問題児たちが異世界から来るそうですよ?

登録日:2011/05/17(火) 14:45:56
更新日:2022/07/24 Sun 16:26:32
所要時間:約 3 分で読めます




悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。
その才能を試すことを望むのならば、
己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、
我らの"箱庭"に来られたし。




著者:竜ノ湖太郎
イラスト:天之有→ももこ
レーベル:角川スニーカー文庫

略称・通称は『問題児』又は『問題児シリーズ』。
第一部である『問題児たちが異世界から来るそうですよ』は、既刊本編11巻、短編1巻で完結。
2021年3月現在、第二部である『ラスト・エンブリオ』が本編既刊8巻で連載中。
第二部では第一部の主人公である逆廻十六夜の弟、西郷焔が新たに主人公に加わり、W主人公方式にも似た形で話が進んでいる。

合計19巻にも及ぶ長寿作品であり、スニーカーでも五指に入る大人気作品である。
……が、いかんせん知名度や売上では『涼宮ハルヒの憂鬱』や『ロードス島戦記』、近年では『この素晴らしい世界に祝福を!』といったアニメ化も大成功した面子には一歩劣るのが現状。
もっと上手く販促しろよ、角川!アニメもう少しうまく出来ただろ! などと読者皆が言いつつ、遂に今日まで至ってしまった。
実際めちゃくちゃ面白いので、是非ラノベ好きの君には買って読んで欲しい。




☆あらすじ


現代社会にて、己の力を持て余し、退屈な日々を過ごしていた少年、逆廻十六夜。
そんな彼にどこからともなく手紙が届く。
訝しみながら開けた途端―――完全無欠な異世界に!?

十六夜の前に現れたのは、彼と同じ悩みを抱えていた少女二人。
そして彼らを呼び出したウサミミ少女・黒ウサギと、滅びかけのコミュニティ"ノーネーム"
十六夜は数多あるコミュニティの中からあえて、
"魔王"に敗け、名を、旗を、仲間を奪われ誇りを失った"ノーネーム"に所属することを決める。
箱庭に君臨する魔王たちを片端から薙ぎ倒し、星空に取り戻した旗印を飾る。
それはきっと……最高に"面白い"はずだと思うから。

そうして"ノーネーム"の、魔王たちとの全てを賭けた死闘が始まる。
その裏に―――彼らが捨てた世界さえも巻き込む、大きな陰謀を隠しながら。



【概要】
タイトルからは想像もつかないが、現代世界から呼ばれた3人の問題児である主人公達が世界各地の神話・伝承・民話・科学等々に関連するキャラ達を相手に大立ち回りを繰り広げるアクションファンタジー。
主人公達は"外界"と呼ばれる無限の並行宇宙から選ばれ、"箱庭"と呼ばれる異世界で暴れ回ることとなる。
後述するが、"箱庭"は外界と深い関係のある異世界であり、外界≒我々の世界に残る伝承があるということは、"箱庭"において功績を持つということを指す。
故に、問題児シリーズでは、『帝釈天』のような神霊から『ウィル・オ・ウィスプ』のような民間伝承まで、様々な霊格を持つ強者が登場し、己の伝承に相応しいゲームや"恩恵(ギフト)を使用する。
彼らに対し、主人公達が如何に挑み、ゲームをどう攻略するのかもまた、この作品の見どころである。

余談だが、中々に長いタイトルについては、
「ギフトゲーム」→ボツ→「つきうさぎと箱庭魔王」→もう一声
と2度のリテイクを担当から食らった後に送ったいくつかの候補の中から選ばれたとのこと。

また女性キャラ比率が多いこともあって主にコスチューム方面でのサービスが盛ん。
一方で今のところ恋愛的要素が希薄かつ男連中もラッキースケベに逐一動じることがないため、ラブコメやToLOVE的展開はほぼない。



