ロボット

登録日:2011/10/19 Wed 19:39:36
更新日:2024/01/11 Thu 21:42:55
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robot

日本人なら誰でも知っている、機械仕掛けの人形を指す言葉。



言葉としての起源はチェコスロバキアの小説・戯曲作家のカレル・チャペックの作品、
『R.U.R.』(エル・ウー・エル。邦題『ロッサム万能ロボット会社』)に登場する労働人形である。
さらにその語源はチェコ語で「労働」を意味する「ロボータ(robota)」から。

『R.U.R.』におけるロボットは、生体部品を使った人造人間、バイオロイドの類であったが、
現在では一般にロボットといえば電子制御の機械装置全般を指す。


SFなどに登場するロボットは、人に近い姿で人間のように自分で考え、
感情に近い思考を有するものが登場するが、実際の技術はそのレベルまで至ってはいない。

理由の1つに、無意識な微調整の再現が挙げられる。
生物の身体は自覚せずとも非常に緻密な計算によって動いており、例えばを持ち上げる際も、殻が割れない程度に、しかし落とさないよう加減している。
これをセンサーやモーターを使って再現するとなると膨大な計算が必要で、その分コンピューターを大きくせざるを得ないのだ。

他にも人工知能の開発など壁は多く、一点特化ならまだしも一体で完全に『人間』を再現するヒューマノイドは開発されていない。


その分、非人間型のロボットはさまざまな分野で活躍している。
主に産業分野で製品を作る工業用、人間が踏み込めない危険な場所での作業用。
同じく災害救助用、地雷撤去用、そしてAIBOのような動物型の愛玩用などである。
加えて介護や倉庫内作業、飲食店で各席の注文をとって回る等、働き手不足を補う目的でも更なる裾野の広がりを見せている。

あまり意識されないが、ボイジャーやはやぶさ等の宇宙探査機や、
街角にある自動販売機やATM(対戦車ミサイルではなく現金自動預け払い機)も分類上ロボットの仲間である。


旧式の作業ロボットは一度覚えさせた行動を繰り返す“プレイバックロボット”が多かったが、
最近では小型センサーの導入、AIの進歩などにより自動で資材などの位置を把握し、行動を修正するなど『賢い』ロボットも増えている。

また、女性の介護士などの力仕事を補助するパワードスーツタイプなど、補助機関としてのロボットの開発も進められている。
日本ではほとんどないが、外国などではロボットを軍事利用する研究も行われている。



なお、日本は世界でもトップクラスのロボット技術を誇っていたりする。

産業用が主流を占めるものの、
これは現在の研究者たちが、少年期に『鉄腕アトム』や『鉄人28号』に始まり、
ドラえもん』『マジンガーZ』『ガンダム』『ZOIDS』etc...のような、
ロボットの登場する作品の影響を多大に受け、開発に他国の追随を許さないほどの情熱を持っているためだと言われている。
そして、ロボット技術のルーツは、江戸時代の「からくり」にまで遡るとか。

現にほとんどのロボット作成者やロボットクリエイターは鉄腕アトムやマジンガ―Z、ガンダムと言ったメジャーなロボットアニメから、
はたまたゴールドライタンのような微妙にマニアックなものも含めてそういったロボットアニメのファンが多い。

某笑顔動画サイトでも、ニコニコ技術部のなのもとに様々なロボット作品も数々投稿されている。

これからも、日本の(良い意味で)変態技術者たちは、ASIMOの時のような驚くべきロボットを発表し、我々を魅了することだろう。

なお、技術力こそトップクラスだが、プログラミング技術は他国に劣る場合が多いために
1から作るロボットでの対決の場合日本が勝つ場合が多いが、同一ロボットでの対決だとたいてい日本が負ける場合が多かったりするらしい。

