルトラスラッガーを受けつつも宇宙に逃走したが、追いかけてきた80からウルトラアイスポットを再度喰らい、宇宙の彼方で消滅した。
多大な犠牲を出しながら、かろうじて地球は吸血ボールの魔の手を免れたのである…。









誰だおマヌケな怪獣とか言ったヤツ!?



おそらく「ウルトラマン80」全50話の中で最も多くの人を殺した怪獣である。
通常の怪獣がある都市のある地点を破壊するのに対し、オコリンボールはその性質を活かして日本全国で人間を殺しまくり、ウルトラシリーズでも稀に見る被害を残した。
恐らく、直接手にかけた人間の数では「円谷史上最悪の怪獣」と言われるシルバーブルーメすら上回っているだろう。
しかもミイラ化した被害者の特殊メイクが妙によくできており、おまけに子ボールのぐちゃぐちゃ死体がやたらグロテスクである。

ちなみにデザインも人型とは言うものの、顔や手のひら等の細かいパーツは存在せず、大小の球体を無理やり人型にまとめてブツブツを生やした様な感じであり、はっきり言ってキモかわいいならぬキモグロい
「見た目キモい」「やり口エグい」「被害デカい」と最悪の三拍子が揃っており、トラウマ度では多分スペースビーストともガチでタメ張れる。
『ウルトラマン80』という作品自体の知名度が低いためあまり有名な怪獣ではないが、ウルトラマン80を観た人の間では屈指のトラウマ回に数えられている。



1つだけ言わせてもらえるならば…
こんな禍々しい怪獣にオコリンボールなんて名前付けたのは誰だぁっ!!



◆余談

  • このエピソードのラストは、隊員達が無事に生還したタジマと談笑していた際に、病室に飛び込んできたボールを見て全員大慌てになる(矢的に至っては銃を抜いていた)も、実はセラが遊びに使っていたものでした、というもの。
    こんな事件があった直後にボール遊びが出来るセラの胆力には恐れ入る。

  • 鳴き声はアブドラールスの流用。「ヴォオォォオォオオ…」だから怖いって!

  • デザインは山口修。特撮監督からは「目が無いと表情が作れない」と難色を示されたとか。

  • この回の監督は『Q』『マン』『セブン』で数多くの監督を務めた野長瀬三摩地。
    『セブン』以来ウルトラから離れ東宝の「円盤戦争バンキッド」などを撮っていたが、『80』で久々にウルトラシリーズに復帰し本作を含め3本でメガホンを握った。
    『80』を最後に監督を引退、96年に逝去。

  • この回の脚本としてクレジットされている土筆勉とは「ウルトラマンA」でヤプール人の声を演じた高田裕史(本名:高田拓土彦)氏のペンネームである。

  • ウルトラマンティガ』の「霧が来る」に登場した寄生怪獣マグニアや、『ウルトラマンダイナ』「湖の吸血鬼」に登場した吸血生命体マリキュラは、オコリンボールに近い性質を持っている。
    マグニアは人間に寄生体を取りつかせて血を吸いつつ操る怪獣で、オコリンボールと同様ボールの集合体のような姿を持つ。
    マリキュラは大量のマリモっぽい吸血球体が合体した怪獣であり、外見こそ似ていないが性質は非常に近い。

  • 80との戦闘中、こいつを構成する子ボールの一つが身体から外れて凄い勢いでスッ飛んでいった
    無論、アクション中に着ぐるみが破損するという唯のアクシデントだろうが、それでも何か空恐ろしい物を感じずにはいられない。

  • なぜわざわざ吸血ボールのうろついてる日本で吸血ボール対策会議を行ったのか詮索してはいけない。






―追記・修正するそこのあなた、背後にボールが浮かんでいませんか?


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最終更新:2022年07月12日 07:05