☆登場人物

逆廻十六夜(さかまき いざよい)
CV:浅沼晋太郎
本作の主人公。薄めの金髪に瞳は紫。物語開始時点では17歳。
元の世界では一応高校に所属していたが、それは友人金糸雀への義理で裏口を使っての入学。それ以前は学校に通っていない。
編入試験は満点合格と好成績だったものの、ツチノコに例えられるほどサボりにサボっており、"箱庭"に来る直前には退学寸前であった。
虚空から風に乗り舞い落ちてきた封書(後に本当は金糸雀からの遺書の最下部に仕込まれていた封書と判明)を開いて異世界にやってきた。
性格は陽気で、何事も「面白いかどうか」を優先する快楽主義者にして問題児。
己の高い能力から「天は俺の上に人を創らず」と豪語する傲岸不遜な男であり、常に己に揺るがぬ自信を持っている。
一方で、己の間違いを素直に認めたり、相手が格上であることを特に問題なく受け入れるなど、意外にも割と謙虚。
傲慢さは事実を基にした確信から来るもので、現実が変わればそれにふさわしく動く、ということだろうか。
その人となりは顰蹙を買うことも多いが、誠実さと必要ならば頭を下げることも厭わない真摯な行動から一定の評価は受けている。
これに関しては元々"箱庭"には十六夜では比べ物にならないほどの問題児がたくさんいるため、皆あまり気にしないというのもあるが。
常に己の行動に対して全ての責任を取る覚悟で物事に望んでいるため、基本的に泰然自若とした姿勢を崩さず、余裕を失うことは稀。
しかしそれが逆に「最終的には自分が責任をもってなんとかするつもりでいる」という癖となり、弟分が自分の手の届かない場所で苦境に居ることを知り苦い思いをする、仲間が傷付くことを必要以上に恐れて焦るなど、感情を揺れ動かされることもある。というかマイナス方向に感情を動かすときは概ねこれ。
その辺りが生粋の快楽主義者でありながら人間関係では細やかな気配りを欠かさない部分に現れている。
また、過去に経験から"社会的弱者"には優しく、元の世界での己の所属する孤児院の子供たちを慮った行動や、滅びかけの"ノーネーム"への協力はそれに由来する。

ギフトゲームの参加者/プレイヤーとしては、高い身体能力と物的な恩恵以外を無効化する"正体不明"による直接戦闘だけでなく、高難度ゲームの謎も解き明かす頭脳も持ち味。
知識を収集することが趣味の一つであることもあり、特に"魔王"とのゲームでは彼による謎解きが勝利に大きく貢献することもしばしば。
一介の参加者としてただ戦っても強く、ゲームメイカーとして指示を出すことも苦にしない、非常に優秀なゲームプレイヤーとして数多のゲームで活躍している。
武智勇の総合力では修羅神仏犇めく"箱庭"でも上位層に位置するという、純粋な人間では最上位の存在。*1
技量は元の世界で殴り合える相手がいなかったこともありあまり高くないが、才覚と暴力的なゲームメイク*2により補い神域の武術家とも渡り合ってきた。
初期から問題児たちの中でトップの実力を誇り、"ノーネーム"を引っ張ってきたが、第二部では他の二人の追い上げによりその差は大きく詰まった。
しかしハイリスクな代償はあるものの、光速移動及び別次元にパワーアップした超身体能力と十六夜にも強化が入ったため、現時点でも"ノーネーム"最強戦力のままと思われる。
口癖は「しゃらくせえ!」、「いいぜいいぜいいなオイ!!」。後者は第二部ではあまり言わない。
所有ギフト:"正体不明(コード・アンノウン)"、"白雪姫"、"獅子座の太陽主権"、"蛇遣い座の太陽主権"、"疑似神格・梵釈槍(ブラフマーストラ・レプリカ)"。


久遠飛鳥(くどう あすか)
CV:ブリドカットセーラ恵美
3人の問題児の一人。黒髪青目。物語開始時点では15歳。
第二次大戦後すぐの世界からやってきた、『令嬢』という言葉がふさわしい誇り高き美少女。

