クラスター爆弾

登録日:2011/09/26(月) 01:15:59
更新日:2023/04/03 Mon 22:31:35
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クラスター爆弾とは、空中で炸裂し多数の子弾をばらまく兵器である。
面制圧力は投下・炸裂する高度にもよるが、米軍が使用する航空爆弾のCBU-87/B及びCBU-103は200m×400mの約8万m2(東京ドーム約1.7個分)、
多連装ロケット兵器であるM270MLRSはM26ロケット弾(1発あたりの効力範囲は100m×200m)12発を発射した場合だと約12万m2~約20万m2に達している。
通常の500ポンド航空爆弾であるMk 82の効力範囲が80m×30mの約2,400m2、派生型のPFB-82ですらも240m×80mの約1.92万m2に留まるので、格段の差がある。
後述するが、一時期これの使用禁止に関するニュースで名前を知っている人も多いと思う。
通常の爆弾と違って小さな子爆弾をバラ撒いて攻撃する為、強固に防護されたトーチカには効果は低い。
対戦車兼用でEFP(自己鍛造弾)ではなくHEAT(成形炸薬弾)を複合したものもあり、種類にもよるが2.5インチから5インチの上面装甲板を貫通できる。
もっとも戦車を擁する機甲部隊は不整地でも散開が容易であるため、クラスター爆弾の危害圏内から離脱し易く、固定目標を狙った場合よりも効果は限定的である。
しかし、装甲の薄い車両や生身の兵士には効果覿面である。つかむしろ悪夢である。


悪夢である


想像してみて欲しい。
何も遮る物の無い砂漠に、突如として轟くジェット機の爆音。そして周囲数百メートルに降り注ぐ鉄の雨……。
湾岸戦争で、実際にクラスター爆弾の爆撃を受けたイラク軍兵士達は、再びクラスター爆弾を使用するという国連軍の通達に、皆降伏したという。
YouTube等に投稿されている動画を見ていただければ、その兵士達の気持ちが物凄く解る。あれこそまさしく鉄の雨。
クラスター爆弾は航空機から投下する爆弾型、ミサイルを含むロケット弾や砲弾(榴弾砲や迫撃砲)などに搭載される弾頭型の2つがある。
使われる側からすれば悪夢だが、使う側からすればこれ程便利な武器も他にない。
面を制圧できる非常に有効な兵器で精密誘導爆弾に比べて費用対効果も大きい為、各国で幅広く配備されていた。


しかし、バラ撒かれた子弾の内、不発弾となったもので負傷する民間人が多いとされている。
当時は空中投下型戦災救援物資パックに色やデザインが似ていた事や派手な色の見た目から「玩具」と思って触ってしまう子供が多かったそうだ。
また不発弾になる確率が通常爆弾と同じでも、子爆弾の数が桁違いなので不発弾の絶対数は多くなる。単純な理屈である。
残された不発弾は地雷と変わらないという主張もあって、クラスター爆弾の使用禁止を求める声がでてきた。



そして、オスロで開催された会議で、クラスター爆弾の使用禁止条約が発行。当初日本はこの条約に乗り気でなかったが、08年に批准した。
現在自衛隊の保有するクラスター爆弾は精密誘導ロケット弾や、JDAM(精密誘導爆弾)に置き換えられている。
日本の様に海岸線(=防衛線)の長い国家にとって広範囲を一撃で制圧できるクラスター爆弾は、上陸してくる敵を迎え撃つに最適な武器の一つでもあった。
条約批准後にはミサイル・高速滑空弾用の高密度EFP弾頭(マルチEFP弾頭)を研究・開発していて、クラスター爆弾に代わる面制圧手段として実用化を目指している。
とはいえ、破格な面制圧力故にコラテラル・ダメージが生じやすいという短所もあり、内陸部へ侵攻した軍事目標に対しては使用時のリスクが増大してしまうことや、
不発弾の絶対数が増えてしまうクラスター爆弾の性質上、使用後の不発弾処理が面倒、不発弾で国民に危害が及ぶ恐れがあるといった事情もあるため、批准を愚策と断じることはできない。


また、条約に批准していない国でも一般タイプの子弾には一定期間での自壊自爆機能を搭載する等で対応されつつある。


ちなみに、この兵器の発想の起源自体はルネサンス期と結構古く、レオナルド・ダ・ヴィンチの兵器スケッチの中に「空中で無数の小型爆弾をバラ撒く砲弾」の絵が存在する。
もっとも、当時の技術水準では実用化は無理だったようだが。



追記、修正おねが「鉄の雨が来るぞー!!」ズガガガガガガッ


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最終更新:2023年04月03日 22:31