エスケヱプ・スピヰド

登録日:2012/04/26(木) 21:20:04
更新日:2023/08/26 Sat 10:07:21
所要時間:約 3 分で読めます





エスケヱプ・スピヰドは、電撃文庫より発売されたライトノベル。作者は九岡望、イラストは吟。
第18回電撃小説大賞〈大賞〉受賞作。

ロボット廃墟、ボーイミーツガール、因縁の仇敵など好きな人にはたまらない要素がいっぱいの作品。
独自の世界観設定がたくさんあるが、理解も容易で読みやすい。
全7巻で完結した。




【あらすじ】
昭和一○一年七月、極東の島国《八洲(やしま)》は、二十年前の戦争で壊滅状態にあった。
廃墟の町《尽天(じんてん)》では、シェルターの冷凍睡眠から目覚めた人々が、暴走した戦闘機械の脅威にさらされながら生きていた──。
尽天で目覚めた少女・叶葉(かなは)は、ある日戦闘兵器に襲われたところを1人の少年と1匹の《蜂》に救われる。
少年の名は金翅(きんし)の九曜(くよう)。
《蜂》と少年は、《鬼虫(きちゅう)》と呼ばれる、八洲軍が技術を結集して製造した超高性能戦略兵器であった。
彼は叶葉を「暫定的司令官」と認め、彼女を守るため生存者たちの用心棒となる。
人間との交流により、徐々に心を持ち始める九曜。
だが、彼の目的は、同じ《鬼虫》である《蜻蛉(とんぼ)》の竜胆(りんどう)という男と戦うことであった。
機械である九曜は、「兵器は戦って死ね」というプログラムに固執していたのだ。

人間と兵器、考え方の違う九曜と叶葉は、ぶつかりながらも互いを認め合おうとする。
だが、九曜と宿敵・竜胆の決戦の時は、静かに迫っていた──。

最強の兵器《鬼虫》たちが繰り広げるノンストップ・アクション!


【用語】
  • 鬼虫
人間を素体に、コストを度外視して作られた九体の虫型兵器のこと。
人間の姿をした《本体》と、巨大な虫の姿をした《虫》に別れている。
それぞれが圧倒的な戦闘力を持ち、「一つの戦場に三機以上の鬼虫を投入することは、戦略爆撃に次ぐ強行手段である」とさえ言われていた。共通の装備として後述の「水鉄(みずかね)」による装甲を持つ。
また、鬼虫にはそれぞれ、運用コンセプトに基づいた《特別攻撃術》という特殊機能が搭載されている。
壱番式《蜻蛉》・九番式《蜂》を除く七体は、本編開始前の時点で死亡したとされている。


  • 水鉄
ナノマシンで制御された液体金属。液体金属をナノマシンで制御することにより自在に変形可能で固形化すれば非常に強固な金属となる。破損しても液体金属なので即座に修復可能。ただし形状の制御には膨大な演算を必要とするため超高性能機の鬼虫でも装甲の形状を維持するのみである。


【登場人物】
  • 九曜
金翅の九曜。
九番式《蜂》の適性者。
普段は軍人のような話し方で一人称も「小生」だが、
本来は見た目相応の少年らしい話し方であり一人称も「ぼく」。
機械兵ゆえに感情らしい感情は無く、ただ兵器として死ぬことを望んでいたが、叶葉達との交流を通して少しずつ変わっていく。


  • 叶葉
戦後、冷凍睡眠から目覚めた人間の一人。
ある日、戦闘兵器《凶(まがら)》に襲われた際に九曜と出会い、成り行きから一時的に九曜の主、《暫定司令》となる。
家事全般が得意な働き者であり、得意料理はお萩。
九曜が学術的興味を持つほどの貧乳


  • 竜胆
四天の竜胆。
壱番式《蜻蛉》の適性者。
常に冷静沈着で固有の思考、意志を持つ人間に対しては丁寧な態度で接する。最強の鬼虫。


【鬼虫】
  • 蜻蛉(とんぼ)
トンボ型の鬼虫壱番式。
特別攻撃術は知覚能力・思考速度を極限まで高める≪神経加速(タキオン)≫
開発初期は指揮官機として設計されていたため戦闘能力は低かったが竜胆が思考速度を高める「神経加速」の能力を水鉄の制御に転用することを思いつき最強の鬼虫となった。「神経加速」の能力により全ての攻撃に対処可能。水鉄をナノサイズのワイヤーにしての切断、棘状にしての刺突等、水鉄を自在に変形させて攻防一体の戦闘を行う。