元の世界では日本でも五指に入る久遠財閥の令嬢であり、一時は頭首筆頭候補に選ばれるほどの秀才だった。
しかしその身に秘める恩恵・"威光"が「己の強く発する言葉が、聞いた相手に洗脳のように作用する」効果として発現したことで疎まれ、監獄のような寮生活を強制させられてしまう。
ままならない世界/思い通りになる世界を嫌って"箱庭"に来たため、"箱庭"の世界に来たことへの喜びは強く、3人の中で唯一元の世界への未練がまったくない。
"箱庭"では主に赤いドレスを愛用しており、ペストからは「赤い人」とも呼ばれている。
十六夜からは「お嬢様」とからかい半分で呼ばれており、自身も「十六夜君」と親しげに呼ぶ、遊び友達に近い関係*3
3人の中では比較的常識人だが、初めに耀に友人関係を求めたり、率先して十六夜の悪だくみに乗ったりと、3人の関係を引っ張っていくのは彼女であることが多い。
来た時代が時代でかつ箱入り娘であったことから、他の二人や"箱庭"の文化に対してジャネレーションギャップやカルチャーショックを受けることも。
特に昭和女子らしくスカートの長さにはこだわりがあり、ロングスカート以外は着ない。

ゲームプレイヤーとしてはまだまだ未熟。それだけ伸びしろがあるとも言われている。
当初は咄嗟の機転や"威光"による大量の格下への対応能力などは比較的優れていたものの、身体能力は人並み程度。
"威光"による支配が効かない相手となると、「ギフトを支配するギフト」として"威光"とギフトを使っても勝率は芳しくなかった。
2巻で神珍鉄製の巨大な鉄人形"ディーン"を手に入れてからは直接戦闘力が増すも、まだ本体への攻撃には弱いまま。
"ディーン"の何度かの強化を経た後、山羊座の星獣"アルマテイア"を従えるようになり、また「疑似神格の付与による対象の超強化」という"威光"の真の力に気付き、それらを組み合わせるようになったことで能力は飛躍的に上昇。
"アルマテイア"による三桁にも通用する絶対に近い防御と雷速の移動能力を手に入れ、凡百のギフトを"威光"で超強化すれば煉獄の焔を凍結する冷気や神群を纏めて殺す"バロールの死眼"の視線を燃やし止める熱量を出せるようになり、神霊級の相手を完封することさえ可能になった。
また"威光"による強化は、仲間の数が多い戦闘との相性が非常に良く、"ノーネーム"最強の敵だったアジ=ダカーハとの一戦でも、"サラマンドラ"の同志たちを率いて多大な貢献を成し遂げた。
反面、昭和という現代に比べて知識へのアクセスが難しい時代から来たこともあり、頭脳面ではあまり役に立てていない。
地頭はよく、"アルマテイア"にも付きっ切りで指導を受けているため、こちらは今後に期待したい。
第二部では"全権領域"に片端突っ込んだ恩恵、"天叢雲剣"をひっさげ神霊級の肉体を手に入れて登場。
3人の問題児で最強になっているのでは、という読者の予想を裏切り、凡庸な太刀筋が原因で完全には使いこなせないという相変わらずの成長枠感を見せる。
とはいえ一度突き刺されば必殺に近い能力であるため、フィニッシャーとして2人と肩を並べられるようにはなっている。
所有ギフト:"威光"、"白銀の騎士剣(正式名称不明)"、"ディーン"、"メルン"、"ハーメルンの風切り笛"、"アルマテイアの城塞"、"天叢雲剣"など。


春日部耀(かすかべ よう)
CV:中島愛
3人の問題児の一人。物語開始時点では14歳。元の世界からの友人である三毛猫を連れている。
小柄で全体的に小さめな少女。無口で表情も乏しかったが、物語が進むにつれ改善されて行った。
見た目に似合わない大食漢で、大規模な商業コミュニティ"六本傷"の食糧庫を一人で壊滅させるほど。
三人の中で唯一(現代から見て)未来から来た存在であり、彼女の世界ではヨーロッパが統一されている。
元々は科学が発展した未来でもどうしようもない不治の病により自由が効かなかったが、父親からもらった恩恵"生命の目録"のお陰で動けるように。
異種族と会話し力をもらえるその恩恵によって、動物の友人は多かったが、人間の友人は居なかった。
"箱庭"には友達を増やすために来た。上述の通り飛鳥と友達になったことで人生初の人間の友達ができる。
その後も"箱庭"に住む幻獣や神獣など、異種族の友達を増やしていく。
一方で人間の友人がいなかったことから、初期は協調性の無さから失敗してしまうことも多かった。
しかし三毛猫が起こした事件以来、コミュニケーション能力のなさと併せて巻を追うごとに改善されており、"ヒッポカンプの騎手"では仲間と力を合わせて見事チームを勝利に導いた。

