月光条例

登録日:2010/10/23(土) 03:28:45
更新日:2024/01/10 Wed 22:06:01
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「月光条例」執行!!


『月光条例』は、藤田和日郎による日本の少年漫画作品。週刊少年サンデーにて連載されていた。話数の単位は「第○条」。

●目次

【概要】


うしおととら』・『からくりサーカス』に続く藤田和日郎の連載作品。
基本的に一話完結から数話完結形式の構成になっている。

御伽噺を題材としており、和洋問わず様々な御伽噺が登場するのが特徴。
登場する御伽噺は誰もが知っているメジャーなものから、マイナーなもの、藤田自身のオリジナル等様々であり、藤田の御伽噺への拘りがうかがえる。
藤田のお伽噺に対する感想や歯痒さが動機で描かれているため、御伽噺(およびディズニー作品や世界名作劇場)に対するアンチテーゼ的な要素を取り入れており、オリジナルの解釈や話を展開する事もある。


【ストーリー】


何十年かに一度、真っ青な月の光が「おとぎばなし」の世界をおかしくする。
おかしくなってしまった「おとぎばなし」の世界を正すべく、「月光条例」の使者である「鉢かづき姫」は「読み手(ニンゲン)」の世界に助けを求めやってくる。
偶然「月光条例」の極印が刻まれ執行者となった岩崎月光は、おかしくなってしまった「おとぎばなし」を正す為の戦いを始める事に……。

【主要登場人物】


  • 岩崎月光
本作品の主人公で、現高校に通う不良。腕っ節が強く、非常に喧嘩っ早い。性格が天邪鬼な為他人から誤解されがち。
なりゆきで鉢かづき姫を助けた際に顔面に月光条例の極印が刻まれ、執行者となってしまった。
「300kmを超えたシンデレラの車を走って追い抜く」
「鉢かづき姫が不在で極印が出ないにもかかわらず素手で条例執行をする」
「強力な刀の一撃を兜等付けてないにもかかわらず弾き返す」
等、明らかに普通の人間では有り得ない身体能力を持つ。
後に桃太郎との戦いにおいて自分が人間ではない事を悟る…。

彼の生い立ちは涙無しには語れない。

  • 演劇部(エンゲキブ)
本作品のヒロインで、本編における代表的な語り部。「演劇部」はあだ名で、本名は今のところ不明だが…
幼馴染の月光に好意を抱いており、彼を振り向かせる為に様々な男と取っ替え引っ替え付き合うので、周りから尻軽女と言われる事も。
実は、そうなった背景には深い理由があるのだが、明かされるのはだいぶ後のほうである。

  • 鉢かづき姫
おとぎばなし「鉢かづき姫」の主人公。
亡き母親から与えられた大きな鉢を頭に被った『お伽草子』のお姫様で月光条例の使者。なりゆきで月光条例の執行者になった月光とコンビを組む。
実は<呑舟(ドンシュー)>という異名を持つおとぎ話の世界では有名な伝説の使者。

大きな鉢がいつも月の光を遮るので、月打されない希有な人。

素顔は美人…ぽい

  • 岩崎徳三
「ラーメンいわさき」の店主で、月光の育ての親。数少ない月光の理解者である。
容姿は『からくりサーカス』に登場した生方法安とそっくり。

  • 高木天道
暴走族の間では「走り屋天道」として恐れられている。月光とは犬猿の仲だったが、シンデレラの件以降は月光の協力者となる。

  • 工藤(トショイイン)
黒髪ロングと美脚が素敵な現高校の図書委員で祖父母が営む「工藤古書店」の娘。下の名前は現在不明。
本及び童話・民話に関する豊富な知識を買われ「ツクヨミ」に一時は協力するが、「ツクヨミ」のやり方に嫌気がさし、協力者を辞退する。
その後は月光達の協力者となる。月光に好意を抱いている模様。

・イデヤ・ペロー(長靴をはいた猫)
「長靴をはいた猫」の主人公で「ツクヨミ」の一員。芸能界でも有名なアイドルグループ「スプラッシュ」に所属している。
プライドの高い性格で嫌な奴だが、友の敵の為に命を張る事もある。

・藤木裕美(ホウソウブ)
実家は花屋「花の藤木」。近所に住む工藤の中学時代までの同級生で幼馴染。ある日、タイミングよく駆けつけた月光に助けられる。
一連の出来事は月打の特性から殆ど忘れてしまっていたが、月光の事だけはおぼろげに覚えていて、彼のタイミングの良さから好意を持った。
なお、彼女は一話限りの使い捨てのキャラだったが、作者の友人の漫画家のお気に入りだった為、めでたく準レギュラー化した。

【用語解説】


  • 月光条例
「おとぎばなし」の世界でたった一つの条例。
「月打」でおかしくなった世界を正す為に、「おとぎばなし」の世界の長老らが作り出した。
条文内容はただ一つ、「青き月光でねじれた『おとぎばなし』は猛き月光で正されねばならない」のみ。

  • 月打(ムーンストラック)
何十年かに一度起こる不可解な現象。青い月の光が「おとぎばなし」の世界を照らすと、「おとぎばなし」の世界がおかしくなってしまい、性格や思想も歪み破壊や殺戮の限りを尽くすようになる。

  • ツクヨミ(漢字表記は月へんに神)
10人以上の「おとぎばなし」の世界からの使者が属している秘密の公務団体で総数は1277名。
執行者および使者同士でのチームをサポートをする為に警察や自衛隊が協力している。
「おとぎばなし」の世界の住人には「おとぎばなし」の世界の武器しか効かないという理由上、彼らの使う武器は非常に特別な武器となっている。



【余談】


本作は作者のかつての作品である『うしおととら』・『からくりサーカス』とは違い、コメディ色が強く、ストーリーもわかりやすい為若干子供向けの作品である。
その為当初は拒否反応を示す向きもあったが、そこはやっぱり藤田漫画。
12巻から始まるチルチル編でこの漫画は真価を発揮する。


以下、チルチル編のほんのりネタバレ(触りだけね)



時は、月光達の月打より一つ前の月打の時の話。

月打を受けた「青い鳥」のチルチルは物語の作者の存在を知り、作者に頼んで不幸な物語を幸せな話に変えてもらおうと奮闘する。

「マッチ売りの少女」を助けようとしたチルチルは、手段を選ばず、主役であるマッチ売りの少女を別の世界に連れ出してしまった。

当然、そんな大暴走は問題であり、月光条例執行部隊に追われてしまう。

物語に帰れば、死んでしまうマッチ売りの少女を守る為、傷つきながらも執行部隊と戦うチルチル。

物語の存在する意味とは、人間は何故物語を作るのか。チルチルはマッチ売りの少女を守る事ができるのか?そして、月光達の話とどう繋がるのか……

これらの要素が上手く混ざりながら、往年の藤田節で展開するのである。もう子供向け作品とは言わせない。


あなたも、是非、一度『月光条例』を読んで欲しい。

過ぎ去った幼い頃の純粋さ、優しさを思い出せるはずだ。


なお、前述した『うしおととら』『からくりサーカス』も「おとぎばなし」の一種として1ページだけ登場するが、その時にとんでもないことが起こる


追記・修正は物語の登場人物を思いながらお願いします。


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最終更新:2024年01月10日 22:06