  • 蜘蛛(くも)
クモ型の鬼虫弐番式。
特別攻撃術はありとあらゆるを生成する≪毒物操作(エレメント)≫
現実のクモの様に非常に強靭なワイヤーを持ち、ワイヤーを射出して敵を捕縛から叩き付けや手繰り寄せての毒注入等で攻撃する。「毒物操作」で生成した毒は散布や機体の各所から分泌することが可能。大戦末期、敵国の大型基地へ単騎突入し戦闘の後基地周辺に猛毒を散布し機能停止。毒散布後、基地周辺は最大級の防毒装備でなければ近づくことすらできない汚染地域となった。


  • 蟷螂(かまきり)
カマキリ型の鬼虫参番式。
特別攻撃術は振動・衝撃波を発生・制御する≪超振動(ジェット)≫
振動を付与し、ありとあらゆる物体を切断可能にした両手の鎌で戦うという白兵戦特化の機体。超振動を付与した鎌は水鉄すら切断し実質的に防御は不可能。切られたくなければ避けるしかない。万が一、鎌が破損しても鎌は替え刃式となっている為、刃を交換して戦闘を続行することが可能。替え刃は現実のカマキリの翅にあたる部分に収納されている。一応、刃を投擲しての遠距離攻撃も可能。大戦末期、膨大な数の敵軍に単騎で切込み撃破するも自身も大破、機能停止する。


  • 蜈蚣(むかで)
ムカデ型の鬼虫四番式。
特別攻撃術は多数の兵器を弾の一発に至るまで管制・制御する≪多重砲塔
(ドレッドノート)≫
全身に膨大な量の火器を搭載する遠距離砲撃戦特化の機体。大艦巨砲主義を地で行く機体で全鬼虫中最厚の装甲と全長、全鬼虫中最大級の火力を持つ。武装として四十六糎加農砲や三十六粍回転式機関砲等多数の火砲やミサイルを持つ。大戦末期、撤退中の友軍を敵国の大群から庇いつつ戦闘し壮絶な立ち往生を遂げた。


  • 蛾(が)
ガを模した鬼虫伍番式。
特別攻撃術は火炎を操る≪火焔操作(フロギストン)≫
「火焔操作」によって生み出された炎による敵軍への爆撃を行う。「火焔操作」によって生み出される炎は戦車を溶融させる程温度が高く、敵味方入り混じる戦場で敵軍を一つ残らず爆撃しながら味方には火の粉一つ降らせない程精密。大戦末期、防衛戦で戦場の最後の一機、満身創痍となったところで敵軍の進行を止めるために特攻、自爆した。


  • 蟋蟀(こおろぎ)
コオロギ型の鬼虫六番式。
特別攻撃術は全ての探知に対して完全なステルスを持つ≪幻影擬態(ファントム)≫
「幻影擬態」によって潜伏しつつ長大な狙撃砲で攻撃する。「幻影擬態」による隠蔽は視認やレーダーはもちろん「神経加速」で高められた蜻蛉の知覚すらも欺く。敵軍の大型基地に単騎潜入し満身創痍となるも中枢に到達。機能停止寸前に中枢を爆破し自身も爆発に巻き込まれた。


  • 蟻(あり)
アリを模した鬼虫七番式。
特別攻撃術は媒介を通さず直接情報・思考を伝える≪知覚擬験(シムステイム)≫
親機となる本体と中継器役割を持つ二回り小さい無数の子機からなる。支援専用機で戦闘能力は無いに等しい。情報・思考の伝達は双方向でやり取り可能。媒介を使わずに情報を伝達するため通信の阻害は不可能。中継器である子機も「知覚擬験」の伝達範囲を広げるだけで伝達能力は本体である親機が持つ。大戦末期、レーダーや通信施設が破壊された日本軍が敵国の大軍を撃退するまでレーダーや通信機として数日に渡って連続稼働し膨大な演算を終えた後には祈るように機能停止していた。


  • 蜉蝣(かげろう)
カゲロウを模した鬼虫八番式。
特別攻撃術は空間中の活動をゼロにする≪凍結結界(ゼロ)≫
蜉蝣は大気中の熱エネルギーをゼロ(つまり絶対零度)にすることで敵を凍結して攻撃していた。大戦末期、敵国が撃ち込んだ新型核ミサイルの爆発を抑えるために自身諸共周辺を凍結。その結果核ミサイル爆発時のキノコ雲に等しい大きさの巨大な氷柱が発生し爆発範囲は低温により雪雲が形成され続け日の差すことのない永久凍土と化した。


  • 蜂(蜂)
ハチ型の鬼虫九番式
特別攻撃術は電磁を操る≪電磁制御(エレキテル)≫
直接電気で攻撃するほか大口径電磁投射砲(レールガン)や小型のニードルガン、電磁波による電子機器の破壊等多彩な攻撃方法を持つ。


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最終更新:2023年08月26日 10:07