ゲームプレイヤーとしては、"生命の目録"によって得た様々な動物の能力を使う技巧派。
"箱庭"では幻獣の恩恵も得ており、『鷲獅子(グリフォン)』の風を操る力や『巨人』の剛力、『光翼馬(ペガサス)』の念動力や『大鵬金翅鳥』の対神・対龍の炎など強力無比な力も多い。
接触によるサンプリングで模倣した恩恵は重複しようが可能であるため、単純に重ねるだけでもめちゃくちゃ強い。
まだ"生命の目録"には、未接触だとしても、系統樹を持つ幻獣や神獣の恩恵ならば一度に一つに限り模倣する能力があるため、彼女が使用可能な恩恵は無限にも等しい。
ゲームメイカーとしての才能もあり、魔王のゲームの謎を解いたこともあるが、十六夜の方が優秀なため良いところを持っていかれることもままある。
総じて優秀なプレイヤーであり、十六夜も一時は(ナーバスになっていたとはいえ)「俺でも勝つことは厳しい」と言うほどに彼女の実力を認めている*4
第二部では階層支配者に就任した"ノーネーム"の頭首として登場。
フリーダムさが天井知らずに上昇した一方、階層支配者としての責任感と強い正義感を備えており、精神的にも立派に成長したことがわかる。手足は少し伸びたとはいえ胸がまるで成長していないのはご愛敬。
護法十二天のトップである帝釈天相手に見事な交渉術を見せる、"生命の目録"に秘められた新たな力を引き出すなど、3人の問題児の中でも最も成長しすわ最強かとも思われたが、十六夜の強化もあり本気で戦ったらどうなるかは、今の所なんとも言えない。
所有ギフト:"生命の目録(ゲノム・ツリー)"、"ノーフォーマー"。


黒ウサギ
CV:野水伊織
箱庭世界創始者の一柱、『帝釈天』の眷属であり"箱庭の貴族"と謳われる"月の兎"の少女。
チャームポイントは黒(青)髪と同色のウサミミ。感情が高ぶると桜色や緋色に染まる。
年齢は200歳前後だが、精神的にはそこまで老成しているわけではなく、若い少女である外見に相応しい精神。
問題児たちが来るまで"ノーネーム"をほぼ一人で切り盛りしており、"ノーネーム"への思い入れは人一倍。
種族的に献身的であることもその一因だが、要因としては彼女の過去が大きい。
元々、黒ウサギは神格級の恩恵を四つも生まれながらに授かった神童。
一族が失った月の主権・"月界神殿"をも持って生まれた彼女を繁栄のの吉兆として捉え、"月の兎"たちは喜んだが、黒ウサギが10歳を迎えた誕生祭の日、本拠地である"月影の都"を魔王アジ=ダカーハに襲われる。
彼女以外の"月の兎"は彼女を逃がすために戦い散っていき、最後に残った彼女を助けたのが現"ノーネーム"だったのだ。
そのおよそ200年後に"ノーネーム"は謎の"魔王"に敗北し、力を持つ同士は奪われるも、一人残った彼女が白夜叉から審判業の斡旋を受けることでなんとか存続してきた。
全ては"ノーネーム"を再び蘇らせ、同士たちを集め、また"箱庭"に旗印を掲げ、名を取り戻すために。

彼女は"月の兎"として"審判権限(ジャッジマスター)"というゲームを正当に動かすための権利を有し、"箱庭"の中枢と繋がることで広範囲を把握する優れた能力を保有する一方、ゲーム参加には厳しい制限がある*5
よってプレイヤーとして参加することは少ないが、"審判権限"による一時的なゲームの中断は、魔王に奇襲を仕掛けられたときに仕切り直すことができるため非常に強力。
プレイヤーとして参戦した場合、敵対者に振るわれるのは、攻防速のどれをとっても優秀な天雷を招来する"疑似神格・金剛杵"、刺されば無限の熱量により不死であろうと魂諸共跡形もなく消滅させる"疑似神格・梵釈槍"、眩い太陽の輝きを放ち装着者を不死とする"疑似神格・日天鎧"、敵対者を問答無用で酸素のない月へと飛ばす"月界神殿"などの恩恵。
身体能力も跳躍力や速度は十六夜と互角の接戦を演じることもあるほどに高く、総じてかなりの戦闘能力を誇る。
第二部では幼女の姿で登場。
十六夜に"疑似神格・梵釈槍"を常時召喚状態で貸し与えているため霊格が削れているからだとか。
それでも帝釈天と月天の霊格を預かっているため、本来の力よりも強く、四桁以上の霊格を保有している。
舞台が「第二次太陽主権戦争」という神々が用意したゲームであることもあり、基本ただの審判役のみを勤めている。
所有ギフト:"疑似神格・金剛杵(ヴァジュラ・レプリカ)"、"マハーバーラタの紙片"、"月界神殿(チャンドラ・マハール)"。


