地球防衛軍(映画)

登録日:2011/06/07 Tue 22:53:31
更新日:2024/01/27 Sat 22:45:59
所要時間:約 4 分で読めます








宇宙兵器総動員!

地球軍対ミステリアン
凄絶の一大攻防戦!



地球防衛軍とは、1957年12月28日に公開された本格SF映画。


【概要】

米ソの宇宙開発競争の影響を受け製作された。
今でこそありふれているが、宇宙からの侵略者を怪物ではなく「他民族」とし、人類への侵略戦争を行うという描写は今までにない画期的なものだった。

OP等で流れる「地球防衛軍マーチ」は「怪獣大戦争マーチ」と並ぶ伊福部昭の誇る名曲である。
伊福部氏は自らが手掛けた既存の音楽をアレンジして他の作品で使用することも多く行っており、本作の姉妹作とされる「宇宙大戦争」の「宇宙大戦争マーチ」は、派生して上記の「怪獣大戦争マーチ」となってゴジラ映画にも複数回登場してお茶の間に親しまれたが、「地球防衛軍マーチ」はゴジラ映画への登場が全く無く、『地球防衛軍』のタイトルそのものが同名のゲーム作品の代名詞となった現在は知る人ぞ知る曲となってしまっている。
地球側の勇戦を描いたとにかく躍動感に溢れる曲で、落ち着いた迫力を醸し出す本作もう一つの名曲「ミステリアンのテーマ」と好対照を成している。
機会があれば聴いてみるといいだろう。

同時上映は『サザエさんの青春』…え?サザエさんの方が気になる?気持ちはわかるけど、そこは自分で調べてくれ。

1978年には東宝チャンピオンまつりのメインとして短縮版が上映された。こちらの同時上映は『ルパン三世*1』『家なき子*2』『新・巨人の星*3』『まんが日本昔ばなし*4』。
同時に東宝チャンピオンまつりはこの年が最終興行となってしまった。

【ストーリー】

富士の麓の平和な田舎町を突如山火事、地震、山崩れが襲った。直後に出現した謎の巨大怪獣は防衛隊の攻撃をものともせず、町を蹂躙。防衛隊は鉄橋を爆破することで何とかこの怪獣を葬ったが、なんと怪獣はロボットであった…これらの怪事件は遊星人《ミステリアン》の仕業だった。
ミステリアンは富士山麓に建設したドームを拠点に地球側との交渉の席を設けると、自らが平和を求めていることと同時に「ドームの半径3キロ内の土地の保有」と「地球人女性との結婚の自由」を承認するように地球に要求してきた。しかし自らの科学力を背景とした有無を言わせぬ要求であり、後者の女性はすでに数名を拉致していた。
当然、地球側とミステリアンの交渉は決裂し、両者は交戦状態に陥るが、ミステリアンの科学力の前に地球側は2度も敗れてしまう。

地球人の女性を次々と拉致し、ついにはドームの半径120キロ内の占領を宣言したミステリアンに対し、地球側は新兵器「マーカライト・ファープ」を投入し、第3次攻撃及びミステリアンに拉致された女性の救出作戦を決行する――



【登場人物】

★地球人


◆渥美譲治(演:佐原健二)
主人公。城南大学助教授。安達博士と共に白石亮一の研究とミステリアンの謎を探る。山崩れで全滅した村の調査中にモゲラと出くわす。

◆白石亮一(演:平田昭彦)
冒頭の祭の際、山火事騒ぎの中、行方不明になっていたが…。ゴジラを倒した芹沢博士との関係はないが遊星人ミステリアンの撃退に貢献している。

◆白石江津子(演:白川由美)
亮一ので譲治の恋人。入浴シーンあり。

◆岩本広子(演:河内桃子)
亮一の婚約者。亮一から別れ話を出されたようで…。

◆安達健治郎(演:志村喬)
天体物理学博士。ミステリアンとの交渉にも参加した対ミステリアン作戦のリーダー的存在。『ゴジラ』の山根博士で『七人の侍』の人。


遊星人《ミステリアン》


火星と木星の間にあったという「ミステロイド」出身の宇宙人。地位によってコスチュームの色が違い、首領は赤、科学者などは黄、一般兵士は青。またある程度地位の高い者はマントを着用する。
地球より遥かに進んだ科学力を持つが、10万年前にミステリアン同士の核戦争で母星を失い、宇宙の放浪者になる。
核戦争で健康な子供を産めなくなり、優秀な子孫を残すべく、地球の女性に目をつける。
高温に弱く、冷涼な環境で無ければ生きられない。そんな体質で人間と子を為すことなど出来るんだろうか


