宇宙大怪獣ドゴラ

登録日:2011/06/19 Sun 00:07:51
更新日:2022/11/02 Wed 12:06:18
所要時間:約 6 分で読めます





あなたは宇宙怪獣と聞いたら何を思い浮かべるだろうか?

ゴジラシリーズならキングギドラスペースゴジラ。ウルトラシリーズならベムラーベムスター、それ以外の作品ならギララやガメラに出てくるレギオン辺りが浮かぶ方もいるだろう。



では日本で初めて映像化された宇宙怪獣は何か?また出てくる作品は何か?
答えられる方は多くは無いのではないだろうか?



さて、その日本初の宇宙怪獣を扱った作品とは1964年8月11日に公開された『宇宙大怪獣ドゴラ』である。
そして初の宇宙怪獣が作中に出てくるドゴラである。





………クラゲとか言うな!


【あらすじ】
ダイヤを狙った宝石盗難事件が相次ぎ、警視庁ではマークしていた宝石強盗団への監視を強化する。警視庁の捜査メンバーにダイヤGメンが加わって強盗団への追跡が深まる中、石炭が空に消える不思議な現象が起こる。
実はダイヤ盗難も石炭泥棒も、炭素を狙う宇宙怪獣ドゴラの仕業だったのだ。


【概要】
本作は初の宇宙怪獣ということで様々な模索が行われた作品である。
ドゴラは元は小松崎茂氏による創作の怪獣であり、着ぐるみが一切ない不定形の怪獣である。

ドゴラの表現は難航し、造形担当の村瀬氏を始めとした当時のスタッフたちによると、ドゴラの繰演用人形はソフトビニールを利用し造形されたが、素材が柔らかいために通常の繰演が不可能だったほか、無重力の世界から来た存在であることを上手く表現する動かし方の考案に苦労したため、水を張った水槽にドゴラを入れ、テグスで繰演をしたとのことである。
この手法は円谷監督にも好評だったが、水の抵抗でテグスが切れたり、水槽に小さい泡ができたり、水道水のカルキ濃度が濃いと水が濁って見えたり、諸々の理由で撮影が中断されることも度々だったらしい。

本編では、当時007がヒットしていたためか、スパイ物や犯罪物のテイストが加えられた。
また、北九州市が主な舞台に選ばれ、当時の石炭産業や地域のスポットが見られたりするのも特徴である。

本作は特撮場面が上記の理由か少なく、キャラクター性の掴みにくい不定形の怪獣であることや、ドラマ部分も子供には向きにくいテイストであったことから成績は芳しくなかったようである。

そのためか、ゴジラ以外の作品で作られた東宝最後の単発怪獣映画となり、以降の怪獣映画は対決物がほとんどとなった。

尚、ビデオ化もDVD化も普通にされているが上記のイメージからか、レンタルされてる店は少ないようで、不遇さゆえに有名なバランよりマイナーな作品、怪獣な感もある。

また、1964年は春に『モスラ対ゴジラ』、冬に『地球最大の決戦』が公開され、東宝で最も多く怪獣映画が作られた年である。


【登場人物】
◆駒井(演:夏木陽介)
ダイヤ盗難事件を追う刑事。成り行きから組むことになったマークのことは、色々と煙に巻かれたこともあって好いていなかったが、最終的には和解する。
作風と設定の都合上、体を張る機会が多い。

◆マーク(演:ダン・ユマ)
世界ダイヤ保険協会の調査員、通称ダイヤ。日本警察とは別にダイヤ強盗を追っていたが、途中から駒井と協力するようになる。
掴み所の無い性格で飄々としており、日本語も達者。番茶と枝豆に感動していた。