★ジン=ラッセル
CV:五十嵐裕美
物語開始時点では"ノーネーム"の頭首を務める11歳の少年。
問題児たちの来訪直後は堅実なようで現実を見ることができておらず、先を見据えず甘い考えを持っていた。
しかし十六夜に叱咤され、彼の導きを受けながら一生懸命背中を追うことで急成長。
名うてのコミュニティや魔王を相手に一歩も退かない交渉をするまでに至った。

所有ギフトは"精霊支配者(ジーニアー)"
かつて四桁の"ソロモンの霊王"が72体の魔王を封印*6し、その功績により授かった恩恵が元となっており、
彼がその恩恵を他者にも授けるために用意した試練(ゲーム)・"アラビアンナイト"をジンの一族がクリアしたことで得た恩恵。
単体ではあまり強力な恩恵でないが、契約を結び隷属させた存在を、己との強弱関係なしに十全に支配することができる。
後述の通り、魔王のゲームに勝利条件を全て満たして勝利した場合、魔王を隷属させることができる。
よって魔王を倒せば倒すだけ自らの力と化せるという、対魔王を掲げる"ノーネーム"においては非常に強力な恩恵。
実際に3巻では、2巻で"ノーネーム"と激闘を繰り広げた"黒死斑の御子(ブラック・パーチャー)"ペストを従えた。
ペストとの関係は良好で、彼女の「黒死病の大流行という歴史を変える」目的を肯定、いずれコミュニティの再建を果たした際には"ノーネーム"を離れ彼女のために動くつもりだった。
殿下率いる魔王連盟第三部隊との交渉の際、ある失敗をしたことを機にしばらく彼らと共闘、"遊興屋(ストーリーテラー)"を名乗る男による説得の末、"ノーネーム"を離れ彼らと行動を共にすることにする。
第二部では殿下率いる"アヴァターラ"の幹部として登場。
若いとはいえ神霊や多くの魔王をその恩恵により従え、彼自身も"アヴァターラ"の前線指揮官として成長した姿を見せる。
十六夜のことは兄のように思い今でも尊敬しているが、仮にも敵として現れた自分に対し、特に敵視することがない様子に複雑な感情を覚えている。


白夜叉
CV:新井里美
和風の服を着た、角のある白髪の幼女。
本来実体がないため外見は可変であり、仏門に神格を返上した直後は美麗な女性に、第二部では初期よりいくらか年を重ねた少女の姿を取っている。
"ノーネーム"のある東側の階層支配者であり、外見に反して最強の階層支配者と呼ばれている。
その実力は本物で、初対面であの十六夜に戦わずして「勝てない」と認めさせ、劣る立場としての「挑戦」を受け入れさせた。
セクハラや万年暇に見える不真面目な言動が目立つものの、実際には後任の蛟劉が忙殺されるほどの仕事量を全てこなした上で遊んでいる超有能な人物。
過去を含めれば問題行動は数多く、箱庭"三大問題児"の一角とされるも、現在はむしろ最強種の中では良心的で社交的である。
かつて名があった頃から"ノーネーム"とは付き合いがあり、その没落に強い後悔を感じている。
それもあり、"ノーネーム"の没落以降、審判業を快く斡旋し、問題児たちが召喚された後も忠告やゲームの斡旋を幾度となく行ってくれていた。