DARPAロボティクスチャレンジでは2013年12月予選で東京大学発のロボットベンチャー、SCHAFTのS-Oneが優勝したが、
2015年6月本選ではNEDOのHRP-2など5チームが参加したものの電波障害の区画で苦戦し最高10位にとどまった。(優勝はKAISTのHUBO)





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さて、と、
ここは“アニヲタWiki”、そっちも話題にしないと、ね。



サブカルチャーにおけるロボットは、そのほとんどがヒューマノイド、最低でも人や動物を模している。

遠かれ近かれ未来だったり、中には現代で人間と見分けのつかないロボットや
大国の軍隊と一機で渡り合える搭乗型スーパーロボットを作る変態技術者もいる。


だいたい共通して、

  • 見た目は人間だが馬力は規格外
  • 食事の可否によらず稼働のためになんらかの特定エネルギーが必要(無難に電気だったり、バナナだったり、ごはんとか)
  • “心”の在り様に思い悩む
  • インプットされていない“恋愛”を知りショートしたりフリーズしたり

これらがステレオタイプなロボット要素だろうか。


どう考えても兵器として非合理的な人型巨大ロボットだ が そ れ が い い


という人もいれば、


感情が希薄なのに、恋心を知ったロボ娘ちゃん……ぶわっ


という人もいるので、一概に「ロボット萌(燃)え」といってもその方向は多種多様。
なお、同じ人間型の人外でもロボット≠自動人形という人もいるので、会話の際そこは慎重にしよう。

サイボーグをロボットに入れるかも人次第なので注意だ(これはロボット自体、狭義のロボットと広義のロボットがあり定義が若干あいまいなのもあるが)。
ただ言葉の定義上はだいたい「自我情報が(人間と法的認定された存在の)脳により構築された(されている)と証明されている存在」がサイボーグを含む「人間」である。

……分かりづらい?
一言で言ってしまえば「素材なんざ関係ねえ!人間と”定義”されりゃ人間だ!」である。ちょっと乱暴だが、物理的実体云々ではなく法的・認知的問題だという事だ。

例を挙げて説明すれば

  • 脳そのものがタンパク質等で出来ていない「人間」
木城ゆきとの漫画銃夢に出てくるザレム人や、SF作家グレッグ・イーガンの作品に出てくる「宝石」などはこれに当たる。
硬いチップなどで出来ている演算素子(コンピュータのCPUまんまに近い)で思考をしているが、その意識や自我、もっと直截に言えば「魂」(攻殻機動隊あたりでは「ゴースト」と言われる)はナマの脳由来。
あくまでも病気の骨を切除して金属部品で代替したとか、そういう「人」と同じで「構成素材が違うだけ」なのである。あと身体はフツーにタンパク質メインだったりも。場合によるが。

  • 全身義体
前述の攻殻作者、士郎正宗作品でよく出るがフォロワーもいる。
こうした場合には肉体こそロボ子と大差ない~全く同じだったりするが、前述の定義的にはどうあれ「人間」である。
紅殻のパンドラでは時系列的に全身義体ユーザーが非常に少なく(成功例は世界に一桁)、ロボットは一般的である。

しかし主人公はその数少ない全身義体者であるため「ユーザーがいない野良(捨てられた等)ロボならもらっちゃお!」とちょっかいをかけてきたり、
「人間でないから証拠能力ねーだろ」と政治的にヤバい話を面前でしたりと、人間に対しては完全に無礼・違法な態度を取る人間が見られる。

その後で「私は人間ですよ」とツッコまれ、謝罪したり取り繕ったりがお約束。
こうした描写によって「全身義体者=人間とロボットの権利や社会的立場の線引き」が描かれている。


ここで分かって頂けたと思うが人造人間の項にあるように構成素材が無機的であればアンドロイド・ロボット扱いは結構多い。
しかし銃夢の主人公ガリィは『銃夢 Last order』にて脳をザレム人同様にされ(オリジナル脳は同作エピローグで脳チップガリィとは別個体の体を得ている)、体も強力なナノマシン構成体化し人間とは組成が異なっている。