実は宇宙人の物真似でお馴染みの「ワレワレハ…」な喋り方の元祖である。
よくある日本語を話す宇宙人…かと思いきや実は日本語を話しているわけではなく、首領のみが翻訳機を使って日本語に変換しているようで、よく聞くとボソボソと謎の言語音声が背後に聞こえる。


◆ミステリアン首領(演:土屋嘉男)
地球攻撃の総指揮を執るリーダー。ガス人間第一号?何のことだ?
後の彼自身X星人首領とは違い、当初から過度に友好的な素振りは見せず、軍事力・科学力を背景としたシビアは交渉姿勢に徹していた。



【兵器】

本作のメカのデザインはモゲラを除き、画家の小松崎茂氏が担当している。

★ミステリアンの兵器

モゲラ
土木作業用のロボットだが、地球攻撃にも運用される。劇中では2機登場。特撮史上初のロボット怪獣。というか世界初…なのだが、なんか不遇。
特に2号機。お前何しに来た。
ミステリアンのメカ全般がそうであるが、地球側の通常の火砲やミサイルの攻撃がほぼ効かず、1号機の方は特撮怪獣映画らしい活躍を見せた。
キャタピラを模した胴体に口先のドリル、背ビレとして回転カッター、スコップ状の腕など、現実的かどうかは別として、地中を突き進む機械のロマンにあふれたデザイン。生物的に鳴き声を発したりもせず、作動中は「ピーピー」と作業機械の警告音のような音を鳴らし続けていた。
劇中では「怪獣」「ロボット」としか言及されず、敵味方双方から「モゲラ」と呼ばれるシーンは無い。
海外ではモゲラのシルエットは鳥のように見えたようで、「バードロボット」と紹介されている。

◆ミステリアン円盤
地球攻撃の主力及び連絡機。
地球を2時間で一周できるスピードと瞬時に空中停止できるほどの機動力を持つ。

◆ミステリアン・ドーム
地球攻撃本部である要塞。通常は地下に潜っているが、有事には地上に出て破壊光線を照射する。
関東大震災と同等の威力(←?)の怪光線で敵を寄せ付けない。
目立つピンク色のドーム部分は要塞のほんの一部であり、地下では要塞を拡張している。劇中でも「第一期工事が完了すれば…」との言及がなされている。

◆光線銃
護身用として全員が所持。

★地球側の兵器

◆α号
全長200メートルに及ぶロケット型の巨大飛行艇(資料によっては飛行船とも)。動力は原子力。機首に熱線砲を装備。
ミステリアン・ドーム攻撃の主力及び、作戦指揮のために運用された。当初は有効な防御策を持っていなかったが、第3次攻撃に際して後述のマーカライトの原理を応用した防御コーティングを装備し、第二β号の戦場到着までドームからの怪光線攻撃を耐え続けた。

◆β号
α号と同型の飛行艇。1号機は最初の出撃時にミステリアンの反撃を受け撃墜されたが、機首下部に新兵器電子砲を新たに装備した2号機が再建。電子砲の搭載に手間取り出撃が遅れたものの、戦闘空域突入と同時にドームや円盤を撃破する大活躍を見せた。

◆マーカライト・ファープ・アタック・ヒート・リジェクター
直径200メートルの巨大熱線反射器。キャタピラーで自走も可能。ミステリアン・ドームの怪光線を熱線にして打ち返す、地球側の切り札。
数機投入され、輸送ロケット(全長1キロ超え!)マーカライト・ジャイロで運ばれ運用された。
怪光線以外への防御策は無く、円盤が起こした洪水やモゲラ2号機によって数機が転倒、撃破されたが、その巨大すぎる構造重量によりモゲラの方は転倒時に道連れにしている。

◆ノースアメリカンF-86Fセイバー
1955〜60年までの航空自衛隊の主力機。

◆M4A3E8シャーマン
1961年までの陸上自衛隊の主力戦車。
「イージーエイト」ことM4シャーマンの改良型。







モゲラ「俺の扱い酷くね?目からビームにドリルにキャタピラ…男のロマンの塊なのに…」
MOGERA「乙です」
モゲラ「死ね」




モゲラが可哀想だと思う方、追記・修正お願いします。

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最終更新:2024年01月27日 22:45

*1 テレビ第2シリーズの第8話「ベネチア超特急」を上映。そして同年12月には初の単独劇場版『ルパンVS複製人間』も公開されている。

*2 テレビシリーズ第9話「はじめての友だちグレース」を上映。

*3 第17話「嵐の中のテスト生」を上映。

*4 テレビシリーズ第20話「かぐや姫」を上映。ちなみに本作はその後、1982年春の東映まんがまつりにて「ほらふき天狗」「おけさねこ」が上映された。