太陽と白夜の星霊としての霊格と夜叉としての神格を持つが、後者は仏門に帰依した時に手に入れた、霊格の低下をもたらす縛りに近いもの。
元々の霊格は原始宇宙の全質量を司る、世界の創世に於いて星々の全ての質量を飲み込んだ原初の星。
"サウザンドアイズ"の双女神により解体されたことで世界は天と地に分かたれ、星霊最強個体は"人類最終試練・天動説"と名を改めた。
今では"天動説"が否定されたことで霊格を大きく落としたものの、未だに計り知れぬ霊格を保有する、"全権領域"=二桁に席を置く箱庭席次第10番
第一次太陽主権戦争の優勝者でもあり、赤道黄道併せて24個存在する太陽の主権を過半数、14個も保有している。
神格を返上しただけでも一撃で神霊級を五体殺害し、4つの太陽主権を使うだけでも四桁の蛟劉と"ノーネーム"を纏めて相手取って勝利。
その気になれば一体だけでも"ノーネーム"総出でなんとかした星獣を14体出せるというトンデモ振り。
また過半数の太陽主権を持ち、太陽の運行を司る彼女は、名の通り白夜だけでなく極夜を顕現させることも可能。
それにより太陽神への殺害能力が非常に高く、太陽神であろうと彼女には太刀打ちできないとされる。
また彼女の持つ"主催者権限"を最大限にまで活用した場合、霊格は無限に大膨張、誰にも解けないパラドックスゲームを仕掛け、自分ごと相手を永久に封印できる。
箱庭の黎明期を知る数少ない存在の一人。

"階層支配者"たちを同時多発的に襲った攻撃に対し、仏門に神格を返上したことで東に放たれた大魔王アジ=ダカーハの分体を一蹴。
事態を収拾する大きな要因となるも、"天動説"を司る元"人類最終試練"であるため、素の霊格で下層にいては外界の天体法則に悪影響を及ぼすことが懸念され、上層に戻ることに。
アジ=ダカーハ解放後は、自らの愛した下層に住む者達を守るため、自身の"主催者権限"によって封印するつもりで下層へ無理矢理下ろうとする。
しかし"斉天大聖"孫悟空の説得を受け、"ノーネーム"たちの勝利を祈って身を隠した。
第二部では、前回優勝者として第二次太陽主権戦争の主催者となる。
同時に"外界"で起こっている騒動の収束、人類史の完成に向けて陰で動きつつ、余計なことをする主催者・出資者の鎮圧に力を注いでいる。


☆用語

"箱庭"
場所は神霊や星霊などの超高位存在から人類や獣人、幻獣や普通の生物まで幅広く存在する異世界。
天動説に近い、「球状ではない大地の上を神造太陽が廻る」神造世界の中心に位置する超巨大な都市。
世界にある大地は恒星級の面積を持ち、"箱庭"外にも都市はあるが、様々な点で"箱庭"が中心であることに変わりはない。
世界の全ては"箱庭"のためにあり、天の彼方にある星々も星の主権があれば操作可能。
光を透過する巨大な天幕に覆われており、天幕を通すことで本来は陽の光を浴びることができない種族でも日光に当たることができる。
本来は無限に発生し更に無限に分岐する人類の世界、"外界"を正しく導くために生まれた場所。
故に人類史と密接な関係にあり、"箱庭"で起きた事件が"外界"に伝承として伝わることもあれば、"外界"の運命を左右することもある。
逆に"外界"の「"箱庭に呼ばれるべき伝承を持つ者"」などを可能性を収束して呼ぶこともあり、
"箱庭"と"外界"の東西南北に密接なかかわりがあることから、東アジアから召喚されれば東側に、西欧諸国や中東から召喚されれば西側に呼ばれることが多い。
余談だが、北側はスラヴ神群や北欧神群、更に凶兆を示す悪鬼羅刹が住み、南側は豊穣の地として幻獣を中心に様々な種族が入り混じっている。
とはいえこれはディストピア戦争前の話。現在の西側がどうなっているかは謎に包まれている。