◆宗方博士(演:中村伸郎)
人工ダイヤを始めとした鉱物・結晶の研究をしていた科学者。結構飄々としており、豪快な人物である。

◆強盗団
世界各地でダイヤ強盗を計画していた国際強盗組織の日本支部。
ドゴラに何度も抜け駆けされ、さらにドゴラが起こした事件まで自分たちのせいにされていた。
横浜から運び出されたダイヤ原石を盗み出す計画は浜子の裏切りで失敗し、生き残ったメンバーもドゴラの死体に押し潰されて全滅する。
ボス役には河津清三郎氏、手下役には田島義文氏、加藤晴哉氏、天本英世氏と東宝特撮お馴染みの面々。

◆浜子(演:若林映子)
強盗団の一味だったが、ダイヤの独り占めを企んで裏切る。
強盗団に裏切りがバレて殺されたうえに、死の間際に自分たちがマークの囮捜査に踊らされていたことを知る。



【ドゴラ】


宇宙に漂う謎の細胞が放射能で突然変異を起こした怪獣。
炭素を食料としており、初めは小型の単細胞型の姿で世界各地でダイヤや石炭を奪っていた。
後に北九州市の上空に集まった群れが一体化し、クラゲ状の姿となった。

火器による攻撃を分離して無効化していたが、廃坑を襲撃した際に蜂のに含まれる物質に弱いことが判明し、最後は人工的に精製された蜂毒で全身が結晶化・組織崩壊を起こし、砕け散って地上に降り注いた。
日本以外の地域で暴れていた個体も同様の作戦で倒され、最終的に全滅したらしい。


写真では東京タワーや新幹線を襲っているが、劇中では

一切破壊しません

詐欺である。橋を持ち上げたが…
さらに作中では全体的に姿がハッキリとせず、あまり姿が見えない。

なお、ドゴラをデザインするにあたって最初に考えられたことは「『宇宙から来た怪獣』ならば、何をすれば怖く見えるか?」ということだったそうで、そこから

「空から現れるなら、地上のものを摘んだり持ち上げたりすれば良いのでは?」
「地上のものを持ち上げるなら、触手を使えば良いのかも?」
「触手を持つなら、こういう姿にしてみてはどうだろう?」

というプロセスを経たらしい。





そして時は流れ、一部のファンたちによって語り継がれるマイナー怪獣として日々が続いたのだが・・・



『GODZILLA 怪獣惑星』および『GODZILLA 怪獣黙示録』のドゴラ

2017年公開の映画『GODZILLA 怪獣惑星』にて、実に53年ぶりの劇場登場を果たした。
映画ではかつて人類を襲った数多くの怪獣たちの一体としてプロローグに映った程度だが、
前日譚にあたる小説『GODZILLA 怪獣黙示録』では第一章第二話のメイン怪獣として描かれる。

出現したのは2002年9月の英国(ロンドン~マンチェスター)。
1999年米国に出現したカマキラスに続く誰も予期しなかった史上二体目の怪獣である。

突如ロンドン上空に現れ半透明の触手でロンドン橋やビッグ・ベンを破壊しながら多くの市民を生きたまま捕食
英国軍による攻撃が行われたが、爆発の熱エネルギーを吸収し活性化、本家同様増殖し被害をマンチェスターにまで拡大させた。
その後雀蜂の毒が弱点であることが判明し有効成分を大量生産、英米及びEU諸国の軍用機で散布され死滅したが、
最終的に歴史ある二都市の壊滅と推定死傷者数390万人という多大な被害をもたらした。

その正体については不明な点の多い怪獣達の中でも(ゴジラを除けば)最も不可解な怪獣だと他と一線を画すように語られていた。
(一応個人による推測もあったが国家間の不和などで裏が取れず、最後まで判明しなかった。)




その他ではあの『ゴジラアイランド』に登場。
死霊界からやって来た営業マンという設定で、必殺技は「名刺手裏剣」。
声優は山口勝平氏。

またファミコン用ソフト『ゴジラ』にも登場した。
が、倒すとアイテムを落とすザコキャラだったりそもそも単なる背景モブだったり扱いは微妙・・・



日本で不定形な怪獣は珍しいため一定のファンはいる模様(漫画家のとり・みきとか)。




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最終更新:2022年11月02日 12:06