またイーガン作品では「ディアスポラ」という作品があり、そこでは電脳情報化した「人間」やその末裔達が情報保存装置内(サーバー)に住んでいる。
その彼らは地球に生身のままで生きる事を選んだ人間に危険を知らせるため、機械の身体に降りた事がある。
つまり「メカの身体と思考(演算)システムだけで出来ている」場面があるが……
彼らは「ロボット」かと言えば作中定義上はNOである。

しかし前述のような技術がある世界観において、
「人権を認められていない人造人間」(長谷川裕一マップスに出てくるビメイダ―など。終盤を除く)が「機械の身体」になったとしたら?
こちらは脳がタンパク質や菌糸繁殖型の生体演算装置であっても「ロボット」と定義可能であるかも知れない。

この「構成素材や意識の存在場所・方法(電脳内の仮想人格など)と法的定義が人間の境界線を揺るがす」というのはSFではよくあることで、
かのアシモフも「バイセンテニアル・マン」という作品で過去に描いている。
実のところこの辺はガチSFの類でもいろんな議論なり見方があるジャンルの一つである。


ところで、エスニックジョークでこういうものがある。


アメリカはロボットに兵器を搭載し、戦場へ送り出した。
ロシアはロボットに盗聴機器を組み込み、政界へ送り出した。


日本はロボットに美少女の姿と恋愛感情を与え、学校へ送り出した。


なんとまぁお国柄を表してることだろうか。

先に日本ではロボット技術が発展していると書いたが、
このようにロボットを恋愛の対象に見ることができるというのも日本のロボット観の特徴である。
これは日本における八百万信仰、万物に魂が宿るという根源的アニミズム思想の影響によるのかもしれない。

つまり、ロボットといえど心があるのなら、愛し合うことができるのではないか? ということ。
そしてその“心”とは何ぞや、というのが使い古された、言い換えれば長く愛される命題でもある。


ちなみに『R.U.R.』を書くにあたり、チャペックはユダヤ教に伝わるゴーレムを意識したと本人が証言している。
ゴーレムは「胎児」の意であり、ユダヤ・キリスト教において原初の人間であるアダムはの創りし最初のゴーレムである。

すなわち西欧圏ではヒューマノイドを作ることは人間の創造に等しく、人が神と並び立ったと思いあがった傲慢の所業に他ならない。
ゆえにロボットもまたいずれ神=人間の存在を脅かす“新人類”として、脅威の対象として描かれることが多い。
原典の『R.U.R.』からしてそれである。

こうした恐怖心を「フランケンシュタイン・コンプレックス」という。

また別の問題として、ロボットも機械である以上、
「ユーザーがやってほしいことをやる」のではなく「ユーザーにやれと言われたことをやる」ため、
ちょっとした命令の不備が大惨事を起こすことがある。
例えば、バリントン・J・ベイリー「ロボットの魂」には、
「いかなる手段をもってしても彼が暗殺されるのを阻止せよ」
と身辺警護をさせるつもりで命令したら、
誰にも暗殺できないよう、あらかじめこちらで殺しておきました
とドヤ顔でやられてしまったというシーンがある。

こんな作品が出尽くした頃にはさすがに、「そんなに危険なら安全装置もなく世の中に出回るなんてリアリティに欠ける」と思う人が増えてきたか、
その後、SF作家アイザック・アシモフの作品を元に、編集者ジョン・キャンベルが整理した『ロボット三原則』により、
ロボットは行動原理に制約が課され人類と共存可能な存在となった。

「われはロボット」などに登場するロボットは人間の感情を慮ることも可能な一方で、
自我はどこまであるのかよくわからない、日本の作品にはあまり見られない雰囲気を持っている。


◎簡単な三原則のまとめ
  • 原則1、ロボットは人間に危害を加えたり、危険を見て見ぬふりをしてはならない
  • 原則2、原則1に反しない限り人間の命令には従わなければならない
  • 原則3、原則1原則2に反しない限り自己を守らなければならない