円形に近い都市はバームクーヘンのように7つの支配層に分かれており、一番外側の階層が当初"ノーネーム"の本拠地があった7桁。
一般的には1~4桁を上層、5桁を中層、6~7桁を下層と呼び*7、内側に行くにつれて数字は若く、所属するコミュニティは強くなる。
名のある修羅神仏であれば4桁に位置し、特に強力な神霊・大神群のコミュニティの本拠地が3桁とされる。
この「〇桁」という表現はコミュニティとは別に個人にも使われることがあり、特に単独でコミュニティを形成するような個人の場合、「単独〇桁」という表現になる事もある。
また個人の実力に応じて所属階層とは異なる数値で呼ぶ場合もあり、例えば上述のペストは"推定五桁の魔王"、十六夜は"四桁相当"とされる。

また階層以外にも細かい地域の区分が存在する。
"外門"と呼ばれる区分けごとに"境界門(アストラルゲート)"が存在し、巨大な"箱庭"を巡るため転移に近い恩恵が備わっている。
サイズ的な関係もあり、上層ほど外門が少なく、下層ほど外門が多い。
これは「〇桁」と呼ばれる理由の一つでもあり、文字通り一桁なら一~九まで9外門に、七桁であれば900万近くの外門に分けられている。
すべての外門が所有され席が埋まっているとは限らず、二桁は一〇~九九外門まであるが、現状二桁はたったの17人ほど。
外門を統括するコミュニティは"地域支配者(レギオンマスター)"と呼ばれ、"境界門"の利権や無償利用など、外門における様々な権利を獲得する。
"ノーネーム"が当初所属していたのは二一〇五三八〇外門である。

『神魔の遊戯場』と称される通り、普段は強力な恩恵持つ存在が互いに試練(ゲーム)を出し合い日々を面白く過ごす場所。
通常の法や秩序がありながらも、"神魔の遊戯"と呼ばれる"ギフトゲーム"によって多くが決まる側面もある。
そうした法や秩序を無視し、他者に"主催者権限"をもってゲームを強制する者を―――"箱庭"では"魔王"と呼ぶ。


"恩恵(ギフト)"
主に世界・星・悪魔や修羅神仏などの上位存在により与えられたものの総称。
その内容は多岐に渡り、
  • 十六夜の持つ"正体不明"のような生命体に宿る異能の力
  • 耀の持つ"生命の目録"のような力を持った道具
  • 飛鳥の持つ"ディーン"のようなそれ自体が意思を持つもの
  • 黒ウサギの持つ"月界神殿"のような星の主権
  • "水仙卵華"のような、特殊な生態を持つだけの貴重な植物
等々。問題児の世界において素の力量の多くを決める"霊格"という概念も広義ではこれにあたり、修羅神仏も世界に功績・影響・対価を与えることで霊格を得ている。
"外界"においては時代の収束点・"歴史の転換期"に合わせて顕現する人類史のバランサーシステムでもある。
世界をよりよい方向に導くため、大規模な戦争や天変地異に合わせ、恩恵を渡し、歴史の収束を促す。
そして全てが終われば、恩恵が後の世に悪影響を及ぼさないよう、時に所有者ごと"箱庭"に召喚する。
"箱庭"に招かれる者に英雄英傑や史実上の歴史的人物が多いのはこのためである。*8
また、"恩恵"の上位に相当する概念として"権能"が存在する。
これは事象や概念などを譲渡可能にしたものであり、星の主権やNBCR兵器の主権などがこれに属する。

余談だが、"箱庭"に存在する建物は大抵恩恵を付与されており、現実の建物よりも頑丈。
また"統一祖語の恩恵"*9によって、全種族の文字と、一部の幻獣などの種族の発声言語を除くほとんどの言葉が通じるようになっている。
このように、恩恵は"箱庭"においてなくてはならない概念であると同時、大抵の問題を解決する舞台装置的な役割をも果たしている。


コミュニティ
"名"と"旗印"を"箱庭"に申告することで生まれる組織を指す名称。"箱庭"の主要素の一つ。
本拠地を置く階層によって桁数が異なり、例えば五桁に本拠を置く"ペルセウス"は五桁のコミュニティ。
本拠地を置かないコミュニティも存在するが、その場合はトップの実力に応じて推定〇桁と扱われることになる。

コミュニティにとって、旗印はその縄張りを示すために、名はそのコミュニティだと証明するために必要不可欠。
「掲げられた名と旗を誇りに生きる」という言葉があるくらいに、その双方は重要な扱いを受けている。
名を失ったコミュニティは"ノーネーム"と蔑称され、その他大勢の扱いを受ける。
両方を失うことはコミュニティとしてのアイデンティティと信頼を失う事に等しい。