何やら傲慢な物言いかも知れないが、
言い換えれば家電メーカーとしては当然ともいえる「安全性」「操作性」「耐久性」の三つに言及しているだけである。

また、三原則を傲慢な規則によって縛る「奴隷の鎖」と嫌う者がいる一方で、
「他者を尊重する・己の使命を全うしようとする・最低限自分の身を守る」と捉えれば理想の人間像だという意見もある。
この点に気付いたアシモフは、聖人君子としてふるまう人間が「あいつロボットじゃね?」と疑われるという話を書いている。
この人物は三原則を破る行動を一度だけとることで人間だということを証明して見せたが、実は初歩的なトリックで実際には破っていない三原則を破ったように見せかけることができることを専門家が示し、本当にロボットだったのかも知れないという含みを持たせている

無論、根本的な目的が人間に危害を加える用途のロボットというのも考えられるわけで、
軍用ロボットが既に実用化されている(尤も、ロボというかラジコン戦車に近いものが多いが…)。三原則も絶対ではないのだ。

そもそもこの三原則は小説の設定しかもメーカーの自主規制(危険とわかりきっているものが売れるはずがない)、
更にいうと三原則があるんだからそんな事が起こるはずが無いというストーリー展開の前提条件にしか過ぎず。
特別ロボットのあり方やルールの提唱でもなんでもないのだが。

とはいえ、この三原則を拠り所とし、自分の研究を軍事利用させまいとするロボット工学者も多く、現実への影響も小さくないのもまた事実である。


二次元のロボットでこの三原則がある場合は、知能の高いロボットは手加減や裏道を探すことができるので
「力加減をしながら人間を守ることで三原則に反せずに人間と戦うことができる」など、裏をかくものも多い。
例を挙げると山本弘の『地球移動計画』では、原則1を『人類全ての保全』と捉え『人類の未来のためならば自分が消去されてもある個人を殺害すること(及びそれにより自分の持ち主の目的が頓挫する事)はやむを得ない』と拡大解釈することで殺人事件を起こした人工知能が登場した。

当のアシモフも、「人間の好き勝手にさせると自滅する(=ロボットが人間を支配しないと原則1に反する)」という理由で、
人間を支配しようとするロボットを作中に登場させている。*1

アシモフがさらに未来を描いた「銀河帝国興亡史」にロボットが出てこないのは、ロボットを忌避する旧態依然とした人種が息を吹き返し、ロボットから過保護にされた文明はそれに対抗できず衰退、そのまま滅亡した。
のだがその原因は「自分たちに依存したままでは人類の繁栄は止まってしまう」と判断したロボット自体の暗躍にある。
さらには銀河帝国以降の時代にもロボットは人類に隠れて存続しており、帝国及びそれに続くファウンデーションの繁栄にロボットが裏で糸を引いている。それに気づいている人間は極一部に留まる。

アシモフの作品においては、「陽電子頭脳の基本設計に組み込まれているためロボット自体が三原則を破ることを拒否する」という設定なのだが*2
アニヲタ界においてはどちらかと言うと鉄腕アトムのロボット法の流れを汲む、「三原則を破ったら罰則(多くは厳罰)」という作品が多い。
また基本設計に組み込まれている場合でも上記のように手加減や解釈の違いを利用して、三原則を守りつつも多種多様な行動を行っている作品もある。


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最終更新:2024年01月11日 21:42

*1 「危害」を加えることはできないため、直接の反乱ではなく人間自身も支配されていることに気付かないようなやり方を取るも、後日談で語られるところによると後に人間の精神的なダメージの計算式を編み出して計算をやり直した結果、支配はやめてしまったという

*2 ロボット的には「助けずにはいられない」という感じらしく、「いくら邪魔をしないよう命令しても、ロボットには任せられないが体に悪い作業をしている人間を引っ張り出してしまって仕事にならない」という作品もある