主人公たちのコミュニティもまた魔王に双方を奪われた"ノーネーム"であり、その他大勢に貶められたコミュニティの一つ。
象徴を何一つ持たない"ノーネーム"では成り上がることが不可能に近かったが、十六夜はジン=ラッセルを担ぎ上げ代わりの象徴とすることで「ジン=ラッセルの"ノーネーム"」として名を売り出した。
現在は名こそ取り返せていないものの旗を取り戻し、「下層で"ノーネーム"と言えばあの(・・)"ノーネーム"」とされるほどに有名なコミュニティとなっている。

詳しくは>コミュニティ


【魔王の存在】
箱庭の世界で『天災』と称されるほど強力な悪魔や修羅神仏。彼らは強大な力の他、ギフトゲームを他のコミュニティに強制する権利である『主催者権限(ホストマスター)』を持つ。
魔王による『主催者権限』の行使が行われた際は、そのルールの記された黒い契約書類が一体に降り注ぐ。

魔王とそのゲームの一例)

『黒死斑の死神』ペスト
 黒死病によって命を落とした、8000万の悪霊群、その代表にして黒死病の擬人化。
 黒い風を操り、触れたものに死の恩恵を与える力を持つ。
 ゲーム:The PIED PIPER of HAMELIN
 13世紀、ハーメルンの街で笛吹き道化によって子供達が連れ去られたという伝承。その真実を解き明かして提示するゲーム。

魔王ドラキュラ
 箱庭の騎士である吸血鬼の王族。かつて、自身のゲームにより同族を皆殺しにした。
 質量を持った影による攻撃を行う他、吸血鬼に与えられた太陽主権の一つを行うことにより、巨龍を召喚した。
 ゲーム:SUN SYNCHRONOUS ORBIT IN VAMPIRE KING
 吸血鬼を殺し尽くすためのゲーム。
 参加者の死亡すらも敗北条件にならないといった形で、主催者の勝利条件の一切を排することによって、ゲームマスターと交戦を行なった後にタイムリミットを迎えた参加者に対して、拷問・処刑といった多大なペナルティを課している。
 文面をもとに吸血鬼の城を探索することが中心になる他、ゲームマスターである「魔王ドラキュラ」の撃破がクリア条件に二重に含まれている。


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最終更新:2022年07月24日 16:26

*1 帝釈天の発言より。本人は「生まれてこの方、勇気なんてもの振るった覚えがない」と語っているが、遥か格上のアジ・ダカーハに仲間を助けるため満身創痍の肉体で挑む、殺人種の王を名乗る強敵に決死の覚悟で殴りかかるなど、勇気ある行動と言っても過言でない行動を多々取っているため、十分に勇も備えていると思われる。

*2 主に山河を砕く破壊力を活かした戦術。背後を取られては足場どころか周囲丸ごと吹き飛ばすことで撃退し、武の極み相手に詰将棋のように追い込まれては大地を蹴り都市を飲み込む程の土津波を起こして仕切り直し、など。

*3 主に遊ぶ対象は黒ウサギ

*4 と言いつつその直後のゲームでは、十六夜がそれなりの傷を負っていたにもかかわらず、七日七晩に渡る激闘の末に十六夜が勝利してマジ泣きさせている。うーん畜生

*5 ギフトゲームの審判を務めた日より数えて15日間はゲームに参加することができず、ゲームに参加するには主催者側から認可を得らなければならず、箱庭の外で行われているゲームに参加することはできない。これは"主催者権限"によって開かれたゲームでも同様。ただし主催者側に許可を取った場合、15日経っていなくとも参加できる。他にも制限はある模様

*6 単独で魔王を打倒した数では第二位の偉業

*7 5桁を下層と呼ぶこともある

*8 ただし可能性を収束させて呼び出すため、全く同じ存在が同時に“箱庭”に存在することはない。織田信長は三回召喚されているが、毎回顔も体型もDNAも違う全くの別人だった。

*9 「全ての言語が最終的に統一される」という概念に基づき作られた恩恵。常に“箱庭”全域を影響下においている